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双子の姉妹
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しおりを挟む「ユーナはマトモなヒロインになりたいって言ってるけど…結局どうーいうヒロインの事を言ってるの?」
これは、お互いの前世を思い出して話し合った時からの疑問だ。
私は、ユーナを裏切ったりはしないし、傷つけるモノを許す気もない。
小さいながら、それは長女として産まれた運命だと思っている。
「私ね…ヒロインって皆から愛されて、何でもできる、何でも手に入る存在で居られるから…ずっとなりたいって思ってたの」
「うん」
まぁ、要は、逆ハー出来るし、チートな力も手に入れられる存在がある一種のステータスヒロインよね。
「けど…記憶戻ってから考えが変わり始めてさ。結局、そういう考えをしてると逆にギャフンって言わされる立場になるなって…」
「あ~悪役令嬢がメインヒロインに代わるパターンね」
前世では、ヒロインものより悪役令嬢がメインのギャフンストーリーが多いのが定番だったしなぁ。
悪役令嬢ブームみたいな感じ。
「そりゃあヒロインに誰だってなりたいと思うのが普通じゃない? けど、それだとギャフンって逆に言わされそうで…」
「ユーナ…」
ユーナの目からポロポロ涙が溢れ始める。
ヒロインなんだから問題ない!!
ヒロインなんだから幸せになれる!!
私はそう思っていた。
むしろ、そうあるべきだと思っていた。
けど、違うのだ。
この世界が例え、乙女ゲームの世界だとしても…
私達は、この世界で生きてる。
高感度なんてボタン一つでどうにかなるものじゃない。
そんな事は、解っていたはずなのに。
私が一番気付いていた筈なのに…
ユーナを守るつもりが、苦しめてたのかな…
いまになって気付くなんて、私何やってるのだろう。
「この乙女ゲームってさ…2つのバージョンがあるの。一つは全年齢で…もう一つは18歳以上なんだよねぇ」
「う、うん」
「その18歳以上のバージョンのヒロインがマイーナ、貴方よ」
「うん…えぇ!?」
「と言っても、私が死ぬ前の情報だから解らないけど…開発決定って言われてたわ」
「えぇ、えっと…だからWヒロインって言ってたの?」
「そうよ、私のルートか、マイーナのルートかって…」
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ダメかなぁ~。
「マイーナには、キチンと話して無い事があるの。このままじゃダメだから聞いてほしいのだけど…」
「う~なんかこれ以上の情報は処理できる気がしない、けど…やっぱり聞かなきゃだめよね??」
「マイーナが聞いてくれるなら聞いて欲しいなぁ。けど、マイーナにとっては徳はない」
徳は…ないか。
それって、やっぱり、私にとってはマイナスな情報って事よね。
聞かなくてもいいか。
ユーナは、そう言うけど…
そこで、ユーナを突き放す勇気が私にあったなら…。
カミングアウトはしないよね。
「いいよ、教えて。そして、ユーナはどうするのか、どーしたいのかを聞きたい」
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