上 下
52 / 99

第24話 だが、遅い! 1

しおりを挟む
「石田、ちょっと待ってくれ」

 教室へ戻ろうとしたら担任の大島先生に呼び止められた。横には校長先生と学年主任がいた。

「はい。なんでしょうか?」
「おまえの親って、何時頃なら電話に出られると思う?」
「電話をするんですか? まさか今日のことでしょうか?」
「あぁ。おまえはなるべく親に言うなって思っているのは分かってるが、さすがに、こうなると話をしなくちゃダメなんだ。今日の件で、緊急で臨時保護者会も開かなくちゃだしな。その前に、おまえの親には説明とお詫びをする必要があるんだ」

 今日の出来事について臨時保護者会を開くとか何とかで、その前にオレの親へ電話するって話だ。学校で逮捕者が出てしまった以上、そういうこともあるのかな。ただ、父さんは、今アマゾンの奥のはず。無線ならともかく、携帯がつながるとは思えない。

「母さんは、きっと遅くまで仕事だと思います」

 業界ではけっこう大手の農業系新聞の記者だけあって、毎日の記事プラス、月刊誌の方にもこき使われる。その締め切り間近の今の時期だと、帰れるのは10時を超えるのが普通だ。

 そのあたりを丁寧に先生に説明したけど「だけど、何とか連絡しなくては」と校長先生が、ため息をついていたよ。

 それやこれやで体育館を出たのは一番最後になってしまった。部活も中止で、強制的に即時下校という話だ。下級生達は、これ幸いとダッシュで帰宅していく。 

 教室へ戻ろうとした階段の手前で、いきなり引っ張られた。

「わっ! 宇佐美さん?」
「すまなかった!」
「え?」
「知らないこととは言え、ひどいことをしてしまった。許してくれ」

 頭を深々と下げている。

 どうやら、ウソ告のことを謝るつもりらしい。すぐに謝ってくるあたり、やっぱり彼女はスポーツマンなんだろうな。

「うん、良いよ」
「え? そんな簡単に……」
「だって、誤解もあったんだもん、仕方ないさ。宇佐美さんに悪気があったんじゃないってことくらい分かるからさ」
「ありがとう、ありがとう! 石田君がこんなに大人だったなんて」
「よせよ。そんなんじゃないから。じゃあ、それでいいかな?」

 もう、こんなどうでも良いことよりも、早く、ひな・みずちゃん達と話したいってことしか頭になかったんだ。

 そこにもう一人現れた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

13歳女子は男友達のためヌードモデルになる

矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

妻がヌードモデルになる日

矢木羽研
大衆娯楽
男性画家のヌードモデルになりたい。妻にそう切り出された夫の動揺と受容を書いてみました。

初めてなら、本気で喘がせてあげる

ヘロディア
恋愛
美しい彼女の初めてを奪うことになった主人公。 初めての体験に喘いでいく彼女をみて興奮が抑えられず…

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい

一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。 しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。 家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。 そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。 そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。 ……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──

校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれた女子高生たちが集団お漏らしする話

赤髪命
大衆娯楽
※この作品は「校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれた女子高生たちが小さな公園のトイレをみんなで使う話」のifバージョンとして、もっと渋滞がひどくトイレ休憩云々の前に高速道路上でバスが立ち往生していた場合を描く公式2次創作です。 前作との文体、文章量の違いはありますがその分キャラクターを濃く描いていくのでお楽しみ下さい。(評判が良ければ彼女たちの日常編もいずれ連載するかもです)

男子中学生から女子校生になった僕

大衆娯楽
僕はある日突然、母と姉に強制的に女の子として育てられる事になった。 普通に男の子として過ごしていた主人公がJKで過ごした高校3年間のお話し。 強制女装、女性と性行為、男性と性行為、羞恥、屈辱などが好きな方は是非読んでみてください!

処理中です...