上 下
21 / 36

第20話

しおりを挟む

 部屋はこのために取ったわけでなく、たまたまここで仕事をしていたよう。部屋の事務机には書類や資料がきちんと重ねられて、几帳面な彼らしいな。と束の間の感想。

 美原さん、この間みたいにすぐ紳士に戻るかなと思ってたんだけど、そうはいかなかった。僕は乱暴に洋服を剥ぎ取られ、ベッドに沈められた。
 眼鏡をベッドサイドに置き、自らも服を脱ぎ捨てる。思いも寄らぬ筋肉質の体に、僕はまたときめいてしまって。

「ガタイがいいのは鹿島だけじゃないんだよ。オレだって鍛えてるからな。弁護士舐めんな」
「なめてませんっ」

 何を僕は言い返してんのか。物凄く悪いことしてるって自覚はあったんだけど、この展開がツボで止められない。こんなだから舞に怒られるんだよね。

「綺麗だな、先生は。その怯えた瞳もたまらない。いい思いさせてやるから、じっとしてろ。あんなデカ野郎のこと、忘れさせてやる」

 うわあん、忘れたくないけど、忘れちゃうかも!

「あふっ」

 濃厚なキスが降ってきた。思い切り舌を入れられて、唇からよだれが洩れる。

「はあっ、はあっ」

 美原さんの荒い息が耳に反響する。このまま流されちゃいそうだ。一生懸命抵抗してるつもりだけど、多分本気じゃない。そのうち、ヤバいところに美原さんの手がっ。

「あっ……んっ」

 思わず声が出てしまった。

「ふううん。感じてるんだ。清純そうな顔して、実は淫乱だったってわけだ」

 淫乱って言われた! でもそこ触られたら、反応しちゃうんだよっ。

「やめて、下さい。美原さんっ」

 清純とは言わないけど、とりあえずそう訴えてみる。でも内心、ここでやめないよね。と、思ってたのはここだけの秘密。

「嘘つけ。やめて欲しくないくせに」

 図星……! 瞬間でバレてる! 僕は美原さんにと言うより、自分の性に観念して諦めた。その時だった。

 ――ビビッ! ビビッ!

 スマホのバイブ音がホテルの部屋に鈍く響いた。僕のは鞄の中に入ってるので違うだろう。丸いテーブルの上で揺れているので美原さんのだ。なんだ、こういう時に電話の音鳴らすなんてデリカシーなさすぎだ。

「はっ……」

 僕の上に跨り、今まさに最後の一枚を脱がそうとしていた美原さんが、その動きを止めた。

「ああっ……またやってしまった……」

 ベッドで仰向けになってる僕を、美原さんは済まなそうな表情で見下ろした。紳士な美原さんが戻ってきたみたいだ。
 こうなっちゃうと、先に進むのがはばかれるよね。僕はとっても残念な気分で、舌打ちしそうになったけど、寸でのところで耐えた。


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

催眠アプリ(???)

あずき
BL
俺の性癖を詰め込んだバカみたいな小説です() 暖かい目で見てね☆(((殴殴殴

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

好きな人に迷惑をかけないために、店で初体験を終えた

和泉奏
BL
これで、きっと全部うまくいくはずなんだ。そうだろ?

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

処理中です...