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マメ柴のシバ
MMRに完全勝利した愛犬UC
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結局、どさくさに紛れて帰って来てしまった。
かながしきりにまたシバを連れてくるように促してきたが、期待の篭ったいつきの目を見ないようにしながら「持ち帰って検討します。」と言う姿勢を貫き通した。
なんで女装させちまったんだよ私。
この!うんこめ!
と、しきりに自分を詰るが、じゃあ男の姿で飛び掛かったらよかったのかといえば絶対そんなことはないだろう。
にしてもシバはモテるな。
……
……
……男と私にな!
さゆりは頭が痛くなって来たので、考えるのをやめた。
そこからは無心で仕事をして、早く帰ってシバと過ごし、週末が来た。
今日はえりか達と国内有数の広さがある国立公園に行くことになっていたので、朝起きるとさゆりは身支度を整えた。続けてシバの服を選ぶ。
出会った当初同じ年頃の人の子供と比べて明らかに振る舞いや言葉が未熟だったシバは、この数日で目に見えて成長した。
箸はまだ覚束ないがスプーンやフォークなら器用に使いこなすようになり、犬食いもしなくなった。
言葉も今や大分流暢に話す。
この覚えの速さで、どうしてこの歳になるまで全く身についていなかったのか驚くくらいだ。
さゆりは兄の怠慢を疑った。
しかしすぐに、そもそも私に押し付けて来た行為が怠慢であると気付き、疑惑を確信に変えた。
「シバ、着たいものないの?」
ケースの中のシャツを物色しながらさゆりが聞く。
シバの外見的には、自分のこだわりが出て来てとんでもファッションの黒歴史を作ってもおかしくない年頃のはずだ。
さゆりにも多少とも心当たりがある。
しかしシバは、さゆりが出した服を諾々と身につけた。
「ないよ。さゆりが選んだやつがいいな。」
シバの迷いのない答えに、OK心得た、とついデレた髄が反射してしまうが、いやいやと思い直す。
「わ、私は別にいいけど、シバは本当にいいの?
立派な獣人になって人の役にたつんでしょ?」
火曜日くらいから薄々思っていたことを口にする。
今の所、食事や遊びの相手などシバの面倒は全てさゆりが見ていた。
別にそれ自体は苦痛でないので良い。
でもきみやの傅きっぷりに触発されたにしてはあまりにナチュラル・ボーン・トゥー・ビー・世話焼かれなシバに、さゆりは僅かばかり心配になっていたのだ。
このまま甘やかされ放題で帰って大丈夫か?と。
な、なんだってーーー!
さゆりの言葉に、シバはノストラダムスとか超常現象とかととても相性が良さそうな顔をした。
この大いなる矛盾に全く気付いていなかったようだ。
衝撃で目を見開いたまま固まっている様が面白い。
見守っていると、オートロックの呼び出し音がした。
出てみるとえりかたちで、また早く着きすぎたらしい。
ロックを解除する。
「どうしようさゆり!僕、さゆりのお世話しなきゃいけないのに!」
インターホンの通話を終えた途端シバが縋り付いてくる。
「私の世話は別にしなくて良いけど、自分の事は自分でするようにする?まず服着替えてね。えりかさんたち来たかrーー」
「さゆり!服脱いで!着せてあげるから!」
「いや、私が脱ぐんじゃなくてあんたが着るんだっつの。」
久々に興奮のあまり話が通じなくなっている様子に、やっちまったなと後悔したが遅かった。
「なんで?ハチはしてたよ!」
「いや、私はしないってば。」
そんなことまでしてるのか…。
改めてえりか達の関係にドン引きする。
来ていたカットソーの裾を引き上げて脱がしにかかってくるシバを慌てて押し返した。
玄関のベルが鳴ったので、そのまま鍵を開けて二人を迎える。
「いらっしゃーー」
言い終わらないうちにシバが後ろにしがみついて来た。
「さゆりー!!服脱いでぇぇぇ!!!」
何事?と聞いてくるえりかに、彼女の私生活を知らない体で説明するのは骨が折れた。
かながしきりにまたシバを連れてくるように促してきたが、期待の篭ったいつきの目を見ないようにしながら「持ち帰って検討します。」と言う姿勢を貫き通した。
なんで女装させちまったんだよ私。
この!うんこめ!
と、しきりに自分を詰るが、じゃあ男の姿で飛び掛かったらよかったのかといえば絶対そんなことはないだろう。
にしてもシバはモテるな。
……
……
……男と私にな!
さゆりは頭が痛くなって来たので、考えるのをやめた。
そこからは無心で仕事をして、早く帰ってシバと過ごし、週末が来た。
今日はえりか達と国内有数の広さがある国立公園に行くことになっていたので、朝起きるとさゆりは身支度を整えた。続けてシバの服を選ぶ。
出会った当初同じ年頃の人の子供と比べて明らかに振る舞いや言葉が未熟だったシバは、この数日で目に見えて成長した。
箸はまだ覚束ないがスプーンやフォークなら器用に使いこなすようになり、犬食いもしなくなった。
言葉も今や大分流暢に話す。
この覚えの速さで、どうしてこの歳になるまで全く身についていなかったのか驚くくらいだ。
さゆりは兄の怠慢を疑った。
しかしすぐに、そもそも私に押し付けて来た行為が怠慢であると気付き、疑惑を確信に変えた。
「シバ、着たいものないの?」
ケースの中のシャツを物色しながらさゆりが聞く。
シバの外見的には、自分のこだわりが出て来てとんでもファッションの黒歴史を作ってもおかしくない年頃のはずだ。
さゆりにも多少とも心当たりがある。
しかしシバは、さゆりが出した服を諾々と身につけた。
「ないよ。さゆりが選んだやつがいいな。」
シバの迷いのない答えに、OK心得た、とついデレた髄が反射してしまうが、いやいやと思い直す。
「わ、私は別にいいけど、シバは本当にいいの?
立派な獣人になって人の役にたつんでしょ?」
火曜日くらいから薄々思っていたことを口にする。
今の所、食事や遊びの相手などシバの面倒は全てさゆりが見ていた。
別にそれ自体は苦痛でないので良い。
でもきみやの傅きっぷりに触発されたにしてはあまりにナチュラル・ボーン・トゥー・ビー・世話焼かれなシバに、さゆりは僅かばかり心配になっていたのだ。
このまま甘やかされ放題で帰って大丈夫か?と。
な、なんだってーーー!
さゆりの言葉に、シバはノストラダムスとか超常現象とかととても相性が良さそうな顔をした。
この大いなる矛盾に全く気付いていなかったようだ。
衝撃で目を見開いたまま固まっている様が面白い。
見守っていると、オートロックの呼び出し音がした。
出てみるとえりかたちで、また早く着きすぎたらしい。
ロックを解除する。
「どうしようさゆり!僕、さゆりのお世話しなきゃいけないのに!」
インターホンの通話を終えた途端シバが縋り付いてくる。
「私の世話は別にしなくて良いけど、自分の事は自分でするようにする?まず服着替えてね。えりかさんたち来たかrーー」
「さゆり!服脱いで!着せてあげるから!」
「いや、私が脱ぐんじゃなくてあんたが着るんだっつの。」
久々に興奮のあまり話が通じなくなっている様子に、やっちまったなと後悔したが遅かった。
「なんで?ハチはしてたよ!」
「いや、私はしないってば。」
そんなことまでしてるのか…。
改めてえりか達の関係にドン引きする。
来ていたカットソーの裾を引き上げて脱がしにかかってくるシバを慌てて押し返した。
玄関のベルが鳴ったので、そのまま鍵を開けて二人を迎える。
「いらっしゃーー」
言い終わらないうちにシバが後ろにしがみついて来た。
「さゆりー!!服脱いでぇぇぇ!!!」
何事?と聞いてくるえりかに、彼女の私生活を知らない体で説明するのは骨が折れた。
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