黒薔薇王子に好かれた魔法薬師は今日も今日とて世界を守る

綾乃雪乃

文字の大きさ
上 下
87 / 97
最終章 五女と家族と妖精の薬

第2話 可笑しな家族の決意

しおりを挟む
ローレンス様の動きは早く、ユーファステア侯爵家の人々の動きもまた早かった。

クリード殿下だけではなくメイシィのお世話も増えた私。
急に任命されたせいで他の侍従たちとさまざまな調整でバタバタすること数日。
みなさまが執務室に集合したと聞いて驚きに跳ね上がるようだった。

急いで紅茶を用意して向かえば、執務室にはあのレヴェラント家で小竜を産んだナタリー様もいらっしゃった。


「初めまして、クレアさん。メイシィと学生時代からのお友達なのですってね~」
「お初にお目にかかります。ナタリー様。私はクリード殿下の侍従、クレアと申します。メイシィ様とは寮の同室でございました」
「まあ!クレア、それは本当なの?ちょっと詳しく聞かせて」
「サーシャ姉《ね》ぇ落ち着きなよ。別にこいつが逃げるわけでもねーんだし」


室内ではナタリー様、サーシャ様、クロエ様がわいわいがやがやと自由に言葉を散りばめていらっしゃった。
いつもの静かな部屋とは大違いな状況に、部屋の主は反対側のソファで頭を抱えている。


「あら~おいしい紅茶ね。ちょっと濃くしているのかしら~?」
「あっ……申し訳ございません。いつもクリード殿下に差し上げているものと同じものでございます。もし御口に合わなければ入れなおしますのでお申し付けください」
「いいのよ~!メイシィが淹れたのとそっくり、あなたが合わせたのでしょう?」
「ど、どうしてそれを……」


うふふ、私も飲んでいたもの。とナタリー様はローレンス様と似たお顔でにこやかにおっしゃった。
わずかひと口でお気づきになるなんて……恐ろしい方だ。


「なんてこと!メイシィが紅茶を淹れるとこんな味ということ?」
「へぇ~」


なぜかとても感心した様子で紅茶に手を伸ばすサーシャ様とセロエ様。
不思議な気持ちで眺めていると、背後の扉が開かれる音がした。

振り返ると、老年の優雅な雰囲気を纏ったご夫婦。
すぐにその方々がユーファステア侯爵夫妻であると気づいて、私は急いで端により頭を下げた。


「すまないねローレンス、遅くなったよ」
「いえ、父さん、母さん。登城いただき感謝します」
「あら~ナタリーにセロエもいるじゃない~久しぶりねぇ~」


灰色の豊かな髪に髭を蓄えた男性がユーファステア侯爵、サイラル様だ。
現国王 カーン陛下より年下だけれど、長年臣下として貢献し、最も国王へ率直な意見をぶつけられる人間として貴族からも厚い信頼を得ている人格者と聞いている。

お隣で茶色の髪をまとめ、青とも緑ともいえる、子供たちに遺伝した瞳を持っているのがユーファステア侯爵夫人、シシア様。
話し方や性格はナタリー様が色濃く受け継いでいらっしゃる。カロリーナ妃殿下と支え合いながらこの個性的な子供たちを育て上げた人物だ。


「お母様~!」
「ナタリー!」


立ち上がったふたりは全く同じタイミングで互いを抱きしめ合う。
その動きの軽快さといったら、年齢を感じさせないほどだった。


「セロエもおいで~!」
「イヤ」

「クレア、あの紅茶をいれてくださる?お父様とお母様に飲ませてあげたいのよ」
「かしこまりました。サーシャ様」


あちらこちらで好きにお話を始める空間の隙間を縫って、サーシャ様の声を拾えた私はすぐに頷き、準備を始めた。
本題に入りたそうなローレンス様の眉間の皺が、どんどん深くなっていくのを横目で見ながら。



「これが……メイシィの味……!」
「再現だけどな」
「何ておいしいのぉぉぉ……!」
「泣くほどか?」


それから、紅茶を飲んだユーファステア侯爵夫妻は正反対の反応をされた。
セロエ様の冷静な指摘が冴える中、侯爵は驚いた顔をし、サーシャ様が困った顔をして母のシシア様にハンカチを渡していた。

シシア様は号泣している。なぜか。


「……そろそろ本題に入ってもいいだろうか!」


痺れを切らしたローレンス様はいつもより大きな声を出した。


「今回集まってもらったのは、現在一級魔法薬師の試験を受けているメイシィについてだ。
ユリリアンナ姉上の手紙に同封した通り、今彼女は最後のメリアーシェの試験を前に、クリード殿下に薬を飲まされて続行できない状態となっている」
「サーシャ、ナタリー、セロエ、お前たちはメイシィに会ったと言っていたな?様子はどうだった?」


サイラル様の言葉にいの一番に口を開いたのはセロエ様だった。


「見た目や反応に怪しいところはねぇ、でも一部の反応は薬の影響をしっかり受けていやがった。精神操作の薬なんざ使いやがってあの化け物……!」
「一部の反応とはなんだ?」
「クリード殿下に対する反応ですわ、お父様。いつも王族相手にはとても謙虚な様子……簡単に言えば距離を取る子なのに、とても素直で従順すぎるの。そうでしょうクレア?」
「はい。同意見でございます」


この子はメイシィの学生時代からの友人よ。とサーシャ様が簡単に紹介くださったので、一礼する。
そうか、とサイラル様は頷いてすぐにセロエに顔を向けた。


「セロエの目から見てどのような術にかかっているかわかるか?」
「わかんねえ。っつーのも、今回の薬は術をかけるタイプじゃねえな」
「あら、どういうこと~?」
「薬らしい薬っつーのかなあ。黒魔術の類いじゃなくて、身体に直接効くタイプっつーの?
つまり、魔術でどうにかできる状態じゃねえな」
「そうか……」

「ひとつ皆に相談したいことがある」


ローレンス様はそう言うと、緊張した面持ちで座り直し、ユーファステア侯爵である父に正面から相対した。
その様子を感じ取ったのか、サイラル様も真剣な瞳でまっすぐに息子を捉える。


「メイシィの試験とはいえ、課題を出す我々はしっかりとこの試験の方針について陛下にお伝えしなければいけない。
そこで、俺は――――」


その後続く言葉にも、いの一番に反応したのはセロエ様だった。


「はっ!あったりめーーーーーだろ!!」



――――――――――――――――――



「……そうか」


それから1時間後、なぜか私まで参加させていただき、ユーファステア侯爵家のみなさまは謁見室に揃っていた。
目の前にはカーン陛下とカロリーナ妃殿下、そしてまだちょっとお怒りの様子なアーリア妃殿下。
隅にラジアン王太子とクリード殿下もいらっしゃる。

カーン陛下はサイラル様の言葉に、小さく返事をしたところだった。


「それは、おぬしらユーファステア侯爵家で決めたことなのだな?」
「もちろんです。ここにいないユリリアンナを含めて、我々の総意でございます」


サーシャ様が胸の前で握っている手紙は、ユリリアンナ様から贈られたもの。
本人の代わりのように謁見室に持ち込んでいらっしゃった。


「……うむ。委細承知した。
メイシィ嬢の一級魔法薬師の試験は―――――続行とする」


サイラル様の一礼にあわせ、わたしたちは深く頭を下げた。

本来はこの試験を任せたラジアン殿下や、関わっているクリード殿下にも意見を求めるのが普通だけれど、カーン陛下は見向きもせずすぐに了承の返事をなさった。

これは、息子たちの意見は不要というけん制だ。
理解は示しつつもやってはいけないことをしたと、父親としての意思表示かもしれない。


「そも、『周りの助力は自由に受けて良い』という条件を出したのはわしだからな。
メイシィ嬢の精神薬を解毒することは、立派な助力の範囲であろう。

、サイラスよ」

「ええ、全く。こんなに困った課題を出されてしまうとは。我々も驚いておりますよ」
「いくつになっても子供に振り回されるのう、はっはっは」
「随分と慣れましたな、はっはっは」
「ふっふっふ」

「もう少し危機感を持つべきではありませんこと?」


カロリーナ妃殿下の鋭い言葉に思わず黙ってしまうカーン陛下とサイラス様。
一緒に笑っていたシシア様だけが、あらごめんなさい?とのほほんとした態度をとっていらっしゃった。



―――――――――――――――――――――



ローレンス様のご提案通り、ユーファステア侯爵家は全力を持ってメイシィの解毒に取り組む。

そう陛下に宣言をされた一同は、退出した足でメイシィに会いに行くことになった。
ご案内のため先頭を歩く私の後ろで、また各々好きに話し始める声が聞こえる。


「思ったよりすんなり許可いただけたわね~」
「そういえばナタリー、あなた子供のお世話は大丈夫なの?」
「竜のことは竜に任せてるから、そんなに忙しくないのよ~。
サーシャ知ってる?小竜は定期的に親竜と一緒に山に籠って修行するのよ」
「まあ!知らなかったわ」


どうやらいつもこんなに騒がしいようだ。
全く気にしていない侯爵夫妻やローレンス様を見て察した。

やがて、クリード殿下のお部屋を通り過ぎた先、同じ意匠の扉をコンコンと叩く。
自分の名を呼べばメイシィの声が返ってきたので、扉を開けた。


「メイシィ様、ユーファステア侯爵家のみなさまがいらしております」
「え?」


メイシィは薬の副作用なのか、倦怠感が酷くまだベッドから出られないでいる。
今も上半身を起こした状態でこちらを驚いた表情で見つめていた。

それもそうだろう。
もう会うことすらないかもしれない試験の相手と面会することになるのだから。
しかも今回はあのユーファステア侯爵夫妻までいる。
驚かないわけがな―――――――――――――


「ああ、メイシィ!!」
「え?」


シシア様が大声を上げて駆けていった。
慌ててあとを追うサイラル様とサーシャ様たち。
ローレンス様だけが私の隣から動かず遠巻きに様子を眺めている。

シシア様はメイシィのところへ駆け込むなり、そのまま彼女をぎゅっと抱きしめた。


「あああ、もう、心配かけさせて!」
「シシア、メイシィが窒息するぞ」
「嫌よ~!もっとぎゅっとするわ~!」
「こらこら、もう……」


意外過ぎる反応だった。メイシィは何か言っているようだけれど、私の耳までは届かない。
ローレンス様以外の人々で埋もれてあっという間に姿が見えなくなってしまった。



ああ、そうか。
ずっと心のどこかに引っかかっていた違和感。


『そもそもどうしてメイシィの試験にユーファステア侯爵家が選ばれたのか』


思えば簡単なことだった。


どうして彼女が妖精遣いミリシア・ユーファステアと同じ見た目を持っていたのか。

どうしてローレンス様が心を砕いて試験に助力していたのか。

どうして4人の女性たちが彼女に協力的だったのか。

どうして、誰も彼女に『初めまして』と言わなかったのか。



メイシィは、彼女は、魔法薬師になる夢を叶えるために大きな犠牲を差し出していたのだわ。
それを誰よりも理解し背中を押していたから、彼らは解毒すべきだと即決した。
たとえそれが王族の意思と反するとしても。



「……驚いただろう。君は知らなかっただろうから」


ローレンス様の声はとても小さく、お優しいものだった。


「メイシィ。その名は我々からすると愛称だ。
彼女が家を出奔する前の名前は『メリアーシェ・ユーファステア』

最後の試験、願いを叶えるのは『メイシィ自身』なんだ」



我が親友、メイシィの願い。
そんなもの、1つしかないに決まっているわ。

サーシャ様が見せてくださった手紙にあった、ユリリアンナ様の文字を思い出す。


『メイシィがクリード殿下へ想いを伝えられるように、助けてあげて』



熱い思いが全身を駆けていく。

叶えてみせるわ、あなたの願い。


だから待ってて、メイシィ大切な友


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件

三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。 ※アルファポリスのみの公開です。

働かなくていいなんて最高!貴族夫人の自由気ままな生活

ゆる
恋愛
前世では、仕事に追われる日々を送り、恋愛とは無縁のまま亡くなった私。 「今度こそ、のんびり優雅に暮らしたい!」 そう願って転生した先は、なんと貴族令嬢! そして迎えた結婚式――そこで前世の記憶が蘇る。 「ちょっと待って、前世で恋人もできなかった私が結婚!?!??」 しかも相手は名門貴族の旦那様。 「君は何もしなくていい。すべて自由に過ごせばいい」と言われ、夢の“働かなくていい貴族夫人ライフ”を満喫するつもりだったのに――。 ◆メイドの待遇改善を提案したら、旦那様が即採用! ◆夫の仕事を手伝ったら、持ち前の簿記と珠算スキルで屋敷の経理が超効率化! ◆商人たちに簿記を教えていたら、商業界で話題になりギルドの顧問に!? 「あれ? なんで私、働いてるの!?!??」 そんな中、旦那様から突然の告白―― 「実は、君を妻にしたのは政略結婚のためではない。ずっと、君を想い続けていた」 えっ、旦那様、まさかの溺愛系でした!? 「自由を与えることでそばにいてもらう」つもりだった旦那様と、 「働かない貴族夫人」になりたかったはずの私。 お互いの本当の気持ちに気づいたとき、 気づけば 最強夫婦 になっていました――! のんびり暮らすつもりが、商業界のキーパーソンになってしまった貴族夫人の、成長と溺愛の物語!

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです

白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。 ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。 「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」 ある日、アリシアは見てしまう。 夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを! 「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」 「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」 夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。 自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。 ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。 ※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

【完結】傷物令嬢は近衛騎士団長に同情されて……溺愛されすぎです。

朝日みらい
恋愛
王太子殿下との婚約から洩れてしまった伯爵令嬢のセーリーヌ。 宮廷の大広間で突然現れた賊に襲われた彼女は、殿下をかばって大けがを負ってしまう。 彼女に同情した近衛騎士団長のアドニス侯爵は熱心にお見舞いをしてくれるのだが、その熱意がセーリーヌの折れそうな心まで癒していく。 加えて、セーリーヌを振ったはずの王太子殿下が、親密な二人に絡んできて、ややこしい展開になり……。 果たして、セーリーヌとアドニス侯爵の関係はどうなるのでしょう?

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

【完結】勤労令嬢、街へ行く〜令嬢なのに下働きさせられていた私を養女にしてくれた侯爵様が溺愛してくれるので、国いちばんのレディを目指します〜

鈴木 桜
恋愛
貧乏男爵の妾の子である8歳のジリアンは、使用人ゼロの家で勤労の日々を送っていた。 誰よりも早く起きて畑を耕し、家族の食事を準備し、屋敷を隅々まで掃除し……。 幸いジリアンは【魔法】が使えたので、一人でも仕事をこなすことができていた。 ある夏の日、彼女の運命を大きく変える出来事が起こる。 一人の客人をもてなしたのだ。 その客人は戦争の英雄クリフォード・マクリーン侯爵の使いであり、ジリアンが【魔法の天才】であることに気づくのだった。 【魔法】が『武器』ではなく『生活』のために使われるようになる時代の転換期に、ジリアンは戦争の英雄の養女として迎えられることになる。 彼女は「働かせてください」と訴え続けた。そうしなければ、追い出されると思ったから。 そんな彼女に、周囲の大人たちは目一杯の愛情を注ぎ続けた。 そして、ジリアンは少しずつ子供らしさを取り戻していく。 やがてジリアンは17歳に成長し、新しく設立された王立魔法学院に入学することに。 ところが、マクリーン侯爵は渋い顔で、 「男子生徒と目を合わせるな。微笑みかけるな」と言うのだった。 学院には幼馴染の謎の少年アレンや、かつてジリアンをこき使っていた腹違いの姉もいて──。 ☆第2部完結しました☆

処理中です...