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海棠の雨に濡れたる風情
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霧雨が止んだ頃。二人は森の出口に辿り着いた。
少年は山盛りの山菜が入っている笊を片手で持ち、空いた手で少女と手を繋いでいた。少女は彼の手を握り返しながら、目の前の景色に目を輝かせる。
青く茂った田園と、まだらに建つ藁葺き屋根の家々。稲は瑞々しく雨水を着飾り、空は高く澄んで青き衣を広げて二人を出迎えていた。
少女は少年と景色を交互に見やると、繋いだ手をブンブンと揺する。それを少年はこそばゆそうにしながら、口を開く。
「ここが俺の村だよ。まずは婆様に挨拶しに行こう」
そう言って少年は彼女の手を引いて歩き出し、すれ違う村人と挨拶を交わしながら進んでいく。そして一軒の家の前で立ち止まる。
苔生す程に古ぼけた藁葺きの屋根。崩れかけの土壁と、ボロボロの戸布。
見るからに年季が入っているその家の前で、少年は逡巡した後、少女を待たせて中に入る。
外より一段下がった室内。ただ土を均しただけの床には葛布しか敷かれていない。そんな間仕切りすらない部屋には、一人の老婆が座っていた。
老婆は少年の気配に気付くと、柔和な笑みで振り返る。
「おや文生、おかえり。雨は大丈夫だったかい? ……ん、お前さん、衣はどうした?」
文生と呼ばれた少年は、老婆に笊を渡しつつ返事をする。
「ただいま婆様。ちょうど森の中にいたときだからあまり濡れなかったよ。山菜もたくさん採らせてもらったし。それで、えっと、これには訳が……」
言葉に詰まる文生。その様子に老婆は彼の腕を引き、心配そうに顔を覗き込む。
「何か怖いことでもあったのかい?」
文生は慌てて首を横に振る。
「違うんだ。実は……泉の近くで変な子に遇って、その子着物着てなかったから着させたんだ。あと……困ってたみたいだから連れて来た」
そう言うと、少年は入口に戻って少女を中へと招く。
家の中に入った少女は、部屋をきょろきょろと見回す。そして不意に老婆と目が合うと、目を真ん丸にする。
老婆もまた、少女の容姿に衝撃が走る。
(この子……どこかおっ母の面影がある? でもまさか……。あの子が生き延びて産んだ子? いや、そんなはずは…………)
眉間に皺を寄せて思案する老婆。だがふと顔に影が差し掛かったことに気付き、目線を上げる。すると、いつの間にか少女が目の前にいた。その思わぬ行動に老婆は思考が停止する。一方で少女は、動きの止まった老婆に構うことなく、彼女の額、鼻、頰、と順に手で辿り、不思議そうに皺だらけの顔を一通り触る。と、今度は彼女自身の顔をペタペタと触り、難しそうに考え込む。かと思いきや突然顔を綻ばせ、老婆の両手を掴んで嬉しそうに振り回す。
呆気に取られた老婆は、考えていたことをすっかり忘れてしまう。そして少女の手の冷たさに驚く。
「まぁまぁ、すっかり冷えちゃって。それにこんなに綺麗な顔で男物じゃ可哀想だね。古着があったと思うからそれに着替えてもらおうかね」
老婆は少年を見やる。
「文生、この子の着替えが終わったら衣は返すから、外で少し待ってなさい。詳しい話はそれから聞くから」
「分かった。この子のこと頼んだよ、婆様」
心配そうにしながら出ていく文生。部屋には老婆と少女の二人きりになった。
老婆は握られていた少女の手を解くと、部屋の隅に向かい、籠を漁って女物の着物一式を取り出す。その着物は色褪せや解れがあった。が、元は美しい反物であることが見て取れた。
「お嬢ちゃん、こっちへおいで」
老婆は手招きする。しかし少女はただぼうっと見つめ返すだけだ。
「うーむ、もしや……。仕方ない、なんとかするしかないかの」
老婆は重たそうに腰を持ち上げて少女に近付く。きょとんとしたまましゃがんでいた少女を立たせて、羽織っていた少年の衣を脱がせる。と、少女の肌が露わになる。
膨らみかけの乳房と、細くくびれた腰。仙女のように美しく瑞々しい彼女の体は、シミがないのはもちろん、傷や垢一つなく新雪のような輝きを放っていた。
老婆は眩しさに目を細める。自分にとってはもはや遠い過去となった若い体。そこには一種の神々しさがあり、皺とあかぎれだらけの手で触れるのは躊躇われた。
しかし少女の無垢であどけない顔からは警戒心など微塵もなかった。その様子に老婆は苦笑すると、紅い上着を広げて少女に見せる。
「言葉が分からないようだけど……一応教えとくかね」
そう言って少女の肩に衣をかける。
「衣はこうやって……肩に羽織って袖……この穴に腕を通すんだよ。で、右手……こっちの手が入れられるように衣の前を重ねる。逆は駄目だからね」
少女は老婆に促されるままに行動する。すると長く丸い筒状の袖が少女の細腕を覆い、無防備に晒されていた胸元が隠される。
「うんうん。それじゃあその下に袴を穿いて……足を上げておくれ」
少女は老婆の差し出す下着に片足ずつ穿き、足首に向かって広がる裾が少女のすらりとした足を隠した。
「そうそう上手に着られたね。そうやって衣と袴を重ねて着たら帯……そう、これだよ。これを胸の下で巻いて結ぶ」
老婆は長く細い布を少女の腹の上で縛る。
「最後に女は裙も重ねて腰に巻くんだが……。生憎お前さんに合いそうなのはなかったんだ。しばらくはこのままで過ごしてもらうよ」
ポン、と軽く少女の腹を叩いた老婆は、満足気な笑みを浮かべる。
「少し待ってておくれ」
老婆は優しく言い置くと、少年の着物を持って外に出る。
空を見上げると陽が傾き始めていた。稲が朱く染まり、空気は冷え、野良仕事を終えた人々に夜の訪れを告げている。そして外に立っていた少年は寒さで震えていた。
「文生、着替えさせたよ。もう入っていいさね。お前さんも着替えなさい」
老婆は衣を渡す。
「ありがとう婆様」
そそくさと着替え始めた文生を見守りながら、老婆は言葉を続ける。
「……お前さん、一体あの子をどこで拾ったんだい?」
「拾ったってそんな……。あの子さ、地祇様の祠でお参りしてたら急に現れたんだ。それで、その……す、すっ裸だったからさ、びっくりしちゃって色々聞いたんだけど、なんにも答えなくて。それに女の子一人をそのままにしていたら危ないでしょう? だからひとまず連れてきたんだ」
「そうかい、地祇様の森で……」
「ほら、いつも婆様が言ってるじゃない? 〝困ってる人がいたら助けなさい〟って。それにあの子、にこにこ笑ってるけどさ。なんかこう、寂しそうに見えて……」
文生の瞳が揺れる。
「ねぇ婆様、あの子をしばらく置いてあげてよ」
「…………」
老婆は文生の話にしばし考え込む。その重苦しい空気に、文生は今にも泣きそうな顔になる。彼の変化に老婆は慌てて言う。
「怒っている訳じゃないさ。儂が考えていたのは他のことだから気にせんでいい。そもそもあの子を世話するのは構わないさ。ああでも、文生がちゃんと世話をするって約束を出来れば、だけどね」
そう告げた老婆は優しく文生の肩を撫でる。すると文生の顔がぱっと明るくなる。
「もちろん! 俺に任せて!」
文生は嬉々として言うと、家の中に駆けていった。
夕暮れの中、一人残った老婆は少女のことを思案し続ける。
(あの子、何故だか妹を思い出す。赤ん坊なのにもう愛らしくて、おっ母にそっくりで、将来はきっと村一番の美人になるはずだった妹。でも、あの年は不作でおっ母の乳も出ないせいで育てられなくて……。せめて地祇様のお膝元で、っておっ母が森に連れていった、その数日後に洪水が……)
そこに思い至ると、老婆はぶるりと体を震わす。
(儂はなんとか逃れてこの村に世話になったが、元いた村は全滅してしまった。あれはきっと、捨て子に地祇様がお怒りになったからなんだろう。赤ん坊だった妹も無事で済まなかったはず……なのに、何故あんなにもおっ母にそっくりな子が……?)
青ざめた顔で考え込んでいた老婆の目の前に、つと、一匹の蛍が横切る。
老婆はその季節外れの蛍にしばし目が釘付けになる。蛍はふわふわと老婆の眼前で漂う。老婆の目には蛍の光しか映らない。怪しく光る蛍は、惑わすように目の前を飛ぶ。と不意に、森へ帰っていく。
途端我に返った老婆は、はて、と首を捻る。
「……儂は何を考えておったかの?」
老婆の眉が八の字を描いた。そこへ文生が老婆を呼ぶ声が聞こえ、彼女は夜闇に包まれた家の中へと入るのであった。
満天の星空の下、さわさわと森が囁いている。
森の奥深くの祠の傍には、膝を抱えて座っている光がいる。その光に向かって先程の蛍が飛来する。
蛍はくるくると光の周りを飛び回り、光は人差し指に蛍を止まらせて優しく撫でる。そうやって一通り愛撫してやると、蛍は満足気に飛び去っていく。その姿を追うように光は空を見上げる。
木々に覆われた空では星はかすかにしか見えない。
光は点滅する。その点滅に合わせて森が揺れ動く。だがそれすらも闇に覆われていく。
夜はまだ、明けそうにない。
少年は山盛りの山菜が入っている笊を片手で持ち、空いた手で少女と手を繋いでいた。少女は彼の手を握り返しながら、目の前の景色に目を輝かせる。
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少女は少年と景色を交互に見やると、繋いだ手をブンブンと揺する。それを少年はこそばゆそうにしながら、口を開く。
「ここが俺の村だよ。まずは婆様に挨拶しに行こう」
そう言って少年は彼女の手を引いて歩き出し、すれ違う村人と挨拶を交わしながら進んでいく。そして一軒の家の前で立ち止まる。
苔生す程に古ぼけた藁葺きの屋根。崩れかけの土壁と、ボロボロの戸布。
見るからに年季が入っているその家の前で、少年は逡巡した後、少女を待たせて中に入る。
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老婆は少年の気配に気付くと、柔和な笑みで振り返る。
「おや文生、おかえり。雨は大丈夫だったかい? ……ん、お前さん、衣はどうした?」
文生と呼ばれた少年は、老婆に笊を渡しつつ返事をする。
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文生は慌てて首を横に振る。
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呆気に取られた老婆は、考えていたことをすっかり忘れてしまう。そして少女の手の冷たさに驚く。
「まぁまぁ、すっかり冷えちゃって。それにこんなに綺麗な顔で男物じゃ可哀想だね。古着があったと思うからそれに着替えてもらおうかね」
老婆は少年を見やる。
「文生、この子の着替えが終わったら衣は返すから、外で少し待ってなさい。詳しい話はそれから聞くから」
「分かった。この子のこと頼んだよ、婆様」
心配そうにしながら出ていく文生。部屋には老婆と少女の二人きりになった。
老婆は握られていた少女の手を解くと、部屋の隅に向かい、籠を漁って女物の着物一式を取り出す。その着物は色褪せや解れがあった。が、元は美しい反物であることが見て取れた。
「お嬢ちゃん、こっちへおいで」
老婆は手招きする。しかし少女はただぼうっと見つめ返すだけだ。
「うーむ、もしや……。仕方ない、なんとかするしかないかの」
老婆は重たそうに腰を持ち上げて少女に近付く。きょとんとしたまましゃがんでいた少女を立たせて、羽織っていた少年の衣を脱がせる。と、少女の肌が露わになる。
膨らみかけの乳房と、細くくびれた腰。仙女のように美しく瑞々しい彼女の体は、シミがないのはもちろん、傷や垢一つなく新雪のような輝きを放っていた。
老婆は眩しさに目を細める。自分にとってはもはや遠い過去となった若い体。そこには一種の神々しさがあり、皺とあかぎれだらけの手で触れるのは躊躇われた。
しかし少女の無垢であどけない顔からは警戒心など微塵もなかった。その様子に老婆は苦笑すると、紅い上着を広げて少女に見せる。
「言葉が分からないようだけど……一応教えとくかね」
そう言って少女の肩に衣をかける。
「衣はこうやって……肩に羽織って袖……この穴に腕を通すんだよ。で、右手……こっちの手が入れられるように衣の前を重ねる。逆は駄目だからね」
少女は老婆に促されるままに行動する。すると長く丸い筒状の袖が少女の細腕を覆い、無防備に晒されていた胸元が隠される。
「うんうん。それじゃあその下に袴を穿いて……足を上げておくれ」
少女は老婆の差し出す下着に片足ずつ穿き、足首に向かって広がる裾が少女のすらりとした足を隠した。
「そうそう上手に着られたね。そうやって衣と袴を重ねて着たら帯……そう、これだよ。これを胸の下で巻いて結ぶ」
老婆は長く細い布を少女の腹の上で縛る。
「最後に女は裙も重ねて腰に巻くんだが……。生憎お前さんに合いそうなのはなかったんだ。しばらくはこのままで過ごしてもらうよ」
ポン、と軽く少女の腹を叩いた老婆は、満足気な笑みを浮かべる。
「少し待ってておくれ」
老婆は優しく言い置くと、少年の着物を持って外に出る。
空を見上げると陽が傾き始めていた。稲が朱く染まり、空気は冷え、野良仕事を終えた人々に夜の訪れを告げている。そして外に立っていた少年は寒さで震えていた。
「文生、着替えさせたよ。もう入っていいさね。お前さんも着替えなさい」
老婆は衣を渡す。
「ありがとう婆様」
そそくさと着替え始めた文生を見守りながら、老婆は言葉を続ける。
「……お前さん、一体あの子をどこで拾ったんだい?」
「拾ったってそんな……。あの子さ、地祇様の祠でお参りしてたら急に現れたんだ。それで、その……す、すっ裸だったからさ、びっくりしちゃって色々聞いたんだけど、なんにも答えなくて。それに女の子一人をそのままにしていたら危ないでしょう? だからひとまず連れてきたんだ」
「そうかい、地祇様の森で……」
「ほら、いつも婆様が言ってるじゃない? 〝困ってる人がいたら助けなさい〟って。それにあの子、にこにこ笑ってるけどさ。なんかこう、寂しそうに見えて……」
文生の瞳が揺れる。
「ねぇ婆様、あの子をしばらく置いてあげてよ」
「…………」
老婆は文生の話にしばし考え込む。その重苦しい空気に、文生は今にも泣きそうな顔になる。彼の変化に老婆は慌てて言う。
「怒っている訳じゃないさ。儂が考えていたのは他のことだから気にせんでいい。そもそもあの子を世話するのは構わないさ。ああでも、文生がちゃんと世話をするって約束を出来れば、だけどね」
そう告げた老婆は優しく文生の肩を撫でる。すると文生の顔がぱっと明るくなる。
「もちろん! 俺に任せて!」
文生は嬉々として言うと、家の中に駆けていった。
夕暮れの中、一人残った老婆は少女のことを思案し続ける。
(あの子、何故だか妹を思い出す。赤ん坊なのにもう愛らしくて、おっ母にそっくりで、将来はきっと村一番の美人になるはずだった妹。でも、あの年は不作でおっ母の乳も出ないせいで育てられなくて……。せめて地祇様のお膝元で、っておっ母が森に連れていった、その数日後に洪水が……)
そこに思い至ると、老婆はぶるりと体を震わす。
(儂はなんとか逃れてこの村に世話になったが、元いた村は全滅してしまった。あれはきっと、捨て子に地祇様がお怒りになったからなんだろう。赤ん坊だった妹も無事で済まなかったはず……なのに、何故あんなにもおっ母にそっくりな子が……?)
青ざめた顔で考え込んでいた老婆の目の前に、つと、一匹の蛍が横切る。
老婆はその季節外れの蛍にしばし目が釘付けになる。蛍はふわふわと老婆の眼前で漂う。老婆の目には蛍の光しか映らない。怪しく光る蛍は、惑わすように目の前を飛ぶ。と不意に、森へ帰っていく。
途端我に返った老婆は、はて、と首を捻る。
「……儂は何を考えておったかの?」
老婆の眉が八の字を描いた。そこへ文生が老婆を呼ぶ声が聞こえ、彼女は夜闇に包まれた家の中へと入るのであった。
満天の星空の下、さわさわと森が囁いている。
森の奥深くの祠の傍には、膝を抱えて座っている光がいる。その光に向かって先程の蛍が飛来する。
蛍はくるくると光の周りを飛び回り、光は人差し指に蛍を止まらせて優しく撫でる。そうやって一通り愛撫してやると、蛍は満足気に飛び去っていく。その姿を追うように光は空を見上げる。
木々に覆われた空では星はかすかにしか見えない。
光は点滅する。その点滅に合わせて森が揺れ動く。だがそれすらも闇に覆われていく。
夜はまだ、明けそうにない。
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