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告白は予期せぬ場所で
俺の気持ち
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好みじゃない。
丸い鼻に、堅い黒髪。
俺のタイプじゃ決してないはずだった。
でもなぜか好きになってしまった。
ノン気を落とすのは難しい。
でも時間をかければ、と思っていた。
「灘さん」
5日ぶりにあった灘さんはなんだか元気がなかった。
仕事始めで気持ちがふさぎこんでいるのかとも思った。
でもそうじゃないみたいだ。
「灘さん、どうしたんですか?」
何度目かの溜息を聞いたあと、俺はそう尋ねた。灘さんは俺をじっと見つめた後、視線をそらす。
「いや別に……」
困ったように眉を潜め、とてもじゃないないけど、俺はスルーすることができなかった。
「本当ですか?俺、頼りならないかもしれないですけど、話くらいなら聞きますよ」
「………」
俺の言葉に、彼が視線も戻す。迷っているのがわかった。
なんだろう。いったい。
俺はますます気になる。
「あのさ、実さ……」
そう言って、やっと彼が切り出した話は、予想外のものだった。
新年会という名で合コンを開くらしい。
毎年してるから、女友達が先走って女の子に声をかけてしまって、男を集めるはめになったらしい。しかもイケメンを……。
そして友達に当たったが全滅で、俺に参加してくれないかと灘さんは困りながら頼んできた。
「合コン……」
はっきりいって、合コンなんか参加したくなかった。ただでさえ女が苦手なのに、その女、しかも雌豹と化した女がいる場所なんでいきたくない。
「やっぱ、嫌だよな。ごめん。聞かなかったことにして」
顔に出ていたらしい。灘さんはすまなそうな表情をした。いつも元気な灘さんが元気がなくて、俺まで少し悲しくなる。
「……でも誰も当てがないんですよね?」
俺がそう聞くと、灘さんはふいに身じろぎしなくなった。俺をじっと見つめる。その丸い目が俺を捕らえていて、俺の心が揺さぶられる。
行きたくない。でも行ったら彼が彼女を作るのをとめれるかもしれない。
悪いけど、自分がハンサムなことはわかってる。
女には嫌なくらいもててきた。女の興味を俺に向けさせれば、灘さんに彼女ができることはない。
そう、俺のために、俺の目的のために、ここはいったほうがいい。
俺は決断した。
「……いいですよ。俺行きます。サービスとか付き合ったりはできないんですけど。参加するだけなら」
灘さんが目を開き、一気に花が開いたような笑顔を見せる。
「本当?ありがとう!」
そして、がしっと、俺の手を掴んだ。
「灘さん!」
俺は予想外の接触に顔色をコントールできなかった。彼の手の温もりが伝わり、俺は反射的に逃げてしまう。俺の大げさな態度に彼が驚くのがわかった。
「灘さん、場所はどこなんですか?」
俺は彼に違和感を悟られないように必死に顔色を元に戻し、努めて静かに口を開く。
すると彼もさっきの俺の動揺を忘れてくれたようで、すぐに返事を返してくれた。
「場所は市内の居酒屋。合コンと言っても新年会も兼ねてるし。硬いの俺も百合乃も苦手だし」
百合乃か、灘さんの女友達。本当に単なる友達が、これも実際見る必要があるな。かなり強引そうな女性だ。
「……百合乃さんって、その合コンの幹事ですよね?」
「うん。そう。まったく俺に断りもなく話を進めた張本人。巻き込んで本当にごめんな。でも参加してくれること、本当助かった。イケメンは一人いれば十分だと思うから。あとは適当に俺の友達に声かけるから」
イケメンだから、俺が誘われた。なんだか複雑な心境だ。もし誘われなければ灘さんが合コンに行くことすらわからなかった。
灘さんはやっぱり彼女がほしんだよな。
「……はい」
俺の返事はいつも通りとはいかなかった。
「忠史。やっぱり嫌?だったら、」
よっぽど嫌だと思われたらしい。灘さんが慌てて様子でそう言った。
「大丈夫です!行きます」
大丈夫。いい機会なんだ。
この機会を使って、その女友達の動向、そして彼女つくりを阻止するんだ。
俺は来週の土曜日に向けて決心を固めた。
そして合コン当日――俺は灘さんから女の視線を俺にひきつけるため、気合を入れた。女にもてるために気合を入れたのは初めてだった。
会社近くの駅前に7時集合だったが、俺は10分も早くついてしまった。何もすることがなかったので、突っ立てると女の視線を感じた。
いつもは煩いと思う視線だが、今日は自分の作戦が成功していることがわかり、敵意をもたずに視線を流した。
「あ、灘さん!」
約束の時間より5分前くらいになって、灘さんがやってくるのが見えた。合コンということで、いつもより女受けしそうなコート、パンツをはいてる。髪型はいつもと同じだ。
彼は俺の側まで来ると俺をじっと見つめ、溜息をつく。
「どうしました?」
なんかまずい格好だったかなと、心配になった。
「いや、やっぱり忠史はかっこいいと思ってさ」
すると、彼が俺を見つめ直してそんなことを言う。
「そ、そうですか?」
自分がハンサムであることはわかっている。が、やっぱり好きな人に言われると嬉しくて、照れくさかった。
照れが表に出たみたいで、灘さんは不思議そうな表情をした。
あ、やばい。
マジ照れとかしてる場合じゃない。今気持ちがばれると百発百中引かれる。
そう思って、気持ちを引き締めてると、灘さんより少し背の高い男がやってくるのが見えた。俺の好みじゃない。でもまあ、まあ、もてそうな顔をしていた。社会人としてぎりぎり許されそうなくらいの髪色で、もみ上げのある男だ。
「灘!あけおめ!」
灘さんの上を行く、能天気さでそいつはそう挨拶をした。
「あ、明けましておめでとう」
彼と比較したら、灘さんのほうがまだ常識がありそうだ。灘さんは、あけおめの挨拶に多少引きながら挨拶を返していた。
「灘。そのイケメンは?」
能天気なもみ上げ男は俺の存在に気づく。興味津々に少しの敵対心を織り交ぜて聞いてきた。
「ああ、勇の後輩だよ。紀原忠史。俺達より二つ年下だ」
灘さんの答えに、男は俺を値踏みするような視線を投げかける。が、それは一瞬で、男は笑顔を作った。
「年下?そうなんだ。よろしくな。俺は栗田(くりた)伴樹(ともき)」
栗田という男は、手の平を挨拶がわりなのか、左右にふる。
「あ、えっと、俺は、いや私は紀原忠史です。宜しくお願いします」
戸惑いながらも、一応年上だと思って、そう答えた。
「紀原くん、かしこまらない。かしこまらない。なんか、どう見ても俺達と紀原くんは同じ年か、上にしか見えないから」
「はあ……」
親しくもないので、俺は適当に流した。ふけ顔なのかわかっている。今更顔のことで何を言われても傷つかない。
「栗田。お前、さりげなく。酷いこというな。毒舌男め」
でも灘さんにしてみたら、酷い言葉だったらしい。なんだか、そう返してくれた。
「うるさいな。俺は正直なんだ」
栗田って男は正直の使い方を間違っている。そう言うのって正直って言わないと思う。
灘さんも同感だったみたいで、何か言おうと口を開いた。
「おお、皆さんお揃いで」
だけど、それはのんびりした声に止められた。
「木崎!明けましておめでとう!」
栗田は俺たちの背後に頭を下げた。
え?灘さんにはあけおめだったよな。この人。
「はい。明けましておめでとうございます」
のんびりした声の持ち主にはゆっくりと返事を返して、俺たちの前に現れた。
線の細い男だった。質のいいコートを着て、上品な雰囲気を漂わせている。
その男は柔らかな物腰で、灘さんに近づき笑いかけた。
男におかしな様子はない。でも俺は嫌な予感を覚えた。
「あれ、灘くん。この男前は?僕、前に会ったことなかったよね?」
優男は俺にも笑みを向ける。笑みは作っていたけど、なんだか妙な笑みだった。牽制しているような……
「ああ、栗田にはさっき紹介したけど、ほら。俺の友達の勇、あいつの会社の後輩なんだ。紀原忠史。俺達より二つしただけど、しっかりしてる奴だ」
戸惑っている俺に構わず、灘さんはそう言葉を続ける。
「ふうん。紀原くんね。よろしく。僕は木崎恵太郎と言います」
「あ、宜しくお願いします」
男に挨拶され、俺も挨拶を返さないわけにはいかず、返した。
男手は俺を合わせて4人。
灘さんはメンバーが集まったと、歩き出す。
俺の心に不安がよぎった。
あの男の笑みが脳裏にこびり付いていた。
「まずは乾杯しましょう」
山河百合乃は仕切るのが大好きな女性だった。肉食系にも思える態度に俺は引き気味だった。
幹事も兼ねてる彼女は全員に飲み物が届いたのを確認し、乾杯の音頭を取り始める。
「音頭は私、山河百合乃がとります。それでは皆さん、お手元のジョッキを片手に持ってください」
おっさんのような言い方、なんだか合コンというよりも温泉宿の宴会の気分になる。
「大丈夫か?」
俺が戸惑っているのがわかってか、隣の灘さんが気まずそうに聞いてくる。
普通の合コンよりこういうノリのほうがまだ落ち着くから、はいっと返事をしていると、幹事から言葉が飛んだ。
「そこそこ、乾杯するの。話しない」
体育会系だな。この人。肉食で体育関係。見た目は可愛い女の子風なのに人は見かけによらない。
でも灘さんの好みじゃなくてほっとする。向こうも灘さんに気があるように見えないし。
俺がそんなことを考えているうちに、乾杯の音頭が始まった。
「新年明けましておめでとうございます。今年も皆さん宜しくお願いします。はい、乾杯!」
パワフルな彼女の乾杯音頭になんだかよくわからない、と思いながらも俺はまず灘さんのジョッキにこんとした後、前、斜めと他の参加者と乾杯した。
自己紹介を終えて、いきなり席替えみたいなこともさせられたところで、俺は休憩したくなった。
「あ、俺。すみません。トイレ行ってきます」
少し息が付きたいと席を立ったところ、あの男も立ち上がった。
「僕も行こうかな」
なんでだよ。
来るな、そう言いたいが言えるわけがない。
連れ添った立った俺達に、あの無神経な人が声をかけた。
「連れションかよー。小学生かぁ」
連れションってくるか。
俺は溜息をつきたくなった。が、文句言える立場もなく、個室に籠ろうと、木崎さんに構わず歩き出した。
しかし、木崎さんはそんな俺に追いつき、話しかけてきた。
「なんか疲れるよね。この合コン」
そう言われ、俺はとりあえず愛想笑いを返した。
男子トイレまで来て、俺は話しかけてくる木崎さんから逃げようと個室に向かった。が、ぱたんとドアを閉まる音がして驚く。
木崎さんは男子トイレの扉を閉めていた。
「木崎さん?」
俺は足をとめ、振り返る。
「ちょっと、話をしたいんだ。灘くんのこと。君ゲイでしょ?」
ばれたか。
なんでばれたかわからないけど、しょうがない。
まあ、男にばれる分、警戒されるけど、合コンのムードを壊すことはないだろう。
否定してもしょうがないし。
「……そうですけど」
「ふふ。やっぱりね。君、灘くん好きでしょ?」
「!」
「隠してもだめだよ。僕にはわかるんだ。だって僕も灘くん好きだから」
何を言ってるんだ、この人は。
ゲイ?
でも、灘さんなんにも言ってなかったよな?
あの人ゲイに免疫なさそうだし、一緒に温泉言った時、めちゃくちゃ警戒してたよな。
「灘君は知らないよ。僕バイだから。女の子も好きなんだよ。だから、灘くんといるときはノン気の振りをしてたんだ。灘くん、可愛いよね。なんか、子犬みたいだから。でもノン気だから諦めてたんだ。でも、今日。彼は君を連れてきた。しかも君達よく一緒に飲んでるみたいじゃない」
木崎さんは腕を組み、俺に優しく語りかける。
「でも僕のほうが付き合い長いから。ゲイも大丈夫だったら、僕がもらっちゃうよ」
「そんなこと!」
「させない?止めれるものなら止めて見せてよ。君にできるならね。じゃ、僕は先に戻るから」
自分の言いたいことだけ言って、彼はドアを再び開けると足早に出て行く。俺は慌ててその後を追った。
女の子ならあきらめがつく。でも同じ男に奪われるなんて、絶対に嫌だった。
みんなのテーブルまで近づくと、栗田さんが俺たちの姿を見て嫌な顔をした。いや、正確に言うならば俺の顔を見てだ。
俺はそんな奴を無視して、自分が先ほど座っていた椅子に座り直す。斜め向かいは灘さんで、彼は俺に何か話しかけようとした。
が、木崎さんがぐちっと身を乗り出す。
まるで俺の視界の邪魔するようだった。
「灘くん。この天ぷら、もらっていい?」
木崎さんは灘さんの器に乗っていた最後の天ぷらを指差していた。灘さんは彼に視線を移す。
「いいけど。俺ちょっとかじってるよ」
「僕、そういうの気にしないから大丈夫。美味しいんだよね。この天ぷら」
灘さんがそう言うのに、木崎さんはにっこりと笑い、天ぷらを箸で掴んだ。そして、ゆっくりと口に含む。味わうようにして口を動かし、ふわりと笑う。
吐き気がした。
灘さんのものが彼の中に入ったかと思うと、気持ち悪くなった。
「紀原くんも食べたかった?」
彼は油でぬれた唇をぺろりと舐め、俺に挑戦的な目を向ける。
怒りが込み上がって来た。
しかし、俺は必死に押さえ答える。
「……いや、別に」
その後も、木崎さんは灘さんに絡み、俺の神経を逆なでした。
当の灘さんはまったくわかっていないし、同じくらい鈍感な栗田さんも理解していないようだった。
木崎さんが女の子に話すのをやめ、俺もそんな余裕はなくなり、合コンの雰囲気はどんどん悪くなった。必死に灘さんと栗田さんが女の子と話すが、最後まで修復不可能だった。
そうして、幹事の彼女が強引に会を終わらせ、清算作業に入る。男が7割、女が3割の計算になった。
それでも女達は不満そうな表情をしていた。こんな中2次会なんて話が出るわけがなかった。
百合乃さんは灘さんにつっかかり、女達を先導して街へ消えていく。すると栗田さんも少し怒った様子で聞いてきた。
「紀原くん、木崎。お前達、ケンカでもしたんか?」
喧嘩、確かにそうかもしれない。彼は喧嘩を俺に売って来た。
しかし木崎さんは笑顔でそう答え、俺に同意を促す。
「え?そんなことないよ。ね、紀原くん」
「……はい」
奴の言葉に乗るのはいやだったが、灘さんのことも考え頷いた。
「栗田くん。2次会もなかったし、このまま皆で飲まない?」
すると何を考えたのか、栗田さんが可笑しなことを言い出した。
「え?俺はいい。男だけなんてつまんないし。大体、お前達雰囲気悪すぎ」
もちろん栗田さんが同意するわけがなく、木崎さんを睨む。それから灘さんを見て文句を垂れる。
灘さんは被害者だ。が、俺は黙るしかなかった。
結局木崎さんは怒ったまま帰ってしまった。
俺はこれからどうしようと、灘さんの顔をみる。困った顔で、木崎さんの背中を見ていた。
「さあ、三人だけになったね。じゃあ、三人で飲もうか。この後」
これだけ雰囲気が悪いのに、木崎さんは笑っていた。灘さんは怒りを含んだ視線を奴に向ける。
「飲むわけないだろう。俺も気分悪いし。百合乃にも栗田にも『借りを返せ』って言われて頭にきてるし。大体、栗田お前、ちょっと今日おかしいぞ。そんな人につっかかる奴だっけ?」
灘さんの問いに彼は嫌な表情をした。俺の心臓が跳ねる。
「紀原くんは特別だから。僕が気に入ったものに手を出そうとするから」
「木崎さん!」
俺は彼を牽制する。これから彼が何を言おうとしているか正確にはわからない。でも言わせてはいけない。俺はそう思った。
「灘くん。君が知らないことを教えてあげようか?」
「木崎さん!」
俺は必死に彼の名を呼ぶ。
「木崎なんなんだよ。忠史がゲイなことじゃないよな。俺は知ってるよ。そんなこと。忠史。お前もなんだよ。そんなに必死に」
灘さんは、何も知らない灘さんは俺をじっと見る。
その視線が真っすぐで俺は顔をそらした。
「ふうん。灘くんは知ってるのか。やっぱりね」
「なんだよ。悪いのかよ。ゲイでも俺は忠史の普通の友達だ」
友達、その言葉を俺の心に影を落とす。彼は、ノン気だ。期待しちゃいけない。
「友達ねー。灘くん、実は僕、バイなんだよ。だから紀原くんがゲイってすぐわかったんだ。そして彼が誰を好きなのかも、すぐにわかっちゃった」
「どういう意味だ?」
「木崎さん!言わないでください。お願いします」
俺は必死だった。頭を下げ、必死に頼み込む。
彼氏になんて、望まない。
ただ一緒にいてくれればいい。
俺の気持ちがばれたら、もう関係は終わってしまう。
「嫌だね。僕はカミングアウトしたんだ。僕だけって不公平じゃない。灘くん。この紀原くん、君の事が好きなんだ。友達とではなく、恋愛対象としてね。君だって本当はわかってるんだろう。だって、今日。何度も彼の顔色伺ってた。焼けちゃったね。本当に。女の子にしか興味ないって思ってた友達が、実は男も大丈夫だったなんて。知っていれば僕だってアプローチ始めからしたのに」
灘さんの顔色が変わった。
視線を宙に彷徨わせる。
終わった。
終わってしまった。
彼は俺の気持ちを知ってしまった。
「灘くん。本当は気になってるでしょ?だったら、試してみなかい。僕と、君そして紀原くん3人で。気持ちと思うけど」
「ふざけるな!」
木崎の言葉が信じられなかった。
俺は反射的に奴を殴り飛ばしていた。
「灘さん、俺」
弁解しようと俺は灘さんを見る。
でも彼は俺から視線をそらした。
「……帰る」
そしてぽつりとそう言い、歩き出す。
「灘さん!」
彼の背中に声をかける。
でも彼は振り向くことはなかった。
丸い鼻に、堅い黒髪。
俺のタイプじゃ決してないはずだった。
でもなぜか好きになってしまった。
ノン気を落とすのは難しい。
でも時間をかければ、と思っていた。
「灘さん」
5日ぶりにあった灘さんはなんだか元気がなかった。
仕事始めで気持ちがふさぎこんでいるのかとも思った。
でもそうじゃないみたいだ。
「灘さん、どうしたんですか?」
何度目かの溜息を聞いたあと、俺はそう尋ねた。灘さんは俺をじっと見つめた後、視線をそらす。
「いや別に……」
困ったように眉を潜め、とてもじゃないないけど、俺はスルーすることができなかった。
「本当ですか?俺、頼りならないかもしれないですけど、話くらいなら聞きますよ」
「………」
俺の言葉に、彼が視線も戻す。迷っているのがわかった。
なんだろう。いったい。
俺はますます気になる。
「あのさ、実さ……」
そう言って、やっと彼が切り出した話は、予想外のものだった。
新年会という名で合コンを開くらしい。
毎年してるから、女友達が先走って女の子に声をかけてしまって、男を集めるはめになったらしい。しかもイケメンを……。
そして友達に当たったが全滅で、俺に参加してくれないかと灘さんは困りながら頼んできた。
「合コン……」
はっきりいって、合コンなんか参加したくなかった。ただでさえ女が苦手なのに、その女、しかも雌豹と化した女がいる場所なんでいきたくない。
「やっぱ、嫌だよな。ごめん。聞かなかったことにして」
顔に出ていたらしい。灘さんはすまなそうな表情をした。いつも元気な灘さんが元気がなくて、俺まで少し悲しくなる。
「……でも誰も当てがないんですよね?」
俺がそう聞くと、灘さんはふいに身じろぎしなくなった。俺をじっと見つめる。その丸い目が俺を捕らえていて、俺の心が揺さぶられる。
行きたくない。でも行ったら彼が彼女を作るのをとめれるかもしれない。
悪いけど、自分がハンサムなことはわかってる。
女には嫌なくらいもててきた。女の興味を俺に向けさせれば、灘さんに彼女ができることはない。
そう、俺のために、俺の目的のために、ここはいったほうがいい。
俺は決断した。
「……いいですよ。俺行きます。サービスとか付き合ったりはできないんですけど。参加するだけなら」
灘さんが目を開き、一気に花が開いたような笑顔を見せる。
「本当?ありがとう!」
そして、がしっと、俺の手を掴んだ。
「灘さん!」
俺は予想外の接触に顔色をコントールできなかった。彼の手の温もりが伝わり、俺は反射的に逃げてしまう。俺の大げさな態度に彼が驚くのがわかった。
「灘さん、場所はどこなんですか?」
俺は彼に違和感を悟られないように必死に顔色を元に戻し、努めて静かに口を開く。
すると彼もさっきの俺の動揺を忘れてくれたようで、すぐに返事を返してくれた。
「場所は市内の居酒屋。合コンと言っても新年会も兼ねてるし。硬いの俺も百合乃も苦手だし」
百合乃か、灘さんの女友達。本当に単なる友達が、これも実際見る必要があるな。かなり強引そうな女性だ。
「……百合乃さんって、その合コンの幹事ですよね?」
「うん。そう。まったく俺に断りもなく話を進めた張本人。巻き込んで本当にごめんな。でも参加してくれること、本当助かった。イケメンは一人いれば十分だと思うから。あとは適当に俺の友達に声かけるから」
イケメンだから、俺が誘われた。なんだか複雑な心境だ。もし誘われなければ灘さんが合コンに行くことすらわからなかった。
灘さんはやっぱり彼女がほしんだよな。
「……はい」
俺の返事はいつも通りとはいかなかった。
「忠史。やっぱり嫌?だったら、」
よっぽど嫌だと思われたらしい。灘さんが慌てて様子でそう言った。
「大丈夫です!行きます」
大丈夫。いい機会なんだ。
この機会を使って、その女友達の動向、そして彼女つくりを阻止するんだ。
俺は来週の土曜日に向けて決心を固めた。
そして合コン当日――俺は灘さんから女の視線を俺にひきつけるため、気合を入れた。女にもてるために気合を入れたのは初めてだった。
会社近くの駅前に7時集合だったが、俺は10分も早くついてしまった。何もすることがなかったので、突っ立てると女の視線を感じた。
いつもは煩いと思う視線だが、今日は自分の作戦が成功していることがわかり、敵意をもたずに視線を流した。
「あ、灘さん!」
約束の時間より5分前くらいになって、灘さんがやってくるのが見えた。合コンということで、いつもより女受けしそうなコート、パンツをはいてる。髪型はいつもと同じだ。
彼は俺の側まで来ると俺をじっと見つめ、溜息をつく。
「どうしました?」
なんかまずい格好だったかなと、心配になった。
「いや、やっぱり忠史はかっこいいと思ってさ」
すると、彼が俺を見つめ直してそんなことを言う。
「そ、そうですか?」
自分がハンサムであることはわかっている。が、やっぱり好きな人に言われると嬉しくて、照れくさかった。
照れが表に出たみたいで、灘さんは不思議そうな表情をした。
あ、やばい。
マジ照れとかしてる場合じゃない。今気持ちがばれると百発百中引かれる。
そう思って、気持ちを引き締めてると、灘さんより少し背の高い男がやってくるのが見えた。俺の好みじゃない。でもまあ、まあ、もてそうな顔をしていた。社会人としてぎりぎり許されそうなくらいの髪色で、もみ上げのある男だ。
「灘!あけおめ!」
灘さんの上を行く、能天気さでそいつはそう挨拶をした。
「あ、明けましておめでとう」
彼と比較したら、灘さんのほうがまだ常識がありそうだ。灘さんは、あけおめの挨拶に多少引きながら挨拶を返していた。
「灘。そのイケメンは?」
能天気なもみ上げ男は俺の存在に気づく。興味津々に少しの敵対心を織り交ぜて聞いてきた。
「ああ、勇の後輩だよ。紀原忠史。俺達より二つ年下だ」
灘さんの答えに、男は俺を値踏みするような視線を投げかける。が、それは一瞬で、男は笑顔を作った。
「年下?そうなんだ。よろしくな。俺は栗田(くりた)伴樹(ともき)」
栗田という男は、手の平を挨拶がわりなのか、左右にふる。
「あ、えっと、俺は、いや私は紀原忠史です。宜しくお願いします」
戸惑いながらも、一応年上だと思って、そう答えた。
「紀原くん、かしこまらない。かしこまらない。なんか、どう見ても俺達と紀原くんは同じ年か、上にしか見えないから」
「はあ……」
親しくもないので、俺は適当に流した。ふけ顔なのかわかっている。今更顔のことで何を言われても傷つかない。
「栗田。お前、さりげなく。酷いこというな。毒舌男め」
でも灘さんにしてみたら、酷い言葉だったらしい。なんだか、そう返してくれた。
「うるさいな。俺は正直なんだ」
栗田って男は正直の使い方を間違っている。そう言うのって正直って言わないと思う。
灘さんも同感だったみたいで、何か言おうと口を開いた。
「おお、皆さんお揃いで」
だけど、それはのんびりした声に止められた。
「木崎!明けましておめでとう!」
栗田は俺たちの背後に頭を下げた。
え?灘さんにはあけおめだったよな。この人。
「はい。明けましておめでとうございます」
のんびりした声の持ち主にはゆっくりと返事を返して、俺たちの前に現れた。
線の細い男だった。質のいいコートを着て、上品な雰囲気を漂わせている。
その男は柔らかな物腰で、灘さんに近づき笑いかけた。
男におかしな様子はない。でも俺は嫌な予感を覚えた。
「あれ、灘くん。この男前は?僕、前に会ったことなかったよね?」
優男は俺にも笑みを向ける。笑みは作っていたけど、なんだか妙な笑みだった。牽制しているような……
「ああ、栗田にはさっき紹介したけど、ほら。俺の友達の勇、あいつの会社の後輩なんだ。紀原忠史。俺達より二つしただけど、しっかりしてる奴だ」
戸惑っている俺に構わず、灘さんはそう言葉を続ける。
「ふうん。紀原くんね。よろしく。僕は木崎恵太郎と言います」
「あ、宜しくお願いします」
男に挨拶され、俺も挨拶を返さないわけにはいかず、返した。
男手は俺を合わせて4人。
灘さんはメンバーが集まったと、歩き出す。
俺の心に不安がよぎった。
あの男の笑みが脳裏にこびり付いていた。
「まずは乾杯しましょう」
山河百合乃は仕切るのが大好きな女性だった。肉食系にも思える態度に俺は引き気味だった。
幹事も兼ねてる彼女は全員に飲み物が届いたのを確認し、乾杯の音頭を取り始める。
「音頭は私、山河百合乃がとります。それでは皆さん、お手元のジョッキを片手に持ってください」
おっさんのような言い方、なんだか合コンというよりも温泉宿の宴会の気分になる。
「大丈夫か?」
俺が戸惑っているのがわかってか、隣の灘さんが気まずそうに聞いてくる。
普通の合コンよりこういうノリのほうがまだ落ち着くから、はいっと返事をしていると、幹事から言葉が飛んだ。
「そこそこ、乾杯するの。話しない」
体育会系だな。この人。肉食で体育関係。見た目は可愛い女の子風なのに人は見かけによらない。
でも灘さんの好みじゃなくてほっとする。向こうも灘さんに気があるように見えないし。
俺がそんなことを考えているうちに、乾杯の音頭が始まった。
「新年明けましておめでとうございます。今年も皆さん宜しくお願いします。はい、乾杯!」
パワフルな彼女の乾杯音頭になんだかよくわからない、と思いながらも俺はまず灘さんのジョッキにこんとした後、前、斜めと他の参加者と乾杯した。
自己紹介を終えて、いきなり席替えみたいなこともさせられたところで、俺は休憩したくなった。
「あ、俺。すみません。トイレ行ってきます」
少し息が付きたいと席を立ったところ、あの男も立ち上がった。
「僕も行こうかな」
なんでだよ。
来るな、そう言いたいが言えるわけがない。
連れ添った立った俺達に、あの無神経な人が声をかけた。
「連れションかよー。小学生かぁ」
連れションってくるか。
俺は溜息をつきたくなった。が、文句言える立場もなく、個室に籠ろうと、木崎さんに構わず歩き出した。
しかし、木崎さんはそんな俺に追いつき、話しかけてきた。
「なんか疲れるよね。この合コン」
そう言われ、俺はとりあえず愛想笑いを返した。
男子トイレまで来て、俺は話しかけてくる木崎さんから逃げようと個室に向かった。が、ぱたんとドアを閉まる音がして驚く。
木崎さんは男子トイレの扉を閉めていた。
「木崎さん?」
俺は足をとめ、振り返る。
「ちょっと、話をしたいんだ。灘くんのこと。君ゲイでしょ?」
ばれたか。
なんでばれたかわからないけど、しょうがない。
まあ、男にばれる分、警戒されるけど、合コンのムードを壊すことはないだろう。
否定してもしょうがないし。
「……そうですけど」
「ふふ。やっぱりね。君、灘くん好きでしょ?」
「!」
「隠してもだめだよ。僕にはわかるんだ。だって僕も灘くん好きだから」
何を言ってるんだ、この人は。
ゲイ?
でも、灘さんなんにも言ってなかったよな?
あの人ゲイに免疫なさそうだし、一緒に温泉言った時、めちゃくちゃ警戒してたよな。
「灘君は知らないよ。僕バイだから。女の子も好きなんだよ。だから、灘くんといるときはノン気の振りをしてたんだ。灘くん、可愛いよね。なんか、子犬みたいだから。でもノン気だから諦めてたんだ。でも、今日。彼は君を連れてきた。しかも君達よく一緒に飲んでるみたいじゃない」
木崎さんは腕を組み、俺に優しく語りかける。
「でも僕のほうが付き合い長いから。ゲイも大丈夫だったら、僕がもらっちゃうよ」
「そんなこと!」
「させない?止めれるものなら止めて見せてよ。君にできるならね。じゃ、僕は先に戻るから」
自分の言いたいことだけ言って、彼はドアを再び開けると足早に出て行く。俺は慌ててその後を追った。
女の子ならあきらめがつく。でも同じ男に奪われるなんて、絶対に嫌だった。
みんなのテーブルまで近づくと、栗田さんが俺たちの姿を見て嫌な顔をした。いや、正確に言うならば俺の顔を見てだ。
俺はそんな奴を無視して、自分が先ほど座っていた椅子に座り直す。斜め向かいは灘さんで、彼は俺に何か話しかけようとした。
が、木崎さんがぐちっと身を乗り出す。
まるで俺の視界の邪魔するようだった。
「灘くん。この天ぷら、もらっていい?」
木崎さんは灘さんの器に乗っていた最後の天ぷらを指差していた。灘さんは彼に視線を移す。
「いいけど。俺ちょっとかじってるよ」
「僕、そういうの気にしないから大丈夫。美味しいんだよね。この天ぷら」
灘さんがそう言うのに、木崎さんはにっこりと笑い、天ぷらを箸で掴んだ。そして、ゆっくりと口に含む。味わうようにして口を動かし、ふわりと笑う。
吐き気がした。
灘さんのものが彼の中に入ったかと思うと、気持ち悪くなった。
「紀原くんも食べたかった?」
彼は油でぬれた唇をぺろりと舐め、俺に挑戦的な目を向ける。
怒りが込み上がって来た。
しかし、俺は必死に押さえ答える。
「……いや、別に」
その後も、木崎さんは灘さんに絡み、俺の神経を逆なでした。
当の灘さんはまったくわかっていないし、同じくらい鈍感な栗田さんも理解していないようだった。
木崎さんが女の子に話すのをやめ、俺もそんな余裕はなくなり、合コンの雰囲気はどんどん悪くなった。必死に灘さんと栗田さんが女の子と話すが、最後まで修復不可能だった。
そうして、幹事の彼女が強引に会を終わらせ、清算作業に入る。男が7割、女が3割の計算になった。
それでも女達は不満そうな表情をしていた。こんな中2次会なんて話が出るわけがなかった。
百合乃さんは灘さんにつっかかり、女達を先導して街へ消えていく。すると栗田さんも少し怒った様子で聞いてきた。
「紀原くん、木崎。お前達、ケンカでもしたんか?」
喧嘩、確かにそうかもしれない。彼は喧嘩を俺に売って来た。
しかし木崎さんは笑顔でそう答え、俺に同意を促す。
「え?そんなことないよ。ね、紀原くん」
「……はい」
奴の言葉に乗るのはいやだったが、灘さんのことも考え頷いた。
「栗田くん。2次会もなかったし、このまま皆で飲まない?」
すると何を考えたのか、栗田さんが可笑しなことを言い出した。
「え?俺はいい。男だけなんてつまんないし。大体、お前達雰囲気悪すぎ」
もちろん栗田さんが同意するわけがなく、木崎さんを睨む。それから灘さんを見て文句を垂れる。
灘さんは被害者だ。が、俺は黙るしかなかった。
結局木崎さんは怒ったまま帰ってしまった。
俺はこれからどうしようと、灘さんの顔をみる。困った顔で、木崎さんの背中を見ていた。
「さあ、三人だけになったね。じゃあ、三人で飲もうか。この後」
これだけ雰囲気が悪いのに、木崎さんは笑っていた。灘さんは怒りを含んだ視線を奴に向ける。
「飲むわけないだろう。俺も気分悪いし。百合乃にも栗田にも『借りを返せ』って言われて頭にきてるし。大体、栗田お前、ちょっと今日おかしいぞ。そんな人につっかかる奴だっけ?」
灘さんの問いに彼は嫌な表情をした。俺の心臓が跳ねる。
「紀原くんは特別だから。僕が気に入ったものに手を出そうとするから」
「木崎さん!」
俺は彼を牽制する。これから彼が何を言おうとしているか正確にはわからない。でも言わせてはいけない。俺はそう思った。
「灘くん。君が知らないことを教えてあげようか?」
「木崎さん!」
俺は必死に彼の名を呼ぶ。
「木崎なんなんだよ。忠史がゲイなことじゃないよな。俺は知ってるよ。そんなこと。忠史。お前もなんだよ。そんなに必死に」
灘さんは、何も知らない灘さんは俺をじっと見る。
その視線が真っすぐで俺は顔をそらした。
「ふうん。灘くんは知ってるのか。やっぱりね」
「なんだよ。悪いのかよ。ゲイでも俺は忠史の普通の友達だ」
友達、その言葉を俺の心に影を落とす。彼は、ノン気だ。期待しちゃいけない。
「友達ねー。灘くん、実は僕、バイなんだよ。だから紀原くんがゲイってすぐわかったんだ。そして彼が誰を好きなのかも、すぐにわかっちゃった」
「どういう意味だ?」
「木崎さん!言わないでください。お願いします」
俺は必死だった。頭を下げ、必死に頼み込む。
彼氏になんて、望まない。
ただ一緒にいてくれればいい。
俺の気持ちがばれたら、もう関係は終わってしまう。
「嫌だね。僕はカミングアウトしたんだ。僕だけって不公平じゃない。灘くん。この紀原くん、君の事が好きなんだ。友達とではなく、恋愛対象としてね。君だって本当はわかってるんだろう。だって、今日。何度も彼の顔色伺ってた。焼けちゃったね。本当に。女の子にしか興味ないって思ってた友達が、実は男も大丈夫だったなんて。知っていれば僕だってアプローチ始めからしたのに」
灘さんの顔色が変わった。
視線を宙に彷徨わせる。
終わった。
終わってしまった。
彼は俺の気持ちを知ってしまった。
「灘くん。本当は気になってるでしょ?だったら、試してみなかい。僕と、君そして紀原くん3人で。気持ちと思うけど」
「ふざけるな!」
木崎の言葉が信じられなかった。
俺は反射的に奴を殴り飛ばしていた。
「灘さん、俺」
弁解しようと俺は灘さんを見る。
でも彼は俺から視線をそらした。
「……帰る」
そしてぽつりとそう言い、歩き出す。
「灘さん!」
彼の背中に声をかける。
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