カイ~魔法の使えない王子~

愛野進

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4『理想のその先へ』

4 第二章第二十話「ヒーローを護る剣」

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ミーアの頑張りもあって、無事にシーナの命はこの世界に残った。自動回復魔法のお陰で、シーナの身体は至って健康体。後に目を覚ますだろうとのことだった。

ミーアは目覚めるまで傍にいると言っていたが、次の瞬間にはシーナの寝るベッドに顔を伏せて寝てしまった。二日も徹夜し、その間忙しく動き回ったり思考回路が焼き切れてしまうのではないかと言う程頭を使ったりしたのだ。当然疲労は頂点に達していた。無理もないだろう。

ただ、ミーアがシーツを握りしめて離さないので、その小さな背に毛布をかけて、全員がその場を後にした。

それから、イデアは城内を探すけれど。

カイの姿を見ていない。セインから想いを辿ろうとするけれど、カイから伝わってくる想いはまるで天災のように激しく渦巻いていて、いまいち場所が把握できない。

話したいことがあった。ベルセイン・リングのこともそうだけど。

カイが抱えているものについて、話したいことがあったんだ。

城内にいないとなれば、イデアに浮かぶのは一つの場所。

レイデンフォート城を出て、周囲を囲む森へと足を運ぶ。そろそろ夕陽も完全に沈み、藍色の空が姿を見せ始める。その藍もやがては紺へと変わっていくはずだ。

木々の間を足早に進んでいく。周囲には誰もいなくて静か。葉が揺れる音ですらうるさく聞こえるくらいだった。

「……イデアさん」

心の中からフィグルの声が聞こえてくる。彼女の声はどこか悲しそうに聞こえたのは気のせいだろうか。

「私は、結局ベグリフに寄り添うことが出来ませんでした。繋がることが出来ませんでした。……でも貴方なら、貴方達なら大丈夫です。本当にそう思える。だから、自信を持ってください」

心の中なのに、背中を押されたような気がする。

ありがとうございます、フィグルさん。

そう心に唱えて、イデアはその大きな瞳で前を見据えた。

もうすぐ森を抜ける。月明かりが出て来ていた。

それに照らされるように、反射するように目の前の湖は光り輝いていて。

その前に、カイが座っていた。何をするでもなく、何を見つめるでもなく。ただその場に座っていた。イデアが近づく音は聞こえているはずだが、それでも振り向くことなく座っていた。

その横にドレスが折れないように掬って、イデアはぺたんと座り込んだ。

カイは何も言わない。イデアもまだ何も言い始めない。

ゆっくりとした時間が流れる。

けれど、セインから伝わる彼の想いは暴風のままだった。

どうにかしてあげたい。私が、彼を支えたい。これまで私の心を支えてくれた分をお返ししたい。

込み上げてくる愛しさを、想いを全部伝えよう。

そして、伝えてもらうんだ。

「私達の日々はここから始まったんだよね」

イデアがカイに聞こえるくらいの声で呟いた。

「カイが、私を見つけてくれた」

フィールス王国から逃げ出してきたイデアを、カイが見つけた。そこから全てが始まった。

「カイとは勿論初対面だったけど、私はすぐに貴方を好きになったよ。あの時は理由なんて大してなかったかもしれない。でも、今なら分かる。どうしてカイが好きなのか」

イデアは力なく降ろされている彼の手を握った。指を絡めるようにして、想いを伝えるように握った。

「カイは、いつも私を救ってくれる。何も関係なかったのに、フィールス王国を取り戻してくれた。ずっと存在に悩んでいた私の心を、貴方が救ってくれた。貴方は、私のヒーローなの」

そのままもう片方の手で、彼の手を包む。漸く、カイがこちらを向いた。困ったように笑っている。

そうだ、今のカイはよく笑う。本心を包み込むように、笑みで隠すように笑うんだ。

まるで、それが自分の責任とでも思っているように。

違う、と伝えたい。

「ううん、もう今は皆にとってヒーローなのかもしれない」

「……そう、かもな」

カイが再び視線を湖へと向ける。その瞳は揺れている。湖の水面のように静かに揺れている。

きっとカイは本当にそう思っている。

彼には託されたものがある。ゼノやセラ、エイラの理想。ヴァリウスの想い。その他大勢の願い。

それを背負って、カイは必死に前へ進もうとしている。どれだけ心が悲鳴を上げていようと無視して、気のせいだと言い聞かせて、託されたものに応えようとボロボロの心で前進しようとする。

自分はヒーローだから。救いを求める声に応えなくちゃいけない。応えられるだけの力が自分にはある。その力が託された。なら、無駄に出来ない。下を見ている暇はない。心を引きずってでも進み続ける。

確かに、カイはヒーローだと思う。

でも。

「でも、たとえヒーローでも、カイはカイだよ」

「……?」

カイがイデアへ首を傾げる。まだ伝わらない。伝われ。

それは、カイが教えてくれたことじゃないか。

イデアはカイの眼を真っすぐに見つめた。

「どれだけヒーローであろうとしても、結局はカイなんだから。全部なんて出来るわけない。出来ないことがあるのは当然だし、悩んだり苦しんだり悲しんだり、涙を流したりするのは当たり前だよ。皆、それくらい分かってるよ。誰も泣いちゃ駄目とか、悩んだら駄目なんてカイに思ってない。完璧なカイを望んでるわけじゃないんだよ。不完全なのを分かっていて、そんなカイだからこそ、皆ヒーローだって思うんだ」

やがて、手を握ったままイデアは立ち上がった。イデアは彼を見下ろす。

どうか伝わって。

イデアは自分の存在意義に悩んだ。私は本当に私なのかって。フィグルの代わりでしかないんじゃないかって。でも、カイは悪魔族だろうと何だろうとイデアはイデアだって言ってくれた。代わりだろうと何だろうと私は私だって。

カイはずっと私を見続けてくれる。代わりの私じゃなくて、私だけをずっと。

それが凄く嬉しかった。だから、前に進めたんだ。

今度は、私が伝えてあげるんだ。

どれだけ誰に託されていようと、貴方は貴方だって。

私は、そんなあなただけを見ているよ、って。

「カイはカイだから、ヒーローになれるんだよ。無理なんてしなくていいの。泣きたい時は泣いて、辛い時は叫んで、悩んでる時は助けを呼んでいいんだよ」

「イデア……」

カイへ、イデアが優しく微笑んだ。

ヒーローだって人だ。世界に生きる人々と変わらない命だ。だから、救いを求めたっていいんだ。

そんな貴方を。今度は私が救う番。

 

「私が、貴方のヒーローになるから」

 

誓うように、イデアは言った。カイの瞳が言の葉に揺れる。

貴方が見つけてくれた私は、私として貴方を救うヒーローになる。

あの頃悩んでいたのが嘘みたいに、イデアは自身の存在を確かに感じていた。

呆然とイデアを見つめていたカイだったが、やがて一筋の涙を零しながら笑った。

「本当だ。なろうとしなくたって、変わろうとしなくたって、イデアはイデアのままで充分俺のヒーローじゃないか……」

涙はどんどん溢れてくる。カイは拭うことなく、温かい笑みをイデアへ見せていた。

それはヒーローとしての笑みなどではなく、彼としての笑みだったとイデアは思った。

「助けてって言わなきゃ駄目だよ、カイ」

ギュッとカイを抱きしめる。座ったままの彼の頭を優しく包み込んであげる。彼女の背に、ゆっくりとカイの両腕が回った。そのままギュッと服を掴む。

「ああ、ごめんなぁ……」

顔を上げ、泣き笑ったまま彼が言う。

「俺を、助けてくれるか……!」

その言葉に、イデアも涙を零した。

カイはやっぱり苦しんでいる。様々な想いに駆られて壊れそうになっているんだ。

「当たり前だよっ……!」

想いを伝えるようにギュッと抱きしめ続ける。

少しでも支えられるように。

イデアは自分が失念していたのだと思った。

何も支えられるのは戦いだけじゃなかったんだ。

 

※※※※※

 

少し落ち着いて、再び二人は湖岸に座って湖を見ていた。変わらず指は絡めたままだ。ただ、そこから伝わる温もりが心を落ち着かせる。

話し始めるのか、カイが絡めた指に力を入れた。

「……俺さ、やっぱヴァリウスのこと、すっげー辛くてさ。アイツが俺の魔力を持っていたからか分からないけど、俺はなんというか……双子の片割れみたいな感覚だったんだ。だから、本当にキツイ」

「うん」

「それでも前を向かなきゃアイツが託したものを無駄にしちゃうって、自分へ必死に言い聞かせて進もうとした。壊れそうになる心を託されたものでガチガチに固めて、ツギハギだらけの心で進もうとしたんだ」

「うん」

「でも、ベルセイン・リングの話を聞いて、結局俺は進めなくなっちまった。今度はイデアを失ってしまうんじゃないかって、怖くなっちまった」

「……うん」

「失った時の痛みを知ってしまったから。もう二度とそんな想いは御免だ。絶対イデアを失いたくない。ベグリフに勝つ為には絶対必要な力だって分かってるのに、心が嫌がるんだよ。イデアが傷付く可能性を片っ端から否定したがるんだ」

「……うん」

言いたいことはある。けれど、イデアにその気持ちを否定することは出来ない。カイのその心はイデアを想ってのことだから。

一拍置いて、

「……ベグリフは、失ったからこそ今みたいになってしまった」

と、カイは言った。イデアには、その言葉の意味があまり分からなかった。ベグリフの何かをカイは知っているような口ぶり。それでも言葉を挟むことなく、カイの言葉を待ち続ける。

「イデアを失うことで、俺はまたあの時の喪失感を味わうことになる。ベグリフが感じた絶望を感じることになる。それが怖いんだ、俺は怖い……だから、俺はベルセイン・リングはしたくない。託されたものを全部無駄にしてしまう。それは分かっているけど、でも俺はイデアを失うことがどうしようもなく怖いんだよ」

「そっ、か……」

心の吐露が終わり、再び静寂が訪れる。

イデアは湖から夜空に浮かぶ月へと視線を変えた。

それが、セインから伝わる激しい想いの正体。

「それじゃ、私と一緒だね」

「……え?」

カイの視線を感じる。けれど、イデアは変わらず月を見上げていた。

「私も怖いよ。カイを失うのが怖い。これまでずっと怖かったもん。カイは私を置いてすぐどこかへ飛び出していく。私が知らない所でいつの間にかカイが死んじゃうんじゃないかって、ずっと怖かったんだから」

「イデア……」

それはイデアの本音。ずっと、ずっと思っていたこと。

「近くにいないって、傍に居てくれないってそれだけで怖いよね。ずっと当たり前にいてくれる存在だったら余計に」

いつの間にか、その当たり前は沢山増えていた。

カイだけじゃない。失いたくないものは数えられない程に生まれた。

それを失わないように、自分に出来ることは何か。

「カイ、私は絶対に貴方の傍からいなくならないよ」

「……!」

その言葉が、どれだけカイの救いとなり得るのか。失うという地獄のような想いを知っているからこそ、カイは足が止まってしまった。その地獄を掻き消すような彼女の一言に、カイは眼を瞠った。

ずっと、傍にいる。

イデアが月からカイへと視線を向ける。月をずっと見ていたせいか、イデアの眼は光を宿していた。

「だから、貴方も私の傍からいなくならないで。私を置いていかないで。私はずっと前から、貴方の横に立っていたかったの。貴方の横で同じものを見て、同じものを感じて、そして同じものを背負って、一緒に前へ進んでいきたかったの。手を取り合って生きていくのが、私達、でしょ?」

沢山の当たり前を守っていけるように、全てを失わないように自分に出来ることは、カイと共に、カイの横で一緒に歩んでいく事。

それが、私の人生。

「カイは私を、私はカイを失わないように、大切な全てを護り抜く為に一緒に戦おう」

結婚する時に誓ったことは、今も変わらない。この先も変わらない。

 

「私は、貴方を護る剣になるよ」

 

夜風が靡き、木々を揺らし、水面に波紋を生み出す。

イデアの言葉はやがて虚空に飲まれて消えていった。

けれど、確かに刻まれていた。

カイの心に強く刻まれていた。

「……俺、らしくないか」

すると、カイが勢いよく両頬を叩いた。凄い強さだったせいで、周囲に大きな音が響き渡っていく。

「え、大丈夫!?」

慌ててカイの頬に近づこうとするイデア。

その頬に触れて。

 

カイは静かに柔らかなその唇に口付けた。

 

「んっ……!?」

突然の出来事にイデアが驚く。カイからこのような大胆な行動に出るのは珍しい。

けれど、すぐに眼を閉じた。その頬はいつの間にか上気している。カイの行動を、イデアは受け入れていた。

すると、突然イデアの口内に何かが侵入してきた。うねうねと生きたように動くそれは、イデアの舌に絡みついてきていた。

「ん、んんっ……」

それがカイの舌であることはすぐに気付いたけれど、このようなキスはイデアも初めてで。完全にされるがまま。ただ、それがカイのものだからか。ただのキスとは違った心地よさ、脳が痺れるような気持ちよさがそこにはあった。

ぴちゃぴちゃと唾液による水音が静寂の中に響いていく。イデアはボーっとしてきた思考のまま、カイに身を任せていた。

「っ、ぷはぁ」

やがて、ゆっくりとカイが顔を離していく。二人の間には入り混じった唾液の糸が艶めかしく月光を反射させて垂れていた。

はぁ、はぁと息を荒くするイデア。初めてのことに思考が上手く追い付かない。

「俺も誓ったよな。生涯愛し、生涯護り抜き、生涯幸せにするって」

カイが、イデアの口元に垂れる唾液を拭う。

「最初から護ることを諦めるだなんて、俺らしくないよな」

そして、気付いたように自分の口元も拭い、笑った。

「俺も、もうイデアの傍から離れないよ。ずっと傍で君の事を護り続ける。絶対もう何も失わない」

あの時の誓いを再び胸に刻む。決して誓いを違えない。

イデアが俺を護ってくれるように、俺もイデアを護り抜いて見せる。

「絶対だ」

「う、うん……」

頷きはするけれど、イデアはまだ脳が正常な状態に戻っていない。変に身体が火照って熱い気もする。というか、カイの言葉があんまり入って来ていない。

「今の、は……?」

「あー、えーっと、ごめんな。凄い愛しく思えちゃって、気付いたら我慢できなくなった」

「い、いや、ううん、嫌じゃなかったけど……」

らしくないかと言った直後にらしくない事をしているのではとイデアは思った。

どうしてこのタイミングなんだろうとも思うけれど、言った通り嫌なわけではなかった。

むしろ……。

どうやらカイは多少なりとも積極的になったようで。

「イデア、好きだよ。大好きだ」

普段は恥じらって言う癖に、急に直接的に言うものだから、余計にイデアの身体が火照っていく。

「ど、どうしたの? いつもより随分と、その、大胆というか……」

「……分かんないけど、イデアの事が愛おしくてしょうがないんだ。イデアが俺の嫁で本当に良かった。大きな声で公言して回りたいくらいだ。俺の嫁は最高だぞって」

「あ、ありがとう……もう夜中だからやめて欲しいけど」

イデアは苦笑するけれど、カイは本気でそう思っていた。

カイが思う以上にイデアはカイの事を想ってくれていた。それが今回、確かに伝わったのだ。前から分かってはいたけれど、それよりも強く想われていた。

そのせいか、今まで変に恥ずかしく思っていたのが馬鹿みたいに思えてきた。きっと、俺は思う以上に自分に自信がなかった。イデアに好かれるだけの相手になれているか分からなかった。勿論自分はイデアの事が大好きだけれど、好きでいてもらえる自分なのかどうか。

けれど、あまりに杞憂すぎた。そう分かった途端、生まれるのはこれまでと比べ物にならない程の愛おしさ。何を恥ずかしがることがあるのか。これが、この可愛くて綺麗で全く非の打ち所がない彼女が自分の伴侶なんだ。

そう思うと、本当に大きな声で叫びたくなっていた。イデアに止められたからやらないけど。

「私も、カイの事が大好きだよ」

「うん、知ってる。いや、今まではちゃんと知らなかったかも。でも、今はちゃんと分かってるよ」

立ち上がって、カイはイデアを抱きかかえた。一瞬イデアも驚いたが、やがて微笑と共にカイの首へと手を回す。

月明かりの下で、再び二人が口づけを交わす。今度は触れるだけの優しいもの。

「終わらせような」

「うん」

そして、月光に負けない程の青白い光が二人から放たれた。眩い光は木々を貫き、湖に反射していき、辺りを大きく照らし出していく。

夜中とは思えない明るさ、そして温かさ。

混ざり合った想いは暫くやむことがなく、長い間光を放ち続ける。

これまで、色々な事があった。

初めて出会ったにもかかわらず恋に落ちて、いつの間にか結婚が決まっていて。それから時を一緒に過ごして、時には喧嘩もした。お互いがそれぞれ悩んでいたこともある。

その全てを超えて、今。

カイとイデアは先に行く。

二人で支えながら、二人で並びながら。

漸く光が明滅し、やがて突然消え去る。

その中心にカイは一人佇んでいた。

その右手には片刃の巨大剣が握られていた。巨大剣はカイ以上に幅が広く、そして長い。中心部には青い光の筋が大きく刻まれており、カイごと包み込むように剣からは青白い剣気が溢れていた。

カイの格好も変わっており、ベルセイン時に着ている白いコートには青い光による紋様が刻まれ、その背には青白い光で形成された両翼が浮かんでいた。

夜を、変わらずカイが光を放って照らし続ける。その光はとても幻想的でいて綺麗に周囲を明るくしていた。

「……前なった時よりしっくり来るな」

「《私達の想いが強くなったんだよ》」

巨大剣が、セインが。

 

イデアが答える。

 

ベルセイン・リングは、最初に発動できた時とは多少違う力をカイへ宿していた。

「ああ、この想いで……」

「《うん、勝とう》」

誓い合う。

お互いを護り合って。何も失うこともなく。

二人の想いの力で。

ベグリフを倒してみせる。

 

 

※※※※※

 

 

それは、ダリル奪還作戦終了後、ゼノの状況が全体へ伝えられた直後の出来事。

五大国が一つウィンドル王国の王室間に、年老いた摂政ユンダは目を見開いて驚きを隠せずにいた。

「今、なんと……!?」

視線の先に映るはこの国の王ウェルム・ウィンドル。カイと同じ十七歳ではあるが、前王の崩御に伴い、唯一の後継ぎとして国を継いだ。

ウェルムは、ユンダの方を見ることなく大きな窓から眼下に映る国を見つめていた。

そのまま、ウェルムは再度告げる。

 

 

「ウィンドル王国は、悪魔族側に降る。アルガス大国の王、マキナ・アルガスの首を手土産にしてな」

 

 
人界側も、一つの争いを迎えようとしていた。

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