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第一章
ふたたび遊戯室
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グラニフ公はマナーも何も無く、バン! と勢いよく遊戯室のドアを開くと、僕をトマスの前に引きずり出して、突き飛ばした。
「なっ! ど、どうされましたか」
さすがのトマスも動揺した様子で、僕とグラニフ公を交互に見やった。
「君の奉公人が、発情剤を飲んで私を誘惑したのだ!」
そう言いながら、グラニフ公は部屋の隅まで後ずさり、ハンカチで鼻を抑えながら、出来るだけ僕から距離を取った。
たくさんのアルファが集う部屋に連れ込まれ、僕の理性は焼ききれそうだった。アルファの子種が欲しい。はやく、はやく欲しい! 僕は身もだえしながらさらにフェロモンを垂れ流した。
「こんなはしたないオメガは見たことがない! わざわざ発情剤まで飲んで、はじめて会うアルファにフェロモンレイプを仕掛けるなど、考えられん!」
離れた場所からグラニフ公が何か叫んでいたが、僕はそれを理解することができなかった。快楽に支配されて、アルファたちに犯してもらうことしか考えられない。
トマスは何かを理解したようで、さっと姿勢を正して、僕に迫った。
「おい、お前! グラニフ公を襲ったのか?」
僕は一瞬、なにを言われたのかよく分からなかった。もちろんそうだ。だってそうしなければならなかったから。
「? は、はい……。おチンポ、おチンポ欲しくて……、ああ、トマス様、お願い、はやくおチンポ……」
バチン! と勢いよく頬を叩かれて、僕は一瞬呆けた。
「なんてことをしたんだ、大事なお客様に。この大バカ者!」
バチン! バチン!
トマスが二度、三度、僕の顔を殴った。あまりの衝撃に、僕は一気に正気に戻った。なぜ殴られなければならない? トマスの命令でグラニフ公を襲ったのに?
「おい、君、やめたまえ」
いつのまにかグラニフ公が僕の横まで戻ってきていて、トマスの腕を掴んだ。
「そこまでする必要はない。ただ、もう二度と彼を私に近づけないでくれ」
「グラニフ公、お優しいお言葉ありがとうございますが、そうも参りません。この者が勝手にやったこととは言え、私にも管理責任がありますから。そもそも、この奉公人は淫乱で見境がなくて、普段から困っているのですよ。あなたにまでフェロモンレイプを仕掛けたとなれば、しっかり躾けなおさねばなりません」
「普段からこんなことを? ……本当にどうしようもない淫乱なオメガというのは、いるものなのだな」
「えぇ、本当に困ったもので……」
「と、ともかく……」
グラニフ公は後じさりして、また僕から距離を取りながら言った。
「今後私とこの男が会わないで済むようにしてくれれば、それでいい。そしてすぐに抑制剤を飲ませろ。こんな甘ったるいにおいを振りまかれてはかなわん」
「分かりました。必ずそうします」
「頼んだぞ」
そう言いおいて、グラニフ公は部屋を出て行った。僕は発情したまま、5人のアルファの真ん中に取り残されたのだった。僕の発情に当てられたアルファたちはむらむらとフェロモンを垂れ流しはじめ、ギラギラした目で僕を見ていた。
「なっ! ど、どうされましたか」
さすがのトマスも動揺した様子で、僕とグラニフ公を交互に見やった。
「君の奉公人が、発情剤を飲んで私を誘惑したのだ!」
そう言いながら、グラニフ公は部屋の隅まで後ずさり、ハンカチで鼻を抑えながら、出来るだけ僕から距離を取った。
たくさんのアルファが集う部屋に連れ込まれ、僕の理性は焼ききれそうだった。アルファの子種が欲しい。はやく、はやく欲しい! 僕は身もだえしながらさらにフェロモンを垂れ流した。
「こんなはしたないオメガは見たことがない! わざわざ発情剤まで飲んで、はじめて会うアルファにフェロモンレイプを仕掛けるなど、考えられん!」
離れた場所からグラニフ公が何か叫んでいたが、僕はそれを理解することができなかった。快楽に支配されて、アルファたちに犯してもらうことしか考えられない。
トマスは何かを理解したようで、さっと姿勢を正して、僕に迫った。
「おい、お前! グラニフ公を襲ったのか?」
僕は一瞬、なにを言われたのかよく分からなかった。もちろんそうだ。だってそうしなければならなかったから。
「? は、はい……。おチンポ、おチンポ欲しくて……、ああ、トマス様、お願い、はやくおチンポ……」
バチン! と勢いよく頬を叩かれて、僕は一瞬呆けた。
「なんてことをしたんだ、大事なお客様に。この大バカ者!」
バチン! バチン!
トマスが二度、三度、僕の顔を殴った。あまりの衝撃に、僕は一気に正気に戻った。なぜ殴られなければならない? トマスの命令でグラニフ公を襲ったのに?
「おい、君、やめたまえ」
いつのまにかグラニフ公が僕の横まで戻ってきていて、トマスの腕を掴んだ。
「そこまでする必要はない。ただ、もう二度と彼を私に近づけないでくれ」
「グラニフ公、お優しいお言葉ありがとうございますが、そうも参りません。この者が勝手にやったこととは言え、私にも管理責任がありますから。そもそも、この奉公人は淫乱で見境がなくて、普段から困っているのですよ。あなたにまでフェロモンレイプを仕掛けたとなれば、しっかり躾けなおさねばなりません」
「普段からこんなことを? ……本当にどうしようもない淫乱なオメガというのは、いるものなのだな」
「えぇ、本当に困ったもので……」
「と、ともかく……」
グラニフ公は後じさりして、また僕から距離を取りながら言った。
「今後私とこの男が会わないで済むようにしてくれれば、それでいい。そしてすぐに抑制剤を飲ませろ。こんな甘ったるいにおいを振りまかれてはかなわん」
「分かりました。必ずそうします」
「頼んだぞ」
そう言いおいて、グラニフ公は部屋を出て行った。僕は発情したまま、5人のアルファの真ん中に取り残されたのだった。僕の発情に当てられたアルファたちはむらむらとフェロモンを垂れ流しはじめ、ギラギラした目で僕を見ていた。
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