人生の意義:推し

Prologue

5

内申は正直問題ない。成績って幅広くない？

「全国模試で片指に入るやつが何言ってんだ。」
「あれはまぐれですって。」
「まぐれだとしても普通は入れねえよ。」

勉学以外の表彰は？

「それこそ心配ないだろう。全中で中距離で入賞してたじゃねえか。」

アイドルの追っかけには体力がいる。せっかく当たったライブで疲れて全力で応援できないなんて論外すぎる。そのためダイエット兼体力づくりの一環として朝晩5㎞の走り込みが日課だった。習慣になってしまったせいで走らないのは気持ちが悪く、今世でも続けていた。ランニングならお金もかからないしね。この中学は部活に全員参加が校則だったから、陸部に入ったのだ。りょうくんに会えないもやもやを晴らすのにもランニングはもってこいだった。あの大会前夜には久方ぶりにりょうくんが夢に出てきて、その湧き上がる思いを走りに向けたらめちゃくちゃいいタイムが出ちゃったんだよね。まさか予選を突破できるとも思ってなかったけど、さすがに入賞は予想外すぎた。数か月たったのにいまだ校舎に垂れ下がる個人名入りの横断幕はそろそろ撤去してほしい。羞恥プレイにもほどがある。

課外活動は？

「何言ってんだ生徒会役員。」
「それでいいんですか？」

一年時になかなか決まらないクラス委員にしびれを切らして立候補してから、生徒会役員に目をつけられたんだったなあ。気が付くと外堀を埋められて生徒会選挙に立候補していた。会長は嫌だとさんざん言っておいたから、2年次は会計で済んだけど。

「商店街での催し物のボランティア、結構評判よかったんだぞ。」
「またやってほしいって要望来てましたけど。所詮学生止まりじゃないんですか？」
生徒会で毎年ボランティアを行わなければならない。面倒な決まりだけど“やるからには全力で”がモットーなので力を入れすぎた感は否めないけど。そんなにかなあ。