クラスイチ(推定)ブスだった私が、浮気しない真面目なイケメン彼氏と別れた理由

ぱるゆう

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衝撃の事実 〜好きになった理由〜

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「あの子、昔、壊されちゃって」

 僕はベッドに正座した。

「すいません、詳しく聞かせてもらえますか?」

 小百合さんも体を起こして、弟がまだ高校性だったと話し始めた。

 僕は話の途中で姉ちゃんが心配になり、
「話の途中で、すいません。姉さんに電話してもいいですか?」

「いいけど、今夜から、うちの車で旅行に行くって言ってたわよ」

 あぁ、そうだった。姉ちゃんは家族には早苗さんと旅行に行くって言ってた。僕はベッドを飛び下り、スマホを手に取って、電話した。

「只今、電話に出ることができません。ピーッ・・」とメッセージが流れた。

 あぁ、ダメだ。僕はベッドに戻って、土下座をした。
「小百合さん、この埋め合わせは必ずします。今から弟さんのところに行ってくれませんか?』

「今から?」

「お願いします。嫌な予感がするんです」

「分かったわ。でも間に合わないかもしれないわよ」

 僕達はざっとシャワーを浴びて、部屋を出た。


 また小百合さんの隣で車に揺られている。

 さっき、ベッドで小百合さんがしてくれた話は、こんな内容だった。




 高校生だった真司と私の家族は、実業団に所属していた私の試合を観戦しに来ていた。

 試合の内容は覚えてないけど、試合が終わって、私はグラウンドで家族と話していた。

 そこに、当時チームメイトだった美幸が来た。その頃、寮で同室だったので、家族に挨拶に来たんだと思う。

 美幸は、野球で日焼けして、髪を短くしていなければ、おしとやかなお嬢様といった、顔立ちの整った子だった。

 しかし、本性は全然違って、朝帰りは当たり前、二日酔いを体調が悪いと言って練習を休むような子だったの。

 当時の真司は、甲子園を目指す野球少年で、純粋で可愛かった。それで、美幸に狙われたの。

 私は、美幸が寮を抜け出して会っている相手が、まさか真司だなんて分からなかったし、真司の近くにいなかったから、変化も分からなかった。

 真司が部活を辞めたのも、夜遅く帰ってくるようになったのも知ったのは、状況が酷くなった後だった。

 後で聞いた話だけど、真司は美幸とホテルに行っていたのよ。

結局、半年くらいで美幸が飽きたみたいで、突然連絡が取れなくなって。

既に、実業団はクビになっていたから、やりたい放題ね。

すんなり真司が諦めてくれれば良かったんだけど、それからが大変。私にも、美幸の居場所をきく電話があって、初めて何が起こってたかを知ったのよ。

当然、私にも美幸がどこにいるかなんて分からない。多分、どこかの男のところに転がり込んでたんだと思うけど、そんなの探しようがない。

まぁ、初恋が思い出になることはよくある話だし、いずれ真司も落ち着くと思ったの。

でも、最悪なことが起こった。

なんと美幸が真司ところに戻って来たの。

真司は当然、どこに行ってたのかを聞くわけ。美幸は悪ぶれもせずに、他の男のところと言うの。

すると、真司が怒ったり泣いたりしながら、止めてくれと、ずっと一緒にいてくれって言ったみたい。

でも、結局、またいなくなって、しばらくすると、またひょっこり現れる。

戻って来ると嬉しいんだけど、いなくなっている間は、他の男のところ。

真司をなんとか説得して、連絡が来ても会わないようにさせたの。

えっ、どうやって?僕は話に入った。

私が代わりになることで納得させたの。私なら、どこにも行かないからって。

でも、既に真司の心は壊れてた。

あんな顔で、普段はとても優しい。大学生になると、彼女をいっぱい作ったわ。

いっぱい?僕はその言葉に違和感を感じた。

真司は付き合い始めると、相手を異様なまでに束縛した。毎日の電話はもちろん、
相手がどこかに出かける時は、定期的に連絡を要求する。もちろん、テレビ電話で。

大体、相手がすぐに疲れて別れる。別れちゃえば真司は興味をなくすから、私の下に帰ってくる。

それでも他の女の子達は寄ってくる。その繰り返し。

でも、それは大学まで。今の会社に入ってからは、私だけで落ち着いてる。

んっ?ちょっと待って。姉さんは、そんなこと言ってなかったよ。束縛のこと。

そこなのよ、今回の問題は。でも、本人にはとても失礼なことなんだけど、会って分かったわ。

何故、真司が花音ちゃんに執着するのか?






少しずつ日が落ちてきた。
「あとどれくらいですか?」

「もう少し時間がかかるわ」

「はい」

ホテルを出てからも電話しているが、全然繋がらない。






その頃

私は真田さんの家の前でインターホンを鳴らし、出てくるのを待っていた。脇にはスーツケースがある。

すぐに、真田さんが出てきた。
「ごめん、来てもらっちゃって」

「仕事だからしょうがないよ。早く行こ。真司の荷物は?」

「今朝積んでおいた。花音の荷物貸して」

「うん」

私達が駐車場につくと、物陰から誰か出てきた。

「真司」とその人陰は言った。

「えっ、誰?」真田さんは目を細める。

人陰は、明るいところに出てきた。

「おっ、お前は」真田さんは後ずさった。

「真司、年取ったね。まぁ、私もだけど。でも、相変わらずイケメンだね」

「俺は、お前なんかに用はない。消えろ!」

綺麗な人だったが、真田さんよりもかなり年上にみえた。無理に若作りしているように感じた。

どうしたの?こんな真田さん、初めて見る。私は声が出せなかった。

「あら?冷たいじゃない。久しぶりに会いに来てあげたのに」

「俺は顔も見たくない。とっとと消えろ!」

真田さんは私のスーツケースを車に乗せた。

「あら?旅行でもするの?私とはホテルにしか行かなかったのに」

「うるさい、黙れ!」

「これが今の相手?冗談でしよ。あっ、もしかして、この子なら、浮気しないから?あっ違うか。男が誰も寄って来ないから安心なのか。キャッハッハッハッ」

「黙れ!俺は花音といると、心が休まるんだ。とても幸せなんだ。お前なんかに何が分かる!」

「認めちゃってるじゃん。他の男のところに行く心配をする必要がないから、心が休まるんでしょ」

「うるさい!お前とは2度と話さない。花音、行こう」

私はフリーズした。あの人が言っていることが、全て当てはまってしまうからだ。
 
「花音?どうしたんだよ。早く行こう」

「ごめんなさい。でも、私、一緒に行けない」

「花音、あんなやつの言うことなんて聞く必要ない。いつも言ってるだろ。僕には君が必要なんだ」

「心の安らぎのため?」

「違う。それだけじゃない。花音の前向きなところ好きだよ」

『それって、ブスなのにおしゃれしてるってこと?ブスなくせに、見た目で真司に気に入られようとしてるってこと?」私は涙が溢れてきた。

「違う、そうじゃない」

「じゃあ、何なのよ。教えてよ」私は叫んだ。

『僕はずっと君と一緒にいたい。これはホントだ。愛している」

「それは私への愛じゃない。自分自身への愛よ」

真田さんは目をそらせ、何も言わなかった。

「そんな女、放っといて、私とホテル行こうよ。あなたにセックスの気持ちよさを教えたのは私よ」






「着いたわよ」
小百合さんは車を止めた。
僕はすくにシートベルトを外して、飛び出した。

すると、近くから女性の叫び声が聞こえた。
姉ちゃんの声?

僕は声のした方に走った。

すると、姉ちゃんと、真司、知らない女の人がいた。

姉ちゃんは泣いているようだ。
僕は走って、
「姉ちゃん」と叫んだ。

姉ちゃんは、涙でグチャグチャになった顔を向けた。
「どうしたの?」

「かえで~」と言って抱きついてきた。

「お家帰るぅ」

「分かった。帰ろう」

「その後ろに荷物がぁ」

「分かったよ」僕はトランクを開けて、見覚えのある方のスーツケースを下ろした。




「あっ、美幸!こら!」小百合さんが叫んだ。

「ヤッベ」と言って、美幸は逃げ出した。

「まったく!逃げ足だけは早いんだから」





私は楓の肩を借りて、その場を去ろうとした。

「花音、お願いだから待って。僕の話を聞いて」真田さんはついてくる。

「もう聞きたくない。信じてたんだよ。真田さんが私のこと綺麗だって言った言葉を。
本当は、どんなに頑張ってもこの程度なのかよってことじゃない。酷いよ」

「えっ!」楓はそう言って、私を置いて戻った。

私が振り返ると、真田さんの胸ぐらを掴んで、楓が拳を振り上げていた。

「本当か?」

「楓、ダメ!そんなやつのために、人生壊れちゃう。ダメ!」

「殴ってくれ。花音の代わりに僕に制裁を加えてくれ」

「気安く姉ちゃんの名前を呼ぶんじゃねぇ」楓は拳を振り下ろした。

しかし、拳が前に進まない。

小百合さんが手首を掴んでいた。
凄い握力だ。

「小百合さん、痛い!もうやらないから」 

「下半身から始動してたけど、そんな大振りじゃ三振だよ」

「分かったから」小百合さんは手を離した。

楓は手首を押さえている。

小百合さんは、車の鍵を楓に渡した。
「明後日返してくれればいいから。2人で行ってきなさい」

「どこへ?」

「旅行よ。今からじゃキャンセル効かないわ」

「姉さん。僕と花音の旅行だよ」

楓は睨んだ。小百合さんは真田さんに向き直って、
「真司には、私がいるでしょ。私だけみてて。それとも私じゃ不満?」

「そんなことない。姉さんは世界で一番だよ」

小百合さんは背中で手を振った。早く行けと言うことだろう。

楓は私の手と、スーツケースを転がしながら走った。
「姉ちゃん、行こう」

「うん、楓」 
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