90 / 93
外伝8 指輪 後編 4
しおりを挟む
紗絵の前髪をそっとかき分けて、チュッと額にキスする仕草がとても優しかった。
「あの時、君は、自分には教える義務があるって言ったね」
「確かに、言いましたけど」
恋人がわずかに唇を差し出してきた。チュッと紗絵から応じた。それはまるで紗絵の愛を確かめる仕草に見えて、ついつい、チュッ、チュッ、と何度も唇をつけてしまった。
満足げに微笑んだ恋人は「もしも、君の過去がなかったら、そんな義務を感じていたかな?」とイタズラッ子の表情で覗き込んできた。
紗絵が答えに困るのを見越してだろう。言葉が続く。
「君と付き合い始めたときはさ、そこまで思ってなかったんだけど、よくよく考えてみると、さっちゃんが過去に学んだからこそ、こういう風に行動できるんだって思えたんだよ」
「反省はしました。だから、それが形になるように行動してきたのもホントです。でも、とっても愛し合っていたはずの相手を裏切った最低な女だという事実は変わらないんです」
紗絵の言葉を、今度は遮らずに優しい目で見つめたままだ。
「どんなに反省しても、私がクズみたいなことをしたのは事実です。それに、そのオトコとヘンタイみたいなエッチもしてしまいました。さっきのあれだって」
紗絵の巨大な胸を使ったワザのことだと伝わったのだろう。恋人の手が胸に伸びてきた。コクリと頷いて、優しく揉み始めてくる男の手に委ねたまま、話を続けた。
「そのオトコに練習させられたんです。いっぱい、いろんなヘンなことをさせられました。好きな人が…… 私のことを信じてくれた大切な人がいたのに、裏切ってしまったんです。そんな女と本当に結婚していいのか。しんちゃんには、ちゃんと話さないとダメって思いました」
「それで、こうして話してくれてるわけだ?」
「はい。私がダメな女だって、ちゃんと話すべきだって。あ、勘違いしないでくださいね。私はしんちゃんのことが大好きです。あんな形で始まった交際ですけど、今では世界一愛してるって断言できます。この後の人生を一緒に生きていけるならとっても嬉しいって思ってます。でも、しんちゃんにとって、どうなのかは別です。だから、こうして話して、聞いたしんちゃんが考え直すのなら…… それを受け入れます」
真剣な表情で「しんちゃんの気持ちを正直に言ってください」と口に出した言葉は微妙に震えている。
それに気付いたのかどうか。しんちゃんは、眉を真ん中に集めて、困った表情をしながら言った。
「う~んとさ、正直に言うと」
息をするのも忘れて、次の言葉を待つ紗絵だ。
「あの時、君は、自分には教える義務があるって言ったね」
「確かに、言いましたけど」
恋人がわずかに唇を差し出してきた。チュッと紗絵から応じた。それはまるで紗絵の愛を確かめる仕草に見えて、ついつい、チュッ、チュッ、と何度も唇をつけてしまった。
満足げに微笑んだ恋人は「もしも、君の過去がなかったら、そんな義務を感じていたかな?」とイタズラッ子の表情で覗き込んできた。
紗絵が答えに困るのを見越してだろう。言葉が続く。
「君と付き合い始めたときはさ、そこまで思ってなかったんだけど、よくよく考えてみると、さっちゃんが過去に学んだからこそ、こういう風に行動できるんだって思えたんだよ」
「反省はしました。だから、それが形になるように行動してきたのもホントです。でも、とっても愛し合っていたはずの相手を裏切った最低な女だという事実は変わらないんです」
紗絵の言葉を、今度は遮らずに優しい目で見つめたままだ。
「どんなに反省しても、私がクズみたいなことをしたのは事実です。それに、そのオトコとヘンタイみたいなエッチもしてしまいました。さっきのあれだって」
紗絵の巨大な胸を使ったワザのことだと伝わったのだろう。恋人の手が胸に伸びてきた。コクリと頷いて、優しく揉み始めてくる男の手に委ねたまま、話を続けた。
「そのオトコに練習させられたんです。いっぱい、いろんなヘンなことをさせられました。好きな人が…… 私のことを信じてくれた大切な人がいたのに、裏切ってしまったんです。そんな女と本当に結婚していいのか。しんちゃんには、ちゃんと話さないとダメって思いました」
「それで、こうして話してくれてるわけだ?」
「はい。私がダメな女だって、ちゃんと話すべきだって。あ、勘違いしないでくださいね。私はしんちゃんのことが大好きです。あんな形で始まった交際ですけど、今では世界一愛してるって断言できます。この後の人生を一緒に生きていけるならとっても嬉しいって思ってます。でも、しんちゃんにとって、どうなのかは別です。だから、こうして話して、聞いたしんちゃんが考え直すのなら…… それを受け入れます」
真剣な表情で「しんちゃんの気持ちを正直に言ってください」と口に出した言葉は微妙に震えている。
それに気付いたのかどうか。しんちゃんは、眉を真ん中に集めて、困った表情をしながら言った。
「う~んとさ、正直に言うと」
息をするのも忘れて、次の言葉を待つ紗絵だ。
0
お気に入りに追加
63
あなたにおすすめの小説
最愛の幼馴染みと親友に裏切られた俺を救ってくれたのはもう一人の幼馴染みだった
音の中
恋愛
山岸優李には、2人の幼馴染みと1人の親友がいる。
そして幼馴染みの内1人は、俺の大切で最愛の彼女だ。
4人で俺の部屋で遊んでいたときに、俺と彼女ではないもう一人の幼馴染み、美山 奏は限定ロールケーキを買いに出掛けた。ところが俺の凡ミスで急遽家に戻ると、俺の部屋から大きな音がしたので慌てて部屋に入った。するといつもと様子の違う2人が「虫が〜〜」などと言っている。能天気な俺は何も気付かなかったが、奏は敏感に違和感を感じ取っていた。
これは、俺のことを裏切った幼馴染みと親友、そして俺のことを救ってくれたもう一人の幼馴染みの物語だ。
--
【登場人物】
山岸 優李:裏切られた主人公
美山 奏:救った幼馴染み
坂下 羽月:裏切った幼馴染みで彼女。
北島 光輝:裏切った親友
--
この物語は『NTR』と『復讐』をテーマにしています。
ですが、過激なことはしない予定なので、あまりスカッとする復讐劇にはならないかも知れません。あと、復讐はかなり後半になると思います。
人によっては不満に思うこともあるかもです。
そう感じさせてしまったら申し訳ありません。
また、ストーリー自体はテンプレだと思います。
--
筆者はNTRが好きではなく、純愛が好きです。
なので純愛要素も盛り込んでいきたいと考えています。
小説自体描いたのはこちらが初めてなので、読みにくい箇所が散見するかも知れません。
生暖かい目で見守って頂けたら幸いです。
ちなみにNTR的な胸糞な展開は第1章で終わる予定。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
わがまま妹、自爆する
四季
恋愛
資産を有する家に長女として生まれたニナは、五つ年下の妹レーナが生まれてからというもの、ずっと明らかな差別を受けてきた。父親はレーナにばかり手をかけ可愛がり、ニナにはほとんど見向きもしない。それでも、いつかは元に戻るかもしれないと信じて、ニナは慎ましく生き続けてきた。
そんなある日のこと、レーナに婚約の話が舞い込んできたのだが……?
公爵令嬢の立場を捨てたお姫様
羽衣 狐火
恋愛
公爵令嬢は暇なんてないわ
舞踏会
お茶会
正妃になるための勉強
…何もかもうんざりですわ!もう公爵令嬢の立場なんか捨ててやる!
王子なんか知りませんわ!
田舎でのんびり暮らします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる