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1『セイン』
1 プロローグ
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城内は未だ火に包まれていた。あちこちの壁には血が飛び散り、そこら中に肉片が転がっている。元々従者だったものだ。
長髪で美しい純白の髪を持つイデア・フィールスはまだ生き残っている従者達と共にそんな城内を駆け抜けていた。後ろからは何度も爆発音が聞こえ、だんだん近づいてきているのが分かる。
従者:
「イデア様、早く!」
従者に連れられて向かった先は非常時用に作られた隠し部屋であった。その隠し部屋には緊急脱出用のポッドが置いてある。これからイデアはこのポッドに乗ってこの地獄から逃げるところなのだ。
従者:
「さあ、イデア様! 早くお乗りください!」
従者がイデアへと叫ぶ。だが、イデアはポッドに乗ることを躊躇っていた。自分を逃がすために今もなお戦っているであろう兄の存在がどうしても気になってしまうのだ。
イデア:
「……やっぱりわたしも残ります!」
踵を返そうとするイデアの腕を従者の一人が掴んで叫ぶ。
従者:
「なりません! レン様はイデア様を逃がすために戦っておられるのです! そのイデア様が再び戦場に戻ってどうします!」
イデア:
「で、ですが……!」
従者:
「それにレン様は言っておられたはずです! 死なないと! 後で必ず合流すると!」
従者が真剣にイデアへ語って見せる。
従者:
「イデア様が生きていないとレン様にはお会いできません! どうか、ここは脱出ポッドへ乗ってください!」
その従者の言葉が通じたのか、イデアはおずおずと頷いた。
イデア:
「……分かりました。レン兄様、どうかご無事で……。必ずまた会いましょう」
そしてイデアが脱出ポッドへと乗り込んでいく。脱出ポッドは一人用で少し窮屈な設計になっていた。
イデアが乗り込んだのを確認すると、従者が行き先を指定してイデアへと告げる。
従者:
「いいですか。このポッドはレイデンフォート王国へと飛んでいきます! 着いたら事情を話して助けを求めてください!」
イデア:
「分かりました! 皆さんもどうかご無事で!」
イデアの言葉に従者達は頷くと、ポッドの扉を閉める。扉を閉めた瞬間、ポッドの中は一瞬真っ暗になった。だが、やがて少しずつ電子的な明かりが点き始め、ポッド内が明るくなる。そしてポッドが遂に宙へ浮いた。
と、その時、その隠れ部屋の壁が突然吹き飛び、中に赤髪の青年と黒髪の中年男が飛び込んできた。
従者が叫ぶ。
従者:
「レン様!」
赤髪であるフィールス王国第一王子のレン・フィールスは手に刀を持ちながら、今にも飛び立とうとしているポッドを見て、一瞬安堵の表情を浮かべた。だが、その安堵の表情はすぐに崩れることになる。
中年男:
「むっ、さてはあのポッドに入っているのは第一王女イデア・フィールスだな! 逃がさん! 《ダークマグナム!》」
中年の男が掌に黒い流動的な魔力のようなものを溜めてイデアの乗っているポッドへと解き放った。それはやがて黒い丸い塊のようになってポッドに直撃して爆発を起こす。
レン:
「イデア! 貴様っ!」
レンは激昂しながら刀を抜刀、そして目にも止まらぬ速さで中年男の首をはねた。一瞬の気の緩みが中年男に攻撃を許してしまったことをレンはかなり後悔していた。
だが、ポッドは簡単には壊れなかった。爆煙の中からポッドが飛び出し空高く昇っていく。
レン:
「イデア、無事だったか!」
だんだん高すぎて見えなくなっていくポッドへとレンが叫ぶ。
レン:
「生きろ! イデア!」
その瞬間、レンの背後に敵が突然出現した。最早転移したと言ってもいい。
レン:
「っ!」
レンは振り向きながら刀を放つ。そしてどちらとも知れない鮮血が辺りに飛び散った。
そしてイデアの乗ったポッドは、目的地レイデンフォート王国へと飛んでいったのであった。
長髪で美しい純白の髪を持つイデア・フィールスはまだ生き残っている従者達と共にそんな城内を駆け抜けていた。後ろからは何度も爆発音が聞こえ、だんだん近づいてきているのが分かる。
従者:
「イデア様、早く!」
従者に連れられて向かった先は非常時用に作られた隠し部屋であった。その隠し部屋には緊急脱出用のポッドが置いてある。これからイデアはこのポッドに乗ってこの地獄から逃げるところなのだ。
従者:
「さあ、イデア様! 早くお乗りください!」
従者がイデアへと叫ぶ。だが、イデアはポッドに乗ることを躊躇っていた。自分を逃がすために今もなお戦っているであろう兄の存在がどうしても気になってしまうのだ。
イデア:
「……やっぱりわたしも残ります!」
踵を返そうとするイデアの腕を従者の一人が掴んで叫ぶ。
従者:
「なりません! レン様はイデア様を逃がすために戦っておられるのです! そのイデア様が再び戦場に戻ってどうします!」
イデア:
「で、ですが……!」
従者:
「それにレン様は言っておられたはずです! 死なないと! 後で必ず合流すると!」
従者が真剣にイデアへ語って見せる。
従者:
「イデア様が生きていないとレン様にはお会いできません! どうか、ここは脱出ポッドへ乗ってください!」
その従者の言葉が通じたのか、イデアはおずおずと頷いた。
イデア:
「……分かりました。レン兄様、どうかご無事で……。必ずまた会いましょう」
そしてイデアが脱出ポッドへと乗り込んでいく。脱出ポッドは一人用で少し窮屈な設計になっていた。
イデアが乗り込んだのを確認すると、従者が行き先を指定してイデアへと告げる。
従者:
「いいですか。このポッドはレイデンフォート王国へと飛んでいきます! 着いたら事情を話して助けを求めてください!」
イデア:
「分かりました! 皆さんもどうかご無事で!」
イデアの言葉に従者達は頷くと、ポッドの扉を閉める。扉を閉めた瞬間、ポッドの中は一瞬真っ暗になった。だが、やがて少しずつ電子的な明かりが点き始め、ポッド内が明るくなる。そしてポッドが遂に宙へ浮いた。
と、その時、その隠れ部屋の壁が突然吹き飛び、中に赤髪の青年と黒髪の中年男が飛び込んできた。
従者が叫ぶ。
従者:
「レン様!」
赤髪であるフィールス王国第一王子のレン・フィールスは手に刀を持ちながら、今にも飛び立とうとしているポッドを見て、一瞬安堵の表情を浮かべた。だが、その安堵の表情はすぐに崩れることになる。
中年男:
「むっ、さてはあのポッドに入っているのは第一王女イデア・フィールスだな! 逃がさん! 《ダークマグナム!》」
中年の男が掌に黒い流動的な魔力のようなものを溜めてイデアの乗っているポッドへと解き放った。それはやがて黒い丸い塊のようになってポッドに直撃して爆発を起こす。
レン:
「イデア! 貴様っ!」
レンは激昂しながら刀を抜刀、そして目にも止まらぬ速さで中年男の首をはねた。一瞬の気の緩みが中年男に攻撃を許してしまったことをレンはかなり後悔していた。
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「生きろ! イデア!」
その瞬間、レンの背後に敵が突然出現した。最早転移したと言ってもいい。
レン:
「っ!」
レンは振り向きながら刀を放つ。そしてどちらとも知れない鮮血が辺りに飛び散った。
そしてイデアの乗ったポッドは、目的地レイデンフォート王国へと飛んでいったのであった。
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