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第2章
不合格
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「な、なんてことを言うんだ!」
アイルは友達だ。性的な関係を持とうと思ったことなんて、一度もない。でも……。ミゼルは白く輝くアイルの体を見た。柔らかく吸い付くような肌、なめらかな曲線を見た。それは、むしゃぶりつきたいくらいに美しかった。
「でも……ダメだ。お前はアンソニー様の奴隷なんだから、僕なんかが手を触れることはできないよ」
ミゼルはモップを握りしめて言った。それを聞いたアイルは、少しほっとしたような表情を浮かべた。しかし、その表情は一瞬で消え去り、アイルはさらにねだり始めた。
「でもぉ、我慢できないよぉ! おちんぽ欲しいのっ! ね、アンソニー様に言わなかったらバレないから、大丈夫だよ。お願い、ここに、おちんぽ入れてぇ!」
ゆるゆると腰を動かして、アイルは必死に言いつのった。
「な、なにを言っているんだ!」
ミゼルは驚いてアイルの顔を見た。
「バレるバレないの問題じゃないだろ。僕はアンソニー様のおかげで、鉱山送りにならずにすんだんだ。あの方は僕の命の恩人だ。そのアンソニー様を裏切るわけにはいかないよ」
ミゼルはそうせつせつと訴えた。
「なんでぇ? 僕の身体、魅力ないの?」
「そんなわけない!」
ミゼルは思わず力強く言ってから、ごほん、とせきばらいでごまかした。
「ともかく! 僕はアンソニー様を裏切れないし、お前も、アンソニー様を裏切るようなこと、しちゃだめだ!」
「うぅ、どうしても?」
「どうしてもだ!」
ミゼルが力強く言うと、アイルは黙り込んで、じっとドアを見つめた。
「? どうした?」
「う、ううん。もう、僕がどう言っても、ミゼルは僕を抱かないってことだよね?」
アイルは相変わらずドアの方を気にしながら、そう言った。
「そうだ。お前を抱いたりなんか、絶対にしない」
ミゼルがそう言ったら、アイルが気にしていたドアがバーン!と勢い良く開いて、アンソニーが飛び出してきた。
「うーん。まあ、ギリギリ合格!」
「ふえっ!!?」
アンソニーの登場にびっくりして、ミゼルは尻もちをついた。
「途中ちょっとあやしい瞬間はあったが、まあギリギリ合格と言うことにしてやろう」
「えっ、あ、あの……、王子、ずっといたんですか?」
「そうだ。ずっといた」
アンソニーは大きくうなずいた。
「これはお前への最終テストだったんだ。据え膳のアイルを食うか食わないか。一応食わなかったので、合格だ。そして……」
そう言って、アンソニーはアイルのあごをクイッと持ち上げた。
「ミゼルを誘惑できなかったアイルは不合格」
「ご、ごめんなさい……」
「え? で、でも、そしたら俺かアイルか、どっちかは不合格になっちゃうんじゃ……」
「そうだが?」
理不尽すぎる、とミゼルは思ったが、それを言う勇気はなかった。
「それに、俺はアイルに本気でミゼルを誘惑しろと言ったのに、こいつは本気では誘惑していなかった。ちらちらこっち見て……。だってお前は不合格でもお仕置きだけで済むけど、ミゼルは不合格だったら、よくて追放、俺がマジで怒ったら殺されるかもしれないもんな?」
アンソニーが当たり前のように言うその言葉に、ミゼルはあらためてぞっとした。
「俺の命令よりもミゼルを庇うことの方が大事だったのか?」
「あ……」
アイルは口をパクパクさせたあと、結局何も言わずに黙り込んだ。
「分かった。お仕置きだ」
アンソニーは冷たく言い放った。
「着いて来い」
アイルは友達だ。性的な関係を持とうと思ったことなんて、一度もない。でも……。ミゼルは白く輝くアイルの体を見た。柔らかく吸い付くような肌、なめらかな曲線を見た。それは、むしゃぶりつきたいくらいに美しかった。
「でも……ダメだ。お前はアンソニー様の奴隷なんだから、僕なんかが手を触れることはできないよ」
ミゼルはモップを握りしめて言った。それを聞いたアイルは、少しほっとしたような表情を浮かべた。しかし、その表情は一瞬で消え去り、アイルはさらにねだり始めた。
「でもぉ、我慢できないよぉ! おちんぽ欲しいのっ! ね、アンソニー様に言わなかったらバレないから、大丈夫だよ。お願い、ここに、おちんぽ入れてぇ!」
ゆるゆると腰を動かして、アイルは必死に言いつのった。
「な、なにを言っているんだ!」
ミゼルは驚いてアイルの顔を見た。
「バレるバレないの問題じゃないだろ。僕はアンソニー様のおかげで、鉱山送りにならずにすんだんだ。あの方は僕の命の恩人だ。そのアンソニー様を裏切るわけにはいかないよ」
ミゼルはそうせつせつと訴えた。
「なんでぇ? 僕の身体、魅力ないの?」
「そんなわけない!」
ミゼルは思わず力強く言ってから、ごほん、とせきばらいでごまかした。
「ともかく! 僕はアンソニー様を裏切れないし、お前も、アンソニー様を裏切るようなこと、しちゃだめだ!」
「うぅ、どうしても?」
「どうしてもだ!」
ミゼルが力強く言うと、アイルは黙り込んで、じっとドアを見つめた。
「? どうした?」
「う、ううん。もう、僕がどう言っても、ミゼルは僕を抱かないってことだよね?」
アイルは相変わらずドアの方を気にしながら、そう言った。
「そうだ。お前を抱いたりなんか、絶対にしない」
ミゼルがそう言ったら、アイルが気にしていたドアがバーン!と勢い良く開いて、アンソニーが飛び出してきた。
「うーん。まあ、ギリギリ合格!」
「ふえっ!!?」
アンソニーの登場にびっくりして、ミゼルは尻もちをついた。
「途中ちょっとあやしい瞬間はあったが、まあギリギリ合格と言うことにしてやろう」
「えっ、あ、あの……、王子、ずっといたんですか?」
「そうだ。ずっといた」
アンソニーは大きくうなずいた。
「これはお前への最終テストだったんだ。据え膳のアイルを食うか食わないか。一応食わなかったので、合格だ。そして……」
そう言って、アンソニーはアイルのあごをクイッと持ち上げた。
「ミゼルを誘惑できなかったアイルは不合格」
「ご、ごめんなさい……」
「え? で、でも、そしたら俺かアイルか、どっちかは不合格になっちゃうんじゃ……」
「そうだが?」
理不尽すぎる、とミゼルは思ったが、それを言う勇気はなかった。
「それに、俺はアイルに本気でミゼルを誘惑しろと言ったのに、こいつは本気では誘惑していなかった。ちらちらこっち見て……。だってお前は不合格でもお仕置きだけで済むけど、ミゼルは不合格だったら、よくて追放、俺がマジで怒ったら殺されるかもしれないもんな?」
アンソニーが当たり前のように言うその言葉に、ミゼルはあらためてぞっとした。
「俺の命令よりもミゼルを庇うことの方が大事だったのか?」
「あ……」
アイルは口をパクパクさせたあと、結局何も言わずに黙り込んだ。
「分かった。お仕置きだ」
アンソニーは冷たく言い放った。
「着いて来い」
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