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第2章
お祭りに行こう!
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ここからしばらくエッチシーンありません!
あしからず!!!
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儀式の翌日、ミゼルは町に買い物に出かけていた。儀式は終わってもまだまだファダール祭は続く。町は散策する人であふれ、すごい活気だった。
ミゼルは言いつけられた用事はもう済ませてしまったが、祭りのメイン会場である広場へ行ってみることにした。
陽気な音楽を奏でる楽団、走り回ってはしゃぐ子ども、通る声で客を呼ぶ店主たち。広場はまっすぐに歩けないほど人でいっぱいだった。
ミゼルの育った孤児院は田舎町にあったから、祭りといってもここまで人が集まることはない。やはり王都は違う。ミゼルは人の波に驚きつつも、ワクワクしながら店をひやかし、美しい形に固められた砂糖菓子を買って王宮へ戻った。ミゼルの愛らしくて美しい友人にぴったりの食べ物だと思ったからだ。
祭りの余韻に浸りながら、ミゼルがアイルの部屋に行くと、アイルは一人で部屋の外を眺めていた。
「アイル」
声を掛けるとパッと振り返って、笑顔になった。
「ミゼル。帰って来たの?」
「うん」
ミゼルはアイルに砂糖菓子を差し出すと、自分の分をつまんで食べた。
「町はもう、大変な騒ぎだよ。お祭りだからね。もう凄い人出でさ! お店もいっぱいで、楽団も来てて、すごいんだよ!」
「へええ。すごいねえ。王都のお祭りはきっと、すごくにぎやかなんだろうねえ」
アイルは目をキラキラさせて、砂糖菓子をためつすがめつ眺めてから、ぺろぺろと舐めて、「甘い!」と喜んだ。
「僕もお祭り行きたいなあ」
「行こうよ。楽しいよ、絶対」
「うん! アンソニー様に頼んでみようかな?」
そんなことを言っていると、ちょうどアンソニー王子がやって来た。
「殿下!」
ミゼルは慌てて立ち上がり、礼を取った。アイルはアンソニーに駆け寄って、「アンソニー様!」とにこにこと砂糖菓子を差し出した。
「見てください。これ、ミゼルが買ってきてくれたんです! お祭りで! すごくおいしいんです」
「そうか。よかったな」
アンソニーは穏やかな笑みを浮かべて言った。以前のアンソニーはアイルとミゼルが親密になるのに神経質になっていたが、今では二人が仲良くしていてもあまり文句を言わなくなった。
「いっぱいお店が出てて、たくさん人がいて、すごい賑わいなんですって! アンソニー様、僕もお祭り、行ってみたいな……」
「何を言っているんだ」
アンソニーはあきれたように言った。
「俺がそんな混みあった場所へ行けるわけがないだろう。警備も大変なんだぞ。ちょっと考えたら分かるだろう」
アンソニーに叱られて、アイルはしゅんとして黙った。
「じゃあ、僕がアイルを連れて行きますよ。殿下はお忙しいでしょうから」
ミゼルがそう言うと、なぜか部屋にいた全員が黙った。
「……あ、あのね、ミゼル。僕はアンソニー様の奴隷だから、アンソニー様から離れることはできないんだ」
慌てたようすでアイルがミゼルに言う。
「でも、アンソニー様だって、忙しいからずっとアイルの相手はできないでしょう? 僕がその間面倒見ますよ」
「ダメだ。ともかく、アイルは祭りには行かせない」
アンソニーは明らかに不機嫌になった。
「気が削がれた。仕事に戻るぞ」
アンソニーはそう言うと、侍従や護衛を引き連れて部屋を出て行ってしまった。
ここからしばらくエッチシーンありません!
あしからず!!!
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儀式の翌日、ミゼルは町に買い物に出かけていた。儀式は終わってもまだまだファダール祭は続く。町は散策する人であふれ、すごい活気だった。
ミゼルは言いつけられた用事はもう済ませてしまったが、祭りのメイン会場である広場へ行ってみることにした。
陽気な音楽を奏でる楽団、走り回ってはしゃぐ子ども、通る声で客を呼ぶ店主たち。広場はまっすぐに歩けないほど人でいっぱいだった。
ミゼルの育った孤児院は田舎町にあったから、祭りといってもここまで人が集まることはない。やはり王都は違う。ミゼルは人の波に驚きつつも、ワクワクしながら店をひやかし、美しい形に固められた砂糖菓子を買って王宮へ戻った。ミゼルの愛らしくて美しい友人にぴったりの食べ物だと思ったからだ。
祭りの余韻に浸りながら、ミゼルがアイルの部屋に行くと、アイルは一人で部屋の外を眺めていた。
「アイル」
声を掛けるとパッと振り返って、笑顔になった。
「ミゼル。帰って来たの?」
「うん」
ミゼルはアイルに砂糖菓子を差し出すと、自分の分をつまんで食べた。
「町はもう、大変な騒ぎだよ。お祭りだからね。もう凄い人出でさ! お店もいっぱいで、楽団も来てて、すごいんだよ!」
「へええ。すごいねえ。王都のお祭りはきっと、すごくにぎやかなんだろうねえ」
アイルは目をキラキラさせて、砂糖菓子をためつすがめつ眺めてから、ぺろぺろと舐めて、「甘い!」と喜んだ。
「僕もお祭り行きたいなあ」
「行こうよ。楽しいよ、絶対」
「うん! アンソニー様に頼んでみようかな?」
そんなことを言っていると、ちょうどアンソニー王子がやって来た。
「殿下!」
ミゼルは慌てて立ち上がり、礼を取った。アイルはアンソニーに駆け寄って、「アンソニー様!」とにこにこと砂糖菓子を差し出した。
「見てください。これ、ミゼルが買ってきてくれたんです! お祭りで! すごくおいしいんです」
「そうか。よかったな」
アンソニーは穏やかな笑みを浮かべて言った。以前のアンソニーはアイルとミゼルが親密になるのに神経質になっていたが、今では二人が仲良くしていてもあまり文句を言わなくなった。
「いっぱいお店が出てて、たくさん人がいて、すごい賑わいなんですって! アンソニー様、僕もお祭り、行ってみたいな……」
「何を言っているんだ」
アンソニーはあきれたように言った。
「俺がそんな混みあった場所へ行けるわけがないだろう。警備も大変なんだぞ。ちょっと考えたら分かるだろう」
アンソニーに叱られて、アイルはしゅんとして黙った。
「じゃあ、僕がアイルを連れて行きますよ。殿下はお忙しいでしょうから」
ミゼルがそう言うと、なぜか部屋にいた全員が黙った。
「……あ、あのね、ミゼル。僕はアンソニー様の奴隷だから、アンソニー様から離れることはできないんだ」
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「でも、アンソニー様だって、忙しいからずっとアイルの相手はできないでしょう? 僕がその間面倒見ますよ」
「ダメだ。ともかく、アイルは祭りには行かせない」
アンソニーは明らかに不機嫌になった。
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アンソニーはそう言うと、侍従や護衛を引き連れて部屋を出て行ってしまった。
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