74 / 99
第29話 職員会議 5
しおりを挟む
「そ、それはですね! すぐに発見できたんです。ロッカーの上とか、教卓の中とか。悪質性が低いと見なして、大島先生のご意見を伺って、様子を見ることにしたんです」
焦るのはワケがある。
通常、イジメにつながるような行動が見られた場合、直ちに学年会で情報が共有化されることになっている。しかし、学年会にも、まして職員会議でも、この件は報告されていないのである。
イジメが共有化されてないという事実は、通常でも処分対象となりうる。まして、今回は「誰かが処分される」のが前提なのだ。
この件は生活指導部長としては重大な失態となり得るのが明らかだ。
しかし、斉田の言い分では、まるで「担任がもみ消しを図った」ようにも聞こえてしまう。
「ええええ! そんな、斉田先生!」
大島は悲鳴を上げるように声を出すと手を挙げた。ちらりと指導主事を見てから、渋々、副校長が大島を指名する。
「私は報告しようと何度も言いましたよね? でも、斉田先生が『今は大事な時期だ。推薦の決まった生徒もいる。管理職には私から報告しておくので黙っているように』って、その度に言われたんですけど。校長先生、ご存じですよね?」
校長は、まるで現実を拒否するように顔を振りながら発言した。
「わ、私は、報告を受けてないぞ。斉田先生、それは本当ですか?」
「い、いえ、あのぉ、それはですね。えっと後ほどご報告を入れようとして、つい、後回しに」
チラチラと指導主事の方を見ながら、斉田は、しどろもどろだ。
「斉田先生、副校長には報告したって何度も仰いましたよね?」
大島は、斉田への追及を緩めない。
「えええ? 私は聞いてませんよ。斉田先生、いつ、私に言いましたか?」
盛んに、斉田に目配せをしている。空気を読め、辞めさせろと訴えているが、空気を読まない大島には通じるはずがなかった。
焦るのはワケがある。
通常、イジメにつながるような行動が見られた場合、直ちに学年会で情報が共有化されることになっている。しかし、学年会にも、まして職員会議でも、この件は報告されていないのである。
イジメが共有化されてないという事実は、通常でも処分対象となりうる。まして、今回は「誰かが処分される」のが前提なのだ。
この件は生活指導部長としては重大な失態となり得るのが明らかだ。
しかし、斉田の言い分では、まるで「担任がもみ消しを図った」ようにも聞こえてしまう。
「ええええ! そんな、斉田先生!」
大島は悲鳴を上げるように声を出すと手を挙げた。ちらりと指導主事を見てから、渋々、副校長が大島を指名する。
「私は報告しようと何度も言いましたよね? でも、斉田先生が『今は大事な時期だ。推薦の決まった生徒もいる。管理職には私から報告しておくので黙っているように』って、その度に言われたんですけど。校長先生、ご存じですよね?」
校長は、まるで現実を拒否するように顔を振りながら発言した。
「わ、私は、報告を受けてないぞ。斉田先生、それは本当ですか?」
「い、いえ、あのぉ、それはですね。えっと後ほどご報告を入れようとして、つい、後回しに」
チラチラと指導主事の方を見ながら、斉田は、しどろもどろだ。
「斉田先生、副校長には報告したって何度も仰いましたよね?」
大島は、斉田への追及を緩めない。
「えええ? 私は聞いてませんよ。斉田先生、いつ、私に言いましたか?」
盛んに、斉田に目配せをしている。空気を読め、辞めさせろと訴えているが、空気を読まない大島には通じるはずがなかった。
0
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
男性向けフリー台本集
氷元一
恋愛
思いついたときに書いた男性向けのフリー台本です。ご自由にどうぞ。使用報告は自由ですが連絡くださると僕が喜びます。
※言い回しなどアレンジは可。
Twitter:https://twitter.com/mayoi_himoto
YouTube:https://www.youtube.com/c/%E8%BF%B7%E3%81%84%E4%BA%BA%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%8B%E3%83%83%E3%82%AF%E6%B0%B7%E5%85%83%E4%B8%80/featured?view_as=subscriber
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる