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外伝7 前編 大島真一の謎 3
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自分の言葉は、正論過ぎた。子どもたちの心をえぐる言葉だった。
『私の言葉だけだったら、きっと、重く受け止めすぎて、今度は動けなかったかもしれないわ』
あの時は「大島先生は天然だから」ですませていた。
しかし、あれ以後も、淡々と、そしてまるで何事もなかったかのように、全く変わらずにHRへと向かう大島の表情には一切の危うさを感じなかったのも事実だった。
『本当に、単純なだけの人なのかしら? ひょっとしたら、大きく勘違いさせられているかもしれないわ』
あれが、天然じゃないとしたら、なんなの? どこまで考えて行動してるの?
考えれば考えるほどに、怖い人だということだ。
「おっ、いーねー」
小さく呟く声にチラッと大島を見た。
指揮者が構えた瞬間、生徒達がザッと音を立てて一斉に歌唱体勢に入った姿に頷く姿だ。
「まあ、ホントは自然がいいんでしょうけどね」
音楽の教師からは、各自が自然に歌唱姿勢を取るようにという指導がなされているし、それが本来のカタチだ。だが、中学生は「合図でこうするよ」と教えた方がやりやすいのも事実なのである。
その話だと、とっさに思った。
突然、話しかけられた紗絵は「ええ。そうですね、本当は、もっとリラックスして構えられたらいいと思います」と慌てて答えた。
ドキッとした。
まるで「自分の何かを探ってるんですか?」と問いかけるかのように紗絵と視線を合わせているのだ。
自分の「疑い」を見抜かれている気がして焦った。同時に「あ、この人は、やっぱり胸は見ないんだ」と心が呟いていた。
実は、大島は数少ない「胸を見てこない男性」である、ということに好意を持っている気持ちを見抜かれた気がしたのだ。
『たっくん以来なんだよね、そんな人』
自分の胸の大きさを隠すような服装をやめて久しい。以前は気にしすぎて逆に、そこにこだわりすぎていた気がした。今は、決して強調を心がけているわけではなく、意識しないことを優先するようになっただけではある。しかし、大きなバストを持つ女性にとって、服装の選択は大げさに言えば、人生そのものでもあるのだ。
少女の時に膨らみ始めてから、胸の膨らみとは強烈な誘引力を持っているものだとつくづく体験してきてしまった。男性の目は……男子生徒は言うに及ばず……必ず、そこに注がれてくる。それを煩わしいと想うことを、紗絵は止めたのだ。
時に、イタズラだと言い訳して、直接触ってくる男子生徒もいるが、それこそとっつかまえて、徹底的に「お話」してあげるチャンスだとも思っている。
とはいえ、一般の男性だって、今は直接触ってこないだけで、気を許せばその視線の通りにツケ込んでくるのだろう。そんな風に思って行動しているから、自然と、男性と距離を置くのが常となっていた。
だが、大島だけは違っていた。
『私の言葉だけだったら、きっと、重く受け止めすぎて、今度は動けなかったかもしれないわ』
あの時は「大島先生は天然だから」ですませていた。
しかし、あれ以後も、淡々と、そしてまるで何事もなかったかのように、全く変わらずにHRへと向かう大島の表情には一切の危うさを感じなかったのも事実だった。
『本当に、単純なだけの人なのかしら? ひょっとしたら、大きく勘違いさせられているかもしれないわ』
あれが、天然じゃないとしたら、なんなの? どこまで考えて行動してるの?
考えれば考えるほどに、怖い人だということだ。
「おっ、いーねー」
小さく呟く声にチラッと大島を見た。
指揮者が構えた瞬間、生徒達がザッと音を立てて一斉に歌唱体勢に入った姿に頷く姿だ。
「まあ、ホントは自然がいいんでしょうけどね」
音楽の教師からは、各自が自然に歌唱姿勢を取るようにという指導がなされているし、それが本来のカタチだ。だが、中学生は「合図でこうするよ」と教えた方がやりやすいのも事実なのである。
その話だと、とっさに思った。
突然、話しかけられた紗絵は「ええ。そうですね、本当は、もっとリラックスして構えられたらいいと思います」と慌てて答えた。
ドキッとした。
まるで「自分の何かを探ってるんですか?」と問いかけるかのように紗絵と視線を合わせているのだ。
自分の「疑い」を見抜かれている気がして焦った。同時に「あ、この人は、やっぱり胸は見ないんだ」と心が呟いていた。
実は、大島は数少ない「胸を見てこない男性」である、ということに好意を持っている気持ちを見抜かれた気がしたのだ。
『たっくん以来なんだよね、そんな人』
自分の胸の大きさを隠すような服装をやめて久しい。以前は気にしすぎて逆に、そこにこだわりすぎていた気がした。今は、決して強調を心がけているわけではなく、意識しないことを優先するようになっただけではある。しかし、大きなバストを持つ女性にとって、服装の選択は大げさに言えば、人生そのものでもあるのだ。
少女の時に膨らみ始めてから、胸の膨らみとは強烈な誘引力を持っているものだとつくづく体験してきてしまった。男性の目は……男子生徒は言うに及ばず……必ず、そこに注がれてくる。それを煩わしいと想うことを、紗絵は止めたのだ。
時に、イタズラだと言い訳して、直接触ってくる男子生徒もいるが、それこそとっつかまえて、徹底的に「お話」してあげるチャンスだとも思っている。
とはいえ、一般の男性だって、今は直接触ってこないだけで、気を許せばその視線の通りにツケ込んでくるのだろう。そんな風に思って行動しているから、自然と、男性と距離を置くのが常となっていた。
だが、大島だけは違っていた。
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