記憶探偵の面倒な事件簿

hyui

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迷子編

またもや面倒な依頼

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「コンチハ!先生!」
「来たな…。トラブルメーカーが。」
この栗色のショートヘアの小娘はアカリという名だ。毎度毎度、面倒な事件を持ちかけてくる諸悪の権化だ。
「…なんか今、失礼なこと言わなかった?」
「いいや?気のせいじゃないか?」
…前の事件の時も、こいつが持ち込んだ以来のせいでえらい目にあった。知人も1人死にかけたんだ。まあ、その知人が不死身だったから良かったが。

「よお。アカリちゃん。」
「あ、秋山さん!こんにちは!」
秋山がアカリに声をかけた。一応、2人も顔見知りだ。
「西馬のために依頼探しか。感心、感心。」
「えへへ~。ありがとうございます。」
「秋山。あまりこいつを褒めないでくれ。厄介ごとがまた増える。」
「まあ、そういうなよ。お前も男1人じゃ寂しかろうよ。色気話の一つくらいねえとなあ。」
「秋山さん!もうっ!私、そんなんじゃないもん!」
「そうだ。こんなチンチクリンじゃあ色気話もクソもねえよ。」
と、言ったところで俺はアカリにぶん殴られた。…何で俺が…?

「…で?そのお客さんはどこに?」
「ああ、ここにいる小さい女の子…あれ?」
何やら、アカリが焦ってる。
「き、消えた!お客さん、消えちゃった!」
お客さんを探してぐるぐる回るアカリの背中に、女の子が乗っかってる。お客さんってこの子のことか。
「ええっと、その子はおかっぱ頭の女の子?」
「そう!11歳くらいの!」
「赤い服着た?」
「そう!先生すごいね!何でわかんの?」
「ついでに、今お前、体が重くないか?」
「そうなの!なんでかなぁ。体がなんかだるいの。」
「とりあえず一旦肩からその荷を下ろせ…。」

アカリが連れてきた子は、11歳くらいの女の子。黒髪のおかっぱがよく似合う、お人形さんのような女の子だ。
「…いちおう聞くぞ。何の依頼だ。」
「迷子よ。迷子の身元探し。」
…やっぱりな。
「あのな…。俺はボランティアじゃないんだ。迷子はそこの警察の人に任せなさい。」
「俺は構わんが…。だがわざわざアカリちゃんが客を呼んでくれたんだ。見てやったらどうだ?」
「…ちぇ。」
「お願いね!先生!」
しょうがない。受けてやるか。だがその前に…。
「…依頼料は?」
「ええ…。先生、こんな小さい子からお金取る気?引くわー…。」
「仕事は仕事だからな。金を受け取らんとこの仕事は無しだ。」
…前の面倒な依頼の件もある。これでなんとかこいつの依頼を回避してやる。

「おかねをわたしたらいいの?」
おかっぱの女の子はそういうと、ポケットをゴソゴソとさぐった。
「はい。」
……10円。
「え、えーと、お嬢ちゃん?これじゃちょっと…。」
「先生!大人気ないよ!」
「ちゃんと金を渡したろ?受けてやれ、西馬。」
…うぐぐ。2対1では受けざるをえんか…。


「…分かったよ。受けますよ。この依頼。」
「さっすが先生!話が分かる!」
…うるせぇよ。ちくしょう。とほほ…。
「しかし、なんだなぁ。アカリ。」
「?   何?」
「お前が持ってくる依頼は金にならん奴ばかりだなぁ。」
「人助けにお金の大小なんて関係ないでしょ!」
「だからボランティアじゃないんだって…。」
駄目だ。この状態になったアカリには何を言っても無駄だ。とっとと依頼内容を聞くとしよう…。
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