クラスイチ(推定)ブスだった私が、浮気しない真面目なイケメン彼氏と別れた理由

ぱるゆう

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突然の告白

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プログラマーとして、商品が出来上がった後は、システムエンジニアと一緒に顧客のところに行くこともある。

今日は久しぶりにスカートのスーツを着た。随分と腰回りがスリムになって、ブカブカだ。忙しい時は食欲がなくなり、無理に口の中に食べ物を押し込む状態になるからだ。

その割に胸は全く痩せない。ブラは何度も買わないとならなくなった。 

最近、背中から声をかけられることが何度かあった。振り返ると必ず人違いでしたと言われるが。

今日同行するシステムエンジニアは、女子社員の人気ランキングで上位を争うイケメンな真田さんだ。
プログラミングの内容を確認するために職場に行くと、いつもどこかの部署の女子社員が来ている。




この前のある日、
真田さんのところに、仕事上確認しなければならないことがあり、行った。
いつものように、真田さんに会いに来た女子社員に話しかけられていた。

こういう時に話しかけると、睨まれるから嫌なのだが、納期は待ってくれない。仕方なく話しかける。
案の定、女子社員は睨んてくる。お前ごときが邪魔をするなと言わんばかりだ。
しかし、真田さんは助かったとばかりに、ホッとした顔を見せた。

真田さんは向こうでゆっくり話そうと、私をわざわざ会議室に連れてきた。

会議室に入ると、テーブルの角に斜向かいに座った。私は持って来た資料を広げた。

「仕事中なんだから、いい加減にしてほしいよ。怒られるのは僕なんだ」と眞田さんは愚痴をこぼす。

「イケメンも大変そうですね?」私には高嶺の花だと分かっているので、他の人と同じように接することにしている。

「勝手にイケメンにされるのは迷惑だよ」真田さんはうんざりだという顔をした。

「それで、ここなんですけど」私も忙しいので、早速本題に入った。

「ねぇ、山上さん」

「はい。ここですよ。私の話聞いてますか?」私は資料を見ながら、指さした。

「僕と付き合ってくれないか?」

「もちろん次の顧客への説明には同席します。でも、真田さんにも理解しておいてもらわないと」私は下を見ながら、真田さんの方に資料を向けた。

「違うんだ。結婚を前提に、僕の恋人になってほしい」

「はい、だから、一緒に行きますって・・・えっ!」私は、背もたれに背中をつけ、両腕を胸の前でクロスさせた。反射的に身構えてしまった。顔はオバケでも見つけたような顔をしていただろう。

「すっ、すいません。私、寝ぼけてるかもしれないので、もう一度言ってもらえませんか?」何が起こっているのか頭の中が混乱した。

「僕の恋人になって欲しいんだ」真田さんは体を乗り出してきた。目は真剣そうだった。

「なっ、何かの新しい企画ですか?それともどっ、ドッキリとか?罰ゲームとか?」声が震えた。怪しい、怪し過ぎる。私がイケメンに告白されるなんて。

「僕には山上さんしか見えない。夢にも出てくるんだ。だから・・・。あっ、答えは今じゃなくていい。今度でいいから。じゃあ」真田さんは急に恥ずかしくなったのか、立ち上がって慌てて出ていこうとした。

「ちょっと待って」私は咄嗟に真田さんの袖を掴んだ。

真田さんはゆっくりと振り返った。
「何?やっぱり僕じゃイヤ?」

「違います!仕事のことです」

「あぁ、そうだね」

私は顔が赤くなっていただろうが、落ち着いて仕事のことを聞いた。真田さんは、丁寧に教えてくれた。

「分かりました。ありがとうございます」

「うん、よろしくね。仕事のこともさっきのことも」

「本気なんですか?。別に今、うっそびょ~んって言っても怒らないですよ」頭の中では、警鐘が鳴っている。

真田さんは、資料を片付けている私の手の上に、自分の手を重ねた。
「真剣だよ。君となら僕は幸せになれる」

「わっ、私のどこで、そんなことを?」私は手を引っ込められず、圧に押されそうになった。すぐに「はい」と言ってしまいそうだった。しかし、罰ゲームだと言われたら恥ずかしい。

「全部だよ。性格も顔もスタイルも誰よりもいいと僕は思ってる」

「もう十分です。でも、ちょっと考えさせてください。いきなりで気持ちの整理が」

「うん、ゆっくり考えて。僕はいつまでも待ってるから」真田さんは、これまでも何人も女性を虜にしてきただろう優しい笑顔を見せて、会議室を出ていった。

私は机の上に上半身を倒して、頬をつけた。今でも何があったのか、今は現実なのか理解できなかった。

「ダメだ。こんなことが私の人生に起こるなんて。綺麗さっぱり諦めていたのに」
心臓の鼓動が収まらなかった。

「どうせ2、3回やったら気が済むのだろう。それでも、あの時を忘れられるかもしれない。嘘でも、彼女としてできるんだ。
彼女・・・考えても無駄だと分かっていたけど、ずっと憧れていた言葉」
私はニヤけてしまった。あのイケメンな真田さんの彼女なのだ。

会議室を出ると、別の女性社員が待っていたようだ。妙に距離が近く、真田さんは目一杯椅子を倒していた。

真田さんは私を見て、迷惑そうな顔から笑顔になった。私は小さく手を降った。
すると、女子社員がこっちを向いて睨んてきた。
私はすぐに退散した。

それからは眞田さんのところに行っても、普通に接してくれた。私の答えが気にはなっているだろうが、仕事の納期が迫っていた。それどころではないと、2人とも分かっていた。




なんとか無事に納期に間に合い、今日を迎えた。

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