転生したら彼女と再会した

せにな

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やってくれましたね?

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「ほんとすぐイチャつくね~」

 ロットの言葉でハッとした俺は自分が言ったことに驚く。
 2人の時ならまだしもまだロットがいるんだぞ?それなのになぜこんなにも素直に本音を言ってしまう?
 それも言葉だけではなく、行動にも出てしまう。可愛い彩羽を見たらキスしそうになったりといつも我慢できることが出来なくなっている。
 どうやら驚いてるのは俺だけではなく、彩羽も同じらしい。

「イチャつきだしたかと思ったら次は考え込んじゃうなんて2人ともどうしたのー?」
「なぜか知らないが、仲直りできてからすぐに本音が出てしまうんだけどなにか知らないか?」

 ロットに問いかけると少し考えたあと笑顔を向けてくる。
 「なにか知ってるのか?」と聞くと顔の前に手を合わせて申し訳なさそうに口を開く。

「ごめん、それ僕のせいかも~」
「それはどういうことだ?」
「私にも詳しく教えてくださいますか?」

 2人してロットに詰め寄ると体を反らせながら理由を話し出す。

「このままじゃ埒があかないな~って思っちゃったから僕のスキルを使ったんだよね~」
「だからあの時隠してたことが勝手に口に出たのか。でもそれとこれとどういう関係がある?」

 もし今もロットのスキルが続いてるのなら離れれば解決すると思うが、もし違うとするなら晩御飯ぐらいは奢ってもらわないと許せないぞ?

「僕の予想だけど、タガが緩んだんじゃないかなー?本当に言いたくないんだろうなっていう本音を言わせちゃったからそれよりも軽い本音は言っちゃうんじゃないかなー?」

 確かにいじめられてることは死んでも隠そうとしていた。それに比べたらさっきのことは2人きりの時なら普通にやってる事……ってことはこいつの推察は当たってるということだよな。
 でもまだ分からん。ロットが未だにスキルを使っている可能性も──

「ちなみにもうスキルは使ってないよ~」

 ──無くなってしまった。
 ロットの推察が正解だと悟った俺はため息を吐いてロットの頭を力強く鷲掴みにする。彩羽も俺に負けじと力を込めて肩を掴む。

「やってくれたな?」
「やってくれましたね?」

 さっきまでの笑顔はどこへやら、ロットの顔は恐怖で一瞬にして青くなってしまう。
 するとキュッと目を閉じたロットはいきなり大声を出しだす。

「本当にごめんなさい!今日の晩御飯は奢りますからー!!」

 大声を出しだしたロットの口を慌てて抑えて俺は周りを歩いている人に軽く会釈し、彩羽は「しー!」と人差し指を口の前に置いてロットを注意する。

「わかった、わかったから。大声出すなって」

 小声でロットに向かって言うと、「ほんとに!?」と目で言ってくる。

「許したくは無いが、仲直りさせてくれた恩もあるから今回だけだぞ?彩羽はどうする?許さないなら俺も許さない方向に切り替えるが」

 彩羽を向いてそう言うと、険しい顔をしながらもロットに許しの言葉を口にする。

「翔の友達だから今回は許しますけど、次はありませんからね?」

 ロットを抑えてた手を離すと嬉しそうに「ありがと!次はしないよ!」と言ってくる。
 こいつはもうちょっと罪悪感を感じて欲しいところだ。
 今回は喧嘩を収めてくれた恩があるから許したけど、次は数日間は口を聞く気は無いからな?
 心の中でそうつぶやくと、ビクッとロットの肩が跳ねた。
 特に詮索はしないが、もし聞いていたら数ヶ月は口聞かないからな??
 と、ロットに対して告げるとゾクゾクっと体が震え上がっているようにも見えたが、その後に「今日は寒いね~」とロットが言ってきたので勘違いだろう。
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