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きこりの泉
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昔々、あるところに一人の正直な木こりが住んでおりました。
ある日、いつものように一仕事終えて一息ついていた頃、仕事道具の斧を誤って泉に落としてしまいました。
「ああ、何ということだ。これでは仕事が出来なくなってしまう。」
木こりが嘆いておりますと、どうでしょう、泉が突然輝き出し、中から美しい女神が現れたではありませんか。
木こりが呆気に取られておりますと、女神は木こりに問いかけました。
「あなたが落としたのは、この銀のエンゼルですか?」
しかし木こりは首を振ります。
「いいえ。私が落としたのは普通の斧です。」
木こりの答えに、女神はニッコリ微笑むと再び問いかけました。
「ではこの金のエンゼルですか?」
木こりはまたもや首を振ります。
「ですから女神様。私が落としたのは普通の斧です。」
木こりが答えると女神はニッコリ微笑んで、
「あなたは正直な方ですね。褒美にこの銀のエンゼルをあげましょう。」
そう言って銀のエンゼルを木こりに渡しました。
「いや……あの……ですから私が落としたのは普通の斧でして……。」
「この銀のエンゼルを3つ集めると、おもちゃの缶詰と交換できます。ちなみに金なら1つで交換できます。」
「え……。じゃあ金の方をください。」
「欲張りはいけません。」
「あ……。はい。すいません。」
そうして木こりは、女神から銀のエンゼルを受け取りました。
「あの……時に女神様、おもちゃの缶詰というのは?」
「中身は教えられません。しかしとても珍しい物です。この100年、近所でこれを持つ者を私は見た事がありません。」
「そ、それほどまでに珍しいのですか。」
「ええ。それはもう。」
「ところで私の斧は、返して頂けるのですか?」
「さようなら。正直な人よ。」
そうして、女神は満面の笑みをたたえて消えて行きました。
一人残された木こりは銀のエンゼルをまじまじと見つめると、
「あと……2つ……。」
一言そう呟いて、残り2本の斧に手を伸ばし始めました。
ある日、いつものように一仕事終えて一息ついていた頃、仕事道具の斧を誤って泉に落としてしまいました。
「ああ、何ということだ。これでは仕事が出来なくなってしまう。」
木こりが嘆いておりますと、どうでしょう、泉が突然輝き出し、中から美しい女神が現れたではありませんか。
木こりが呆気に取られておりますと、女神は木こりに問いかけました。
「あなたが落としたのは、この銀のエンゼルですか?」
しかし木こりは首を振ります。
「いいえ。私が落としたのは普通の斧です。」
木こりの答えに、女神はニッコリ微笑むと再び問いかけました。
「ではこの金のエンゼルですか?」
木こりはまたもや首を振ります。
「ですから女神様。私が落としたのは普通の斧です。」
木こりが答えると女神はニッコリ微笑んで、
「あなたは正直な方ですね。褒美にこの銀のエンゼルをあげましょう。」
そう言って銀のエンゼルを木こりに渡しました。
「いや……あの……ですから私が落としたのは普通の斧でして……。」
「この銀のエンゼルを3つ集めると、おもちゃの缶詰と交換できます。ちなみに金なら1つで交換できます。」
「え……。じゃあ金の方をください。」
「欲張りはいけません。」
「あ……。はい。すいません。」
そうして木こりは、女神から銀のエンゼルを受け取りました。
「あの……時に女神様、おもちゃの缶詰というのは?」
「中身は教えられません。しかしとても珍しい物です。この100年、近所でこれを持つ者を私は見た事がありません。」
「そ、それほどまでに珍しいのですか。」
「ええ。それはもう。」
「ところで私の斧は、返して頂けるのですか?」
「さようなら。正直な人よ。」
そうして、女神は満面の笑みをたたえて消えて行きました。
一人残された木こりは銀のエンゼルをまじまじと見つめると、
「あと……2つ……。」
一言そう呟いて、残り2本の斧に手を伸ばし始めました。
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