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4『理想のその先へ』

4 第二章第二十四話「無駄にはさせない」

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キッカケはカイと同じだった。

ウィンドル王国が、全く会議に参加しない。音沙汰も無くなってしまった。

これは何かあるのではないかと思い、チェイル王国の王ハン・チェイルは息子エリス・チェイルへウィンドル王国への訪問を任せた。ただでさえ、公務やら国に関わる事柄が苦手なエリスはいつも通り面倒だと返したが、シオルンによる説得によって何とか彼は重い腰を上げた。

そして、その道中でエリスとシオルンは見聞きしたのだ。大地を揺るがす魔力砲の轟音と、土埃を立ててそれぞれの戦力をぶつけ合う二つの国の姿を。

「何を、やってるんだお前は!」

「お前は……!」

ベルセイン状態のエリスがウェルムへと叫ぶ。右腕と融合した円錐状の槍先が彼へと突き出されていた。

絶好の機会を阻まれ、ウェルムが唇を噛む。もうすぐマキナの首を断てたというのに。

エリスとシオルンは状況を理解していた。ここがアルガス大国であること、そしてウィンドル王国のウェルムがいることから、アルガス大国がウィンドル王国に攻められていることは容易に察することが出来た。

そこに混在する理由については理解できないが、看過出来るものではないことぐらい分かった。

「シオルン!」

「はい!」

エリスの腕から離れ、シオルンがマキナと血だらけのグレイの元へと駆けていく。瀕死のグレイへ思考を割き過ぎて身構えるマキナだったが、気にせずシオルンはグレイへと肩を貸した。

「急いでこの人を安全な場所に連れて行きましょう!」

「っ、この部屋の隣に治療できる場所があるのです! そこへ!」

「分かりました!」

真剣かつ切羽詰まった表情を見せるシオルンの言葉に、マキナは疑おうとも思わなかった。今はただグレイの命を救うだけ。彼女が誰かは良く分からないけれど、善意をマキナは確かに受け取っていた。それを、自身の直感を信じるしかない。

マキナとシオルンがグレイへ肩を貸して、その場を後にしようとする。

「させると、思うか!」

ウェルムの標的はマキナ一人。背を向けてグレイを連れて行こうとする彼女は、間違いなく隙だらけだった。

風で一気に加速してマキナの背後へとウェルムが迫る。だが、風よりも早く雷が駆け抜けた。

「こっちこそ、させると思うか!」

「ちっ」

雷に弾かれるようにウェルムの刀が浮く。その彼の胴へとエリスはセインを薙いだ。が、弾かれた勢いを利用して瞬時に背後へとウェルムが移動していた。

今の攻防で、エリスは改めてウェルムの目的を理解していた。間違いなくウェルムは女王マキナの首を狙っている。

意味が分からない。これから悪魔と戦争するかもしれないって時に。

「何でだ、何でこんな事をする!?」

響くエリスの声。シオルンとマキナはどうにか隣の部屋へと移動できたようだ。

だが、まるで届いていないかのようにウェルムの殺気は変わらない。同じ人族であるはずなのに、彼はエリスにまで殺意を垂れ流していた。

そして、一言。

「全て国の為だ」

言下、風で加速したウェルムが姿を消す。目で捉えられない程の速さ。

だが、速度でエリスは負けない。加えてセインの力がある。ベルセイン状態のエリスは磁力を操りながら、雷の中を通常五の状に高速で駆け抜けることが出来る。

「っ」

一度雷に弾かれたウェルムの刀には磁力が蓄えられていた。そのせいで、加速したはずの彼は磁力によってエリスの傍へと引き寄せられた。それが最初から予測出来ていたエリスは、セインを勢いよく突き出す。

ウェルムを確かに捉えるセインだったが、彼の咄嗟に出した斬撃によって弾かれて身体を掠る程度で終わってしまった。一方でウェルムはその斬撃以上に刀を振っており、ウェルムが改めて距離を取った時、エリスの身体には幾つかの斬り傷が残されていた、

ほんの一瞬の攻防で、どちらも相手が厄介であることは理解した。理解した上で、対峙しなければならない理由があるのだ。

エリスは納得できないと言わんばかりに叫ぶ。

「国の為だって? これが本当に国の為になるのかよ!!」

「……お前には分かるまい」

「何だと?」

ウェルムが真っすぐにエリスを睨む。そこには殺意以上の想いがあった。

エリスもそれを感じ取る。負の感情であることは確かだが、ウェルムと面識があるとは言えない程の関係性だというのに、何をそこまで向けられる必要があるのか。

分からないエリスへ想いを込め、そして恨みを込めるように、ウェルムは吐き捨てた

「放蕩王子のお前に、分かってたまるか」

「……!」

その言葉に、エリスが息を呑む。

エリスにしか向けられない想いが、そこにはあった。

 

 

※※※※※

 

 

どうにかシオルンと協力して、マキナはグレイを治療ポッドへと入れることに成功した。すぐさま電源を入れ、ありったけの魔力を注ぎ込む。本来は魔力こそ注がなくても回復させるが、魔力を注げば注ぐほど回復は早くなる仕組みとなっている。致命傷とも呼べるグレイの傷では、通常速度の回復では間に合わない可能性があったのだった。

治療ポッドの中が淡い緑の光で満たされ、グレイがそれに包まれていく。これで回復は始まった。後は見守るしかない。

大量の魔力を一気に消費して、マキナは全身に疲労を感じていたが、それでも治療ポッドの傍に立ち続けた。魔力も注いだけれど、本当に間に合うかどうかは分からない。

お願い、どうか。

絶対に失いたくない。失ってはいけない。私の人生において、グレイはきっと……!

目を閉じ、治療されているグレイへ祈るようにマキナは両手を重ねて握りしめる。

「……とても、大切な人なんですね」

背後から声が聞こえてくる。振り向くと、シオルンが優しく笑っていた。グレイに意識を向けすぎて、助けてくれた彼女の事をすっかり忘れていた。

「えーっと、シオルンと言いましたか。手伝ってくれて本当にありがとうございます」

深々とマキナは頭を下げた。一国の王に頭を下げられてシオルンは慌てふためていた。

「あ、頭をお上げください! 私は当然のことをしたまでです」

「人を救うことを当然と呼べるのですね。口には出来ても、実際に実行できる者はそうおりません。貴方達は命の恩人です。感謝してもしきれません」

変わらずマキナは頭を下げ続けた。エリスとシオルンが来なければ、マキナもグレイもあの場で命を落としていた。間違いなく、だ。

困ったようにシオルンは視線を泳がせていたが、やがて眼を閉じているグレイへと焦点が当てられた。

「……マキナ様が、とても救いたがっていましたので」

「え?」

「凄い必死にあの方を救おうと、絶対に死なせないという意志を感じました。あぁ、とても大切な、大好きな方なんだなって思ったんです。……私にも愛する人がいます。だからでしょうか、何も分かってないのに、気付いたら身体が動いていたのです」

シオルンの言葉に、いつの間にかマキナは顔を上げていた。そこへ今度は彼女が頭を下げた。

「すみません、私は戻ります。彼の傍で見守りたいので。私も、あの方が回復することを心で祈っております」

そうして顔を上げたシオルンは微笑をマキナへと向け、エリスの元へと足を向けていった。その背をマキナは見つめていた。

シオルンは、理由を見つけていた。私が知らない、気付かない理由を彼女はそれこそ当然のように言っていた。

私が必死にグレイを救おうとしたのは、どうしてなのだろう。傷付いた彼を救うのなんて当然だ。でも、どうして当然なのだろう。

知っているからだろうか。私と会話してくれるからだろうか。昔から傍に居てくれるからだろうか。私の我が儘にも付き合ってくれるからだろうか。

自分の思考からは明確な言葉がパッと浮かばない。でも、気付いていることはあった。

きっと私はグレイだからこそ、あんなに必死に救おうとしたのだ。

それを、シオルンはあのように言っていた。自分の辞書には載っていない言葉で確かに告げていた。

大切で、大好きで、そして愛していると。

「……マキナ、様」

その時、自分の名前を呼ぶ微かな声が聞こえてきた。本当に小さい声だったけれど、この声を聞き逃すわけがない。

「グレイ!?」

すぐに治療ポッドへと駆け寄る。変わらず淡い光が中を満たしているが、その中でグレイは薄く目を開けていた。魔力を注いだお陰か、それとも彼の精神力のお陰なのか彼は目を覚ましていた。

その姿を見ただけで、瞳に涙が溜まり始める。でも、まだ油断していいわけじゃない。

涙を拭うマキナを見ながら、グレイは微かに笑った。

「ご無事、でしたか……」

「何を言ってるの……馬鹿!」

無事じゃないのはグレイだというのに。こちらの心配が杞憂とでも言いたげだ。

怒気の籠ったマキナの言葉に更にグレイが笑う。

「今日はよく、マキナ様の知らない一面が見られますね……」

「もう喋らない。今は回復に専念して」

治療ポッドに映る彼の心拍は段々と回復傾向にあった。このまま行けば、何とかグレイは持ちこたえてくれそうだ。

とりあえず峠は越えてくれた、ということだろう。

「ふぅ……」

脱力感と共に一気に息を吐く。へなへなとその場に座り込んでしまった。そして、再び込み上げてくる涙。今度は拭う気にもならない。

ペタッと地面に座り込んでいると、グレイが口を開いた。

「やはり、マキナ様がお造りする機械は凄いですね。こうやってたくさんのものを救ってくれます」

「……でも、貴方が傷付いたのは私のせいでもある」

レグルスには充分な硬度、耐久力を与えたつもりでいた。だが、あれを上回ってくるだなんて。製造過程での予想値が甘かったのだ。機動力に重点を置き過ぎてしまったのだろう。

見積もりが甘かったとしか言えない。グレイの怪我は、私のせいだ。

「マキナ様の為なら、私はいくらでも傷付きますよ」

「何を言っているの!」

それでも、グレイはマキナを責めない。生死を彷徨う体験をしたというのに。

「様々な試行錯誤の末に、マキナ様は誰もの役に立つものを必ず作り出します。その試行錯誤に関わらせていただける、それだけで私は光栄に思いますよ」

「……どうしてあなたはそこまで私にっ――!」

どうしてなのだろう。何故グレイは嫌がらずに私の我が儘に付き合ってくれるのだろうか。どうして、ずっと傍に居てくれるのだろうか。

私は自分が落ち着きがなく、我が儘でやりたい放題しているのは自覚している。一つの事に興味が出てしまえばそれしか見えなくなってしまい、周りに大迷惑をかけることもある。だから、決して万人に受ける正確ではないと思う。それこそ間違いなく変人だと思われていることだろう。

なのに、どうしてそんな私の傍にグレイは居てくれるの?

そんな想いが顔に出ていたのだろうか。

グレイは言った。

「私の人生は、マキナ様、貴方に出会ってから始まりました」

「……え?」

「それまでは、生きる意味も見いだせず、希望もなく、世界全てが色褪せて見えていたのですよ」

それは、間違いなくグレイの本心であり、事実であった。

グレイはマキナと違い、平民の出である。貴族だったわけでもなく、どちらかと言うと貧しい暮らしを余儀なくされていた。その頃の日々は、余りにグレイにとっては無価値で意味の無いものに見えていた。

毎日を同じように過ごし、それをただただ死ぬまで永遠に続けていくような感覚。その惰性に何の意味があるのだろうと幼少のグレイは思っていたのだ。

元々グレイが若くして大人のような思考を持っていたのが要因の一つ、またひねくれた性格をしていたことも関係している。

人の行き着く先は等しく死。過程がどうであれ、結果は変わらない。ならば、どうして過程で必死になる必要があるだろうか。

生というものに、グレイは何の意味も魅力も見いだせずにいた。

そんな彼は、幼少期にマキナと出会った。

出会ったのは、街の路地裏。グレイが数人の子供に囲まれて今からいじめられるという時だった。

グレイの性格がひねくれているがゆえに、周囲の印象は良くなかった。そして、当の本人がそれでいいと思っていた。周囲との関係性に何の意味があるというのか。誰にどう思われようと構わない。

だから、近所の子供達との衝突はよくあることだったのだ。衝突というよりは、一方的なものではあるが。

そこへ、あちこちを駆け回っていたマキナが通りかかったのだ。マキナは王族でありながら、無断で市街へと降りて駆け回る、いわゆるお転婆王女様だった。口癖が「どうして」である彼女は、外の世界に触れる度に興味を惹かれ、疑問を抱く。そして、その疑問を解決するべくあちこちを奔走しては迷惑をかけるのだ。

グレイ達の姿を見つけて、彼女は立ち止まった。

「どうして、そんなところで遊んでいるの?」

マキナの眼にはまだそれがいじめには見えなかったのだろう。事実これからいじめようとしていたわけで、始まってはいなかった。

ただ、子供達はマキナの登場で一気にグレイに対する感情を忘れた。マキナが王女であることを理解しているし、その前で子供をいじめようとしていたことがバレたら、大変なことになるんじゃないかと思ったのだ。

グレイを置いて、そそくさと退散する子供達。だが、マキナは再び首を傾げた。

「どうしてついていかないの?」

「……別に、友達じゃないから」

「じゃあ、どうして友達じゃないのにここで集まっていたの?」

「さぁね、知らないよ」

マキナが王女だろうとグレイは知ったことではない。

質問ばかり投げられ、面倒になったグレイはその場を去ろうとしたが、その腕をマキナに掴まれた。

そして一言。

「嘘」

そう言われた。

「知ってるのに、どうして教えてくれないの?」

「……教えて何になるのさ。意味ないだろ。無駄なんだよ」

力づくで振りほどこうとするものの、年齢差がまだ男女差よりも筋力に現れていて中々解けない。

段々苛立つグレイだったが、マキナの一言で動きを止める。

「それは違うよ」

「え?」

それは、質問や疑問ではなく、明確な否定。否定されるとは思っていなかったグレイは、マキナの大きな瞳を見た。

彼女は真っすぐにグレイの眼を見て答える。

「無駄かどうか分かるのは死ぬ瞬間だけだよ。どこでそれが役に立つかなんて分からないでしょ。少なくとも、今の君が決めることじゃない」

「……っ!」

グレイは目を見開いた。

不思議だった。彼女のその言葉が心に響き渡っていく。

いや、何の意味もないはずなんだ。どうせ誰もが死ぬんだから。……なのに、どうして言葉が心に残る。

「だから私は、今出来るだけ沢山のことを知るの。そして、死ぬ時にあぁ、あれは意味があったな、あれは意味なかったかぁって思うんだ。意味なかったなら笑い飛ばしたらいい。意味があったら、それだけ私の人生は成功だよ」

「……意味のあることなんて、何一つだってないよ」

その言葉にも、マキナは首を振る。

「意味はね、自分で作り出すんだよ。自分で作り出して、死ぬ時に答え合わせをするんだ。合ってたら意味があったし、間違ってたら意味がなかったんだって」

すると、マキナが顔を覗き込んできた。

「……な、何だよ」

急に整った可愛い顔が近づいてきて、グレイが視線を逸らす。彼女は、まじまじとグレイを見つめ、呟いた。

「さては君、生きてる意味もないって思ってるでしょ」

途端、マキナはグレイの腕を掴んだまま駆け出した。引っ張られるようにグレイがどうにか足を動かす。

「な、何するんだ!?」

急な行動に戸惑う彼に対して、マキナが振り向いて笑う。

「言ったでしょ、意味は作り出すものだって。今から生きてる意味を探しに行こう!!」

「ちょっ、まっ」

「待ちません!」

笑顔で駆けていくマキナに、無理矢理あちこち連れまわされるグレイ。どこへ行っても彼女は急に興味を持ち、疑問を覚えてなりふり構わず人に聞いたり動いたりしている。その間にこっそり逃げようとしたが、何故か見つかり、挙句手を握られてしまった。

楽しそうに駆け回る彼女の背を見ながらグレイは思った。

今日は本当に厄日だ。訳が分からない。

けれど、初めてだった。

どうでもいいと、無駄だと終わることなく。

 

興味を持ったのは。

 

一日無理矢理傍に居させられたからだろう。否が応でも思わずにはいられない。

彼は気になってしまったのだ。まるで彼女の口癖が映ってしまったかのように、

どうしてそこまでこの世界に興味を持てるのか。

その彼女に。

散々振り回されて、その日グレイは初めて興味を抱いたのだった。

出会いを思い出して、グレイは思う。あれから毎日のようにマキナは市街に降りてはグレイを無理矢理あちこちへと付き合わせた。当時は地獄のように思っていたけれど、今思えば、あれがなければ今の自分はここにいない。

治療ポッドの中で、彼は腕をどうにか持ち上げてマキナの方へ手を伸ばす。すぐにそれは透明なガラスに阻まれた。すると、ガラス越しにマキナが手を合わせた。

その姿に、グレイは再び微笑んだ。優しく

「意味は、ありました。あの日、貴方に出会えて、私は……――」

「グレイ……」

ポタポタとマキナが瞳から涙を流す。

彼の微笑みに気付かされた。これまでだって何度か見たことはあったけれど、いつもと違うように見える。

それはきっと、いいえ間違いなく。

 

私はグレイを、愛している。



その時だった。ピーっと警告の音が鳴り響き始める。

「っ、嘘!?」

ここに来て、治療ポッドが故障し始めた。満たしていた淡い緑の光も無くなっていき、やがて回復機能自体が止まってしまう。やはり、レグルスが時計塔に衝突した影響でどこか不具合があったようだ。

「待って、待ってよ……!」

必死に操作しようとが、反応が返ってこない。やがて、治療ポッドは完全に機能を停止してしまった。

グレイの治療自体は完全に終わったわけではない。全てあのまま順調にいけば、という話だった。途中で終わってしまえば、状況は一気に変わる。

上げられていた彼の手が、ゆっくりと下ろされていく。

「グレイ! グレイ!」

呼びかけるも、いつの間にか彼の眼も閉じられていた。

このままでは、彼の命が持たないかもしれない。

「……っ!」

マキナはすぐに動き出した。周囲にある工具や部品を急いで集めて、治療ポッドの修繕を始める。間に合うかどうか分からない。けれど、やらなきゃいけない。

可能性があるなら絶対に諦めない。

無駄になんてさせない……!

やっと彼への想いを自覚したばかりなのだ。

絶対に、伝えて見せるから。

「頑張って、グレイ……!」

どうにか持ちこたえて。

まだ、あなたは死ぬ時じゃない。

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