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離愁編
ヒカル・ザ・ギャンブラー 2
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クラブ「マモン」にて、人気の無いギャンブル場で二人の男がテーブルを挟んで対峙していた。
一方は自身の追う、このクラブの元オーナーの行方を掴むため。一方は自身の地位を守るため。それぞれの目的を賭けたギャンブルが始まろうとしていた…。
「さてと、じゃあ勝負は何で決めるんだい?」
「そうですね…。では“ブラックジャック”などいかがでしょう?」
「ブラックジャックか…。えーと、どうやるんだっけ?僕はちょっとそういうトランプ遊びには疎くて…。」
渋るヒカル。金木は横を向いたまましばし黙っていたが、やがて口を開いた。
「…では、一度練習でやってみますか?私もせっかくの勝負です。ルールを知らない人を相手にするのは気が引けますからね。」
「そうかい?助かるよ。」
というわけで、ここで初心者のヒカルの為のブラックジャックのエキシビションマッチが始まった。
金木が先程から手に持っているトランプの山をシャッフルし始める。
「ではまずトランプを2枚ずつ配りますよ。」
金木は手慣れた手つきでヒカルに一枚、その後自分に一枚と交互にカードを配った。
「今配ったカードがお互いの手札になります。どうぞ。手にとってご覧ください。」
言われた通りにヒカルは配られたカードを手にとり、その札をまじまじとみつめた。ヒカルの手札は、ダイヤの6とハートのクイーンだ。
「このブラックジャックは、手札のカードの総数を21に近づけるゲームです。21の数字により近い方が勝ちとなります。ただし、21を超えては駄目。21を超えたらその時点で負けとなります。」
「なるほど。21に足りないから追加でカードが欲しい場合は?」
「その場合は『ヒット』と言ってもらえれば追加で一枚配ります。この『ヒット』は何度でも可能です。」
「なるほど…。じゃ、『ヒット』だ。」
ヒカルの言葉に応じて、金木は一枚カードを配った。
ヒカルはそのカードを手に取った。スペードの4だ。
「…絵札とかはどう数えるんだい?ジャックが11、クイーンが12、キングが13?」
「いいえ。今回絵札は絵柄に関わらず10で数えます。ここが少々他のトランプゲームと違うところですかね。あと1、つまりエースのカードも特殊な数え方で、1と11、いずれで数えても可とします。」
「ふ~ん。…えーと、じゃあ『ステイ』で。」
「かしこまりました。じゃあ私も『ステイ』しましょう。ここでお互いの手札を公開します。21により近い方が勝ち、遠い、もしくは21を超えている場合は負けになります。」
ヒカルと金木がお互いの手札を場に出す。
ヒカルの手札はクイーン、4、6の合計20。
対する金木はエース、キングの合計21だ。
「うわあ…。21ちょうどだ。」
「このゲームでは21ちょうどのことを『ブラックジャック』と呼びます。これがこのゲーム内の最強の役です。ボスも惜しかったですが、このエキシビションマッチは私の勝ちですね。」
「あちゃ~…。負けちゃったかあ。ま、練習だしいいか。流れも分かったしね。」
「……。」
「それにしても君、一度もこっちを見ないね。顔を見せるのが恥ずかしいのかい?」
「ご冗談を…。ボス。あなたは魔眼という能力をお持ちなんでしょう?目を合わせた人間に幻覚を見せるとか…。そんな方と目を合わせようなんて考えませんよ。」
「ははは。バレてたか。…それにしてもその…『ブラックジャック』だっけ?随分あっさりと最強役を出すんだねぇ。イカサマかなにかやってるんじゃないの?」
「…まさか。たまたまですよ。たまたま…。」
ソッポを向いたままトランプをシャッフルする金木。その表情からは真意を伺いしれなかった。
「ふ~ん…。ま、いいけどね。じゃ、本番行こっか。」
「宜しいので?…かしこまりました。では、次からは本番という事で…。」
一方は自身の追う、このクラブの元オーナーの行方を掴むため。一方は自身の地位を守るため。それぞれの目的を賭けたギャンブルが始まろうとしていた…。
「さてと、じゃあ勝負は何で決めるんだい?」
「そうですね…。では“ブラックジャック”などいかがでしょう?」
「ブラックジャックか…。えーと、どうやるんだっけ?僕はちょっとそういうトランプ遊びには疎くて…。」
渋るヒカル。金木は横を向いたまましばし黙っていたが、やがて口を開いた。
「…では、一度練習でやってみますか?私もせっかくの勝負です。ルールを知らない人を相手にするのは気が引けますからね。」
「そうかい?助かるよ。」
というわけで、ここで初心者のヒカルの為のブラックジャックのエキシビションマッチが始まった。
金木が先程から手に持っているトランプの山をシャッフルし始める。
「ではまずトランプを2枚ずつ配りますよ。」
金木は手慣れた手つきでヒカルに一枚、その後自分に一枚と交互にカードを配った。
「今配ったカードがお互いの手札になります。どうぞ。手にとってご覧ください。」
言われた通りにヒカルは配られたカードを手にとり、その札をまじまじとみつめた。ヒカルの手札は、ダイヤの6とハートのクイーンだ。
「このブラックジャックは、手札のカードの総数を21に近づけるゲームです。21の数字により近い方が勝ちとなります。ただし、21を超えては駄目。21を超えたらその時点で負けとなります。」
「なるほど。21に足りないから追加でカードが欲しい場合は?」
「その場合は『ヒット』と言ってもらえれば追加で一枚配ります。この『ヒット』は何度でも可能です。」
「なるほど…。じゃ、『ヒット』だ。」
ヒカルの言葉に応じて、金木は一枚カードを配った。
ヒカルはそのカードを手に取った。スペードの4だ。
「…絵札とかはどう数えるんだい?ジャックが11、クイーンが12、キングが13?」
「いいえ。今回絵札は絵柄に関わらず10で数えます。ここが少々他のトランプゲームと違うところですかね。あと1、つまりエースのカードも特殊な数え方で、1と11、いずれで数えても可とします。」
「ふ~ん。…えーと、じゃあ『ステイ』で。」
「かしこまりました。じゃあ私も『ステイ』しましょう。ここでお互いの手札を公開します。21により近い方が勝ち、遠い、もしくは21を超えている場合は負けになります。」
ヒカルと金木がお互いの手札を場に出す。
ヒカルの手札はクイーン、4、6の合計20。
対する金木はエース、キングの合計21だ。
「うわあ…。21ちょうどだ。」
「このゲームでは21ちょうどのことを『ブラックジャック』と呼びます。これがこのゲーム内の最強の役です。ボスも惜しかったですが、このエキシビションマッチは私の勝ちですね。」
「あちゃ~…。負けちゃったかあ。ま、練習だしいいか。流れも分かったしね。」
「……。」
「それにしても君、一度もこっちを見ないね。顔を見せるのが恥ずかしいのかい?」
「ご冗談を…。ボス。あなたは魔眼という能力をお持ちなんでしょう?目を合わせた人間に幻覚を見せるとか…。そんな方と目を合わせようなんて考えませんよ。」
「ははは。バレてたか。…それにしてもその…『ブラックジャック』だっけ?随分あっさりと最強役を出すんだねぇ。イカサマかなにかやってるんじゃないの?」
「…まさか。たまたまですよ。たまたま…。」
ソッポを向いたままトランプをシャッフルする金木。その表情からは真意を伺いしれなかった。
「ふ~ん…。ま、いいけどね。じゃ、本番行こっか。」
「宜しいので?…かしこまりました。では、次からは本番という事で…。」
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