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2章
アクル 4
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「どうした?・・・アッシは構わねぇぞ」
「こちらが構うのじゃ・・・」
「何故だ?お前アッシのことが嫌か」
「お主を嫌っていたらこのようなことはせぬ!そうではないから・・・その逆だからこそ困っておるのだ」
雑念を振り払おうとしている甲四郎を、アクルはただ不思議そうに眺めている。
「そんな、言い方をされてもアッシにはよぉわからねぇよぉ」
アクルは甲四郎の顔を覗きこむ。
「お前のその目だ・・・」
甲四郎は歯を食いしばって床を見詰める。
「目?アッシの目が嫌いなのかえ」
「ちがう!お前はマシラいわれて、俺の伽をしろといわれ、それがお前の日常なのかもしらん、だがその目を見ていたら・・・所詮それまでの男かと言われているようで、俺の腹の中の中まで見透かされているようで」
甲四郎はそこまで言うと、足早に部屋を出ていった。
「畜生」
廊下に出た甲四郎はそう投げ捨て、説明の付けようが無い涙をただ溢れるがままにして、明け方前の薄紫色に変わった空を見上げた。
それから数ヶ月の月日が経ったころ、樋野では内乱の火種が山名との国境沿いの村で起こり始めていた。
その様子を八山の元へ伝えに来たのは、マシラと足軽頭のイノシカであった。
話しを平らにいえばこうである。
山名と接する谷川地域の住民が、本田清親の強いる重税に耐えかね、領主を巻き込み決起したのだが、清親率いる正規軍の重圧に押され山名の領土まで逃げ込んできているらしい。
しかも、谷川の領主、黒田高丞(たかすけ)は、山名と樋野にまたがる小山、忍山(おしさん)を根城とする土蜘蛛と連携を図ろうとしているらしい。
「樋野のイクサが山名の土地にまで及んで来たとあれば、元行様も黙ってはいまい」
イノシカが鋭い目を八山に向けながら、野太い声を放った。
元行様とは、山名を治める斉藤元行(もとゆき)のことである。
「忍山の土蜘蛛はそう簡単に連携にのることはなかろうが・・・動きようによっては、元行殿も動かざるおえまい」
そう答える八山の目は、僧侶の眼差しではなく、軍師のものに近い。
部屋の隅で三人の会談の様子を見ていた甲四郎は、八山のもう一つの顔を垣間見たようで、息を呑んでその様子を見ることしか出来ずにいた。
「八山よぉ・・・アッシ等を斉藤元行に売り込んでくれねぇか・・・元行様の言い値でアッシ等は樋野の土地をぶん取りに行ってやるってよぉ」
突然マシラから発せたれた言葉に、八山と甲四郎は目を見開いた。
八山は渋い顔をしてそれに応える。
「猿よ・・・確かに拙僧はお前等一族に恩もあるし、お前等一族が足軽として商売出来るように手配したこともある・・・が、お前が言っているのは、元行殿に戦をけしかけよと申しておるのだぞ」
「そうだ!その通り!アンタは元行様とも直接話しが出来るだろう?山名の土地が荒らされようとしているんだ!八山がうまく言えば元行様だって兵をだしてくれるだろ、兵ったって全部出せっていうんじゃねぇよ、一人の将さえ出してくれれば、アッシ等がソイツの手足になって暴れてやらぁな」
八山は眉間に深い皺を寄せ、チラリと甲四郎の方を向くと、マシラとイノシカを見た。
「何故そこまでする・・・お前等べつに金に困っておる訳でもあるまい」
すると、マシラはニヤリと笑い、甲四郎を見てから八山を睨んだ。
「アッシは今の樋野の大将に一泡吹かせて、栗原の大将を男にしてやりてぇのよ、なんたって、栗原の大将はアッシにとっちゃ兄弟同然だしのぉ・・・」
マシラの言う「兄弟同然」という言葉に、卑猥な意味合いをくみ取った甲四郎は、何を突然いうのだとマシラを睨み付け、そのまま下を向いた。
この数ヶ月の間に、甲四郎とアクルの関係にどのような変化があったのか、マシラは全てお見通しのような表情で、甲四郎を見て又ニヤリと笑みを見せた。
八山はただ、渋い顔で天を仰いでいる。
「甲四郎よ・・・お主はどうしたいのだ」
八山は緩やかな口調でいう。
「どうって言われても俺は、あまりにも突然で」
「やはり戦をして、本田清親の首を上げたいのか?」
「そりゃそうに決まってるでゲスよねぇ大将」
マシラがニヤついた顔で話に割り込んだ。
「猿!お主に聞いておるのではないわ!」
甲四郎は暫く唸ると、ゆっくりと八山をみた。
「俺は三郎兵衛様の仇をとりたい、だが俺がこれからやろうとしている事は、三郎兵衛様への裏切りにならぬかと、思い悩んでおる」
「三郎兵衛への裏切りじゃと?」
「山名の兵として樋野に入れば、三郎兵衛様が必死で守り抜いてきた樋野の土地を、山名に暮れてやる手助けをすることになる・・・だが、今はそれしか道はないとも思っておる」
「左様か、お主がここにやって来てから、三郎兵衛は何故拙僧に会えと申したのか、そればかり考えておったのだが、今ようやくわかったような気がするわい」
八山のは何かの悟りと、悔しさがおり混ざった複雑な表情をみせた。
「三郎兵衛め死してなお食わせ物じゃな、拙僧が足軽衆と繋がっておることも見通しておったのか」
甲四郎は腑に落ちたような八山の表情をみて、首を傾げた。
「三郎衛兵という男は昔から、人の先を見るに長けておったなので、甲四郎お主に拙僧の名を教えたのだろうな」
「いや、どうも私には言っている意味が分かりかねるのですが」
「お主は拙僧に外道とはなんたるかを知りにきたのだろう」
「はい」
「お主は外道を戦に使おうとしておるが、三郎衛兵は、はなからそんなものを望んではいなかったのじゃ」
甲四郎からすれば、八山の回りくどい言い様をつかめない。
「人を生かす為用いる外道。ならば多少は解くことは出来るが、どうじゃ?」
「生かすための外道・・・で御座いますか」
「左様。ならば問うが、戦においての外道とはなんであるか」
「戦においての外道ですか、それは無駄な血を流す戦ですか」
甲四郎は答えはしたがしっくりとはきていない、八山その様子を見て、意を決したように話し始めた。
「甲四郎よ、お主は敵に攻め入る前、敵についてどのようなことを考える?」
八山の問いに、甲四郎は暫く思案した後、考えをまとめ答えた。
「まずは、敵陣の人数と配置、味方の食料も大事ですが、敵の食料の蓄えも知らねばなりますまい。そして、敵将の性質や戦略の癖も知らねばならぬでしょう」
八山は甲四郎の問いにいちいち頷いてから、口を開いた。
「全てにおいて軍略というのは、敵の弱みを突くことなのじゃろう、それも即ち己の考えを外道に貶めることだとは思わぬか?」
「確かに・・・戦とは人の弱みにつけ込み、いかにその境地に落とし込めたかの争いかもしれませぬ」
「そう、弱みにつけ込みあう、それは人と人との関係のもあてはまり、戦の外道にも通ずる、戦において真の外道とは何かわかるか?甲四郎」
八山は目つきに鋭さを増すと、声を太くして続けた。「相手を生かして殺すことじゃ・・・言い方を変えれば、敵を殺さず生き恥を与えること・・・だが、武将にはなかなかそれが出来ぬ、何故かわかるか?」
「それは、戦とは敵将の首をあげ、報償や後の地位が決まるからです・・・それよりも、戦の中で敵将を討つのは場合によっては容易いですが、生かして殺すなど、首をとるより困難であります」
「それが出来ぬのなら、此度の戦は、やらぬ方がよかろうな」
冷たく突き放すような言い方をした八山に、マシラが食ってかかる。
「オイ!坊主!いいたかねぇが、先代の頭がアンタにしてやった恩を返してくれてもいいんじゃねぇか」
「恩とは何か?山名に流れてきた拙僧にこの寺を与えてくれたことか?それとも山名の斉藤家と関係をもてるようにしてくれたことか?それなら足軽仕事の口利きをしてやり、お前等が山々で山賊紛いのことをやっているのを大目にみるように計らってやった。それで十分恩は返したとおもっておるがのぉ・・・」
そういうと、八山は部屋を出た。
部屋を出ると濡れ縁状になっている廊下に、アクルが胡座をかいて外を眺めていた。
八山は何気なく足を止め、アクルの見ている方角を覗いた。
そこには、谷間から麓へ通ずる道が見え、その一本道は麓で幾本かに分岐している。
「八山様よぉ・・・アッシは賢くねぇから、八山様の説く「道」ってぇのはよくわかんねぇ、でもよぉ普段歩く道も、アッシらの一生の道も一本道なんてねぇんだろうねぇ・・・田んぼにつながる道、街へつながる道、お城へつながる道の途上で肥だめにはまる奴もおらぁな、八山様の言う道ってのは、アッシがいう道とははまた違うんだろうがねぇ」
八山はアクルの純粋な問いに即答できなかった。
確かに、今望んでいる景色の中にある「道」と、八山の説く「道」は、別物といえば別物ではある。
が、しかし、同等のものといえば同等なのである。
八山の教えを批判するでも肯定するでもない、ただ素直な疑問を投げかけてきたアクルに、八山は頭をかきながら答えた。
「拙僧もまだまだ修行がいるようだのぉ」
「どうした?・・・アッシは構わねぇぞ」
「こちらが構うのじゃ・・・」
「何故だ?お前アッシのことが嫌か」
「お主を嫌っていたらこのようなことはせぬ!そうではないから・・・その逆だからこそ困っておるのだ」
雑念を振り払おうとしている甲四郎を、アクルはただ不思議そうに眺めている。
「そんな、言い方をされてもアッシにはよぉわからねぇよぉ」
アクルは甲四郎の顔を覗きこむ。
「お前のその目だ・・・」
甲四郎は歯を食いしばって床を見詰める。
「目?アッシの目が嫌いなのかえ」
「ちがう!お前はマシラいわれて、俺の伽をしろといわれ、それがお前の日常なのかもしらん、だがその目を見ていたら・・・所詮それまでの男かと言われているようで、俺の腹の中の中まで見透かされているようで」
甲四郎はそこまで言うと、足早に部屋を出ていった。
「畜生」
廊下に出た甲四郎はそう投げ捨て、説明の付けようが無い涙をただ溢れるがままにして、明け方前の薄紫色に変わった空を見上げた。
それから数ヶ月の月日が経ったころ、樋野では内乱の火種が山名との国境沿いの村で起こり始めていた。
その様子を八山の元へ伝えに来たのは、マシラと足軽頭のイノシカであった。
話しを平らにいえばこうである。
山名と接する谷川地域の住民が、本田清親の強いる重税に耐えかね、領主を巻き込み決起したのだが、清親率いる正規軍の重圧に押され山名の領土まで逃げ込んできているらしい。
しかも、谷川の領主、黒田高丞(たかすけ)は、山名と樋野にまたがる小山、忍山(おしさん)を根城とする土蜘蛛と連携を図ろうとしているらしい。
「樋野のイクサが山名の土地にまで及んで来たとあれば、元行様も黙ってはいまい」
イノシカが鋭い目を八山に向けながら、野太い声を放った。
元行様とは、山名を治める斉藤元行(もとゆき)のことである。
「忍山の土蜘蛛はそう簡単に連携にのることはなかろうが・・・動きようによっては、元行殿も動かざるおえまい」
そう答える八山の目は、僧侶の眼差しではなく、軍師のものに近い。
部屋の隅で三人の会談の様子を見ていた甲四郎は、八山のもう一つの顔を垣間見たようで、息を呑んでその様子を見ることしか出来ずにいた。
「八山よぉ・・・アッシ等を斉藤元行に売り込んでくれねぇか・・・元行様の言い値でアッシ等は樋野の土地をぶん取りに行ってやるってよぉ」
突然マシラから発せたれた言葉に、八山と甲四郎は目を見開いた。
八山は渋い顔をしてそれに応える。
「猿よ・・・確かに拙僧はお前等一族に恩もあるし、お前等一族が足軽として商売出来るように手配したこともある・・・が、お前が言っているのは、元行殿に戦をけしかけよと申しておるのだぞ」
「そうだ!その通り!アンタは元行様とも直接話しが出来るだろう?山名の土地が荒らされようとしているんだ!八山がうまく言えば元行様だって兵をだしてくれるだろ、兵ったって全部出せっていうんじゃねぇよ、一人の将さえ出してくれれば、アッシ等がソイツの手足になって暴れてやらぁな」
八山は眉間に深い皺を寄せ、チラリと甲四郎の方を向くと、マシラとイノシカを見た。
「何故そこまでする・・・お前等べつに金に困っておる訳でもあるまい」
すると、マシラはニヤリと笑い、甲四郎を見てから八山を睨んだ。
「アッシは今の樋野の大将に一泡吹かせて、栗原の大将を男にしてやりてぇのよ、なんたって、栗原の大将はアッシにとっちゃ兄弟同然だしのぉ・・・」
マシラの言う「兄弟同然」という言葉に、卑猥な意味合いをくみ取った甲四郎は、何を突然いうのだとマシラを睨み付け、そのまま下を向いた。
この数ヶ月の間に、甲四郎とアクルの関係にどのような変化があったのか、マシラは全てお見通しのような表情で、甲四郎を見て又ニヤリと笑みを見せた。
八山はただ、渋い顔で天を仰いでいる。
「甲四郎よ・・・お主はどうしたいのだ」
八山は緩やかな口調でいう。
「どうって言われても俺は、あまりにも突然で」
「やはり戦をして、本田清親の首を上げたいのか?」
「そりゃそうに決まってるでゲスよねぇ大将」
マシラがニヤついた顔で話に割り込んだ。
「猿!お主に聞いておるのではないわ!」
甲四郎は暫く唸ると、ゆっくりと八山をみた。
「俺は三郎兵衛様の仇をとりたい、だが俺がこれからやろうとしている事は、三郎兵衛様への裏切りにならぬかと、思い悩んでおる」
「三郎兵衛への裏切りじゃと?」
「山名の兵として樋野に入れば、三郎兵衛様が必死で守り抜いてきた樋野の土地を、山名に暮れてやる手助けをすることになる・・・だが、今はそれしか道はないとも思っておる」
「左様か、お主がここにやって来てから、三郎兵衛は何故拙僧に会えと申したのか、そればかり考えておったのだが、今ようやくわかったような気がするわい」
八山のは何かの悟りと、悔しさがおり混ざった複雑な表情をみせた。
「三郎兵衛め死してなお食わせ物じゃな、拙僧が足軽衆と繋がっておることも見通しておったのか」
甲四郎は腑に落ちたような八山の表情をみて、首を傾げた。
「三郎衛兵という男は昔から、人の先を見るに長けておったなので、甲四郎お主に拙僧の名を教えたのだろうな」
「いや、どうも私には言っている意味が分かりかねるのですが」
「お主は拙僧に外道とはなんたるかを知りにきたのだろう」
「はい」
「お主は外道を戦に使おうとしておるが、三郎衛兵は、はなからそんなものを望んではいなかったのじゃ」
甲四郎からすれば、八山の回りくどい言い様をつかめない。
「人を生かす為用いる外道。ならば多少は解くことは出来るが、どうじゃ?」
「生かすための外道・・・で御座いますか」
「左様。ならば問うが、戦においての外道とはなんであるか」
「戦においての外道ですか、それは無駄な血を流す戦ですか」
甲四郎は答えはしたがしっくりとはきていない、八山その様子を見て、意を決したように話し始めた。
「甲四郎よ、お主は敵に攻め入る前、敵についてどのようなことを考える?」
八山の問いに、甲四郎は暫く思案した後、考えをまとめ答えた。
「まずは、敵陣の人数と配置、味方の食料も大事ですが、敵の食料の蓄えも知らねばなりますまい。そして、敵将の性質や戦略の癖も知らねばならぬでしょう」
八山は甲四郎の問いにいちいち頷いてから、口を開いた。
「全てにおいて軍略というのは、敵の弱みを突くことなのじゃろう、それも即ち己の考えを外道に貶めることだとは思わぬか?」
「確かに・・・戦とは人の弱みにつけ込み、いかにその境地に落とし込めたかの争いかもしれませぬ」
「そう、弱みにつけ込みあう、それは人と人との関係のもあてはまり、戦の外道にも通ずる、戦において真の外道とは何かわかるか?甲四郎」
八山は目つきに鋭さを増すと、声を太くして続けた。「相手を生かして殺すことじゃ・・・言い方を変えれば、敵を殺さず生き恥を与えること・・・だが、武将にはなかなかそれが出来ぬ、何故かわかるか?」
「それは、戦とは敵将の首をあげ、報償や後の地位が決まるからです・・・それよりも、戦の中で敵将を討つのは場合によっては容易いですが、生かして殺すなど、首をとるより困難であります」
「それが出来ぬのなら、此度の戦は、やらぬ方がよかろうな」
冷たく突き放すような言い方をした八山に、マシラが食ってかかる。
「オイ!坊主!いいたかねぇが、先代の頭がアンタにしてやった恩を返してくれてもいいんじゃねぇか」
「恩とは何か?山名に流れてきた拙僧にこの寺を与えてくれたことか?それとも山名の斉藤家と関係をもてるようにしてくれたことか?それなら足軽仕事の口利きをしてやり、お前等が山々で山賊紛いのことをやっているのを大目にみるように計らってやった。それで十分恩は返したとおもっておるがのぉ・・・」
そういうと、八山は部屋を出た。
部屋を出ると濡れ縁状になっている廊下に、アクルが胡座をかいて外を眺めていた。
八山は何気なく足を止め、アクルの見ている方角を覗いた。
そこには、谷間から麓へ通ずる道が見え、その一本道は麓で幾本かに分岐している。
「八山様よぉ・・・アッシは賢くねぇから、八山様の説く「道」ってぇのはよくわかんねぇ、でもよぉ普段歩く道も、アッシらの一生の道も一本道なんてねぇんだろうねぇ・・・田んぼにつながる道、街へつながる道、お城へつながる道の途上で肥だめにはまる奴もおらぁな、八山様の言う道ってのは、アッシがいう道とははまた違うんだろうがねぇ」
八山はアクルの純粋な問いに即答できなかった。
確かに、今望んでいる景色の中にある「道」と、八山の説く「道」は、別物といえば別物ではある。
が、しかし、同等のものといえば同等なのである。
八山の教えを批判するでも肯定するでもない、ただ素直な疑問を投げかけてきたアクルに、八山は頭をかきながら答えた。
「拙僧もまだまだ修行がいるようだのぉ」
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