25 / 49
外の世界は
懐かしい記憶と同行
しおりを挟む
十分前……
飛行していたカーシヴとナルジスは、リンそっくりな茶髪の少年が黒天使と共に物凄い速さで真っ直ぐに飛んで行くのを見た。
「……あれはユラか」
「ユラさんは、リンさんの弟さんですよね」
カーシヴは言った。テレパシーでリンから弟がいるのは聞かされている。
「何で黒天使と一緒にいるんだ」
「さあ……分かりません」
カーシヴは当惑して眉をひそめた。ナルジスはカーシヴの前に来た。
「気になるから俺はユラを追う、お前は先に学校に行ってろ」
「待ってください」
カーシヴはナルジスを止めた。
「ユラさんのことはぼくに任せてもらえませんか、ナルジスさんは黒天使との戦闘で体力もぎりぎりでしょう
ナルジスさんは学校で誰かに癒しの呪文をかけてもらって下さい」
「お前一人で大丈夫なのか」
ナルジスは不信感を露にしていた。カーシヴは黒天使に情報を流した裏切り者なので仕方がないが……
カーシヴも自分のしたことをわきまえた上で口を開く。
「ぼくはこう見えて治安部隊の人間です。だから黒天使の対処法も知ってはいるつもりです」
カーシヴはきっぱり言い切った。
「それでは失礼します。また後でお会いしましょう」
ナルジスに一礼し、カーシヴはその場を去った。
自分や友人達の秘密基地となっているこの場所にある箱をユラは確認しようと思った。黒天使を退けるのに役立つイタズラ道具もあるかもしれないからだ。
箱は二つ箱があり、一つ目の真新しい箱にはユラや友人達が使う物や、もう一つの箱は昔兄や幼馴染みと遊んだ思い出の品もしまってある。
ユラは隅っこにあるイタズラを道具を入れる真新しい箱を見た。
「どれにするかな……」
ユラは考えながら道具を手にした。ちなみに道具は勝手に使用しても構わない。
どっちみちまた道具は作るからだ。
使えそうな道具を一つシャツに入れる。
シャツには道具をしまうポケットが縫い込んであるのだ。
「ミスチ、道具は貰っていくぜ、ブルとショコラはまた別の機会な」
ユラは友人達の名を呟く。
「……一応あっちも見ておこう」
古ぼけた箱に目を向け、ユラは古ぼけた箱を開く。
ラフィアの名が黒天使の口から聞かされて、気になったからだ。
箱の中には兄と自分で一緒に使っていた熊とライオンの木彫りおもちゃ、兄の幼馴染みがおままごとに使っていた人形や食器やテーブルがあった。
この箱を開くのも久しぶりである。
「いつ見ても懐かしいな」
ユラは言った。もう使わないので呪文で新品同様にして子供に譲り渡す所だが、ユラにはできない。
友人達にも事情を話して、古ぼけた箱に触れないようにお願いしている。
幼い頃に遊んだ大切な思いが箱の中のおもちゃにあるからだ。
おもちゃを見て、兄の幼馴染みが黒天使に狙われるなんて間違いだと思いたかった。兄の幼馴染みは昔から明るく一緒にいるだけで元気になれる女の子だからだ。
一人前になれないと馬鹿にはしてたものの、一人前になった時は嬉しく思った。兄の幼馴染みを知る自分としては黒天使に標的にされるのは納得がいかない。
「……ん?」
ユラは箱の奥にあるもう一つの人形を手にする。
桃髪の女の子の人形だった。
遊んでいた人物に覚えがあるが、名前が出てこない。
「えっと……誰だっけな……」
ユラは額に手を当てて、名前を思い出そうとした。
兄や兄の幼馴染みと一緒に遊んでいたのは確かだ。
容姿はこの人形のように桃色の髪に、同じ目をしていた……そして。
ユラの思考を遮るように、扉から物音がした。
「誰だ」
ユラは少しだけ怒りを含んだ声を出す。秘密基地は大切な場所なので、部外者が入るのは困る。
友人たちが入って来る際は扉をノックをするルールなので、扉の前には部外者がいるというのが理解できる。
扉が開くと、琥珀色の髪の男が現れた。見慣れない顔である。
彼の背中の羽根は白いので天使だ。
「……あんたは?」
「初めまして、ぼくは治安部隊のカーシヴと言います」
「治安部隊の天使がオレに何の用だよ」
ユラは警戒混じりに問いかける。
実のところユラを含む四人はイタズラをしてるためか教師だけでなく治安部隊に目をつけられているのだ。
が、この日は兄に控えめなイタズラをしたものの、派手なイタズラはしていない。
「ユラさんが黒天使と飛んで行くのを見かけたので気になり追ってきました」
「随分失礼なヤツだな」
ユラは不愉快そうに口走る。知らない間にカーシヴに追われてたことと、治安部隊が秘密基地に入ったことに腹が立った。
「すみません、でもユラさんのことが心配だったんです」
カーシヴは謝罪し、ユラの身を案じていた。カーシヴの言葉は温かく嘘をついてはいないのが分かる。
「それより、黒天使はどこに行ったんですか」
「あんたに教えると思ってるのか」
ユラはカーシヴに対する警戒は解かなかった。
「ユラさんも気づいてますよね、黒天使が天界内に侵入してることに」
「知ってるよ」
少し間を置いてユラは言った。黒天使の気配があちこちからするので、天界中の天使は知ってるだろう。
「分かってるなら話が早いです。ぼくと一緒に来てもらえませんか、リンさんからあなたのことも聞いてます」
「兄さんが?」
兄の名が出され、ユラは驚いた。
「ええ、あなたの話をしている時の口調は優しいお兄さんだなと思いました」
「兄さんらしいな」
ユラは言った。
弟のユラからしても、兄のリンは出来が良く、ユラの面倒も見る優しい兄だなと思っている。
カーシヴの言い方からして、ユラのことを大切にしていることを伝えたに違いない。
「まさかだと思うけど、兄さんは悪いことはしてないよな」
「してませんよ、事情があってリンさんにはぼくが世話になったんです」
「あんたが、兄さんに?」
ユラに突っ込まれ、カーシヴはばつが悪そうに視線をそらして「はい」と答えた。
「お恥ずかしい話ですけどね……」
ユラは笑うのを堪えた。
本来ならからかいたい所だが、兄に知られたら怒られるので我慢した。
「突っ掛かるような言い方して悪かったよ、カーシヴさんで良いんだよな」
ユラは訊ねる。
兄のこともそうだが、カーシヴの人間性を見て悪人でないと判断したためだ。
カーシヴを危うく呼び捨てにしそうになるが、一応「さん」付けするのも後々会うであろう兄に言われないためである。
年上にため口も本当はいけないが、カーシヴには合わない気がしたので、ため口のままで行こうと思った。
「はい、合ってますよ」
カーシヴはユラの態度を気にしてない様子だった。
「さっき、黒天使のことを聞いてきたけど、言った方がいいか?」
「そうですね、気にはなりますし」
「分かった。じゃあ言うぞ」
ユラはリュアレと一緒になった経由や彼女から聞いたことを口走った。
カーシヴは相槌を打って、ユラの話に耳を傾けていた。
「……オレの話はこんな所だ」
「ユラさんは度胸ありますね」
「そんな事ねーよ、オレだって怖かったよ」
ユラは照れながら言った。
カーシヴが言うのはリュアレを助ける所だろう、ユラは自作のイタズラ道具を使い、二人の黒天使の目を眩ませて、その隙にリュアレの手を引いたのだ。
ユラはその時、光避けのゴーグルをしていたので目眩ましの影響は受けなかったのだ。
「ってか、治安部隊の天使がそんな事言って良いのか、オレは黒天使を助けたんだぞ」
天使が黒天使を助けるのは本来禁止されているのはユラも知っていた。
「普段ならユラさんの行動は指導しなければなりませんが、状況が状況ですからね。ユラさんの行いは正しいと思います」
「あんたがオレに指導することは無いのか?」
「そうですね。ただあまり無茶なことはやめて下さいね、ユラさんは見習い天使ですし、姿を隠してるとは言っても黒天使の攻撃は自殺行為ですから」
「忠告は受け取っておくよ」
ユラは言った。が、カーシヴには悪いが素直に受け入れるつもりは無い。
何故なら三人のイタズラ道具を試したくて仕方なかったからだ。
「それより行こうか、確か学校で良いんだよな」
「はい、黒天使もいますから注意しましょう」
カーシヴは言った。
「ちょっと待て、これ着るからさ」
ユラは透明になるマントを全身に被った。カーシヴが見ている前でユラの姿は無くなった。
「ユラさん?」
カーシヴは困惑していた。ユラは足音を立てずにゆっくりとカーシヴに近づいてゆく。
ユラの突拍子もない行いに、カーシヴは身動きがとれなかった。
「あの……どういうつもりかは知りませんが、黒天使がうろついているんです。ぼく達も早く移動しないと危ないです」
カーシヴは弱々しく注意した。ユラはマントを脱ぐことを止めず、カーシヴの真横に回った。そして……
「よっ、カーシヴさん!」
ユラは透明マントを脱ぎ、カーシヴの真横から大声を出した。
カーシヴは「うわっ」と情けない声を発して尻餅をつく。
「あっはっは! あんた面白いな!」
ユラはカーシヴの反応に笑った。
カーシヴは立ち上がり、怒りの表情でユラを睨んだ。
「ユラさん、悪ふざけはやめて下さい! そんな事をしてる場合じゃないですよ!」
「あっはっふ……いや……ごめんごめん、あんたのリアクションが愉快だったからな……ぷっ」
ユラは笑うのを止めようとしたが、できなかった。
この後ユラはカーシヴに散々叱られたのは言うまでもない。
飛行していたカーシヴとナルジスは、リンそっくりな茶髪の少年が黒天使と共に物凄い速さで真っ直ぐに飛んで行くのを見た。
「……あれはユラか」
「ユラさんは、リンさんの弟さんですよね」
カーシヴは言った。テレパシーでリンから弟がいるのは聞かされている。
「何で黒天使と一緒にいるんだ」
「さあ……分かりません」
カーシヴは当惑して眉をひそめた。ナルジスはカーシヴの前に来た。
「気になるから俺はユラを追う、お前は先に学校に行ってろ」
「待ってください」
カーシヴはナルジスを止めた。
「ユラさんのことはぼくに任せてもらえませんか、ナルジスさんは黒天使との戦闘で体力もぎりぎりでしょう
ナルジスさんは学校で誰かに癒しの呪文をかけてもらって下さい」
「お前一人で大丈夫なのか」
ナルジスは不信感を露にしていた。カーシヴは黒天使に情報を流した裏切り者なので仕方がないが……
カーシヴも自分のしたことをわきまえた上で口を開く。
「ぼくはこう見えて治安部隊の人間です。だから黒天使の対処法も知ってはいるつもりです」
カーシヴはきっぱり言い切った。
「それでは失礼します。また後でお会いしましょう」
ナルジスに一礼し、カーシヴはその場を去った。
自分や友人達の秘密基地となっているこの場所にある箱をユラは確認しようと思った。黒天使を退けるのに役立つイタズラ道具もあるかもしれないからだ。
箱は二つ箱があり、一つ目の真新しい箱にはユラや友人達が使う物や、もう一つの箱は昔兄や幼馴染みと遊んだ思い出の品もしまってある。
ユラは隅っこにあるイタズラを道具を入れる真新しい箱を見た。
「どれにするかな……」
ユラは考えながら道具を手にした。ちなみに道具は勝手に使用しても構わない。
どっちみちまた道具は作るからだ。
使えそうな道具を一つシャツに入れる。
シャツには道具をしまうポケットが縫い込んであるのだ。
「ミスチ、道具は貰っていくぜ、ブルとショコラはまた別の機会な」
ユラは友人達の名を呟く。
「……一応あっちも見ておこう」
古ぼけた箱に目を向け、ユラは古ぼけた箱を開く。
ラフィアの名が黒天使の口から聞かされて、気になったからだ。
箱の中には兄と自分で一緒に使っていた熊とライオンの木彫りおもちゃ、兄の幼馴染みがおままごとに使っていた人形や食器やテーブルがあった。
この箱を開くのも久しぶりである。
「いつ見ても懐かしいな」
ユラは言った。もう使わないので呪文で新品同様にして子供に譲り渡す所だが、ユラにはできない。
友人達にも事情を話して、古ぼけた箱に触れないようにお願いしている。
幼い頃に遊んだ大切な思いが箱の中のおもちゃにあるからだ。
おもちゃを見て、兄の幼馴染みが黒天使に狙われるなんて間違いだと思いたかった。兄の幼馴染みは昔から明るく一緒にいるだけで元気になれる女の子だからだ。
一人前になれないと馬鹿にはしてたものの、一人前になった時は嬉しく思った。兄の幼馴染みを知る自分としては黒天使に標的にされるのは納得がいかない。
「……ん?」
ユラは箱の奥にあるもう一つの人形を手にする。
桃髪の女の子の人形だった。
遊んでいた人物に覚えがあるが、名前が出てこない。
「えっと……誰だっけな……」
ユラは額に手を当てて、名前を思い出そうとした。
兄や兄の幼馴染みと一緒に遊んでいたのは確かだ。
容姿はこの人形のように桃色の髪に、同じ目をしていた……そして。
ユラの思考を遮るように、扉から物音がした。
「誰だ」
ユラは少しだけ怒りを含んだ声を出す。秘密基地は大切な場所なので、部外者が入るのは困る。
友人たちが入って来る際は扉をノックをするルールなので、扉の前には部外者がいるというのが理解できる。
扉が開くと、琥珀色の髪の男が現れた。見慣れない顔である。
彼の背中の羽根は白いので天使だ。
「……あんたは?」
「初めまして、ぼくは治安部隊のカーシヴと言います」
「治安部隊の天使がオレに何の用だよ」
ユラは警戒混じりに問いかける。
実のところユラを含む四人はイタズラをしてるためか教師だけでなく治安部隊に目をつけられているのだ。
が、この日は兄に控えめなイタズラをしたものの、派手なイタズラはしていない。
「ユラさんが黒天使と飛んで行くのを見かけたので気になり追ってきました」
「随分失礼なヤツだな」
ユラは不愉快そうに口走る。知らない間にカーシヴに追われてたことと、治安部隊が秘密基地に入ったことに腹が立った。
「すみません、でもユラさんのことが心配だったんです」
カーシヴは謝罪し、ユラの身を案じていた。カーシヴの言葉は温かく嘘をついてはいないのが分かる。
「それより、黒天使はどこに行ったんですか」
「あんたに教えると思ってるのか」
ユラはカーシヴに対する警戒は解かなかった。
「ユラさんも気づいてますよね、黒天使が天界内に侵入してることに」
「知ってるよ」
少し間を置いてユラは言った。黒天使の気配があちこちからするので、天界中の天使は知ってるだろう。
「分かってるなら話が早いです。ぼくと一緒に来てもらえませんか、リンさんからあなたのことも聞いてます」
「兄さんが?」
兄の名が出され、ユラは驚いた。
「ええ、あなたの話をしている時の口調は優しいお兄さんだなと思いました」
「兄さんらしいな」
ユラは言った。
弟のユラからしても、兄のリンは出来が良く、ユラの面倒も見る優しい兄だなと思っている。
カーシヴの言い方からして、ユラのことを大切にしていることを伝えたに違いない。
「まさかだと思うけど、兄さんは悪いことはしてないよな」
「してませんよ、事情があってリンさんにはぼくが世話になったんです」
「あんたが、兄さんに?」
ユラに突っ込まれ、カーシヴはばつが悪そうに視線をそらして「はい」と答えた。
「お恥ずかしい話ですけどね……」
ユラは笑うのを堪えた。
本来ならからかいたい所だが、兄に知られたら怒られるので我慢した。
「突っ掛かるような言い方して悪かったよ、カーシヴさんで良いんだよな」
ユラは訊ねる。
兄のこともそうだが、カーシヴの人間性を見て悪人でないと判断したためだ。
カーシヴを危うく呼び捨てにしそうになるが、一応「さん」付けするのも後々会うであろう兄に言われないためである。
年上にため口も本当はいけないが、カーシヴには合わない気がしたので、ため口のままで行こうと思った。
「はい、合ってますよ」
カーシヴはユラの態度を気にしてない様子だった。
「さっき、黒天使のことを聞いてきたけど、言った方がいいか?」
「そうですね、気にはなりますし」
「分かった。じゃあ言うぞ」
ユラはリュアレと一緒になった経由や彼女から聞いたことを口走った。
カーシヴは相槌を打って、ユラの話に耳を傾けていた。
「……オレの話はこんな所だ」
「ユラさんは度胸ありますね」
「そんな事ねーよ、オレだって怖かったよ」
ユラは照れながら言った。
カーシヴが言うのはリュアレを助ける所だろう、ユラは自作のイタズラ道具を使い、二人の黒天使の目を眩ませて、その隙にリュアレの手を引いたのだ。
ユラはその時、光避けのゴーグルをしていたので目眩ましの影響は受けなかったのだ。
「ってか、治安部隊の天使がそんな事言って良いのか、オレは黒天使を助けたんだぞ」
天使が黒天使を助けるのは本来禁止されているのはユラも知っていた。
「普段ならユラさんの行動は指導しなければなりませんが、状況が状況ですからね。ユラさんの行いは正しいと思います」
「あんたがオレに指導することは無いのか?」
「そうですね。ただあまり無茶なことはやめて下さいね、ユラさんは見習い天使ですし、姿を隠してるとは言っても黒天使の攻撃は自殺行為ですから」
「忠告は受け取っておくよ」
ユラは言った。が、カーシヴには悪いが素直に受け入れるつもりは無い。
何故なら三人のイタズラ道具を試したくて仕方なかったからだ。
「それより行こうか、確か学校で良いんだよな」
「はい、黒天使もいますから注意しましょう」
カーシヴは言った。
「ちょっと待て、これ着るからさ」
ユラは透明になるマントを全身に被った。カーシヴが見ている前でユラの姿は無くなった。
「ユラさん?」
カーシヴは困惑していた。ユラは足音を立てずにゆっくりとカーシヴに近づいてゆく。
ユラの突拍子もない行いに、カーシヴは身動きがとれなかった。
「あの……どういうつもりかは知りませんが、黒天使がうろついているんです。ぼく達も早く移動しないと危ないです」
カーシヴは弱々しく注意した。ユラはマントを脱ぐことを止めず、カーシヴの真横に回った。そして……
「よっ、カーシヴさん!」
ユラは透明マントを脱ぎ、カーシヴの真横から大声を出した。
カーシヴは「うわっ」と情けない声を発して尻餅をつく。
「あっはっは! あんた面白いな!」
ユラはカーシヴの反応に笑った。
カーシヴは立ち上がり、怒りの表情でユラを睨んだ。
「ユラさん、悪ふざけはやめて下さい! そんな事をしてる場合じゃないですよ!」
「あっはっふ……いや……ごめんごめん、あんたのリアクションが愉快だったからな……ぷっ」
ユラは笑うのを止めようとしたが、できなかった。
この後ユラはカーシヴに散々叱られたのは言うまでもない。
0
お気に入りに追加
30
あなたにおすすめの小説
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
第六監獄の看守長は、あんまり死なない天使らしい
白夢
ファンタジー
混乱を極める公国にて。
天界を追放され、魔界から爪弾きにされ、這這の体で辿り着いたこの場所で、不運にもマッドサイエンティストに拾われた俺は、実験体としては比較的幸運なことに、看守として楽しく過ごしている。
しかし愛すべき公国は、悲しきかな崩壊の最中。
数年前、人類の天敵としてこの国に突如ヴァンピールという存在が現れてからというもの、ただでさえ悲惨な世情はさらに悪化の一途を辿っていた。
しかし幽閉中の愛しい死刑囚594番と、可愛い部下達、ついでに育て親のイかれた官吏に、害が及ばなければそれでいい。
俺は、このままの日常に満足していた。
そんなある日、俺はマッドサイエンティストの官吏から、我が第六監獄において、とある子供を保護するように依頼された。
囚人番号427番として移送されてきた、傷だらけのその子供。
彼は史実上唯一無二の、人類に友好的な、理性を持つヴァンピールらしい。
もちろん官吏には従うが、あまり気が進まない。
なんというかぼんやりと、どうにも嫌な予感がする。
---
※一部に残酷・暴力描写がありますので、苦手な方はご注意下さい。
お気に入りの死刑囚、官吏さんから預かったヴァンピール、育て親の官吏、友達の監獄医、様子がおかしい矯正長、可愛い部下の看守たちなど、ちょっと楽しくて、少しだけ狂った平穏な日常が終わりを告げるまでのお話です。
悲しい出来事も多いですが、きっと最後はみんな笑顔になれるはず。
楽しんでいただければ幸いです!
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる