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黒天使の過去
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私はコンソーラと言います。黒い羽根を生やした黒天使という種族ですぅ。
黒天使は世界の各地にいる魔獣と呼ばれる人々を襲う恐ろしい存在を倒す役割があります。その頃は黒天使は人々から感謝され、黒天使も誇りに思っていました。世界の秩序を守る天使からも敵対視されることも無かったのです。
ですが、これは私が生まれる前の話で、その後は事情が大きく変わってしまったのです。
私が成長するにつれて、ブファス派と呼ばれる黒天使が私が住んでるナチャーロ村に出現し、私達黒天使や人々を襲うようになったのです。
ブファスは闘争、不和という意味があり、普通の黒天使と区別をつける意味で誰かがそう付けるようになったのです。
何故黒天使が変貌するようになったか幼かった私にはよく分かりません。大人の黒天使達も原因解明と対策に追われていました。
しかしブファス派の黒天使は大人の黒天使達が策を練っているにも関わらず、日に日にブファス派の黒天使は増加し、それに伴い人々や私達黒天使への被害も増えていきました。この頃からでしょう、天使が私達黒天使を目につけるようになったのです。人々の黒天使への見方が変わってしまったのが悲しいです。
一番怖かったのは私が世話になっていたベーラさんが目の前で何の予兆もなく、ブファス派の黒天使となったことです。ブファス派の黒天使の特徴は目が深紅になり、邪気が強くなることで、ベーラさんは二つの特徴を満たしていきました。
昨日までは私に優しくしてくれて、私の誕生日には大きなケーキを用意してくれたりした人です。私と血は繋がってはいませんが、早くに両親を亡くした私を引き取り面倒を見てくれた母親同然の人です。
私に襲いかかってきた時は正直悪夢でした。私が必死に呼び掛けてもベーラさんは聞く耳を持たず、私に攻撃呪文を放ってきます。私は恩人であるベーラさんに攻撃できずベーラさんの攻撃呪文で私は傷を負い、もう動けなくなりました。
ベーラさんが私の前に来て私の前に手を伸ばした時は死を覚悟して目を閉じました。その時でした。何かが当たるのと倒れる音がして目を開くと、そこにはベリルさんが立っていました。同時にベーラさんが倒れているのも確認できました。ベリルさんは私の知り合いで私と年も変わらないのにとても強いのです。私を背負って治療を行ってくれるミルト爺さんの元に行く道中でベリルさんは言いました。私の家からイヤな気配がして来てみたら私がベーラさんに襲われていたので助けたそうです。ちなみにベーラさんは気絶しているだけで、大人の黒天使が対応してくれるそうです。それを聞いて私は安心しました。
私はミルト爺さんから苦い薬草を飲まされましたが、体の傷は癒えました。ベーラさんにはそれから会わせてもらえませんでした。
今いるナチャーロ村から離れることが決まったのは、私の怪我が完治してから間もなくのことでした。ブファス派の黒天使が集団でナチャーロ村に襲撃に来るということです。
これは確実な情報で、今日の夜には実行されるとのことです。ブファス派になっていない強い黒天使を取り入り、逆に力の無い黒天使を消すためにだそうです。
何故ナチャーロ村から離れるのかと言うと、黒天使だけでなく天使もナチャーロ村へ来るそうです。しかも強い力を持った天使を集結させた特殊部隊で、黒天使を一掃するためだそうです。
どちらにしても、ナチャーロ村に留まるのは危険なのです。
私は悲しくなりました。同じ黒天使に攻撃が向けられることと、私が育った村を離れなければいけないことに。
私を含む子供達、力の弱い者、女性や老人の黒天使は大規模な移動呪文を使用するため、一ヶ所に集められ大人の黒天使により避難することになりました。
大人の黒天使が極秘に作った場所で、結界を張ってあるので呪文を使用しても気づかれないので、ここなら安全に移動できるそうです。
残った大人の黒天使はブファス派の黒天使と特殊部隊の天使への対応をするそうです。
移動呪文を使用する前に質問が飛びました。いつまで避難するのか、ブファス派の黒天使は移動すればもう出てこないのか。等です。
大人の黒天使達はこう言いました。避難の時期も分からないし、ブファス派の黒天使のことも何とも言えないと。
曖昧な返答に抗議をすることができないまま、私達は大人の黒天使達の移動呪文で別の場所へ移動させられました。避難した先は広い建物の中にいました。
ここまでがナチャーロ村で起きた出来事です。黒天使の変貌や住んでいた場所が変わるなど目まぐるしいなと思います。
この後は大変でした。ナチャーロ村の黒天使をブファス派の黒天使に変貌させていたのは黒天使の間で嫌われているアバドン(さんを付けないのは私も好かないからです。息を吐くように平気で嘘をついたりして信用できません)の仕業で、この件は今回の襲撃で判明し、アバドンの力を封印し追放(処刑にしなかったのは審判を下した黒天使が死を嫌っていたためです)した所ブファス派の黒天使は現れなくなりました。
アバドンが巧妙な手口を使って黒天使を変貌させていた理由としましては彼が黙秘したため聞くことはできませんでした。加えて変貌はできても元には戻せないそうです。無責任です。
なお、ナチャーロ村へはもう戻れませんでした。村で交戦した結果、ブファス派の黒天使が高度な死の呪いをかけ、ブファス派の黒天使を討伐しに来た天使と黒天使の両方の犠牲が多く出てしまい、死の呪いが村全体にかかり、村に少し近づくだけで誰これ構わず命を奪うからです。
ナチャーロ村の周辺には人や動物が立ち入れないように呪文をかけておいたらしいので、生物への被害は出ないかと思いますが……
一度かけたら最後、死の呪いを解除するのは時間の経過を待つしか無いのです。
交戦で生き残った黒天使も私達がいる避難先に来て、現在のグリゴリ村となったのです。
……過去の出来事を語るのはちょっと疲れました。過去のことを忘れないことは大切ですが今に移りたいですね、今の方が私は好きですから。
もうすぐ新しい一日がやって来ます。さあ今日という日を始めましょう。
黒天使は世界の各地にいる魔獣と呼ばれる人々を襲う恐ろしい存在を倒す役割があります。その頃は黒天使は人々から感謝され、黒天使も誇りに思っていました。世界の秩序を守る天使からも敵対視されることも無かったのです。
ですが、これは私が生まれる前の話で、その後は事情が大きく変わってしまったのです。
私が成長するにつれて、ブファス派と呼ばれる黒天使が私が住んでるナチャーロ村に出現し、私達黒天使や人々を襲うようになったのです。
ブファスは闘争、不和という意味があり、普通の黒天使と区別をつける意味で誰かがそう付けるようになったのです。
何故黒天使が変貌するようになったか幼かった私にはよく分かりません。大人の黒天使達も原因解明と対策に追われていました。
しかしブファス派の黒天使は大人の黒天使達が策を練っているにも関わらず、日に日にブファス派の黒天使は増加し、それに伴い人々や私達黒天使への被害も増えていきました。この頃からでしょう、天使が私達黒天使を目につけるようになったのです。人々の黒天使への見方が変わってしまったのが悲しいです。
一番怖かったのは私が世話になっていたベーラさんが目の前で何の予兆もなく、ブファス派の黒天使となったことです。ブファス派の黒天使の特徴は目が深紅になり、邪気が強くなることで、ベーラさんは二つの特徴を満たしていきました。
昨日までは私に優しくしてくれて、私の誕生日には大きなケーキを用意してくれたりした人です。私と血は繋がってはいませんが、早くに両親を亡くした私を引き取り面倒を見てくれた母親同然の人です。
私に襲いかかってきた時は正直悪夢でした。私が必死に呼び掛けてもベーラさんは聞く耳を持たず、私に攻撃呪文を放ってきます。私は恩人であるベーラさんに攻撃できずベーラさんの攻撃呪文で私は傷を負い、もう動けなくなりました。
ベーラさんが私の前に来て私の前に手を伸ばした時は死を覚悟して目を閉じました。その時でした。何かが当たるのと倒れる音がして目を開くと、そこにはベリルさんが立っていました。同時にベーラさんが倒れているのも確認できました。ベリルさんは私の知り合いで私と年も変わらないのにとても強いのです。私を背負って治療を行ってくれるミルト爺さんの元に行く道中でベリルさんは言いました。私の家からイヤな気配がして来てみたら私がベーラさんに襲われていたので助けたそうです。ちなみにベーラさんは気絶しているだけで、大人の黒天使が対応してくれるそうです。それを聞いて私は安心しました。
私はミルト爺さんから苦い薬草を飲まされましたが、体の傷は癒えました。ベーラさんにはそれから会わせてもらえませんでした。
今いるナチャーロ村から離れることが決まったのは、私の怪我が完治してから間もなくのことでした。ブファス派の黒天使が集団でナチャーロ村に襲撃に来るということです。
これは確実な情報で、今日の夜には実行されるとのことです。ブファス派になっていない強い黒天使を取り入り、逆に力の無い黒天使を消すためにだそうです。
何故ナチャーロ村から離れるのかと言うと、黒天使だけでなく天使もナチャーロ村へ来るそうです。しかも強い力を持った天使を集結させた特殊部隊で、黒天使を一掃するためだそうです。
どちらにしても、ナチャーロ村に留まるのは危険なのです。
私は悲しくなりました。同じ黒天使に攻撃が向けられることと、私が育った村を離れなければいけないことに。
私を含む子供達、力の弱い者、女性や老人の黒天使は大規模な移動呪文を使用するため、一ヶ所に集められ大人の黒天使により避難することになりました。
大人の黒天使が極秘に作った場所で、結界を張ってあるので呪文を使用しても気づかれないので、ここなら安全に移動できるそうです。
残った大人の黒天使はブファス派の黒天使と特殊部隊の天使への対応をするそうです。
移動呪文を使用する前に質問が飛びました。いつまで避難するのか、ブファス派の黒天使は移動すればもう出てこないのか。等です。
大人の黒天使達はこう言いました。避難の時期も分からないし、ブファス派の黒天使のことも何とも言えないと。
曖昧な返答に抗議をすることができないまま、私達は大人の黒天使達の移動呪文で別の場所へ移動させられました。避難した先は広い建物の中にいました。
ここまでがナチャーロ村で起きた出来事です。黒天使の変貌や住んでいた場所が変わるなど目まぐるしいなと思います。
この後は大変でした。ナチャーロ村の黒天使をブファス派の黒天使に変貌させていたのは黒天使の間で嫌われているアバドン(さんを付けないのは私も好かないからです。息を吐くように平気で嘘をついたりして信用できません)の仕業で、この件は今回の襲撃で判明し、アバドンの力を封印し追放(処刑にしなかったのは審判を下した黒天使が死を嫌っていたためです)した所ブファス派の黒天使は現れなくなりました。
アバドンが巧妙な手口を使って黒天使を変貌させていた理由としましては彼が黙秘したため聞くことはできませんでした。加えて変貌はできても元には戻せないそうです。無責任です。
なお、ナチャーロ村へはもう戻れませんでした。村で交戦した結果、ブファス派の黒天使が高度な死の呪いをかけ、ブファス派の黒天使を討伐しに来た天使と黒天使の両方の犠牲が多く出てしまい、死の呪いが村全体にかかり、村に少し近づくだけで誰これ構わず命を奪うからです。
ナチャーロ村の周辺には人や動物が立ち入れないように呪文をかけておいたらしいので、生物への被害は出ないかと思いますが……
一度かけたら最後、死の呪いを解除するのは時間の経過を待つしか無いのです。
交戦で生き残った黒天使も私達がいる避難先に来て、現在のグリゴリ村となったのです。
……過去の出来事を語るのはちょっと疲れました。過去のことを忘れないことは大切ですが今に移りたいですね、今の方が私は好きですから。
もうすぐ新しい一日がやって来ます。さあ今日という日を始めましょう。
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