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仮面編
記憶探偵
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『--今日未明、T市郊外の山中にて身元不明の男性の遺体が発見されました。
遺体は顔部分を切り取られており、警察は身元の確認を調べています。
この手口はここ一年で起こっている連続殺人事件と手口が酷似しており--』
「おー、おー。物騒だねえ。」
テレビにつぶやきながら俺はコーヒーを啜る。
午前11:00。遅めのモーニングだ。
ここは俺の探偵事務所兼自宅。T市内の裏の裏そのまた裏…。
要するに人気のない町外れに構えている。
そう、俺は探偵…。といってもドラマのように難事件を解決したり、犯罪組織と対決したりなんかしない。
身元調査に浮気調査。失せ物探しや家事手伝い(これは探偵業に入るのか?)が専らの仕事だ。
探偵なんて実際そんなもんだ。
強いて他と違う点を挙げるなら…、客層が特殊なことくらいか。
ドンドン、と戸を叩く音。言ってる側から客が来たようだ。
「西馬!いるか?!」
―ドア越しにもわかる暑苦しい声。…秋山だな。
「どうぞ。勝手に入ってくれ。」
言うや否やバン!と勢いよくドアが開く。…もう少し静かに開けてくれ。
「しばらくだなぁ。西馬!調子はどうだ?」
「しばらくも何も先月会ったばかりだろ。」
でかい図体にでかい声。大きな体はまるで熊だ。
こいつは秋山。うちの常連の一人で、相棒でもある。今日は私服のようだが、普段は警察官をしている。
「それで?今日は何の用だ?」
「決まってるだろ。仕事の依頼だ。」
おい、と秋山が外に向かって顎をクイとあげる。すると二人の男が入ってきた。
一人は20前半の頼りない目つきの男(おおかた秋山の部下といったところか。)、もう一人は30後半の見るからにいかつい男だ。
「依頼の内容は物探しだ。こいつが隠した凶器のありかを見つけて欲しい。」
こいつ…というのはやっぱりこっちだろうな。俺が目を向けるといかつい男がギロリと睨んできた。明らかにその筋の人だ。顔には無数の傷跡。手には手錠がされてあるのか、布がかけられている。
「OK。それで依頼料なんだが…。」
「分かってる。ほら。」
秋山が懐から茶封筒を取り出した。俺はその中身を確認する。
諭吉さんがひい、ふう、みい…。
「へへ、毎度あり。じゃあそいつを前に座らせてくれ。」
秋山がまたおい、と今度は男に座るよう促す。やや抵抗があったが、コワモテの男は机を挟んで俺の正面に座らされた。
いかつい男は終始こっちを睨みつけている。
「そう睨みなさんな。リラックスして。」
「…言っておくが俺は何も喋らねえぞ。」
ドスの効いた声で牽制してくる。…あいにくこういう手合いは慣れてる。
「大丈夫。俺は二、三質問するだけだ。あんたはそれに答えてくれても答えなくてもいい。」
「ふん」
「ただ、一つだけお願いがある。質問している間、あんたの手を握らせてもらいたい。」
「あ?」
男は怪訝そうな顔をする。まぁ当然の反応か。凶器のありかの聞き込みと手を握るという行為。普通に考えて繋がるわけもないし、そんなことをする意味もない。
「おい、刑事さん。このにいちゃん大丈夫か?まさかソッチの方じゃないだろうな?」
いかつい男が秋山の方に振り返って文句を垂れる。誰がソッチの方だ。
「いいから黙っていう通りにしろ。西馬、頼むぞ。」
秋山に言われ渋々手を差し出す男。手錠にはめられた両手はゴツゴツしていて爪の間には垢が溜まっている。汚い男の手の典型だ。
俺はそれを握り、目を瞑る…。
「じゃあ質問だ。犯行に使った凶器は何だ?」
「知らないね。」
瞼の裏に映像が浮かぶ…。
黒い…。 手のひらサイズの…。 これは銃か…。
この形は…。
「分かった。使われた凶器は拳銃。マカロフだ。」
えっ、と男の驚く声が聞こえる。
「次の質問だ。凶器を隠した場所は?」
「…言うわけないだろう。」
…駅が見える。…駅名は…S駅…。…ロッカーが見える。駅構内の個人ロッカー…。
…ロッカー番号は…。
「隠し場所はS駅構内の個人ロッカー。ロッカー番号はA12だ。」
ここまで言って目を開く。目の前には青い顔をしたイカツイ男と何処かに電話している秋山が見える。
「テ、テメエ一体何者なんだ。なんで隠し場所のロッカー番号まで…。」
男が弱々しい声で尋ねる。今にも泣き出しそうな顔だ。
「…そうか。分かった。よし、回収を頼む。こちらもすぐ戻る。」
秋山は電話を切ると、イカツイ男を外に出すよう促した。男はがくりとうなだれ、外に出て行く後ろ姿には、始めの威圧的な感じはもうなかった。
「またお手柄だな。助かったよ。」
「あんたのお手柄だろ?刑事さん。」
皮肉を言いながら、コーヒーの残りを飲み干す。…うぅむ。すっかり冷めてしまったようだ
「戻らないでいいのか?」
「何、一服したらすぐ行くさ。」
「…ここは禁煙と言ったはずだが。」
「固いこと言うなよ。」
そう言って胸ポケットからタバコを取り出し、火をつける。…この野郎。
「最近はどこも禁煙、禁煙。タバコは値上がり。喫煙者には辛い時勢になっちまった。」
「この機会に禁煙したらどうだ?」
「そうもいかない。最近は事件があちこちで起きて休みを取る余裕もないんだ。タバコでも吸わなきゃやってられんよ。」
「ヤクザ同士の抗争か。さっきのやつもそうだな。」
秋山はコクコクと頷き、プハーと煙を吹く。
「例の猟奇殺人事件も捜査は進んでんのか?」
「ああ…。あれはひどいよ。被害者は今のところ二人。いずれも顔面を抉られて死んでる。身分証明書とかも全て持ち去られているから、被害者の特定も困難と来てる。」
「顔を抉るか…。」何だかイメージが湧かない。「どんな感じに?」
「聞きたいか?」
そう言うと秋山は自分の頭頂部にチョップする仕草を見せた。
「こう、頭の前半分を縦にスライスした感じだな。残った遺体は頭蓋骨も取り外されて、首から上は後頭部の皮部分だけ。だから見た感じは顔だけを抉ったように見える」
うーむ、なかなかにサイコな内容だ。
「遺体はどれも山中にあったんだろ?動物に喰われたんじゃないか?」
「いや、動物なら顔だけをピンポイントに食ったりしない。何より傷口も爪痕や、噛み跡がない。何らかの道具を使って綺麗に切り取られている。」
「つまり人為的なもの…。殺人だと。」
「そうだ。」
秋山は携帯灰皿を手に取り、タバコの灰をトントンと落とす。
これが殺人だとすると思い当たる奴がいる…。
「この手口…。アイツの犯行に似てないか?身体の一部分だけを抜き取って殺す…。」
「”コレクター”か?…そうだな。だが残念ながら別人だろう。」
一瞬秋山の顔が曇った。
“コレクター”は秋山が5年もの間追い続けている殺人犯の通り名だ。殺害した遺体から身体の一部分を奪い去る手口からその名がついた。秋山の妻も…、5年前両目を抉られて殺されている。
「まずアイツのターゲットは皆女性だ。そして一ヶ月内に複数人を殺害し、持ち去るのはそれぞれ違う部位、遺体の捨て場所も廃ビルなどの建物内が多かった。」
淡々と話してる様に見えるが、タバコを持つ手はワナワナと震えている。奴への怒りを抑えながら話しているのがこちらにも伝わってくる。
「対して今回の猟奇殺人は被害者は全て男性、持ち去られているのも頭部のみ。遺体も山中にいずれも山中に捨てられている。似てはいるが、別人の犯行だろう。」
「…そうか。」
秋山が横を向き大きく煙を吐く。その目線はどこか遠いところを見つめている様だった。
「悪い。嫌なことを思い出させちまった。」
「いや、かまわねぇよ。…もう吹っ切ったつもりなんだがなぁ。アイツの話になるとどうしても思い出しちまう。」
鼻をすすりながら語る秋山。笑ってはいるがその目はこの5年でどれだけの涙を流したのか…。
―と、突然携帯の着信音が鳴った。秋山の方からだ。
「あぁ、悪い。出るぞ。もし、もし。」
『秋山さん!まだ戻られないんですか!?すぐに戻るって言ったじゃないですか!!』
電話越しにこっちにまで声が聞こえてくる。キツそうな女の声だ。
「あぁ、すまんすまん。旧友と話し込んでしまってな。」
『早く帰って来てください!寄り道しないでくださいよ!』
相手がそこまで言ったあと、電話が切れてしまった。
「いや~ヤバイヤバイ。あいつを待たせると後が怖いんだ。」
「新しい恋人か?」
「まさか。俺の部下の一人だよ。仕事はできるんだがなぁ、いかんせん性格に難があってな。」
「あれじゃ男も寄り付かないな。」
「まったくだ。」
ワハハ、と二人のおっさんが笑い合う。
「さて、いい加減戻るか。事件に行き詰まったら、また頼むよ。」
「ああ、だが面倒なのはゴメンだぜ。」
俺の声に、秋山は振り返らないまま手を上げて応え、出ていった。
―そうか、秋山と会ってもう五年か。思えば色々な事件を追って来たもんだ。命の危険にさらされたことも一度や二度じゃない。我ながらよく生きて来たもんだ。
まあ、ここのところ厄介な事件も依頼もないし…。
さっきもらった依頼料を改める。
―ふふふ。たまには奮発して美味い飯でも食うか。いやいや、旅行するのもいいな…。
なんて思っていたら、
「センセーー!いるー!?お客さん連れて来たよー!」
…ああ、面倒ごとがやって来やがった。
遺体は顔部分を切り取られており、警察は身元の確認を調べています。
この手口はここ一年で起こっている連続殺人事件と手口が酷似しており--』
「おー、おー。物騒だねえ。」
テレビにつぶやきながら俺はコーヒーを啜る。
午前11:00。遅めのモーニングだ。
ここは俺の探偵事務所兼自宅。T市内の裏の裏そのまた裏…。
要するに人気のない町外れに構えている。
そう、俺は探偵…。といってもドラマのように難事件を解決したり、犯罪組織と対決したりなんかしない。
身元調査に浮気調査。失せ物探しや家事手伝い(これは探偵業に入るのか?)が専らの仕事だ。
探偵なんて実際そんなもんだ。
強いて他と違う点を挙げるなら…、客層が特殊なことくらいか。
ドンドン、と戸を叩く音。言ってる側から客が来たようだ。
「西馬!いるか?!」
―ドア越しにもわかる暑苦しい声。…秋山だな。
「どうぞ。勝手に入ってくれ。」
言うや否やバン!と勢いよくドアが開く。…もう少し静かに開けてくれ。
「しばらくだなぁ。西馬!調子はどうだ?」
「しばらくも何も先月会ったばかりだろ。」
でかい図体にでかい声。大きな体はまるで熊だ。
こいつは秋山。うちの常連の一人で、相棒でもある。今日は私服のようだが、普段は警察官をしている。
「それで?今日は何の用だ?」
「決まってるだろ。仕事の依頼だ。」
おい、と秋山が外に向かって顎をクイとあげる。すると二人の男が入ってきた。
一人は20前半の頼りない目つきの男(おおかた秋山の部下といったところか。)、もう一人は30後半の見るからにいかつい男だ。
「依頼の内容は物探しだ。こいつが隠した凶器のありかを見つけて欲しい。」
こいつ…というのはやっぱりこっちだろうな。俺が目を向けるといかつい男がギロリと睨んできた。明らかにその筋の人だ。顔には無数の傷跡。手には手錠がされてあるのか、布がかけられている。
「OK。それで依頼料なんだが…。」
「分かってる。ほら。」
秋山が懐から茶封筒を取り出した。俺はその中身を確認する。
諭吉さんがひい、ふう、みい…。
「へへ、毎度あり。じゃあそいつを前に座らせてくれ。」
秋山がまたおい、と今度は男に座るよう促す。やや抵抗があったが、コワモテの男は机を挟んで俺の正面に座らされた。
いかつい男は終始こっちを睨みつけている。
「そう睨みなさんな。リラックスして。」
「…言っておくが俺は何も喋らねえぞ。」
ドスの効いた声で牽制してくる。…あいにくこういう手合いは慣れてる。
「大丈夫。俺は二、三質問するだけだ。あんたはそれに答えてくれても答えなくてもいい。」
「ふん」
「ただ、一つだけお願いがある。質問している間、あんたの手を握らせてもらいたい。」
「あ?」
男は怪訝そうな顔をする。まぁ当然の反応か。凶器のありかの聞き込みと手を握るという行為。普通に考えて繋がるわけもないし、そんなことをする意味もない。
「おい、刑事さん。このにいちゃん大丈夫か?まさかソッチの方じゃないだろうな?」
いかつい男が秋山の方に振り返って文句を垂れる。誰がソッチの方だ。
「いいから黙っていう通りにしろ。西馬、頼むぞ。」
秋山に言われ渋々手を差し出す男。手錠にはめられた両手はゴツゴツしていて爪の間には垢が溜まっている。汚い男の手の典型だ。
俺はそれを握り、目を瞑る…。
「じゃあ質問だ。犯行に使った凶器は何だ?」
「知らないね。」
瞼の裏に映像が浮かぶ…。
黒い…。 手のひらサイズの…。 これは銃か…。
この形は…。
「分かった。使われた凶器は拳銃。マカロフだ。」
えっ、と男の驚く声が聞こえる。
「次の質問だ。凶器を隠した場所は?」
「…言うわけないだろう。」
…駅が見える。…駅名は…S駅…。…ロッカーが見える。駅構内の個人ロッカー…。
…ロッカー番号は…。
「隠し場所はS駅構内の個人ロッカー。ロッカー番号はA12だ。」
ここまで言って目を開く。目の前には青い顔をしたイカツイ男と何処かに電話している秋山が見える。
「テ、テメエ一体何者なんだ。なんで隠し場所のロッカー番号まで…。」
男が弱々しい声で尋ねる。今にも泣き出しそうな顔だ。
「…そうか。分かった。よし、回収を頼む。こちらもすぐ戻る。」
秋山は電話を切ると、イカツイ男を外に出すよう促した。男はがくりとうなだれ、外に出て行く後ろ姿には、始めの威圧的な感じはもうなかった。
「またお手柄だな。助かったよ。」
「あんたのお手柄だろ?刑事さん。」
皮肉を言いながら、コーヒーの残りを飲み干す。…うぅむ。すっかり冷めてしまったようだ
「戻らないでいいのか?」
「何、一服したらすぐ行くさ。」
「…ここは禁煙と言ったはずだが。」
「固いこと言うなよ。」
そう言って胸ポケットからタバコを取り出し、火をつける。…この野郎。
「最近はどこも禁煙、禁煙。タバコは値上がり。喫煙者には辛い時勢になっちまった。」
「この機会に禁煙したらどうだ?」
「そうもいかない。最近は事件があちこちで起きて休みを取る余裕もないんだ。タバコでも吸わなきゃやってられんよ。」
「ヤクザ同士の抗争か。さっきのやつもそうだな。」
秋山はコクコクと頷き、プハーと煙を吹く。
「例の猟奇殺人事件も捜査は進んでんのか?」
「ああ…。あれはひどいよ。被害者は今のところ二人。いずれも顔面を抉られて死んでる。身分証明書とかも全て持ち去られているから、被害者の特定も困難と来てる。」
「顔を抉るか…。」何だかイメージが湧かない。「どんな感じに?」
「聞きたいか?」
そう言うと秋山は自分の頭頂部にチョップする仕草を見せた。
「こう、頭の前半分を縦にスライスした感じだな。残った遺体は頭蓋骨も取り外されて、首から上は後頭部の皮部分だけ。だから見た感じは顔だけを抉ったように見える」
うーむ、なかなかにサイコな内容だ。
「遺体はどれも山中にあったんだろ?動物に喰われたんじゃないか?」
「いや、動物なら顔だけをピンポイントに食ったりしない。何より傷口も爪痕や、噛み跡がない。何らかの道具を使って綺麗に切り取られている。」
「つまり人為的なもの…。殺人だと。」
「そうだ。」
秋山は携帯灰皿を手に取り、タバコの灰をトントンと落とす。
これが殺人だとすると思い当たる奴がいる…。
「この手口…。アイツの犯行に似てないか?身体の一部分だけを抜き取って殺す…。」
「”コレクター”か?…そうだな。だが残念ながら別人だろう。」
一瞬秋山の顔が曇った。
“コレクター”は秋山が5年もの間追い続けている殺人犯の通り名だ。殺害した遺体から身体の一部分を奪い去る手口からその名がついた。秋山の妻も…、5年前両目を抉られて殺されている。
「まずアイツのターゲットは皆女性だ。そして一ヶ月内に複数人を殺害し、持ち去るのはそれぞれ違う部位、遺体の捨て場所も廃ビルなどの建物内が多かった。」
淡々と話してる様に見えるが、タバコを持つ手はワナワナと震えている。奴への怒りを抑えながら話しているのがこちらにも伝わってくる。
「対して今回の猟奇殺人は被害者は全て男性、持ち去られているのも頭部のみ。遺体も山中にいずれも山中に捨てられている。似てはいるが、別人の犯行だろう。」
「…そうか。」
秋山が横を向き大きく煙を吐く。その目線はどこか遠いところを見つめている様だった。
「悪い。嫌なことを思い出させちまった。」
「いや、かまわねぇよ。…もう吹っ切ったつもりなんだがなぁ。アイツの話になるとどうしても思い出しちまう。」
鼻をすすりながら語る秋山。笑ってはいるがその目はこの5年でどれだけの涙を流したのか…。
―と、突然携帯の着信音が鳴った。秋山の方からだ。
「あぁ、悪い。出るぞ。もし、もし。」
『秋山さん!まだ戻られないんですか!?すぐに戻るって言ったじゃないですか!!』
電話越しにこっちにまで声が聞こえてくる。キツそうな女の声だ。
「あぁ、すまんすまん。旧友と話し込んでしまってな。」
『早く帰って来てください!寄り道しないでくださいよ!』
相手がそこまで言ったあと、電話が切れてしまった。
「いや~ヤバイヤバイ。あいつを待たせると後が怖いんだ。」
「新しい恋人か?」
「まさか。俺の部下の一人だよ。仕事はできるんだがなぁ、いかんせん性格に難があってな。」
「あれじゃ男も寄り付かないな。」
「まったくだ。」
ワハハ、と二人のおっさんが笑い合う。
「さて、いい加減戻るか。事件に行き詰まったら、また頼むよ。」
「ああ、だが面倒なのはゴメンだぜ。」
俺の声に、秋山は振り返らないまま手を上げて応え、出ていった。
―そうか、秋山と会ってもう五年か。思えば色々な事件を追って来たもんだ。命の危険にさらされたことも一度や二度じゃない。我ながらよく生きて来たもんだ。
まあ、ここのところ厄介な事件も依頼もないし…。
さっきもらった依頼料を改める。
―ふふふ。たまには奮発して美味い飯でも食うか。いやいや、旅行するのもいいな…。
なんて思っていたら、
「センセーー!いるー!?お客さん連れて来たよー!」
…ああ、面倒ごとがやって来やがった。
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