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全面戦争?
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初めてギンノジョウ様の家に来てから、一ヶ月が過ぎようとしていた。
この周辺にある木の実や山菜等の知識はかなり増えた。さすがに肉は食べられなかったが、数回は泉で魚を捕った。
2人に任せておくと、悲惨な食事になるので、食事は専ら僕が作った。アルコールも近くの果実で色々と作ったので、ハナエ様は満足しているようだ。
昼間は、ギンノジョウ様から自然界と人間の関係など色々と学んだが、特に修行というようなことはなかった。
魔法は、学校よりかは何倍も使えることは分かった。それでも魔力量が増えている実感はなく、精霊達が多いことが理由だと思えた。一回で消費する魔力量が少ないのだ。
夜は、頻繁にハナエ様が布団に忍び込んてきた。いつも執拗に僕に抱きついてくる。時々、マキノと寝言で言っている。何のことか分からなかったが、聞いてはいけない気がして、ほっといた。
僕も、いつの間にか、一人で寝ていると寂しく感じるようになっていた。そういう時は何故かハルカ先生のことが頭に浮かんだ。親が聞いたら悲しむかな?そう思っては苦笑いしたが、無性に先生に会いたくなる。
そんな感じで、日々が過ぎていった。
その頃、王国の城で、ハルカはモンド、ツクシ、シノビと集まっていた。
魔族に不穏な動きがあるという情報があったからだ。
「魔族が色々と準備をしているという情報があった」とシノビが招集をかけた理由を話した。
「魔王のいない魔族なんて、怖くもないけど」ハルカはどうでもいいと言いたげに話す。
「それはそうなんだが、王国や町に被害を出すわけにもいかない。前回と同じく先にこちらから仕掛けるのが、ベストと考えるのだが」シノビは淡々と話す。
「別に反対はしないわ。10年前に全滅させておけば良かったのよ」ハルカは面倒くさいとでも言いたげだった。
「まぁ、そう言うな。ギンノジョウとハナエが、魔族は必要悪だと話して、納得したんだろ」とモンドが言う。
「その時はそうしたわよ。私も若かったし。でも、こうして、また面倒なことをしてくる。たった10年よ。10年」
「まぁ、まぁ、落ち着いて、ハルちゃん。今大切なのは、王国と町を守ることよ」ツクシが間に入る。
「それは分かってます」ハルカは吐き捨てるように言う。
「問題は、魔族の狙いがなんなのか?なんだ」シノビが話を続ける。
皆は黙った。シノビも話していて、理由は分かっていた。
「狙いはユウタなんでしょ」ハルカは沈黙を破った。
「そう考えるのが自然だろうな。ギンノジョウ達が隠してしまったから、王国の民達を人質にして、ユウタを出せと要求してくるんだろう」モンドが応えた。
「勝てないのが分かってるのに?」
「それだけ必死なんだろう」
「いつにするの?こっちは、この4人がいれば十分よ。私だけでもいいくらい」
「まぁ、まぁ、落ち着け。向こうも前回のことがあるから、それなりに対策をしているだろう」シノビが話す。
「いいわよ。私一人でやる」
「ユウタを守りたいのは分かるが、落ち着け!」モンドが大声を出す。
「だって」
「魔族がいなくなれば、ユウタが戻って来れる、そう思ってるんだろ?」モンドが続けた。
ハルカは黙った。その通りだからだ。早くユウタに会いたい。
「とにかく今、偵察隊を派遣している。その結果を踏まえて、乗り込むか決める」シノビが冷静に話した。
そこに、
「マスター」と扉を開けて、駆け込んできて、跪いた。シノビのマスクをしていた。
「偵察隊、全滅との連絡がありました」
マスクで表情は分からないが、マスターと呼ばれたシノビの雰囲気が変わった。
「分かった。さがれ」
「はっ」
扉が閉まった。
「いつにするの?」ハルカは言った。
「3日後だ」シノビはいつものように冷静に言ったつもりだったが、皆は全て分かった。
そんなことになっているとは、ギンノジョウ達は知る由もなかった。
いつものように、のどかな日々が過ぎていた。
この周辺にある木の実や山菜等の知識はかなり増えた。さすがに肉は食べられなかったが、数回は泉で魚を捕った。
2人に任せておくと、悲惨な食事になるので、食事は専ら僕が作った。アルコールも近くの果実で色々と作ったので、ハナエ様は満足しているようだ。
昼間は、ギンノジョウ様から自然界と人間の関係など色々と学んだが、特に修行というようなことはなかった。
魔法は、学校よりかは何倍も使えることは分かった。それでも魔力量が増えている実感はなく、精霊達が多いことが理由だと思えた。一回で消費する魔力量が少ないのだ。
夜は、頻繁にハナエ様が布団に忍び込んてきた。いつも執拗に僕に抱きついてくる。時々、マキノと寝言で言っている。何のことか分からなかったが、聞いてはいけない気がして、ほっといた。
僕も、いつの間にか、一人で寝ていると寂しく感じるようになっていた。そういう時は何故かハルカ先生のことが頭に浮かんだ。親が聞いたら悲しむかな?そう思っては苦笑いしたが、無性に先生に会いたくなる。
そんな感じで、日々が過ぎていった。
その頃、王国の城で、ハルカはモンド、ツクシ、シノビと集まっていた。
魔族に不穏な動きがあるという情報があったからだ。
「魔族が色々と準備をしているという情報があった」とシノビが招集をかけた理由を話した。
「魔王のいない魔族なんて、怖くもないけど」ハルカはどうでもいいと言いたげに話す。
「それはそうなんだが、王国や町に被害を出すわけにもいかない。前回と同じく先にこちらから仕掛けるのが、ベストと考えるのだが」シノビは淡々と話す。
「別に反対はしないわ。10年前に全滅させておけば良かったのよ」ハルカは面倒くさいとでも言いたげだった。
「まぁ、そう言うな。ギンノジョウとハナエが、魔族は必要悪だと話して、納得したんだろ」とモンドが言う。
「その時はそうしたわよ。私も若かったし。でも、こうして、また面倒なことをしてくる。たった10年よ。10年」
「まぁ、まぁ、落ち着いて、ハルちゃん。今大切なのは、王国と町を守ることよ」ツクシが間に入る。
「それは分かってます」ハルカは吐き捨てるように言う。
「問題は、魔族の狙いがなんなのか?なんだ」シノビが話を続ける。
皆は黙った。シノビも話していて、理由は分かっていた。
「狙いはユウタなんでしょ」ハルカは沈黙を破った。
「そう考えるのが自然だろうな。ギンノジョウ達が隠してしまったから、王国の民達を人質にして、ユウタを出せと要求してくるんだろう」モンドが応えた。
「勝てないのが分かってるのに?」
「それだけ必死なんだろう」
「いつにするの?こっちは、この4人がいれば十分よ。私だけでもいいくらい」
「まぁ、まぁ、落ち着け。向こうも前回のことがあるから、それなりに対策をしているだろう」シノビが話す。
「いいわよ。私一人でやる」
「ユウタを守りたいのは分かるが、落ち着け!」モンドが大声を出す。
「だって」
「魔族がいなくなれば、ユウタが戻って来れる、そう思ってるんだろ?」モンドが続けた。
ハルカは黙った。その通りだからだ。早くユウタに会いたい。
「とにかく今、偵察隊を派遣している。その結果を踏まえて、乗り込むか決める」シノビが冷静に話した。
そこに、
「マスター」と扉を開けて、駆け込んできて、跪いた。シノビのマスクをしていた。
「偵察隊、全滅との連絡がありました」
マスクで表情は分からないが、マスターと呼ばれたシノビの雰囲気が変わった。
「分かった。さがれ」
「はっ」
扉が閉まった。
「いつにするの?」ハルカは言った。
「3日後だ」シノビはいつものように冷静に言ったつもりだったが、皆は全て分かった。
そんなことになっているとは、ギンノジョウ達は知る由もなかった。
いつものように、のどかな日々が過ぎていた。
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