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会っても大丈夫?
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「あの人、ほとんど家にいないから、この家で会えばいいわ」
「お母様、ナイスアイデア!」セラフィが満面の笑顔になった。
「そんな危険なことできないですよ。他の皆さんもいるのに」僕はもちろん反対する。
「外に別棟があって裏口から入れるわ。そこなら大丈夫よ。誰にも会わないから」
「うんうん、そうしよう。貴之」セラフィは、すっかりその気だ。
「でも、お父様に見つかったら?」当然の心配をする。
「まぁ、終わりでしょうね。2人は」
「そんな危険を犯せないですよ。高
校卒業まで我慢すればいいんですよ」
「そんなに待てないよ」とセラフィは、眉間にシワを寄せる。
「はぁ、なんてことに」僕は頭を振った。
「私がお父様にバラすから」春菜は言う。
「はぁ!なんてこと言うのよ、春菜!」セラフィは立ち上がる。
「だから、たまにでいいから、たかぴょんを貸して」
「たっ、たかぴょん?」僕はギョッとした。
「こら、春菜さん、いい加減にしなさい!」母親も怒ってるようだ。
「だって、女子校、つまんないんだもん」
「私だって、そうだったわよ。少しは男の友達と遊んでみたかった」
「ちょっ、ちょっと待って。セラフィ。僕のこと探してくれてたんだよね?」
「それはそうだけど、全然会えないし、この世界にいるかも分からなかったんだから。それに、別に変なことしようとは思ってなかったし」
「変なこと?まさか、もうしたの?」
と母親の矛先はセラフィに移った。
セラフィはモジモジしている。
「あっ、あの。キスだけです」と僕はつい口走った。
「えっ?私もしたい!」と何故か春菜が入ってくる。
「まぁ、それならいいわ」と母親はホッとしたようだ。
「ねぇ、キスしようよ」と春菜は僕の腕を揺らしている。
「春菜さん!」と母親は怒ったが、僕の顔をマジマジと見た。
僕は咄嗟に嫌な予感がした。
「ふ~ん。確かにカッコイイけど、それだけじゃないわね。なんか体の奥が熱くなってくる感じがするわ」
「お母様!なんてこと言ってるのよ」セラフィは大きな声を上げた。
僕はふと周りを見た。2人いるメイド達も、僕をじっと見ている。
はぁ、厄介な体になってしまった。僕は下を向いた。ナビちゃんが言った通り、早く能力がなくなることを祈った。
んっ、ちょっと待て、向こうの世界からセラフィが、この能力のお陰で、僕のことを好きになった、ということは否定できるのだろうか?
向こうで正体もバラしたし、この前、能力の話もした。だからといって、能力の効果がなくなると言えるのだろうか?
急速にヤバく思えてきた。早くセラフィと結婚しなくては。
「世羅さん、頑張って一日でも早く僕は相応しい男になる。だから、あんまり会えなくなるけど、お母様が言う方法で、必ず会いに来る。それでいいかな?」
「まぁ、お母様ですって」母親は照れた。
そこか!と突っ込みたくなったが、無視した。
「分かったわ。待ってるからね」とセラフィも微笑んだ。
「最後に一つだけいいかしら?」と母親が話し始めた。
「はい」
「主人は、さっきも見ての通り、今は誰も逆らわないわ。今日もあなたに酷いことを言って、世羅さんのことを諦めさせるつもりだったと思うの。
でも、あなたが先に挑戦状を叩きつけた。
たから、主人は、内心はかなり怒ってると思うけど、頭の片隅では、楽しみでしょうがないと思うわ。だから、その期待を少しでも裏切ったら、2度目はない。分かってると思うけど、念のため言っておくわ」
僕はソファーを下り、片膝を付いて、母親の目をじっと見た。
「はい、ありがとうございます。お母様の美しいお顔を困らせないように、見事、ご期待に応えてみせます」
「まぁ」母親はまた赤くなって、両頬に両手を付けた。
左肩を思い切り叩かれた。
振り返ると、セラフィが膨れていた。
「世羅さん、そんな顔も可愛くて、もっと好きになってしまうよ」
「もぉ、バカ」セラフィも赤くなった。
「ねぇ、私は?」春奈は満面の笑顔で、期待している。
んっ?ちょっとハルリナに似てる?あれ?ハルリナの顔って、どんなだったかな?ゲームとは違う印象だったような。
僕は無言で考えてしまった。
「ねぇ!私には言ってくれないの!」
声が大きくなる。
「あぁ、春菜さんも、もちろん美人ですよ。一緒にいると嬉しくて、自然と笑顔になっちゃう感じ」
「まぁ、そうかもしれないわね」春菜も赤くなった。
気に入ってもらえたようだ。ホッとした。
「やっぱりお姉様、たかぴょん貸して」と腕を組んできた。
「春菜さん、もし2人でいるところをお父様に見つかったら、2度と会えなくなるわよ。諦めなさい」母親がたしなめる。
「えぇ~!分かったよ」
あれ?随分と素直に引き下がったな、と僕は思った。嫌な予感がする・・・
「もういいでしょ。私の部屋に行こう」セラフィは言った。
「えっ!」僕は母親を見た。
「しょうがないわね。しばらくは無理だから、今日はいいわよ。でも、分かってるわよね。世羅さん」
「もちろん分かってるわ。お母様」
「私も行く」と春菜。
「春菜、本当に怒るわよ」セラフィが睨む。
春菜は下を向いた。
部屋を出ていこうとしたら、
「世羅様、何かお持ちしますか?」とメイドの一人が声をかけた。
「いらないわ。ありがとう」
「かしこまりました」
セラフィに手を引かれ、部屋に入った。
部屋は向こうの世界と変わらないようだった。
「凄い!」
「そう?」
セラフィはソファーに座った。僕も隣に座る。
「僕の家のリビングより広いかも。掃除とかもしてもらってるんだよね?」
「うん。あっ、もしかして、掃除も何もできない女だと思ってる?」
「そういうわけじゃないけど。別に僕、掃除好きだし。料理も簡単なものならできるよ」
「えっ!そうなの?」
「学校以外、ほとんど引きこもりだったからね。家の事は手伝ってた」
「そうなんだ。私も料理は習ってるから大丈夫よ。お菓子も作れるし。たまにSNSに上げてるの」
「ホントに?楽しみだなぁ」
「うん、今度作ってあげる」
セラフィが寄りかかってきた。
「ねぇ、タカユキィ、いいでしょ」
「僕もキスしたい」
セラフィは顔を上げる。僕はセラフィを抱き寄せて、唇を重ねる。
セラフィの手も僕の背中を引き寄せる。
僕は、セラフィの両腕を掴んで身体を離した。
「ごめん、我慢できなくなる」
「私はいいよ。タカユキィなら」
僕はセラフィの目を見つめた。
「僕も向こうの世界から、ずっとそうしたいと思ってた。でも向こうの世界は、タカティクスの体だったし、できなくて。
今はすぐにでもしたい。セラフィの全部を知りたい。僕の全部を知って欲しい。でも、まだ僕はセラフィに相応しくない。だから、待っていて欲しいんだ。一日でも早くその日が来るように頑張るから。お願い」
「もぉ、私は20年も待ったんだからね。早くしてよ」
「うん、早くする。頑張るから」
「分かったわよ」
「ありがとう。大好きだよ、セラフィ」
「止めて。したくなっちゃう」
「そうだね」
「走るのは大丈夫なの?どれくらい走ってるの?」
「学校がある時は、帰ってから往復1時間から1時間半かな。最近土日はセラフィに会ってたから走れなかったけど。これからは2、3時間は走ろうと思ってる」
「そんなに?」
「軽くジョギング程度だから」
「距離は?」
「最近専用の時計を買って測ったら、1時間なら20キロくらいかな」
「えっ!ちょっと待って、町中だよね?信号とかあるんだよね」
「もちろん、交差点は危ないから、スピードを弱めてる。この前も車にぶつかりそうになって」
「えっ!」
「ジャンプして避けた。1台だけだったから」
「避けたって、飛び越えたの」
「そう、高くジャンプして」
「本当に気をつけてよ」
「分かってる」
「それは置いといて、一時間で20キロってことは、2時間で40キロでしょ」
「まぁ、そうだね」
「ほとんど世界記録じゃない。ジョギング程度なんでしょ。信号待って」
「そう。何もなければ、もっと速く走れる」
「とうするのよ。大騒ぎになるわよ」
「いきなりはやらないけど、多少は騒ぎになってもらわないと、注目は集まらない」
「大丈夫なの。少し前まで引きこもってたんでしょ」
「まぁ、本心では嫌なんだけど。セラフィを手に入れるためなら、仕方ない。そもそもセラフィと一緒にいると決めた時点で、注目されることは諦めた」
「まぁ、そうだけど」セラフィがまた体を寄せていた。
「どうしたの?」
「心配」
「何が?僕の体は、どんなに走っても大丈夫だよ」
「違う。そこじゃないの。タカユキィのこと、みんなが見ちゃう」
「だから、そういうのは慣れるようにするって」
「もう!鈍感なんだから!女の子がタカユキィの周りに集まってくるって言ってるの!」
「フフフッ、大丈夫だよ。セラフィが彼女だって、すぐにバレるから」
「そんなの関係ない。みんなタカユキィに言い寄ってくる。私のことなんて無視して」
「大丈夫だって。僕はセラフィ以外、ありえないよ」
「だって、私は家のことで障害があるんだよ。他の可愛い子なら、簡単に手に入って、簡単に好きなことできる。そっちのほうが楽じゃん」
「僕はセラフィを手に入れたいんだ。そこに何があろうと乗り越える。もちろん、手に入れた後は、釣った魚に餌はやらないかも」
「もう!イジワル」
「フフフッ、ずっと愛し続けるし、すっと大切にする。でも、セラフィのことをガラスケースに入れて鑑賞するつもりはない。ずっと触っていたい」
「なんかやらしい」
「男子高校生なんて、みんなやらしいよ」
「私もずっと触ってたいな」
「うん、喧嘩しても、すぐに謝るから許してね」
「私が悪くても?」
「もちろん僕が謝る。セラフィに怒った顔をあんまりしていて欲しくないから」
「うん、気をつける。でも、浮気は絶対に許さないからね」
「そんな心配はいらない。僕はセラフィのものだよ」
「うん」
またキスをして、帰ることにした。
家の車で送ってくと言われたが、軽く走って帰ることにした。全然楽勝な距離だ。
ただペットボトルの飲物がないか確認した。従業員用ならあると言うので、何本かもらった。
家の門を開けてもらい、走っていった。
「お疲れ様」と言いながら、唖然とする男達にペットボトル配り、
「お父さんと話をして、世羅さんとは会わないことになったから」と言い残し、走り去った。
何人か追ってこようとしたが、もちろん追いつけるはずもない。
それから間もなく「高木世羅、破局」の文字がネットニュースに上がった。
「お母様、ナイスアイデア!」セラフィが満面の笑顔になった。
「そんな危険なことできないですよ。他の皆さんもいるのに」僕はもちろん反対する。
「外に別棟があって裏口から入れるわ。そこなら大丈夫よ。誰にも会わないから」
「うんうん、そうしよう。貴之」セラフィは、すっかりその気だ。
「でも、お父様に見つかったら?」当然の心配をする。
「まぁ、終わりでしょうね。2人は」
「そんな危険を犯せないですよ。高
校卒業まで我慢すればいいんですよ」
「そんなに待てないよ」とセラフィは、眉間にシワを寄せる。
「はぁ、なんてことに」僕は頭を振った。
「私がお父様にバラすから」春菜は言う。
「はぁ!なんてこと言うのよ、春菜!」セラフィは立ち上がる。
「だから、たまにでいいから、たかぴょんを貸して」
「たっ、たかぴょん?」僕はギョッとした。
「こら、春菜さん、いい加減にしなさい!」母親も怒ってるようだ。
「だって、女子校、つまんないんだもん」
「私だって、そうだったわよ。少しは男の友達と遊んでみたかった」
「ちょっ、ちょっと待って。セラフィ。僕のこと探してくれてたんだよね?」
「それはそうだけど、全然会えないし、この世界にいるかも分からなかったんだから。それに、別に変なことしようとは思ってなかったし」
「変なこと?まさか、もうしたの?」
と母親の矛先はセラフィに移った。
セラフィはモジモジしている。
「あっ、あの。キスだけです」と僕はつい口走った。
「えっ?私もしたい!」と何故か春菜が入ってくる。
「まぁ、それならいいわ」と母親はホッとしたようだ。
「ねぇ、キスしようよ」と春菜は僕の腕を揺らしている。
「春菜さん!」と母親は怒ったが、僕の顔をマジマジと見た。
僕は咄嗟に嫌な予感がした。
「ふ~ん。確かにカッコイイけど、それだけじゃないわね。なんか体の奥が熱くなってくる感じがするわ」
「お母様!なんてこと言ってるのよ」セラフィは大きな声を上げた。
僕はふと周りを見た。2人いるメイド達も、僕をじっと見ている。
はぁ、厄介な体になってしまった。僕は下を向いた。ナビちゃんが言った通り、早く能力がなくなることを祈った。
んっ、ちょっと待て、向こうの世界からセラフィが、この能力のお陰で、僕のことを好きになった、ということは否定できるのだろうか?
向こうで正体もバラしたし、この前、能力の話もした。だからといって、能力の効果がなくなると言えるのだろうか?
急速にヤバく思えてきた。早くセラフィと結婚しなくては。
「世羅さん、頑張って一日でも早く僕は相応しい男になる。だから、あんまり会えなくなるけど、お母様が言う方法で、必ず会いに来る。それでいいかな?」
「まぁ、お母様ですって」母親は照れた。
そこか!と突っ込みたくなったが、無視した。
「分かったわ。待ってるからね」とセラフィも微笑んだ。
「最後に一つだけいいかしら?」と母親が話し始めた。
「はい」
「主人は、さっきも見ての通り、今は誰も逆らわないわ。今日もあなたに酷いことを言って、世羅さんのことを諦めさせるつもりだったと思うの。
でも、あなたが先に挑戦状を叩きつけた。
たから、主人は、内心はかなり怒ってると思うけど、頭の片隅では、楽しみでしょうがないと思うわ。だから、その期待を少しでも裏切ったら、2度目はない。分かってると思うけど、念のため言っておくわ」
僕はソファーを下り、片膝を付いて、母親の目をじっと見た。
「はい、ありがとうございます。お母様の美しいお顔を困らせないように、見事、ご期待に応えてみせます」
「まぁ」母親はまた赤くなって、両頬に両手を付けた。
左肩を思い切り叩かれた。
振り返ると、セラフィが膨れていた。
「世羅さん、そんな顔も可愛くて、もっと好きになってしまうよ」
「もぉ、バカ」セラフィも赤くなった。
「ねぇ、私は?」春奈は満面の笑顔で、期待している。
んっ?ちょっとハルリナに似てる?あれ?ハルリナの顔って、どんなだったかな?ゲームとは違う印象だったような。
僕は無言で考えてしまった。
「ねぇ!私には言ってくれないの!」
声が大きくなる。
「あぁ、春菜さんも、もちろん美人ですよ。一緒にいると嬉しくて、自然と笑顔になっちゃう感じ」
「まぁ、そうかもしれないわね」春菜も赤くなった。
気に入ってもらえたようだ。ホッとした。
「やっぱりお姉様、たかぴょん貸して」と腕を組んできた。
「春菜さん、もし2人でいるところをお父様に見つかったら、2度と会えなくなるわよ。諦めなさい」母親がたしなめる。
「えぇ~!分かったよ」
あれ?随分と素直に引き下がったな、と僕は思った。嫌な予感がする・・・
「もういいでしょ。私の部屋に行こう」セラフィは言った。
「えっ!」僕は母親を見た。
「しょうがないわね。しばらくは無理だから、今日はいいわよ。でも、分かってるわよね。世羅さん」
「もちろん分かってるわ。お母様」
「私も行く」と春菜。
「春菜、本当に怒るわよ」セラフィが睨む。
春菜は下を向いた。
部屋を出ていこうとしたら、
「世羅様、何かお持ちしますか?」とメイドの一人が声をかけた。
「いらないわ。ありがとう」
「かしこまりました」
セラフィに手を引かれ、部屋に入った。
部屋は向こうの世界と変わらないようだった。
「凄い!」
「そう?」
セラフィはソファーに座った。僕も隣に座る。
「僕の家のリビングより広いかも。掃除とかもしてもらってるんだよね?」
「うん。あっ、もしかして、掃除も何もできない女だと思ってる?」
「そういうわけじゃないけど。別に僕、掃除好きだし。料理も簡単なものならできるよ」
「えっ!そうなの?」
「学校以外、ほとんど引きこもりだったからね。家の事は手伝ってた」
「そうなんだ。私も料理は習ってるから大丈夫よ。お菓子も作れるし。たまにSNSに上げてるの」
「ホントに?楽しみだなぁ」
「うん、今度作ってあげる」
セラフィが寄りかかってきた。
「ねぇ、タカユキィ、いいでしょ」
「僕もキスしたい」
セラフィは顔を上げる。僕はセラフィを抱き寄せて、唇を重ねる。
セラフィの手も僕の背中を引き寄せる。
僕は、セラフィの両腕を掴んで身体を離した。
「ごめん、我慢できなくなる」
「私はいいよ。タカユキィなら」
僕はセラフィの目を見つめた。
「僕も向こうの世界から、ずっとそうしたいと思ってた。でも向こうの世界は、タカティクスの体だったし、できなくて。
今はすぐにでもしたい。セラフィの全部を知りたい。僕の全部を知って欲しい。でも、まだ僕はセラフィに相応しくない。だから、待っていて欲しいんだ。一日でも早くその日が来るように頑張るから。お願い」
「もぉ、私は20年も待ったんだからね。早くしてよ」
「うん、早くする。頑張るから」
「分かったわよ」
「ありがとう。大好きだよ、セラフィ」
「止めて。したくなっちゃう」
「そうだね」
「走るのは大丈夫なの?どれくらい走ってるの?」
「学校がある時は、帰ってから往復1時間から1時間半かな。最近土日はセラフィに会ってたから走れなかったけど。これからは2、3時間は走ろうと思ってる」
「そんなに?」
「軽くジョギング程度だから」
「距離は?」
「最近専用の時計を買って測ったら、1時間なら20キロくらいかな」
「えっ!ちょっと待って、町中だよね?信号とかあるんだよね」
「もちろん、交差点は危ないから、スピードを弱めてる。この前も車にぶつかりそうになって」
「えっ!」
「ジャンプして避けた。1台だけだったから」
「避けたって、飛び越えたの」
「そう、高くジャンプして」
「本当に気をつけてよ」
「分かってる」
「それは置いといて、一時間で20キロってことは、2時間で40キロでしょ」
「まぁ、そうだね」
「ほとんど世界記録じゃない。ジョギング程度なんでしょ。信号待って」
「そう。何もなければ、もっと速く走れる」
「とうするのよ。大騒ぎになるわよ」
「いきなりはやらないけど、多少は騒ぎになってもらわないと、注目は集まらない」
「大丈夫なの。少し前まで引きこもってたんでしょ」
「まぁ、本心では嫌なんだけど。セラフィを手に入れるためなら、仕方ない。そもそもセラフィと一緒にいると決めた時点で、注目されることは諦めた」
「まぁ、そうだけど」セラフィがまた体を寄せていた。
「どうしたの?」
「心配」
「何が?僕の体は、どんなに走っても大丈夫だよ」
「違う。そこじゃないの。タカユキィのこと、みんなが見ちゃう」
「だから、そういうのは慣れるようにするって」
「もう!鈍感なんだから!女の子がタカユキィの周りに集まってくるって言ってるの!」
「フフフッ、大丈夫だよ。セラフィが彼女だって、すぐにバレるから」
「そんなの関係ない。みんなタカユキィに言い寄ってくる。私のことなんて無視して」
「大丈夫だって。僕はセラフィ以外、ありえないよ」
「だって、私は家のことで障害があるんだよ。他の可愛い子なら、簡単に手に入って、簡単に好きなことできる。そっちのほうが楽じゃん」
「僕はセラフィを手に入れたいんだ。そこに何があろうと乗り越える。もちろん、手に入れた後は、釣った魚に餌はやらないかも」
「もう!イジワル」
「フフフッ、ずっと愛し続けるし、すっと大切にする。でも、セラフィのことをガラスケースに入れて鑑賞するつもりはない。ずっと触っていたい」
「なんかやらしい」
「男子高校生なんて、みんなやらしいよ」
「私もずっと触ってたいな」
「うん、喧嘩しても、すぐに謝るから許してね」
「私が悪くても?」
「もちろん僕が謝る。セラフィに怒った顔をあんまりしていて欲しくないから」
「うん、気をつける。でも、浮気は絶対に許さないからね」
「そんな心配はいらない。僕はセラフィのものだよ」
「うん」
またキスをして、帰ることにした。
家の車で送ってくと言われたが、軽く走って帰ることにした。全然楽勝な距離だ。
ただペットボトルの飲物がないか確認した。従業員用ならあると言うので、何本かもらった。
家の門を開けてもらい、走っていった。
「お疲れ様」と言いながら、唖然とする男達にペットボトル配り、
「お父さんと話をして、世羅さんとは会わないことになったから」と言い残し、走り去った。
何人か追ってこようとしたが、もちろん追いつけるはずもない。
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