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第2章

僕のお花は小さいお花

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 ロイヤルガーデンパーティは、毎年春に行われる宮廷の花を愛でる会である。温室を備え、四季の花が一時に咲くロイヤルガーデンにて、庭の花はもちろん、もう一つの宮廷の花、王族付きの美しい奴隷たちを愛でる会だ。
 奴隷たちはイメージフラワーと一緒に展示される。国王の奴隷リュセは百花の王「牡丹」、第一王子の奴隷ノインはかぐわしく香る「薔薇」、競技会で落ちこぼれのイメージのついてしまった第二皇子の奴隷リズは毒花「ジキタリス」が植えられた花壇の真ん中に拘束され、参加者たちに鑑賞されるのだ。
 そして、皇太子の奴隷アイルのイメージフラワーは——。

 アイルは足元に植え付けられた様々な色のパンジーを眺めて少し不服顔だった。
「なんだか僕のお花だけ、小さくないですか?」
 アイルのイメージフラワーは可憐な「パンジー」。牡丹や薔薇は花自体が大振りで存在感があり、華やかだ。ジキタリスは花自体は小さいが、連なった花がまっすぐに立つ姿には迫力があり、草丈も高いものだとゆうに1mを超える。それに比べてパンジーは、花も小ぶりで草丈も低く、なんだか貧相に思えた。
「そうか? かわいらしくて、いいじゃないか」
 しかしアンソニーはこのパンジーをいたく気に入った様子で、花壇にかがみこんで愛でていた。
「アイル、そこに立ってみろ」
 アイルを花壇の真ん中に立たせて、「うん、お前にぴったりの、かわいい花壇だ」と褒めた。
 そう言われれば、アイルも悪い気はしない。「そ、そうですか?」と言いながら、はにかんだように笑った。
「殿下、そろそろご準備を」
 パーティを取り仕切る侍従が時間を注意すると、アンソニーはうなずいた。
「よし、アイル。服を脱げ」
「は、はい……」
 アイルは少しためらいながら服を脱いで、花壇の真ん中に置かれた台の前に立った。アンソニーは侍従が用意したつる植物を受け取り、裸のアイルの身体に巻き付けていく。
「あっ」
 乳首の上にちょうど当たるようにつるを巻かれて、アイルは小さく喘いだ。
「身じろぎするな。締まり過ぎたらどうする」
「うっ、ごめんなさい」
 つる植物のつるは、時に宿主の木を絞め殺してしまうほど強い。アンソニーは慎重にアイルの身体をつるで縛り付けていく。アンソニーがつるを引っぱって微調整するたびに、つるから生えた葉の先がアイルの身体をさわさわと柔らかく撫でるので、アイルはたまらない気持ちになった。
「んっ、あぁっ」
 抑えきれない嬌声を漏らしながら、アイルはびくびくと震えた。
「動くなと言っているだろう!」
「あっ、あ、ごめんなさい……、はうっ、ううん」
 アイルがあんまり喘ぐので、庭園の整備をしていた使用人たちは作業の手を止めて、アイルに注目していた。
「お前のせいで皆の作業が止まっているだろう、静かにしろ!」
「あっ、ごめんなさいっ、エッチな声、止まんなっ、あっ、くぅううん!」
 最後にアンソニーにぎゅっとつるを引っぱられて、アイルは甘えたように鳴いた。
 小さな葉がたくさん生えたつるがアイルの全身を這いまわり、その身体をきつく戒めていた。アイルが身じろぎするたびに、つるがアイルの身体を締め付ける。それに耐えきれず身体をくねらせると、またつるが肌に食い込み、アイルをたまらなくさせるという悪循環だった。
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