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1章
腐れ外道
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腐れ外道
時代は少し遡る。
本田忠康が三郎兵衛に示した方針を翻し、早急に平野城を落とせとの命を、畠中信義に託し、出立させた直後である。
忠康がそれほどまでに焦っていた理由は、本田清親にあった。
清親は、井藤砦が落ちたとの報が忠康の元に届いたのとほぼ時を同じくして、樋野城を頻繁に訪れるようになっていた。
「なんぞ儂に用向きはないか?」
清親は広間に忠康を呼びつけると、必ずのようにこういう。
忠康は、清親の善人面の内面に隠れた冷酷で狂気性の垣間見える表情と態度が、どうにも受け付けられない。
「用向きはないか」といいつつ、広間にデンと胡座をかいた姿から清親の、お前ではこの自体を収集できまい、儂が力添えをしてやる。との横柄な言葉が聞こえてくるようである。
「聞くに、黒田則久だけでなく、畠中信義まで平野へ使わしたとか」
どこから情報を仕入れているのか、この男の耳は早い、井藤砦攻略のときも、清親は忠康とほぼ同時期にその情報を知っていた。
「さすが、清親殿ですな」
「なにが流石なものか、これしきの事を知らずして、頭首の後見人などできるか」
「後見人」その口ぶりに忠康は言いしれぬ違和感を感じた。
忠康は今年で三十五になるが、妻のようとの間に子は無く、このまま忠康の身になにかあった時には、本田家の分家筆頭である清親が、樋野の頭首を継ぐ。
それは家の取り決めとして当然なのであるが、清親は忠康より七つも年長であり、このまま忠康に子が産まれなければ、清親の唯一の男児である桐丸(きりまる)が忠康の後継者後と考えるのが自然であろう。
その桐丸もまだ六歳である。
清親の「後見人が勤まるか」との言葉からは、自らが後継者になってやろうか、と言っているかのように聞こえてならない。
「して、平野城は速やかに落とせそうか?」
「はい、平野攻略にあたらせている黒田三郎兵衛は有能な武将であります故、樋野の元に戻るのも近いかと」
「そうか、しかし忠康殿は、その三郎兵衛なる者に信頼を置きすぎておるのではないか?黒田家といえば、人の家を喰ってのし上がった家ぞ、そのような家の者に」
「お言葉ですが」
忠康は、少し感情を露わにしつつも冷静さを保ち、清親の言葉尻を喰った。
「私は、黒田家の三郎兵衛を買っておるのではなく、黒田三郎兵衛と言う男を信頼しておるのです、それは、三郎兵衛が私の相談役として、古くよりの付き合いだからと云う事で贔屓にしている訳でなく、あの者の実績を見込み、平野に向かわせるのに適任だと見込み私が決めたのです」
忠康が十代の頃から、三郎兵衛と親密な関係であることを、清親が突いてくると見越し、若干話の先手を読み、それを封じることも忘れなかった。
「左様か・・・では、何故その信頼できる有能な男一人に平野を任せず、畠中信義を平野城攻略にあてたのだ?儂は、黒田某はよく知らぬが、畠中信義とは数度話、だいたいの為人は心得ておる。が、畠中信義は戦上手といえる武将では無く、このような自体の時こそそばに置いておくべき、実務の人間なのでは無いか?」
清親はそこまで勢いに任せ云うと、やや間を空けて、口を開いた。
「聞くところによると、その黒田某と畠中信義は犬猿の仲だというではないか、そのような者同士を同じ戦場(いくさば)に置いておいてよい結果を産むとは到底おもえぬのだかのぉ」
忠康は、目の前にいる者の内なる狂気を感じ、言いしれぬ恐れを覚えた。
「清親様の知識には感服しますな」
多少皮肉を込めたいい回しをした後、忠康は言葉を続ける。
「三郎兵衛はあくまでも先行であり、三百あまりの少人数であったので、後詰めを送ることはもとより決まっていたことで御座ります、後詰めの大将に信義を用いたのは、平野城を攻略した後、仮の城主を任せるのに信義が適任だと見込んだからで、それは三郎兵衛も云わずとも伝わっておりましょう、両人の仲は良く心得ておりますが、いざ戦場に立てば味方同士、折り合いを付けながら進めることの出来る者同士だと信じております」
「左様か、忠康殿の家臣に対する信頼が誠に立派でござるな」
そこで、清親はわざとらしいため息を吐いてみせ、胡座の組位置を変えると、話題を全く変えてきた。
「ところで、よう殿の姿が見えぬが、よう殿のご機嫌は麗しいかのぉ」
主人である忠康に対し、露骨なまでにイヤらしい口調で妻の話題を持ち出す清親に対し、忠康は怒りに震えた。
前々から感じていたが、この男の妻を見る眼差しは、まるで脳内で犯し弄んでいるのではないかと思えるほど、気味の悪い粘着質な物に変わるのだ。
「ようは、体調を崩しておるようで、本日は清親様にお目通りが出来ぬので、申し訳なく口惜しいと申していりました」
「なるほどのぉ・・・」
清親は気味悪く口角を上げ、微笑みのような、何か心の内を探るような表情を見せると、短く咳払いをし、忠康の目を睨んだ。
一拍間を空け、清親の声質が重みのある低い音質に変化した。
「ところで・・・忠康殿・・・何故そなたはそれまでして、平野に固執するのじゃ?」
忠康は息を???み、表情を硬直させた。
「平野なぞ、山に囲まれた辺境の地、謂わば陸の孤島のような土地じゃろ、何故そのような土地の反乱に有能な武将を二人も裂き、急いで取り戻そうとするのじゃ?」
「それは・・・平野とて、樋野の統治する地であります故、一刻も早く騒ぎを抑え、統治下に戻すことこそ、頭首のすべき行動であると信じておるからで御座います」
「なるほどのぉ・・・」
清親は不気味な笑みを浮かべ、言葉を続けた。
「忠康殿は、あくまでも大事なはなしは、同族である儂にも隠すというのだな」
「なにをおっしゃりたいのか・・・」
清親は表情も変えず、懐から小さな巾着袋を取り出し、忠康の膝元へ投げつけた。
巾着袋は勢いよく忠康の前で落ち、その反動で中から小さな金の粒が転げ出た。
「それを見ても惚けると申すか!それは平野が背負う黒峰山(こくほうさん)から採れた金じゃ・・・本田本家は、僅かばかり採れる金を牛耳る為に、平野の領主を数年ごとに変え、金山の存在を隠そうとしておったのであろう!」
「それは違う!」
「なにが違うのじゃ!」
「樋野を守る為、仕方がなかったのじゃ!」「樋野を守るぅ?ふざけたことを、今回の件も、黒峰山のことを感づかれたのでいち早く十兵衛を消そうとしての進軍であろう」
「違う!」
「儂が此度訪れたのは、忠康殿の方から平野の真の有り様を聞けると思っておったのだ、だがこちらから他愛も無い話題をしても、そちはその話に触れようともせなんだ、黒田三郎兵衛や畠中信義は、何故平野をとらなければならぬのか、その重要性を知っておるのだろう、だが分家の儂にはそれを隠す」
清親の不気味な表情は一層増していった。
「さしずめ、此度の反乱は、十兵衛めが金を手土産に山名と手を組むとでも脅しをかけてきたのであろう、でなければ、金の事は口外せぬから、今少し平野を統治させろとでもいってきて、それをはね除けた為に起こったことであろう」
その時、忠康の頭の中で絡み合っていた蔦がほどけたような気がした。
「清親様・・・まるで見てきたような言いぶりですな、まさか、清親様ともあろう御方が十兵衛を誑かし、砦を築かせたなどとはおもいませんが、万が一、そのような愚行をなさったとすれば、それこそ樋野に対する反逆行為ですぞ」
「何を突然申す!図星を突かれ気でも触れたか!忠康!」
忠康の表情が厳しく変わる。
「清親様がご自分の考えを一方的に申したので、こちらも考えを申しただけのことで御座います、根も葉もない話なら、お互いこの話は水に流しましょうではありませんか」
「くっ・・・笑わせるな、都合の良い言い逃れで、儂を丸め込もうとでも思うておるのか・・・不愉快極まりない!帰らせてもらう!」
清親は大げさに床に手を突き、派手に立ち上がると、広間を後にした。
怒りきった表情で廊下に出た清親は、暫く廊下を歩いている間、内なる感情が止められなくなった。
清親のあふれ出す感情は、怒りでは無い、笑いであった。
溢れ出す笑いを抑え付けられず、清親は樋野城の廊下を行きながら、クスクスと気味悪く笑い出していた。
「勝った・・・あの忌まわしい本家の小僧に勝った・・・」
心の中で呟くと、低く野太い声で何かを呼んだ。
「猿」
すると、風のように黒い影が清親の足下に現れた。
人である。濃い藍色の服を着た細身の女が清親の前に蹲るように構えているのである。
「お呼びで」
「儂はすぐに帰る・・・儂が去った後、頃合いを見て、成すことを成せ」
「ハッ」
妙に清らかな声が発せられた時には、猿と呼ばれた女の影はもうそこには存在しなかった。
腐れ外道
時代は少し遡る。
本田忠康が三郎兵衛に示した方針を翻し、早急に平野城を落とせとの命を、畠中信義に託し、出立させた直後である。
忠康がそれほどまでに焦っていた理由は、本田清親にあった。
清親は、井藤砦が落ちたとの報が忠康の元に届いたのとほぼ時を同じくして、樋野城を頻繁に訪れるようになっていた。
「なんぞ儂に用向きはないか?」
清親は広間に忠康を呼びつけると、必ずのようにこういう。
忠康は、清親の善人面の内面に隠れた冷酷で狂気性の垣間見える表情と態度が、どうにも受け付けられない。
「用向きはないか」といいつつ、広間にデンと胡座をかいた姿から清親の、お前ではこの自体を収集できまい、儂が力添えをしてやる。との横柄な言葉が聞こえてくるようである。
「聞くに、黒田則久だけでなく、畠中信義まで平野へ使わしたとか」
どこから情報を仕入れているのか、この男の耳は早い、井藤砦攻略のときも、清親は忠康とほぼ同時期にその情報を知っていた。
「さすが、清親殿ですな」
「なにが流石なものか、これしきの事を知らずして、頭首の後見人などできるか」
「後見人」その口ぶりに忠康は言いしれぬ違和感を感じた。
忠康は今年で三十五になるが、妻のようとの間に子は無く、このまま忠康の身になにかあった時には、本田家の分家筆頭である清親が、樋野の頭首を継ぐ。
それは家の取り決めとして当然なのであるが、清親は忠康より七つも年長であり、このまま忠康に子が産まれなければ、清親の唯一の男児である桐丸(きりまる)が忠康の後継者後と考えるのが自然であろう。
その桐丸もまだ六歳である。
清親の「後見人が勤まるか」との言葉からは、自らが後継者になってやろうか、と言っているかのように聞こえてならない。
「して、平野城は速やかに落とせそうか?」
「はい、平野攻略にあたらせている黒田三郎兵衛は有能な武将であります故、樋野の元に戻るのも近いかと」
「そうか、しかし忠康殿は、その三郎兵衛なる者に信頼を置きすぎておるのではないか?黒田家といえば、人の家を喰ってのし上がった家ぞ、そのような家の者に」
「お言葉ですが」
忠康は、少し感情を露わにしつつも冷静さを保ち、清親の言葉尻を喰った。
「私は、黒田家の三郎兵衛を買っておるのではなく、黒田三郎兵衛と言う男を信頼しておるのです、それは、三郎兵衛が私の相談役として、古くよりの付き合いだからと云う事で贔屓にしている訳でなく、あの者の実績を見込み、平野に向かわせるのに適任だと見込み私が決めたのです」
忠康が十代の頃から、三郎兵衛と親密な関係であることを、清親が突いてくると見越し、若干話の先手を読み、それを封じることも忘れなかった。
「左様か・・・では、何故その信頼できる有能な男一人に平野を任せず、畠中信義を平野城攻略にあてたのだ?儂は、黒田某はよく知らぬが、畠中信義とは数度話、だいたいの為人は心得ておる。が、畠中信義は戦上手といえる武将では無く、このような自体の時こそそばに置いておくべき、実務の人間なのでは無いか?」
清親はそこまで勢いに任せ云うと、やや間を空けて、口を開いた。
「聞くところによると、その黒田某と畠中信義は犬猿の仲だというではないか、そのような者同士を同じ戦場(いくさば)に置いておいてよい結果を産むとは到底おもえぬのだかのぉ」
忠康は、目の前にいる者の内なる狂気を感じ、言いしれぬ恐れを覚えた。
「清親様の知識には感服しますな」
多少皮肉を込めたいい回しをした後、忠康は言葉を続ける。
「三郎兵衛はあくまでも先行であり、三百あまりの少人数であったので、後詰めを送ることはもとより決まっていたことで御座ります、後詰めの大将に信義を用いたのは、平野城を攻略した後、仮の城主を任せるのに信義が適任だと見込んだからで、それは三郎兵衛も云わずとも伝わっておりましょう、両人の仲は良く心得ておりますが、いざ戦場に立てば味方同士、折り合いを付けながら進めることの出来る者同士だと信じております」
「左様か、忠康殿の家臣に対する信頼が誠に立派でござるな」
そこで、清親はわざとらしいため息を吐いてみせ、胡座の組位置を変えると、話題を全く変えてきた。
「ところで、よう殿の姿が見えぬが、よう殿のご機嫌は麗しいかのぉ」
主人である忠康に対し、露骨なまでにイヤらしい口調で妻の話題を持ち出す清親に対し、忠康は怒りに震えた。
前々から感じていたが、この男の妻を見る眼差しは、まるで脳内で犯し弄んでいるのではないかと思えるほど、気味の悪い粘着質な物に変わるのだ。
「ようは、体調を崩しておるようで、本日は清親様にお目通りが出来ぬので、申し訳なく口惜しいと申していりました」
「なるほどのぉ・・・」
清親は気味悪く口角を上げ、微笑みのような、何か心の内を探るような表情を見せると、短く咳払いをし、忠康の目を睨んだ。
一拍間を空け、清親の声質が重みのある低い音質に変化した。
「ところで・・・忠康殿・・・何故そなたはそれまでして、平野に固執するのじゃ?」
忠康は息を???み、表情を硬直させた。
「平野なぞ、山に囲まれた辺境の地、謂わば陸の孤島のような土地じゃろ、何故そのような土地の反乱に有能な武将を二人も裂き、急いで取り戻そうとするのじゃ?」
「それは・・・平野とて、樋野の統治する地であります故、一刻も早く騒ぎを抑え、統治下に戻すことこそ、頭首のすべき行動であると信じておるからで御座います」
「なるほどのぉ・・・」
清親は不気味な笑みを浮かべ、言葉を続けた。
「忠康殿は、あくまでも大事なはなしは、同族である儂にも隠すというのだな」
「なにをおっしゃりたいのか・・・」
清親は表情も変えず、懐から小さな巾着袋を取り出し、忠康の膝元へ投げつけた。
巾着袋は勢いよく忠康の前で落ち、その反動で中から小さな金の粒が転げ出た。
「それを見ても惚けると申すか!それは平野が背負う黒峰山(こくほうさん)から採れた金じゃ・・・本田本家は、僅かばかり採れる金を牛耳る為に、平野の領主を数年ごとに変え、金山の存在を隠そうとしておったのであろう!」
「それは違う!」
「なにが違うのじゃ!」
「樋野を守る為、仕方がなかったのじゃ!」「樋野を守るぅ?ふざけたことを、今回の件も、黒峰山のことを感づかれたのでいち早く十兵衛を消そうとしての進軍であろう」
「違う!」
「儂が此度訪れたのは、忠康殿の方から平野の真の有り様を聞けると思っておったのだ、だがこちらから他愛も無い話題をしても、そちはその話に触れようともせなんだ、黒田三郎兵衛や畠中信義は、何故平野をとらなければならぬのか、その重要性を知っておるのだろう、だが分家の儂にはそれを隠す」
清親の不気味な表情は一層増していった。
「さしずめ、此度の反乱は、十兵衛めが金を手土産に山名と手を組むとでも脅しをかけてきたのであろう、でなければ、金の事は口外せぬから、今少し平野を統治させろとでもいってきて、それをはね除けた為に起こったことであろう」
その時、忠康の頭の中で絡み合っていた蔦がほどけたような気がした。
「清親様・・・まるで見てきたような言いぶりですな、まさか、清親様ともあろう御方が十兵衛を誑かし、砦を築かせたなどとはおもいませんが、万が一、そのような愚行をなさったとすれば、それこそ樋野に対する反逆行為ですぞ」
「何を突然申す!図星を突かれ気でも触れたか!忠康!」
忠康の表情が厳しく変わる。
「清親様がご自分の考えを一方的に申したので、こちらも考えを申しただけのことで御座います、根も葉もない話なら、お互いこの話は水に流しましょうではありませんか」
「くっ・・・笑わせるな、都合の良い言い逃れで、儂を丸め込もうとでも思うておるのか・・・不愉快極まりない!帰らせてもらう!」
清親は大げさに床に手を突き、派手に立ち上がると、広間を後にした。
怒りきった表情で廊下に出た清親は、暫く廊下を歩いている間、内なる感情が止められなくなった。
清親のあふれ出す感情は、怒りでは無い、笑いであった。
溢れ出す笑いを抑え付けられず、清親は樋野城の廊下を行きながら、クスクスと気味悪く笑い出していた。
「勝った・・・あの忌まわしい本家の小僧に勝った・・・」
心の中で呟くと、低く野太い声で何かを呼んだ。
「猿」
すると、風のように黒い影が清親の足下に現れた。
人である。濃い藍色の服を着た細身の女が清親の前に蹲るように構えているのである。
「お呼びで」
「儂はすぐに帰る・・・儂が去った後、頃合いを見て、成すことを成せ」
「ハッ」
妙に清らかな声が発せられた時には、猿と呼ばれた女の影はもうそこには存在しなかった。
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