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マメ柴のシバ
怪我するまで走らなくても
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「さゆり!投げて!もっと投げて!」
シバはすっかりディスクが気に入ったようで、おかわりをさゆりにねだって来た。しかし、素人のさゆりにはシバが満足するクオリティで投げられる気がしない。
「私は下手だから。えりかさんお願いできます?」
「いいじゃんさゆりちゃん。投げ方教えるしやってみれば。」
結局期待の眼差しに後押しされて、勧められるままさゆりはフライイングディスクを投げた。
最初はボテボテの情けないスローイングばかりだったが、特別な筋力や体力がいるわけでもないので、えりかの的確な指導の下少し練習すればある程度は形になる。
シバはディスクがどう飛んでも全て楽しそうに追いかけた。
慣れてみれば投げるたびに器用にシバがそれをキャッチして持ってくるのが爽快になった。
シバの俊足に、しばし立ち止まって見物していく通行人まで出て来ている。
異変に気付いたのは、30分くらい続けて投げたくらいの時だった。
あのスピードでよくぶっ続けで走り続けられるなと感心していたら、飽きもせずディスクを確保して戻って来たシバがへたりと座り込んだのだ。
「どうした?疲れた?」
「ごめんなさいさゆり。足が痛くて。」
それでもシバは立ち上がろうとするが、それを足が痛いならと制止する。そもそも顔色がすごく悪い。
「ひねった?どこが痛いの?」
「膝とか靴の中が痛い。」
さゆりはまずシバのスニーカーを脱がせた。すぐに靴下に体液や血が染みているのに気付き、靴下を取るとマメがつぶれたり靴擦れが出血していた。
慌ててズボンの裾をたくし上げて膝を見ると関節部分全体が赤く腫れて熱を持っている。
「ちょっと、大丈夫!?」
「痛い……。」
「シバ、しっかりして!」
どんどん痛みが増すのか、すっかりぐったりしてしまったシバにさゆりは動揺した。
「どうしたの?大丈夫?」
異変に気付き、別のスペースできみやとディスクキャッチをしていたえりかが声をかけてくる。
「あの、シバが具合悪いみたいで、足も腫れてて、あの、救急車とか呼んだ方が良いですか!?」
動揺したさゆりが早口にまくし立てる。
「病院はまずいでしょ。保険証とかパスポート見せろって言われたらどうするの?」
「でも……!」
えりかは冷静にシバを観察し、額やうなじに手を当てて様子を見る。
膝も触って、少し動かそうとした。
シバがキャインと高い悲鳴をあげる。
「ハチ、シバをシートまで運んで。」
きみやが素早くシバを横抱きにする。えりかはシバの膝があまり動かないように横から手を添えてサポートした。
それでも動くたびにシバは痛そうに顔を歪めるのでさゆりの胸が詰まる。
シートまで運ぶと、えりかはそこにシバを寝かせて足をクーラーボックスの上に乗せた。
ウェストのベルトをゆるめ、シャツの首元のボタンも一つ外す。
上体を少し起こして、水を飲ませたところでひと段落したのか、さゆりに向かって言った。
「ぐったりしてるのは低血圧だと思う。激しい運動をすると低血圧になることがあるから。倒れたとき頭打ったりはしてない?」
さゆりが無いと答えると、じゃあしばらく様子を見ようと言った。
不安げなさゆりの手を優しく撫で、大丈夫だよと告げる。
暫くすると、確かにシバの顔色は回復してきた。
顰めていた顔が緩み、目がうっすらと開く。
シバはすっかりディスクが気に入ったようで、おかわりをさゆりにねだって来た。しかし、素人のさゆりにはシバが満足するクオリティで投げられる気がしない。
「私は下手だから。えりかさんお願いできます?」
「いいじゃんさゆりちゃん。投げ方教えるしやってみれば。」
結局期待の眼差しに後押しされて、勧められるままさゆりはフライイングディスクを投げた。
最初はボテボテの情けないスローイングばかりだったが、特別な筋力や体力がいるわけでもないので、えりかの的確な指導の下少し練習すればある程度は形になる。
シバはディスクがどう飛んでも全て楽しそうに追いかけた。
慣れてみれば投げるたびに器用にシバがそれをキャッチして持ってくるのが爽快になった。
シバの俊足に、しばし立ち止まって見物していく通行人まで出て来ている。
異変に気付いたのは、30分くらい続けて投げたくらいの時だった。
あのスピードでよくぶっ続けで走り続けられるなと感心していたら、飽きもせずディスクを確保して戻って来たシバがへたりと座り込んだのだ。
「どうした?疲れた?」
「ごめんなさいさゆり。足が痛くて。」
それでもシバは立ち上がろうとするが、それを足が痛いならと制止する。そもそも顔色がすごく悪い。
「ひねった?どこが痛いの?」
「膝とか靴の中が痛い。」
さゆりはまずシバのスニーカーを脱がせた。すぐに靴下に体液や血が染みているのに気付き、靴下を取るとマメがつぶれたり靴擦れが出血していた。
慌ててズボンの裾をたくし上げて膝を見ると関節部分全体が赤く腫れて熱を持っている。
「ちょっと、大丈夫!?」
「痛い……。」
「シバ、しっかりして!」
どんどん痛みが増すのか、すっかりぐったりしてしまったシバにさゆりは動揺した。
「どうしたの?大丈夫?」
異変に気付き、別のスペースできみやとディスクキャッチをしていたえりかが声をかけてくる。
「あの、シバが具合悪いみたいで、足も腫れてて、あの、救急車とか呼んだ方が良いですか!?」
動揺したさゆりが早口にまくし立てる。
「病院はまずいでしょ。保険証とかパスポート見せろって言われたらどうするの?」
「でも……!」
えりかは冷静にシバを観察し、額やうなじに手を当てて様子を見る。
膝も触って、少し動かそうとした。
シバがキャインと高い悲鳴をあげる。
「ハチ、シバをシートまで運んで。」
きみやが素早くシバを横抱きにする。えりかはシバの膝があまり動かないように横から手を添えてサポートした。
それでも動くたびにシバは痛そうに顔を歪めるのでさゆりの胸が詰まる。
シートまで運ぶと、えりかはそこにシバを寝かせて足をクーラーボックスの上に乗せた。
ウェストのベルトをゆるめ、シャツの首元のボタンも一つ外す。
上体を少し起こして、水を飲ませたところでひと段落したのか、さゆりに向かって言った。
「ぐったりしてるのは低血圧だと思う。激しい運動をすると低血圧になることがあるから。倒れたとき頭打ったりはしてない?」
さゆりが無いと答えると、じゃあしばらく様子を見ようと言った。
不安げなさゆりの手を優しく撫で、大丈夫だよと告げる。
暫くすると、確かにシバの顔色は回復してきた。
顰めていた顔が緩み、目がうっすらと開く。
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