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魔法戦②
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「「「──カルー!」」」
各方面から俺を呼ぶ叫び声と男子たちがこっちに向かってくる。
1、2、3……17、18。ん?数え間違えか?この数なら男子のいじめっ子2人とクラスの男子以外全員こっちに向かってきてることになるぞ?
てかクラスの奴らもこっちを見ている気がするんだが……。
冷静に数を数え、不思議に首を傾げていると次々に詠唱を始める男子たち。
「ちょ、待てって──」
どうすることもできない俺は手を顔の前で振りながら目の前に魔法がくると同時に目を閉じてしまう。
「──なに目つぶってるのよ」
「い、彩羽。ありがと」
彩羽の魔法障壁によって守られた俺は、崩した体制をもとに戻す。
「飛んできた魔法は私が防ぐから近寄ってきた敵をどうにかしてくれる?」
「了解」
短く彩羽と作戦を共有し、目の前の男子たちに集中を向ける。
あれ?確かロットは彩羽も狙われるって言ってたよな……ってことは女子たちも。
「ファイアーボール!」
男子たちの死角から女子たちの魔法が飛んでくる、がそれも彩羽によって防がれる。
いつの間にあそこに移動してたんだよ。てかA組のやつはなにしてんだ?
そう思い、周りを見てみるがどこにもクラスメイトは見当たらない。
「あーカルくん?味方のことだけど、みんな裏切っちゃったよー」
「はぁ!?」
目を凝らしながら男子陣を見ていると、
「ほんとじゃん……」
「女子の方も寝返っちゃってる……」
これってチーム戦だよな?3人対その他の寡戦ではないよな?
いろんな思考が頭をよぎっていると、ロットの背後から怒声が聞こえてくる。
「邪魔だよおまえは!」
その声に反応し、振り向くとそこには倒れ込んだロットの姿があった。
ロットが一瞬で倒れ込む?特訓のときに戦ってきたが、ロットもかなり強いはずだぞ?
恐る恐る顔を上げると、拳をグーパーグーパーとさせる青髪の男が立っていた。
「お久しぶり、ですね」
「おーそうだな。最近は合わなかったからなー。やっとあえて俺は嬉しいよ」
「あはは、そうっすか……」
またもや震えだす右腕、左手で抑えようとするが体が思うように動かない。
息を詰まらせている俺を確認した彩羽は慌てて歪んだ笑みを浮かべる男の背後から岩の壁を生み出し、男子と女子がたまっている場所へと吹き飛ばす。
「翔大丈夫!?」
「まぁ、大丈夫」
「ずっと震えてるじゃん!」
「これはあれですよ、緊張ってやつですよ」
「うそつ──」
俺と彩羽が話していると、男子たちの後ろから金髪ロングの女が高笑いを上げる。
「──まさかあのザコ女に飛ばされたわけー?ありえないんだけどー」
金髪ロングの高笑いにつられ、もう2人──茶髪ボブの女と黄緑セミロングの女──も高笑いを始める。
まさか、と思い彩羽の方を見やると、
「私は前世では翔ほどいじめられてなかったからトラウマにはならなかったけど、いつ味わってもいじめって怖いわね~」
俺を安心させるためなのか、彩羽の顔には笑顔が浮かんでいた。
「この前翔が『彩羽は心が強くてすごいな』って言ったじゃん?」
「確かに思ったけど口にした覚えは……」
「私のことなら簡単に言葉が溢れるってこともう忘れたの?」
「あー、なら言ったのか」
「言ったのよ。それで話戻すけど、私も怖いわよ?」
「そんな笑顔浮かべてるのに?」
「作り笑顔よ。でも翔と比べれば大したことじゃないからね」
そこまで言った彩羽は俺の背中を二回叩き、前を向きながら言い放つ。
「私が言いたいことはあれだね。私がいるんだからもっと頼ってくれていいんだよってことよ」
彩羽にそう言われた俺はニッと笑い、顔を上げる。
「背中を叩くのもその言葉も俺が前世でやったことじゃねーか」
「パクらせてもらいましたー」
ニヒヒ~と笑う彩羽の顔を見た俺はいつの間にか震えも止まっており、いつもの調子……いや、いつも異常に力が湧いてくる。
「ほんの数秒だったけど、彩羽のおかげでトラウマは抜けれそうだよ。改めてありがとな」
「どういたしまして~」
彩羽のお礼を聞き、俺は47人の大人数の前に立つ。
各方面から俺を呼ぶ叫び声と男子たちがこっちに向かってくる。
1、2、3……17、18。ん?数え間違えか?この数なら男子のいじめっ子2人とクラスの男子以外全員こっちに向かってきてることになるぞ?
てかクラスの奴らもこっちを見ている気がするんだが……。
冷静に数を数え、不思議に首を傾げていると次々に詠唱を始める男子たち。
「ちょ、待てって──」
どうすることもできない俺は手を顔の前で振りながら目の前に魔法がくると同時に目を閉じてしまう。
「──なに目つぶってるのよ」
「い、彩羽。ありがと」
彩羽の魔法障壁によって守られた俺は、崩した体制をもとに戻す。
「飛んできた魔法は私が防ぐから近寄ってきた敵をどうにかしてくれる?」
「了解」
短く彩羽と作戦を共有し、目の前の男子たちに集中を向ける。
あれ?確かロットは彩羽も狙われるって言ってたよな……ってことは女子たちも。
「ファイアーボール!」
男子たちの死角から女子たちの魔法が飛んでくる、がそれも彩羽によって防がれる。
いつの間にあそこに移動してたんだよ。てかA組のやつはなにしてんだ?
そう思い、周りを見てみるがどこにもクラスメイトは見当たらない。
「あーカルくん?味方のことだけど、みんな裏切っちゃったよー」
「はぁ!?」
目を凝らしながら男子陣を見ていると、
「ほんとじゃん……」
「女子の方も寝返っちゃってる……」
これってチーム戦だよな?3人対その他の寡戦ではないよな?
いろんな思考が頭をよぎっていると、ロットの背後から怒声が聞こえてくる。
「邪魔だよおまえは!」
その声に反応し、振り向くとそこには倒れ込んだロットの姿があった。
ロットが一瞬で倒れ込む?特訓のときに戦ってきたが、ロットもかなり強いはずだぞ?
恐る恐る顔を上げると、拳をグーパーグーパーとさせる青髪の男が立っていた。
「お久しぶり、ですね」
「おーそうだな。最近は合わなかったからなー。やっとあえて俺は嬉しいよ」
「あはは、そうっすか……」
またもや震えだす右腕、左手で抑えようとするが体が思うように動かない。
息を詰まらせている俺を確認した彩羽は慌てて歪んだ笑みを浮かべる男の背後から岩の壁を生み出し、男子と女子がたまっている場所へと吹き飛ばす。
「翔大丈夫!?」
「まぁ、大丈夫」
「ずっと震えてるじゃん!」
「これはあれですよ、緊張ってやつですよ」
「うそつ──」
俺と彩羽が話していると、男子たちの後ろから金髪ロングの女が高笑いを上げる。
「──まさかあのザコ女に飛ばされたわけー?ありえないんだけどー」
金髪ロングの高笑いにつられ、もう2人──茶髪ボブの女と黄緑セミロングの女──も高笑いを始める。
まさか、と思い彩羽の方を見やると、
「私は前世では翔ほどいじめられてなかったからトラウマにはならなかったけど、いつ味わってもいじめって怖いわね~」
俺を安心させるためなのか、彩羽の顔には笑顔が浮かんでいた。
「この前翔が『彩羽は心が強くてすごいな』って言ったじゃん?」
「確かに思ったけど口にした覚えは……」
「私のことなら簡単に言葉が溢れるってこともう忘れたの?」
「あー、なら言ったのか」
「言ったのよ。それで話戻すけど、私も怖いわよ?」
「そんな笑顔浮かべてるのに?」
「作り笑顔よ。でも翔と比べれば大したことじゃないからね」
そこまで言った彩羽は俺の背中を二回叩き、前を向きながら言い放つ。
「私が言いたいことはあれだね。私がいるんだからもっと頼ってくれていいんだよってことよ」
彩羽にそう言われた俺はニッと笑い、顔を上げる。
「背中を叩くのもその言葉も俺が前世でやったことじゃねーか」
「パクらせてもらいましたー」
ニヒヒ~と笑う彩羽の顔を見た俺はいつの間にか震えも止まっており、いつもの調子……いや、いつも異常に力が湧いてくる。
「ほんの数秒だったけど、彩羽のおかげでトラウマは抜けれそうだよ。改めてありがとな」
「どういたしまして~」
彩羽のお礼を聞き、俺は47人の大人数の前に立つ。
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