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山小屋

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「ねぇ、着いたわよ」という声が聞こえる。

僕は、目を開いた。いつの間にか寝てしまったようだ。

「途中で、服屋さん開いてたから、買っておいたわ。少しサイズが大きいかもしれないけど、我慢して」

「あっ、すいません。お金払います」

「大丈夫よ。ちゃんと稼いでるから」

「ありがとうございます」

車のドアを開く。
ものすごく澄んだ空気だ。

「はぁ~」深呼吸した。
体が中から綺麗になるようだ。

車のライトで照らされたところを慎重に歩く。

「ちょっと待ってて」

マリアの手が赤く光り、2発飛んだ。当たった先が明るくなり、次々と周辺が明るくなった。

「凄い!」

「ランブが連動してるのよ。魔法が他のランプへと移っていくの」

「へぇ~。火属性も使えるんですね?」

「火と氷、風ね。後は、こっちでは無理かな。空はよよどんでるし、土も汚染されてて無理ね」

「そうなんですか」

「それに、魔素が足りないから、初級魔法程度よ」

「治癒魔法もですか?」

「魔素が足りればって所かな」

「彼女をここにつれてくれば、治りますか?」

「魔素があっても、術者が体内に取り込めなければ、同じことよ」

「なるほど」

「あなたが、向こうの世界のように、無尽蔵に取り込めれば、折れた骨折でも治せると思うわ」

「やっぱり、やってみないと分からないんですね」

「そういうことよ。夕飯、作りましょ。近くに川があるから、道具を洗うの手伝って」

「はい」

ランブに照らされた道を歩く。

ランブは魔物だ。

マリアさんが、天使のように見える。

川に着いた。

魚か跳ねている。
「マリアさん、魚が!」

「可哀想だから言っておくけど、ここには冷蔵庫はない。今日持ってきた肉が最後よ。明日からは魚と山菜が食料になるわ」

「そんなの気にならないですよ。僕は僕自身のために来てるんですから」

「それならいいけと。今日は冷蔵庫から持ってきたもの、処分しなきゃならないからね」

「分かりました。あの。僕の病気なんてすけど、言ってもいいですか?」

「何?まだ何かあるの?」

「ごめんなさい。マリアさんが天使のように綺麗に見えて」

マリアは絶句した。そして、やっぱり予知は外れないのね、と哀しくなった。この世界の滅亡を救うのは、私と貴之の子供だという予知、

しかも、目の前の相手が、私と子供と一緒にいないという予知。

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