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細街道を行く
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俺は、とりあずえ細街道を歩いて移動してみることにする。地球にかつてシルクロードというユーラシア大陸のヨーロッパとアジアを結ぶ街道があったように、この世界スクエアジャングルにある三つの大陸も、太街道という大きな街道がある。
各大陸のいくつもの国家の主要都市と主要都市とを結ぶ太街道は、道も広く整備もされていて街道沿いには宿場町もたくさんある。その名の通り太い道幅で、人も物もたくさん行き交っている。
大人数のキャラバン隊も、騎馬に乗った騎士も、騎鳥に乗った旅人も多く見受けられ、また、巨大な動物に牽引されたバスのような乗り物も定期的に運用されている。大きな都市間の移動となると大半の者はこの太街道を利用する。
細街道は太街道から少し離れた所を平行して走る、その名の通り細い街道であるのだ。あまり整備されておらず、宿場町もほとんどなくポツリと宿屋が一軒だけ建っていたり、街道から少し入ったところに集落などが存在している程度だ。通ったことがないから、らしいと言った方が正解だけど。
地球の日本だと、太街道が大きくて比較的新しくできた国道のバイパスなのに対して、細街道は古い県道みたいな感じだろうか。中央分離帯があってそれぞれ上下2車線ずつ道沿いに道の駅があるのが太街道、真ん中に消えかかったオレンジ色の中央線で上下1車線しかなくコンビニさえろくに見当たらないのが、細街道であるのだ。
俺は今まで太街道しか通ったことがなかった。大会目的の都市間移動なので、細街道という選択肢など思いもしなかった。目的地への移動となると大半の人が太街道を選ぶけど、俺もそうした人のうちの一人であったのだ。
目的地のない旅。強いていえばスクエアジャングルの全てが目的地。俺はよりこの世界を知るために、細街道を歩いてみることにしたのだ。
騎牛を一頭レンタルしてみた。大きくてたくさんの荷物を積むこともできて、もちろんその背に人が乗ることも可能であるが、俺は荷物だけ彼に運んでもらってなるべく自分の足で歩くことに決めている。
平原を進んでいく。数時間歩いてみても草原と青空とが遥か彼方まで広がっていく。進んでいく方向も進んできた方角も。多分、遥か彼方に感じている前方も、実際は1時間も歩かないうちにその彼方を通り過ぎて、遥か彼方の先を歩いているのかもしれない。
だけど、景色の変化は乏しい。なのでいつも同じところを歩いている。そんな錯覚に襲われてしまうのだ。
朝早くから歩いても昼時にレストランや宿屋など一軒も現れない。太街道ではなく細街道を選択した一部の変わり者は、やはり騎鳥や騎馬に乗って移動をする。俺みたいに歩いて細街道を移動する風変わり者の中の酔狂な者など、おそらく希少種並みに少ないだろう。なので、そういった者のことなど考えられてはいないのだ。
草がボウボウに生い茂った草原というより、原っぱのような場所に一本だけ大きな樹が生えている。俺はそこを背にして用意してきた弁当を食べることにする。
もちろん、騎牛にもご飯は食べさせる。美味しそうに食ったくせして、食後に不満そうな表情と抗議のモオーを挙げた。おそらくこのまま人間の歩調に合わせていたら、日没までに宿か人の住んでいる所へは辿り着けずに、晩飯が食えないとでも思ったらしい。
やれやれ。仕方ないので午後は彼の背中に乗って移動することにする。牛歩という言葉があるけれど、この世界の騎牛は人間の足で歩くよりは遥かに速い。スタミナもあるので時間的には早い。つまり目的地があれば時間が短縮されるし、遠くへ行くにはより長い距離移動できることができるのだ。
地球の牛のことはよく分からない。ただ牛乳や牛肉を提供してくれるホルスタインや赤毛和牛のようなイメージしか湧かない。
あ。俺、牛という動物に関しては地球よりこっちの世界の方が詳しくなった。漠然とそう思い、こんな感じでこの世界のことを知っていくのかな?などと考えだしたりした。
各大陸のいくつもの国家の主要都市と主要都市とを結ぶ太街道は、道も広く整備もされていて街道沿いには宿場町もたくさんある。その名の通り太い道幅で、人も物もたくさん行き交っている。
大人数のキャラバン隊も、騎馬に乗った騎士も、騎鳥に乗った旅人も多く見受けられ、また、巨大な動物に牽引されたバスのような乗り物も定期的に運用されている。大きな都市間の移動となると大半の者はこの太街道を利用する。
細街道は太街道から少し離れた所を平行して走る、その名の通り細い街道であるのだ。あまり整備されておらず、宿場町もほとんどなくポツリと宿屋が一軒だけ建っていたり、街道から少し入ったところに集落などが存在している程度だ。通ったことがないから、らしいと言った方が正解だけど。
地球の日本だと、太街道が大きくて比較的新しくできた国道のバイパスなのに対して、細街道は古い県道みたいな感じだろうか。中央分離帯があってそれぞれ上下2車線ずつ道沿いに道の駅があるのが太街道、真ん中に消えかかったオレンジ色の中央線で上下1車線しかなくコンビニさえろくに見当たらないのが、細街道であるのだ。
俺は今まで太街道しか通ったことがなかった。大会目的の都市間移動なので、細街道という選択肢など思いもしなかった。目的地への移動となると大半の人が太街道を選ぶけど、俺もそうした人のうちの一人であったのだ。
目的地のない旅。強いていえばスクエアジャングルの全てが目的地。俺はよりこの世界を知るために、細街道を歩いてみることにしたのだ。
騎牛を一頭レンタルしてみた。大きくてたくさんの荷物を積むこともできて、もちろんその背に人が乗ることも可能であるが、俺は荷物だけ彼に運んでもらってなるべく自分の足で歩くことに決めている。
平原を進んでいく。数時間歩いてみても草原と青空とが遥か彼方まで広がっていく。進んでいく方向も進んできた方角も。多分、遥か彼方に感じている前方も、実際は1時間も歩かないうちにその彼方を通り過ぎて、遥か彼方の先を歩いているのかもしれない。
だけど、景色の変化は乏しい。なのでいつも同じところを歩いている。そんな錯覚に襲われてしまうのだ。
朝早くから歩いても昼時にレストランや宿屋など一軒も現れない。太街道ではなく細街道を選択した一部の変わり者は、やはり騎鳥や騎馬に乗って移動をする。俺みたいに歩いて細街道を移動する風変わり者の中の酔狂な者など、おそらく希少種並みに少ないだろう。なので、そういった者のことなど考えられてはいないのだ。
草がボウボウに生い茂った草原というより、原っぱのような場所に一本だけ大きな樹が生えている。俺はそこを背にして用意してきた弁当を食べることにする。
もちろん、騎牛にもご飯は食べさせる。美味しそうに食ったくせして、食後に不満そうな表情と抗議のモオーを挙げた。おそらくこのまま人間の歩調に合わせていたら、日没までに宿か人の住んでいる所へは辿り着けずに、晩飯が食えないとでも思ったらしい。
やれやれ。仕方ないので午後は彼の背中に乗って移動することにする。牛歩という言葉があるけれど、この世界の騎牛は人間の足で歩くよりは遥かに速い。スタミナもあるので時間的には早い。つまり目的地があれば時間が短縮されるし、遠くへ行くにはより長い距離移動できることができるのだ。
地球の牛のことはよく分からない。ただ牛乳や牛肉を提供してくれるホルスタインや赤毛和牛のようなイメージしか湧かない。
あ。俺、牛という動物に関しては地球よりこっちの世界の方が詳しくなった。漠然とそう思い、こんな感じでこの世界のことを知っていくのかな?などと考えだしたりした。
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