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二章
幕末6
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旅立ち
晋作の歩幅は広い、その上調子を会わせるのが難しほど速い。
「高杉さん、もうちょっとゆっくり歩きませんか」
晋作を追う俊輔は、もう息切れをおこしながら必死について行くしかない。
江戸へ行くとなれば、もう気持ちは江戸に向いてそれ以外になくなる。それが高杉晋作という男である。
「高杉さんって!」
引き留めるように俊輔はもう一度叫んだ。
すると、晋作はしようがないといった表情で、立ち止まる。
「どうした俊輔」
「いえ、あのですねぇ・・・あの男、本当に連れてゆくのですか?」
晋作の視界の遙か先に、ユラユラと覇気の無い歩き方でついてくる伊助の姿がうつった。
「彼か・・・僕も時折自らの判断が、自らの判断によってなされた結果なのか、不思議に思うことがある。あの男に江戸までついてこいと言ったのも、はたして僕の判断からでた言葉なのか・・・」
それだけ言うと、晋作はまた早足で歩き始めた。
「なにを呑気なことをいっておるのですか!だいたいですねぇ、高杉さんは口より速く身体が動いてしまうお人なのだから、いや雷鳴の如く口も身体も動いてしまうと言うべきか・・・それがいけないとはいいませぬが」
俊輔は必死に晋作に追いすがりながら、晋作の行動についてあれやこれやといううちに止まらなくなってしまった。
「高杉さん!たまには私の話を最後までちゃんと聞いてくださいませんか!」
晋作は早足のまま、眉をひそめる。
「俊輔!キミはやかましい男だなぁ・・・いずれ人の上に立とうという者はゴチャゴチャと騒がず、どっしり構えておらねばいかんぞ」
後に博文と名乗る、この頃の伊藤俊輔には、大きな団体をまとめ上げる人間になろうなどという腹づもりなど全くなく、せいぜいまとめ上げても数百人の部隊の頭ぐらいだろうと思っていたので、晋作の言葉に照れ笑いし、言い返した。
「私が人の上に立つなどと、なにをおっしゃるかとおもえば?ご冗談をいっては困りますよ」
それを聞いて、晋作は微笑み、そうか?と一言だけつぶやいた。
旅立ち
晋作の歩幅は広い、その上調子を会わせるのが難しほど速い。
「高杉さん、もうちょっとゆっくり歩きませんか」
晋作を追う俊輔は、もう息切れをおこしながら必死について行くしかない。
江戸へ行くとなれば、もう気持ちは江戸に向いてそれ以外になくなる。それが高杉晋作という男である。
「高杉さんって!」
引き留めるように俊輔はもう一度叫んだ。
すると、晋作はしようがないといった表情で、立ち止まる。
「どうした俊輔」
「いえ、あのですねぇ・・・あの男、本当に連れてゆくのですか?」
晋作の視界の遙か先に、ユラユラと覇気の無い歩き方でついてくる伊助の姿がうつった。
「彼か・・・僕も時折自らの判断が、自らの判断によってなされた結果なのか、不思議に思うことがある。あの男に江戸までついてこいと言ったのも、はたして僕の判断からでた言葉なのか・・・」
それだけ言うと、晋作はまた早足で歩き始めた。
「なにを呑気なことをいっておるのですか!だいたいですねぇ、高杉さんは口より速く身体が動いてしまうお人なのだから、いや雷鳴の如く口も身体も動いてしまうと言うべきか・・・それがいけないとはいいませぬが」
俊輔は必死に晋作に追いすがりながら、晋作の行動についてあれやこれやといううちに止まらなくなってしまった。
「高杉さん!たまには私の話を最後までちゃんと聞いてくださいませんか!」
晋作は早足のまま、眉をひそめる。
「俊輔!キミはやかましい男だなぁ・・・いずれ人の上に立とうという者はゴチャゴチャと騒がず、どっしり構えておらねばいかんぞ」
後に博文と名乗る、この頃の伊藤俊輔には、大きな団体をまとめ上げる人間になろうなどという腹づもりなど全くなく、せいぜいまとめ上げても数百人の部隊の頭ぐらいだろうと思っていたので、晋作の言葉に照れ笑いし、言い返した。
「私が人の上に立つなどと、なにをおっしゃるかとおもえば?ご冗談をいっては困りますよ」
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