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人形師編
西馬探偵、初の風俗に行く2
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風俗店「ヴィーナス」。俺は穴取についての情報を持つ女とコンタクトを取るために待合室で50分待ち、そして今、その御当人が目の前のエレベーターの中に立っていた。
「どうも~。初めまして~。」
その女…ゆりあは真っ赤なドレスに身を包み、ブロンドの美しい長髪をかきあげて俺に挨拶をした。大きな瞳に筋の通った高い鼻。ふっくらとした唇。どこから見ても美人だ。
それだけじゃない。ドレスからはだけている胸元は豊満で、両脚はカモシカのようにほっそりとして…。
「…?何ジロジロ見てんの?」
「ん…?あ、ああ。失礼。」
…イカンイカン。いくら風俗嬢とはいえ、女性の肢体を眺め回すのはナンセンスだ。気をしっかり持て!西馬よ!俺は何しにここへ来た!
「お兄さん、ここは初めて?」
「…へ?」
彼女の大きな瞳が俺を見つめている。それだけで俺はドギマギしてしまう。…くそっ。情けない…!
「ああ…。初めて、だよ…。」
「そう。こういう店はよく来るの?」
「い、いや。初めて、かな?」
「あら!じゃあ初めての相手に私を指名して選んでくれたのね!嬉しいわ!」
「あ、ああ…。」
ゆりあという女は、屈託のない笑顔で微笑みかける。惑わされるな…!あれは営業スマイルだ…!
「お兄さん。緊張してるの?」
「…ほへっ!?」
…やばい。変な声が出た。
「な、何が?なんで?」
「だってさっきからずっと眉間にシワ寄せてる。」
む。しまった。
「ぜ、全然緊張なんかしてない、よ~だ!」
…ああ、なんか、テンションもおかしくなってきた。
俺のその様を見て、ゆりあはまたクスクスと笑う。
「うふふ…。あなた、面白い人ね。さ、部屋に着いたわ。入って。」
どうやら話してる間に、いつの間についていたらしい。
その部屋は心地よい暖かさで俺たちを迎えた。中は薄暗く、大きめのダブルベッドと小さめのテーブル。そしてこじんまりとしたシャワールームが奥に見える。
「さ、座って。」
ゆりあは俺をベッドに座らせると、続いて俺の隣に座った。
「さ、まずはどうする?このままおしゃべり?それともシャワー浴びる?それともこのまま…。」
ゆりあの唇がゆっくりと近づいてくる。そのまま俺とゆりあは熱い口づけを…。
「ちょちょちょ、ちょい待ち!」
俺はゆりあの唇を静止した。
「わ、悪い。俺はここに遊びにきたんじゃないんだ。ちょっと、離れてくんない?ヒジョーに残念なんだけど…。」
「…あら。そう。ごめんなさいね。」
ちょっと戸惑いながら、ゆりあは離れた。…よし。名残惜しいがとりあえず一安心。
「…すまない。実は俺は君に聞きたいことがあって来たんだ。」
「私に聞きたいことがあってわざわざここまで?お兄さん、変わってるわね。」ゆりあはまた俺をクスクスと笑った。「でも、どうして私に?」
「あんたが『アスモデウス』の出身と聞いてね。」
「…『アスモデウス』…!」
彼女は笑うのをやめて俺からさらに離れ身構えた。
「あんた一体どこでその名前を…!」
ゆりあはテーブルの引き出しから拳銃を取り出し、俺に向けた。
「ま、待て!落ち着け!」
「まさか、組織の追っ手…!」
「違う!俺は探偵だ!訳あってそこのオーナーを追ってる!」
「嘘よ!組織の依頼で私を殺しに来たんでしょう!?」
「だから待てったら!あんたを殺すんならとっくに殺してるさ!」
「…まあ、確かに…。」
ゆっくりと、ゆりあは俺に向けた銃口を下げた。…やれやれだ。
「…信じてくれるか?」
「…ええ。まあ、信じるよ。あんたが本当に追っ手ならわざわざ金払って50分も待たないし、それになんか、冴えないしね。」
…あれ?なんかさっきと口調変わってない?
「どうも~。初めまして~。」
その女…ゆりあは真っ赤なドレスに身を包み、ブロンドの美しい長髪をかきあげて俺に挨拶をした。大きな瞳に筋の通った高い鼻。ふっくらとした唇。どこから見ても美人だ。
それだけじゃない。ドレスからはだけている胸元は豊満で、両脚はカモシカのようにほっそりとして…。
「…?何ジロジロ見てんの?」
「ん…?あ、ああ。失礼。」
…イカンイカン。いくら風俗嬢とはいえ、女性の肢体を眺め回すのはナンセンスだ。気をしっかり持て!西馬よ!俺は何しにここへ来た!
「お兄さん、ここは初めて?」
「…へ?」
彼女の大きな瞳が俺を見つめている。それだけで俺はドギマギしてしまう。…くそっ。情けない…!
「ああ…。初めて、だよ…。」
「そう。こういう店はよく来るの?」
「い、いや。初めて、かな?」
「あら!じゃあ初めての相手に私を指名して選んでくれたのね!嬉しいわ!」
「あ、ああ…。」
ゆりあという女は、屈託のない笑顔で微笑みかける。惑わされるな…!あれは営業スマイルだ…!
「お兄さん。緊張してるの?」
「…ほへっ!?」
…やばい。変な声が出た。
「な、何が?なんで?」
「だってさっきからずっと眉間にシワ寄せてる。」
む。しまった。
「ぜ、全然緊張なんかしてない、よ~だ!」
…ああ、なんか、テンションもおかしくなってきた。
俺のその様を見て、ゆりあはまたクスクスと笑う。
「うふふ…。あなた、面白い人ね。さ、部屋に着いたわ。入って。」
どうやら話してる間に、いつの間についていたらしい。
その部屋は心地よい暖かさで俺たちを迎えた。中は薄暗く、大きめのダブルベッドと小さめのテーブル。そしてこじんまりとしたシャワールームが奥に見える。
「さ、座って。」
ゆりあは俺をベッドに座らせると、続いて俺の隣に座った。
「さ、まずはどうする?このままおしゃべり?それともシャワー浴びる?それともこのまま…。」
ゆりあの唇がゆっくりと近づいてくる。そのまま俺とゆりあは熱い口づけを…。
「ちょちょちょ、ちょい待ち!」
俺はゆりあの唇を静止した。
「わ、悪い。俺はここに遊びにきたんじゃないんだ。ちょっと、離れてくんない?ヒジョーに残念なんだけど…。」
「…あら。そう。ごめんなさいね。」
ちょっと戸惑いながら、ゆりあは離れた。…よし。名残惜しいがとりあえず一安心。
「…すまない。実は俺は君に聞きたいことがあって来たんだ。」
「私に聞きたいことがあってわざわざここまで?お兄さん、変わってるわね。」ゆりあはまた俺をクスクスと笑った。「でも、どうして私に?」
「あんたが『アスモデウス』の出身と聞いてね。」
「…『アスモデウス』…!」
彼女は笑うのをやめて俺からさらに離れ身構えた。
「あんた一体どこでその名前を…!」
ゆりあはテーブルの引き出しから拳銃を取り出し、俺に向けた。
「ま、待て!落ち着け!」
「まさか、組織の追っ手…!」
「違う!俺は探偵だ!訳あってそこのオーナーを追ってる!」
「嘘よ!組織の依頼で私を殺しに来たんでしょう!?」
「だから待てったら!あんたを殺すんならとっくに殺してるさ!」
「…まあ、確かに…。」
ゆっくりと、ゆりあは俺に向けた銃口を下げた。…やれやれだ。
「…信じてくれるか?」
「…ええ。まあ、信じるよ。あんたが本当に追っ手ならわざわざ金払って50分も待たないし、それになんか、冴えないしね。」
…あれ?なんかさっきと口調変わってない?
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