ウソ告したいヤツはオレんとこに来い！ え？ 実はホントだった？ だが遅い。

第２０話 ウソ告返し（心愛視点） １

時間は、光樹を呼び出して、先に体育倉庫に来たところに戻る。

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『とりあえず、呼び出し成功。ま、後は簡単よね』

　石田は、どのみち、誰に告白されてもＯＫするわけだから。むしろ、ヤツとキスして吐かないようにするのが一番難しいかもしれないわ。

『あ～　私のファーストキスなのに！』

　そんなことが頭に浮かんでくる。ヤツと唇が触れる瞬間を想像してゾッとする。それをかき消すためにも、途中で走って用具倉庫に到着。

　カギは開けておいてくれたらしい。

「呼んできたよ。今来るって」

「ちゃんと言われたとおり、うまくヤレよ」

　跳び箱の中から声が聞こえた。竜久《あおき》だ。

「うん」

　正直、気が滅入るやってらんない。私のファーストキスが、あんなやつだなんて。ホントは寛太さいとうに止めてほしかったけど、彼が竜久に逆らうわけがない。

　もしも竜クの怒りに触れたら、何をするかわからないんだもん。

　彼は幼い頃に大陸から日本に来たせいなのか、怒り出すと普通の人ではやらないようなことを平気でするのだ。

　寛太も私も同じ小学校だったけど、一年生になったばかりの頃、たどたどしい日本語を笑ったクラスの子に家から持ってきた油を掛けて、火をつけようとしたのはヤバかった。

　幸い、ライターが上手く点かなくて、そこを先生に取り押さえられたけど、結局、小学校１年生だと警察も連れて行けない。担任の女の先生が叱ったくらいで、私達から見ても、それで懲りた感じはしなかった。

　むしろ、この時の経験で「小学生だと日本では警察も手が出せない」ということを知ってしまった。だから「今なら人を殺しても警察は手が出せないんだぜ」が５年生までのきまり言葉だった。

　今は、それが「少年法のある間は前科にならない」がいつものセリフとなっただけ。たとえ逮捕されたとしても、彼に言わせると「日本の少年院なんて、入っても天国みたいなモノ」らしい。

　それが強がりで言ってるわけじゃ無いことは、その後もやり放題をして証明済み。中学に入る頃には彼とケンカをするどころか、逆らう男子もいなくなった。