ウソ告したいヤツはオレんとこに来い! え? 実はホントだった? だが遅い。

新川 さとし

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第29話 職員会議 5

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「そ、それはですね! すぐに発見できたんです。ロッカーの上とか、教卓の中とか。悪質性が低いと見なして、大島先生のご意見を伺って、様子を見ることにしたんです」

 焦るのはワケがある。

 通常、イジメにつながるような行動が見られた場合、直ちに学年会で情報が共有化されることになっている。しかし、学年会にも、まして職員会議でも、この件は報告されていないのである。

 イジメが共有化されてないという事実は、通常でも処分対象となりうる。まして、今回は「誰かが処分される」のが前提なのだ。

 この件は生活指導部長としては重大な失態となり得るのが明らかだ。

 しかし、斉田の言い分では、まるで「担任がもみ消しを図った」ようにも聞こえてしまう。

「ええええ! そんな、斉田先生!」

 大島は悲鳴を上げるように声を出すと手を挙げた。ちらりと指導主事を見てから、渋々、副校長が大島を指名する。

「私は報告しようと何度も言いましたよね? でも、斉田先生が『今は大事な時期だ。推薦の決まった生徒もいる。管理職には私から報告しておくので黙っているように』って、その度に言われたんですけど。校長先生、ご存じですよね?」

 校長は、まるで現実を拒否するように顔を振りながら発言した。

「わ、私は、報告を受けてないぞ。斉田先生、それは本当ですか?」

「い、いえ、あのぉ、それはですね。えっと後ほどご報告を入れようとして、つい、後回しに」
 
 チラチラと指導主事の方を見ながら、斉田は、しどろもどろだ。

「斉田先生、副校長には報告したって何度も仰いましたよね?」

 大島は、斉田への追及を緩めない。

「えええ? 私は聞いてませんよ。斉田先生、いつ、私に言いましたか?」

 盛んに、斉田に目配せをしている。空気を読め、辞めさせろと訴えているが、大島には通じるはずがなかった。
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