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告白 1
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「久しぶりね、シオリ」軽快な声でスミレは電話に出た。
「今、大丈夫ですか?」
「帰るところだから、大丈夫よ」
「今、守衛室の外にいます。会えますか?」
「子供、お母さんに見てもらってるから、長くならないなら、いいわよ」
「はい、お願いします」
「うん、今から行く」
しばらくして、外に出てきた。
「どうしたの?暗い顔して」
「実は純太くんのことで」
「あぁ、そう言えば最近、全然言ってこないから、ほっといてたわ」
シオリはモゴモゴした。
「何?ここじゃ話しづらいの?」
「そうですね」
「う~ん、この辺りで個室があるところって、居酒屋しかないわよ」
「すいません。お願いします」と頭を下げた。
「しょうがないわね」と母親に電話して、コール音が鳴っている間、スミレはシオリに背を向けた。ニヤけているのがバレないように。
母親に少し帰りが遅れると言って電話を切った。
「さっ、行きましょ」スミレは先を歩いた。シオリを見たら、笑い出しそうだったから。
店に着き、個室が空いているか確認したら大丈夫だった。個室に行き、シオリが座ると、「トイレに行ってくる」とスミレは言った。
スミレは鏡に向かいながら、すぐにニヤけてしまう顔をなんとか整えた。「よし」っと言ってシオリの元に戻った。
「何飲もうかな?ウーロンハイくらいにしとこうかな?シオリは?」
「ウーロン茶で」
「少しくらい飲んだ方が気が晴れるわよ」
「じゃぁウーロンハイで」
私を励ますつもりで、スミレさんは明るく接してくれているのだと思っていた。この時は。
スミレは飲み物と簡単な摘みを3品頼んだ。
「それで、純太がどうしたの?」
「全然連絡取れなくて」
「えっ!あなた達、連絡とり合ってたの?」スミレは白々しくならないように気を付けた。
「はい、実は2人だけで何回か会いました」
「なんだ、だから私に言ってこなかったのね」
はぁ、合わせるのも面倒くさい。全部こっちから話してしまおうか。目的は達成したのだ。それをこの女は、これから私に教えてくれる、とすみれは思っていた。
「はい、すいません」
「そんなことになってることは、ビックリはするけど、別に私のものじゃないし、好きにしなさいよ」
「まぁ、好きにはしてたんですけど」
「それならいいけど。私もそろそろ終わりにしたかったし」
「そうなんですか?」
「前から本人には終わりにしたいって言ってたんだけど、あの調子でしょ。なかなか首を縦に振らなくて」
「それで・・・」
そこで飲み物と料理が来た。
一度話は中断し、店員が去ると再開した。
「それで?」スミレがグラスを上げる。先に祝杯だ、とスミレは思った。
「ごめんなさい。ちょっとそういう気分には」
まだスミレさんは、私を励まそうしていると思っていた。
「そう?」
スミレは一口飲み、摘みを口に入れる。
シオリの両手は膝の上だ。
「それで一昨日から連絡が取れなくなって」
きた!とスミレは思った。
「一昨日?そんなに頻繁に連絡取ってたの?」
「えぇ、ほとんど毎日」
「そうなんだ。まっ、あの子マメだからね。そういうところ」
ん?なんかおかしい。連絡が取れなくなったって言ったわよね。心配じゃないのかしら?シオリは違和感を感じ始めた。
「連絡が取れなくなって」シオリは繰り返した。
「うん、何かあったの?」スミレはウーロンハイをまた飲んだ。
やっぱりおかしい。この人、何か知っている。
「ジュンくんのスマホに電話して」
「えっ!そんなことしたの?勇気あるわね」
「ちょっと!スミレさん、何を知ってるんですか!教えてください!」
八つ当たりだとは思ったが、イライラが限界だった。
「あぁ、やっぱり私に演技は無理だったようね。フフフッ」
「ちょっと!状況分かってますか?ジュンくんが!」
「壊れたんでしょ、あの子」
「今、大丈夫ですか?」
「帰るところだから、大丈夫よ」
「今、守衛室の外にいます。会えますか?」
「子供、お母さんに見てもらってるから、長くならないなら、いいわよ」
「はい、お願いします」
「うん、今から行く」
しばらくして、外に出てきた。
「どうしたの?暗い顔して」
「実は純太くんのことで」
「あぁ、そう言えば最近、全然言ってこないから、ほっといてたわ」
シオリはモゴモゴした。
「何?ここじゃ話しづらいの?」
「そうですね」
「う~ん、この辺りで個室があるところって、居酒屋しかないわよ」
「すいません。お願いします」と頭を下げた。
「しょうがないわね」と母親に電話して、コール音が鳴っている間、スミレはシオリに背を向けた。ニヤけているのがバレないように。
母親に少し帰りが遅れると言って電話を切った。
「さっ、行きましょ」スミレは先を歩いた。シオリを見たら、笑い出しそうだったから。
店に着き、個室が空いているか確認したら大丈夫だった。個室に行き、シオリが座ると、「トイレに行ってくる」とスミレは言った。
スミレは鏡に向かいながら、すぐにニヤけてしまう顔をなんとか整えた。「よし」っと言ってシオリの元に戻った。
「何飲もうかな?ウーロンハイくらいにしとこうかな?シオリは?」
「ウーロン茶で」
「少しくらい飲んだ方が気が晴れるわよ」
「じゃぁウーロンハイで」
私を励ますつもりで、スミレさんは明るく接してくれているのだと思っていた。この時は。
スミレは飲み物と簡単な摘みを3品頼んだ。
「それで、純太がどうしたの?」
「全然連絡取れなくて」
「えっ!あなた達、連絡とり合ってたの?」スミレは白々しくならないように気を付けた。
「はい、実は2人だけで何回か会いました」
「なんだ、だから私に言ってこなかったのね」
はぁ、合わせるのも面倒くさい。全部こっちから話してしまおうか。目的は達成したのだ。それをこの女は、これから私に教えてくれる、とすみれは思っていた。
「はい、すいません」
「そんなことになってることは、ビックリはするけど、別に私のものじゃないし、好きにしなさいよ」
「まぁ、好きにはしてたんですけど」
「それならいいけど。私もそろそろ終わりにしたかったし」
「そうなんですか?」
「前から本人には終わりにしたいって言ってたんだけど、あの調子でしょ。なかなか首を縦に振らなくて」
「それで・・・」
そこで飲み物と料理が来た。
一度話は中断し、店員が去ると再開した。
「それで?」スミレがグラスを上げる。先に祝杯だ、とスミレは思った。
「ごめんなさい。ちょっとそういう気分には」
まだスミレさんは、私を励まそうしていると思っていた。
「そう?」
スミレは一口飲み、摘みを口に入れる。
シオリの両手は膝の上だ。
「それで一昨日から連絡が取れなくなって」
きた!とスミレは思った。
「一昨日?そんなに頻繁に連絡取ってたの?」
「えぇ、ほとんど毎日」
「そうなんだ。まっ、あの子マメだからね。そういうところ」
ん?なんかおかしい。連絡が取れなくなったって言ったわよね。心配じゃないのかしら?シオリは違和感を感じ始めた。
「連絡が取れなくなって」シオリは繰り返した。
「うん、何かあったの?」スミレはウーロンハイをまた飲んだ。
やっぱりおかしい。この人、何か知っている。
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「えっ!そんなことしたの?勇気あるわね」
「ちょっと!スミレさん、何を知ってるんですか!教えてください!」
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「あぁ、やっぱり私に演技は無理だったようね。フフフッ」
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