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第1章
皇太子殿下の奴隷 1
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王城の前の広場には人、人、人! 王都中の人間を集めたんじゃないかというくらい、たくさんの人間が集まっていた。彼らの目的はただ一つ、皇太子試験の結果選ばれた、新しい皇太子を一目見ることだ。
今日、新しい皇太子が選定される。午前に宮中で皇太子冊立の儀式が行われた後、新しい皇太子は広場に面した城のバルコニーに立ち、国民たちにお披露目されるのだ。
皇太子試験の最終の順位と、三人の王子のうち誰が皇太子に選ばれたのかは、宮中の儀式が終わるまでごく少数の人物にしか知らされない。民衆たちは結果が知りたくてうずうずしながら、広場に面したバルコニーの扉が開くのを今か今かと待ちわびていた。
アイルたち王室付の奴隷は、バルコニーのある部屋に待機し、儀式を終えた王族たちが戻って来るのを待っていた。彼ら奴隷たちもまた、皇太子選定の結果を知らない。
アイルは、当然アンソニーが皇太子に選ばれると信じていた。でも万が一、僕が足を引っ張ったせいで、アンソニー様が皇太子に選ばれなかったりしたら……、という不安もあった。不安と期待で胸をドキドキさせながら、アイルはアンソニーを待っていた。
城塞の鐘が鳴る。皇太子が冊立されたことを知らせる鐘だ。民衆たちがワア! と沸いた。もうすぐ宮中での儀式が終わる。
アンソニー様……!
アイルは祈るような気持ちで、部屋の扉をじっと見つめていた。
やがて、扉番がゆっくりと、うやうやしく両側の扉を開けた。王族たちが戻ってきたのだ。王子の奴隷たちは姿勢を崩さなかったが、全員の顔に緊張が走った。今日の結果次第で、自分の主人である王子たちの序列が入れ替わるからだ。
最初に入室してきたのはにこやかな笑みを浮かべた国王夫妻だった。そして、次に入室してくるのが選ばれた皇太子である。皆が固唾をのんで扉を見つめる中、颯爽と部屋に入って来たのは、――第三王子アンソニーだった。
「あ、アンソニー様!」
アイルは感極まって叫んでしまった。「静かにしなさい!」と侍従長に怒られて、アイルは慌てて口をつぐんだ。
「「「おめでとうございます、アンソニー皇太子殿下」」」
室内に立ち並ぶ貴族たちが、新しい皇太子を祝福した。それにアンソニーがにこやかに応じる。
アンソニー皇太子殿下……!
アイルは心の中で、その言葉の響きを反芻した。なんて素晴らしい響き! なんて立派なお姿……!
アンソニーは皇太子の正装である、国王の近衛隊長の制服を着ていた。光沢ある紺色の軍服に輝くゴールドのタッセル、その姿は光を集めて輝いているかのようだった。アイルはまだアンソニーに近づくことが出来なかったが、その分余すことなくアンソニーの全身を眺めることが出来た。この素晴らしい日の、美しいアンソニーの姿を脳裏に焼き付けておこうとアイルは思った。
「殿下、そろそろ国民へ挨拶を」
侍従にうながされて、アンソニーは鷹揚にうなずいた。
「アイル、おいで」
呼ばれてアイルはいそいそとアンソニーの元に駆け付けた。
「準備は出来ているな」
「はい!」
アイルは元気よく返事した。アイルも「皇太子殿下の奴隷」として、バルコニーに立つのだ。
============================
時間空いてしまい、申し訳ありませんでした!!
またボツボツ更新していきます!
もうすぐ第一部完結ですが、その後第二部も予定しているので、引き続きお付き合いいただけると幸いです
今日、新しい皇太子が選定される。午前に宮中で皇太子冊立の儀式が行われた後、新しい皇太子は広場に面した城のバルコニーに立ち、国民たちにお披露目されるのだ。
皇太子試験の最終の順位と、三人の王子のうち誰が皇太子に選ばれたのかは、宮中の儀式が終わるまでごく少数の人物にしか知らされない。民衆たちは結果が知りたくてうずうずしながら、広場に面したバルコニーの扉が開くのを今か今かと待ちわびていた。
アイルたち王室付の奴隷は、バルコニーのある部屋に待機し、儀式を終えた王族たちが戻って来るのを待っていた。彼ら奴隷たちもまた、皇太子選定の結果を知らない。
アイルは、当然アンソニーが皇太子に選ばれると信じていた。でも万が一、僕が足を引っ張ったせいで、アンソニー様が皇太子に選ばれなかったりしたら……、という不安もあった。不安と期待で胸をドキドキさせながら、アイルはアンソニーを待っていた。
城塞の鐘が鳴る。皇太子が冊立されたことを知らせる鐘だ。民衆たちがワア! と沸いた。もうすぐ宮中での儀式が終わる。
アンソニー様……!
アイルは祈るような気持ちで、部屋の扉をじっと見つめていた。
やがて、扉番がゆっくりと、うやうやしく両側の扉を開けた。王族たちが戻ってきたのだ。王子の奴隷たちは姿勢を崩さなかったが、全員の顔に緊張が走った。今日の結果次第で、自分の主人である王子たちの序列が入れ替わるからだ。
最初に入室してきたのはにこやかな笑みを浮かべた国王夫妻だった。そして、次に入室してくるのが選ばれた皇太子である。皆が固唾をのんで扉を見つめる中、颯爽と部屋に入って来たのは、――第三王子アンソニーだった。
「あ、アンソニー様!」
アイルは感極まって叫んでしまった。「静かにしなさい!」と侍従長に怒られて、アイルは慌てて口をつぐんだ。
「「「おめでとうございます、アンソニー皇太子殿下」」」
室内に立ち並ぶ貴族たちが、新しい皇太子を祝福した。それにアンソニーがにこやかに応じる。
アンソニー皇太子殿下……!
アイルは心の中で、その言葉の響きを反芻した。なんて素晴らしい響き! なんて立派なお姿……!
アンソニーは皇太子の正装である、国王の近衛隊長の制服を着ていた。光沢ある紺色の軍服に輝くゴールドのタッセル、その姿は光を集めて輝いているかのようだった。アイルはまだアンソニーに近づくことが出来なかったが、その分余すことなくアンソニーの全身を眺めることが出来た。この素晴らしい日の、美しいアンソニーの姿を脳裏に焼き付けておこうとアイルは思った。
「殿下、そろそろ国民へ挨拶を」
侍従にうながされて、アンソニーは鷹揚にうなずいた。
「アイル、おいで」
呼ばれてアイルはいそいそとアンソニーの元に駆け付けた。
「準備は出来ているな」
「はい!」
アイルは元気よく返事した。アイルも「皇太子殿下の奴隷」として、バルコニーに立つのだ。
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時間空いてしまい、申し訳ありませんでした!!
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