14 / 58
モテるのにも苦痛は感じる②
しおりを挟む
◇ ◇
「そういえば勇ってなんで陰キャの格好してるんだっけ?」
対面に座りあってカレーライスを食べている千咲に急に問われる。
そんな質問に俺は不思議な顔を浮かべ、スプーンでカレーライスをすくいながら聞き返す。
「言わなかったっけ?」
「言われてないよ?」
「言ってなかったか」
持ち上げたカレーライスを口に頬張り、そっとスプーンを置く。
「あれは確か……」
「そういうのいいから簡潔に言って?」
俺の顔を見向きもせずにカレーを食べながら回想を阻止してくる千咲。
冷たい妹に苦笑を浮かべ、スプーンで大好物のカレーをすくいながら口を開く。
「簡潔に言うと特別扱いされるのが嫌だったからだな」
「特別扱いと言いますと?」
「俺ってイケメンじゃん?」
冗談抜きで真実を伝えるように千咲の目をじっと見つめながらそう言う俺に対し、慣れているように「そうだね」と俺と目を合わせることも無く軽く流される。
そんな態度はいつもの事なので俺も気にせずに話を進める。
「俺ぐらいの超絶イケメンだと特別扱いされるんだよ──」
そこから始まり、俺は淡々と理由を説明していく。
──イケメンだと何もかもが許される。特に相手が女子だとよっぽどのことがない限りは全てが許される。もちろんそれをラッキーと思っている時期もあったさ。なにもしなくても女子は寄ってくるし、1週間に3回は確実に告白される、そんなハーレム生活も悪くはなかった。だけど俺の周りには女子ばかりで男子が集まることは無く、たまに近づいてきたと思えばおこぼれ狙いの奴らだけ。
MINEに中学の頃の友達が居ると言ったが、あれは強引に追加され「俺らって友達だよな?」と脅されたからだ。
カレーを食べ終えた俺は「ふぅー」と1つため息をつき、今は俺の目をじっと見ている千咲の顔を見返し、笑いながら話を続ける。
「そんな感じで中学までは普通の生活ができなかった俺は高校では普通の男子高校生になろう!ってなったんだよー。陰キャの格好が普通なのかは分からんが……前よりかは圧倒的にマシだな。こんな感じの経緯があって俺はあんな格好をしてるんだぞー」
それが話の終わりだと思い、俺は食べ終わったお皿を流し台の方へ持っていこうと椅子から立ち上がると、
「勇?そのMINEの友達消しときな?そいつら友達じゃないから」
「へ?」
いきなりの辛辣発言にピタッと体が止まってしまい、拍子抜けた声が漏れてしまう。
「そいつらもおこぼれ狙いのクソ野郎どもだから消しときなー」
「それまじ?」
首だけ後ろに向けて千咲にそう問いかけると、
「まじです。友達経験の浅い勇は分からないかもだけど、そいつら普通にクズだから消しときなー」
「お、おう。友達経験が少ないのは余計だけど千咲がそこまで言うなら消してもいいか。俺自身も中学とのつながりは消したかったし」
今度こそそれを最後に、俺は流し台に食器を置いて部屋へと向かう。
「そういえば勇ってなんで陰キャの格好してるんだっけ?」
対面に座りあってカレーライスを食べている千咲に急に問われる。
そんな質問に俺は不思議な顔を浮かべ、スプーンでカレーライスをすくいながら聞き返す。
「言わなかったっけ?」
「言われてないよ?」
「言ってなかったか」
持ち上げたカレーライスを口に頬張り、そっとスプーンを置く。
「あれは確か……」
「そういうのいいから簡潔に言って?」
俺の顔を見向きもせずにカレーを食べながら回想を阻止してくる千咲。
冷たい妹に苦笑を浮かべ、スプーンで大好物のカレーをすくいながら口を開く。
「簡潔に言うと特別扱いされるのが嫌だったからだな」
「特別扱いと言いますと?」
「俺ってイケメンじゃん?」
冗談抜きで真実を伝えるように千咲の目をじっと見つめながらそう言う俺に対し、慣れているように「そうだね」と俺と目を合わせることも無く軽く流される。
そんな態度はいつもの事なので俺も気にせずに話を進める。
「俺ぐらいの超絶イケメンだと特別扱いされるんだよ──」
そこから始まり、俺は淡々と理由を説明していく。
──イケメンだと何もかもが許される。特に相手が女子だとよっぽどのことがない限りは全てが許される。もちろんそれをラッキーと思っている時期もあったさ。なにもしなくても女子は寄ってくるし、1週間に3回は確実に告白される、そんなハーレム生活も悪くはなかった。だけど俺の周りには女子ばかりで男子が集まることは無く、たまに近づいてきたと思えばおこぼれ狙いの奴らだけ。
MINEに中学の頃の友達が居ると言ったが、あれは強引に追加され「俺らって友達だよな?」と脅されたからだ。
カレーを食べ終えた俺は「ふぅー」と1つため息をつき、今は俺の目をじっと見ている千咲の顔を見返し、笑いながら話を続ける。
「そんな感じで中学までは普通の生活ができなかった俺は高校では普通の男子高校生になろう!ってなったんだよー。陰キャの格好が普通なのかは分からんが……前よりかは圧倒的にマシだな。こんな感じの経緯があって俺はあんな格好をしてるんだぞー」
それが話の終わりだと思い、俺は食べ終わったお皿を流し台の方へ持っていこうと椅子から立ち上がると、
「勇?そのMINEの友達消しときな?そいつら友達じゃないから」
「へ?」
いきなりの辛辣発言にピタッと体が止まってしまい、拍子抜けた声が漏れてしまう。
「そいつらもおこぼれ狙いのクソ野郎どもだから消しときなー」
「それまじ?」
首だけ後ろに向けて千咲にそう問いかけると、
「まじです。友達経験の浅い勇は分からないかもだけど、そいつら普通にクズだから消しときなー」
「お、おう。友達経験が少ないのは余計だけど千咲がそこまで言うなら消してもいいか。俺自身も中学とのつながりは消したかったし」
今度こそそれを最後に、俺は流し台に食器を置いて部屋へと向かう。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
大好きな彼女を学校一のイケメンに寝取られた。そしたら陰キャの僕が突然モテ始めた件について
ねんごろ
恋愛
僕の大好きな彼女が寝取られた。学校一のイケメンに……
しかし、それはまだ始まりに過ぎなかったのだ。
NTRは始まりでしか、なかったのだ……
3年振りに帰ってきた地元で幼馴染が女の子とエッチしていた
ねんごろ
恋愛
3年ぶりに帰ってきた地元は、何かが違っていた。
俺が変わったのか……
地元が変わったのか……
主人公は倒錯した日常を過ごすことになる。
※他Web小説サイトで連載していた作品です
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる