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タフ過ぎる相手
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ドゴぉーん!響き渡る大きな銅鑼の音。
わあああ!
うおおおお!
五臓六腑の中にまで轟いてくる観客たちの歓声。
いよいよ、ベーコン大会の決勝戦の開始。始まってしまった!ドキドキドキ……。今までの試合とは大きく違い過ぎる雰囲気に飲み込まれてしまいそうになる。
「ぎゃああああ!」
スカルの奴がいきなり襲いかかって来た!右左右左。腕をぶんぶん規則正しく大きく振り翳してきて、足をやたらと高く掲げて俺の脳天を狙って来やがる。
俺は集中して奴の動きを見つめる。勢いもパンチやキックの打撃速度もそれなりにハイスピードであるが、何せテレフォン過ぎた。“もしもし、今から俺ハイキック打つからね“みたいに教えてくれているようなものなのだ。まあ、スクエアジャングルの世界の人たちには意味不明な言葉だと思うけど。
ガドッ。拳に肉を打ち付けた際の衝撃波がこだまのように骨に跳ね返って来た、その衝撃を感じる。ボディを打ち抜いたこの一撃は、内臓にも凄まじい衝撃波が襲っているはずだ。
「おおお!」
俺はここで観客たちが大きく盛り上がっていることに気づく。そして、この時ふと思ったのだ。俺、もう全然緊張していないじゃん。気を抜き過ぎるのは御法度だけど、力の抜けた良い集中力を持って闘えている。
ベスの闘いの時の精神の安定さはいつもこんな感じなのかな?だとすれば、やっぱベスは凄いな。などと余計なことまで考え始めてしまった。
俺のパンチもキックも面白いようにヒットした。拳に足に俺の打撃を反作用という形で感じる。衝撃波の跳ね返りも感じる。相手のマスクが俺の打撃により一部破けて髪の毛が露出している。
それにしても、本当にタフな相手だ。クリーンヒットを何発も当ててるのに倒れない。それどころか効いている気配すらない。初戦からの蓄積されたダメージだってたくさんあるだろうに。まるで、ステータスの数値を全てタフネスさに振ってしまったかのようだ。
倒れないのなら倒れるまで殴る蹴るだけ。俺は一方的な優勢ペースでスカルに打撃を加えていく。頭部に腹部に。
「はあはあはあ……」
おかしい。異常すぎるぞ、コイツ。普通の身体、痛覚や恐怖心のある人間がここまで打撃を受けて立っていられることなんて、出来ないはずだ。
やはり、ブラックモアの手により魔改造されてしまった人間、いや、生ける屍なんだろうか?もし、そうだとしたら父さんと母さん、その仲間たちは凄過ぎ。俺だったら、こんな異常連中相手に戦ってばかりいたら、とてもじゃないけどメンタルが持たない。
優勢に、一方的に、岡目八目目線だと相手を圧倒しているのに、怖い。そう。俺はものすごく怖いのだ。相手が倒れた時、それは相手の命が尽きてしまった時であるのが。相手のタフネスさの前に、殴り続けた俺の拳が、蹴り続けた俺の足の方が壊れてしまうのが。
そうだ!なんでこんなことに気づかなかったのだろう?打撃技ではなく関節技で攻めればいいのだ。あまりにも打撃で倒すことに固執し過ぎたせいなのだろう。反省はあとあと。
俺はあっさりスカルの背後を取ることができた。チョークスリーパーホールド。おそらくギブアップはしないだろうから締め落としてしまおう。かつて母がスリーパーで男を死へと至らしめてしまったことがあるけど、そうならいことを願うしかない。少なくとも殴り蹴り続けるよりは安全度は高いと思う。
「うああアグうう」
あのタフネス過ぎるスカルがぐったりとして来た。あともう少しで彼は落ちる。そう思った瞬間であった。
ブブブー!凄まじい音がスカルのお尻から轟いてきて、あっという間に俺の鼻を毒ガスの悪臭が襲ってきた。俺はすぐに技を解いて彼の体から数メートルは遠ざかった。どうして、誰も彼を締め落とすことができなかったのか納得した。
もし、これもブラックモアの作戦によるものだったら、あまりにも恐ろし過ぎる!俺はとんでもない奴らを相手にしなければならないのかもしれない。
それにしても、こんな必殺技があるのなら、ガイコツなんかではなく分かりやすくスカンクーのマスクをつけておいて欲しかった……。
わあああ!
うおおおお!
五臓六腑の中にまで轟いてくる観客たちの歓声。
いよいよ、ベーコン大会の決勝戦の開始。始まってしまった!ドキドキドキ……。今までの試合とは大きく違い過ぎる雰囲気に飲み込まれてしまいそうになる。
「ぎゃああああ!」
スカルの奴がいきなり襲いかかって来た!右左右左。腕をぶんぶん規則正しく大きく振り翳してきて、足をやたらと高く掲げて俺の脳天を狙って来やがる。
俺は集中して奴の動きを見つめる。勢いもパンチやキックの打撃速度もそれなりにハイスピードであるが、何せテレフォン過ぎた。“もしもし、今から俺ハイキック打つからね“みたいに教えてくれているようなものなのだ。まあ、スクエアジャングルの世界の人たちには意味不明な言葉だと思うけど。
ガドッ。拳に肉を打ち付けた際の衝撃波がこだまのように骨に跳ね返って来た、その衝撃を感じる。ボディを打ち抜いたこの一撃は、内臓にも凄まじい衝撃波が襲っているはずだ。
「おおお!」
俺はここで観客たちが大きく盛り上がっていることに気づく。そして、この時ふと思ったのだ。俺、もう全然緊張していないじゃん。気を抜き過ぎるのは御法度だけど、力の抜けた良い集中力を持って闘えている。
ベスの闘いの時の精神の安定さはいつもこんな感じなのかな?だとすれば、やっぱベスは凄いな。などと余計なことまで考え始めてしまった。
俺のパンチもキックも面白いようにヒットした。拳に足に俺の打撃を反作用という形で感じる。衝撃波の跳ね返りも感じる。相手のマスクが俺の打撃により一部破けて髪の毛が露出している。
それにしても、本当にタフな相手だ。クリーンヒットを何発も当ててるのに倒れない。それどころか効いている気配すらない。初戦からの蓄積されたダメージだってたくさんあるだろうに。まるで、ステータスの数値を全てタフネスさに振ってしまったかのようだ。
倒れないのなら倒れるまで殴る蹴るだけ。俺は一方的な優勢ペースでスカルに打撃を加えていく。頭部に腹部に。
「はあはあはあ……」
おかしい。異常すぎるぞ、コイツ。普通の身体、痛覚や恐怖心のある人間がここまで打撃を受けて立っていられることなんて、出来ないはずだ。
やはり、ブラックモアの手により魔改造されてしまった人間、いや、生ける屍なんだろうか?もし、そうだとしたら父さんと母さん、その仲間たちは凄過ぎ。俺だったら、こんな異常連中相手に戦ってばかりいたら、とてもじゃないけどメンタルが持たない。
優勢に、一方的に、岡目八目目線だと相手を圧倒しているのに、怖い。そう。俺はものすごく怖いのだ。相手が倒れた時、それは相手の命が尽きてしまった時であるのが。相手のタフネスさの前に、殴り続けた俺の拳が、蹴り続けた俺の足の方が壊れてしまうのが。
そうだ!なんでこんなことに気づかなかったのだろう?打撃技ではなく関節技で攻めればいいのだ。あまりにも打撃で倒すことに固執し過ぎたせいなのだろう。反省はあとあと。
俺はあっさりスカルの背後を取ることができた。チョークスリーパーホールド。おそらくギブアップはしないだろうから締め落としてしまおう。かつて母がスリーパーで男を死へと至らしめてしまったことがあるけど、そうならいことを願うしかない。少なくとも殴り蹴り続けるよりは安全度は高いと思う。
「うああアグうう」
あのタフネス過ぎるスカルがぐったりとして来た。あともう少しで彼は落ちる。そう思った瞬間であった。
ブブブー!凄まじい音がスカルのお尻から轟いてきて、あっという間に俺の鼻を毒ガスの悪臭が襲ってきた。俺はすぐに技を解いて彼の体から数メートルは遠ざかった。どうして、誰も彼を締め落とすことができなかったのか納得した。
もし、これもブラックモアの作戦によるものだったら、あまりにも恐ろし過ぎる!俺はとんでもない奴らを相手にしなければならないのかもしれない。
それにしても、こんな必殺技があるのなら、ガイコツなんかではなく分かりやすくスカンクーのマスクをつけておいて欲しかった……。
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