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第2章
町の人気者
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「よかったね、アイル。親切な人がいて」
「うん。……僕びっくりした。僕の顔、知っている人がいるんだね」
「え? そりゃそうだよ。この間だって儀式に出たばっかりじゃないか」
「みんな僕の顔なんか見てるんだね。アンソニー様しか見られていないと思ってたよ」
「そんなわけがあるか! むしろお前は今までにないタイプの奴隷だから人気があるぞ」
王宮からほとんど外に出たことがないアイルはどうも世間に疎い。自分の人気を過小評価していた。
「ほら、これを見てみろ」
ミゼルが指さしたのは、お店の個室に飾ってあったアイルの姿絵だった。いつか専門の絵師に描かせた、アイルがアンソニーに後ろから犯され、イっている時の絵だ。
「わっ!」
それを見て、アイルはのけぞらんばかりに驚いた。アイルはその絵を描かれた時のことをまざまざと思い出して、顔を赤らめた。
「あの絵なんて、もう売れに売れまくっちゃって、町中いたるところに飾られているんだぞ?」
「ええ!」
あられもない恰好で、快感に顔をゆがめている自分の姿が町中に飾られていると聞いて、アイルは恥ずかしさに身を縮こませた。
「僕のあの、い、淫乱な姿をみんなが見てるってこと?」
「当たり前だろ? お前の絵は他のどの絵よりエロくて、めちゃくちゃヌけるって大評判なんだ」
「えええええええ!」
アイルは両手を頬に当てて、ショックを受けた様子だった。散々国民の前でアンソニーとセックスしているくせに、変なところでうぶだなとミゼルは思った。
「お邪魔しますよ」
声をかけて、先ほどのお店のおかみさんが部屋に入ってきた。
「よかったら、うちの料理も食べていって」
そう言って、芋を甘辛く煮た小鉢を二つ置いた。
「あ、ありがとうございます!」
「……ありがとうございます」
自分の肖像が貼ってあった恥ずかしさから、おかみさんの顔を見ないでアイルは小さな声で礼を言った。ミゼルはお金を出そうと財布を出したが、おかみさんは押しとどめて言った。
「いいのよ。私はその子のファンなんだからね」
そう言って、彼女はアイルを見てウインクした。
「え!? あ、あの……、ありがとう、ございます……」
アイルは頬を染めながら、小さな声で返事した。
おかみさんが部屋から出ていくと、アイルはほうっとため息を漏らし、身体の力を抜いた。
「な? 人気あるって言っただろう……」
「う、うん……」
まだ顔が熱いのか、手で顔を仰ぎながらアイルは小鉢ににじり寄り、においを嗅ぐ。
「おいしそう!」
ミゼルはフフっと、思わず笑った。
「食べようぜ」
「うん!!」
二人は楽しく食事して、祭りを満喫したのだった。
=========================================
城に戻ると、妙に迫力ある笑顔を湛えたアンソニーが待っていた。
「楽しめたようだな?」
「はい! 楽しかったです!」
「何も問題はなかったか?」
「……」
アイルはちょっと言葉に詰まった。
「……はい!」
「本当か?」
「……はい」
アイルはせわしなく自分の腕を触りながら答えた。
「言ってなかったが、危険があってはいけないからお前たちには護衛を付けていた」
「え?」
「もう一度聞く。何も問題はなかったんだな?」
「えと……、顔のベールが外れて、顔を見られちゃって……、男の人に付いてこられそうになりました……」
「また、嘘を吐いたな、アイル……」
「ひえ……」
瞳孔の拡いた目でアイルを見据えて、アンソニーは言った。
「お仕置きだな」
「うん。……僕びっくりした。僕の顔、知っている人がいるんだね」
「え? そりゃそうだよ。この間だって儀式に出たばっかりじゃないか」
「みんな僕の顔なんか見てるんだね。アンソニー様しか見られていないと思ってたよ」
「そんなわけがあるか! むしろお前は今までにないタイプの奴隷だから人気があるぞ」
王宮からほとんど外に出たことがないアイルはどうも世間に疎い。自分の人気を過小評価していた。
「ほら、これを見てみろ」
ミゼルが指さしたのは、お店の個室に飾ってあったアイルの姿絵だった。いつか専門の絵師に描かせた、アイルがアンソニーに後ろから犯され、イっている時の絵だ。
「わっ!」
それを見て、アイルはのけぞらんばかりに驚いた。アイルはその絵を描かれた時のことをまざまざと思い出して、顔を赤らめた。
「あの絵なんて、もう売れに売れまくっちゃって、町中いたるところに飾られているんだぞ?」
「ええ!」
あられもない恰好で、快感に顔をゆがめている自分の姿が町中に飾られていると聞いて、アイルは恥ずかしさに身を縮こませた。
「僕のあの、い、淫乱な姿をみんなが見てるってこと?」
「当たり前だろ? お前の絵は他のどの絵よりエロくて、めちゃくちゃヌけるって大評判なんだ」
「えええええええ!」
アイルは両手を頬に当てて、ショックを受けた様子だった。散々国民の前でアンソニーとセックスしているくせに、変なところでうぶだなとミゼルは思った。
「お邪魔しますよ」
声をかけて、先ほどのお店のおかみさんが部屋に入ってきた。
「よかったら、うちの料理も食べていって」
そう言って、芋を甘辛く煮た小鉢を二つ置いた。
「あ、ありがとうございます!」
「……ありがとうございます」
自分の肖像が貼ってあった恥ずかしさから、おかみさんの顔を見ないでアイルは小さな声で礼を言った。ミゼルはお金を出そうと財布を出したが、おかみさんは押しとどめて言った。
「いいのよ。私はその子のファンなんだからね」
そう言って、彼女はアイルを見てウインクした。
「え!? あ、あの……、ありがとう、ございます……」
アイルは頬を染めながら、小さな声で返事した。
おかみさんが部屋から出ていくと、アイルはほうっとため息を漏らし、身体の力を抜いた。
「な? 人気あるって言っただろう……」
「う、うん……」
まだ顔が熱いのか、手で顔を仰ぎながらアイルは小鉢ににじり寄り、においを嗅ぐ。
「おいしそう!」
ミゼルはフフっと、思わず笑った。
「食べようぜ」
「うん!!」
二人は楽しく食事して、祭りを満喫したのだった。
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城に戻ると、妙に迫力ある笑顔を湛えたアンソニーが待っていた。
「楽しめたようだな?」
「はい! 楽しかったです!」
「何も問題はなかったか?」
「……」
アイルはちょっと言葉に詰まった。
「……はい!」
「本当か?」
「……はい」
アイルはせわしなく自分の腕を触りながら答えた。
「言ってなかったが、危険があってはいけないからお前たちには護衛を付けていた」
「え?」
「もう一度聞く。何も問題はなかったんだな?」
「えと……、顔のベールが外れて、顔を見られちゃって……、男の人に付いてこられそうになりました……」
「また、嘘を吐いたな、アイル……」
「ひえ……」
瞳孔の拡いた目でアイルを見据えて、アンソニーは言った。
「お仕置きだな」
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