人生の意義:推し

Prologue

3

私は生まれ変わって十数年、途方もなく感動している。りょうくんがいる！いや、別人だとは分かってる。色彩も違うし、笑顔も違うし、でもりょうくんに飢えていた私には彼そのままだった。

りょうくん似の美少年なんて…っ！ごちそうさまです。はわわわ。死んでしまってりょうくんに会えないことにただただ絶望したけれど。
(お母さんお父さん親不孝でごめんなさい。弟もすまぬ)

決めた。

りょうくん(似)のボーイと何とかお近づきになって、いつか目線の合った写真を撮らせてもらうんだ！

街ですれ違ったとき、彼はかの名門の慶秀学園の制服を見に纏っていた。代々の名家や素封家の子女が多く通うその学園は、次世代を担うスーパーエリートを養成する雲の上の存在。制服はフランスの新進気鋭のデザイナーが書き下ろしたもので、一度でもいいから袖を通してみたいと願うのが庶民の私たち女子である。

私の家は一般庶民。お父さんのお給料日には3連でお得なプッチンプリンではなく、つるんとした1個100円もするプリンを家族で幸せに食べるような普通の家だ。貧しくはないが、学園に通える余裕なんてない。

アルバイトでもしてみる？それでも中学生の稼げるお金なんて高が知れている。せっかく夢ができたはいいがかなうわけがない。しょぼしょぼと家路につくしかなかった。