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第9話 どうしてこうなった!(2月) 3
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弁護士は「その発言はしっかり覚えておきますから」と、ニコリともせずにオレを見た。
ヤベッ、どやってゴマカせばいい?
しかし、オレが言い訳する前に、弁護士は手帳を何やら確認しつつ、トゲのある口調で言い放った。
「小仏氏は所轄の警察に告訴するとの意向だそうです」
「え? そ、そんな!」
ドンッ!
人事部長が不機嫌な顔で机を叩いた。
「インターンシップに伴う社員のレイプ事件だ。ウチの大スキャンダルになるのはわかるね? なんとかして、世間の非難を最小限にしなければ。まあ、すでに、私を含めて上まで責任連座は避けられん。それを理解しろよ?」
言葉は丁寧だが、既に「切り捨て決定」の冷たい響きだ。
観念して、出された証拠の範囲で正直に話すことにした。
2時間以上もかけて同じことを何度も聞かれ「さっきとここが違う」とやり直しを何度もさせられた。結局、洗いざらい喋らされた。
「では、最後に今後のことだ」
人事部長がダメを押すように冷たい表情で切り出してきた。
「はい」
「君は逮捕されるかもしれない」
「マジっすか! あ、いや、えっと、ホントでしょうか?」
「警察に訴えられるということ聞いたね? そうなれば逮捕はあり得るそうだよ。おそらく実刑だろう」
弁護士達が頷いてる。
「もちろん我が社も無傷ではすまない。そこで告発を取り下げてもらえるように全力を尽くすんだ」
「でも、どうしたら?」
「誠意を持って対応するしかない。今回、こちらが会社にいらっしゃったのはインターンシップといういきさつがあるからだ。お待たせしました。どうぞ」
痩せてる方の弁護士が立ち上がった。
「改めまして。大野拓弥様の代理人として依頼された山田悟と申します。御社の鈴木顧問弁護士とも話をさせていただき、解決を急ぐという事でしたので、この場で当方の要求をさせていただきます」
立ち上がるとA4の封筒が差し出された。
「中には大野様への和解についてご提案内容が書いてあります」
「え? 一千万?」
中の書類にいろいろと書いてあるが合計が一千万円だと? 馬鹿か! あのぼやけた顔の女に手を出したくらいで、そんな大金が払えるかよ!
「こういう案件としては、少々高額ですが、そちらが解決をお急ぎになると言うことなので、その分を条件として組み入れています」
「でも、これ、高すぎ「塩崎君!」は、はい!」
人事部長が睨んでいた。
「この場で和解できないなら即座に懲戒解雇にするしかない。私は恩情をかけたいと思っているんだがね」
「おん、じょー、ですか?」
「インターンシップのメンターをした社員が学生に手を出したんだ。しかもレイプの証拠付き。即刻懲戒解雇が妥当だ。マスコミに流れれば君だってタダじゃ済まないだろう」
「でも!」
「今なら自主退職扱いにしてやるんだぞ? それが温情だ。多少とも退職金が出た方が君にとってはいいんじゃないか? 逮捕されれば、まともな再就職もなくなるどころか街を歩けなくなるぞ? ネットの炎上は容易に予想できるからな。となれば、和解を誰よりも急ぐのは君自身じゃないかね?」
マジで逮捕? 馬鹿な。だって、あの女は悦んでたじゃん! 腰振ってたじゃん!
その時、太った方の弁護士が口を開いたんだ。
「当社の顧問弁護士をしております。鈴木草太と申します。山田弁護士からの和解提案は、そこにありますとおり婚約の破綻に関わる諸費用、調査経費などが概算で500万、不貞行為の当事者への慰謝料として500万となっています。相場の倍以上ではありますが不法とまでは言えない内容です」
マジで払えって言うのかよ。ふつーに無理だろ。
聞きたくねぇ、マジで、こんな話し聞きたくねぇ……
しかし、悪い話はまだ続いたのだ。
ヤベッ、どやってゴマカせばいい?
しかし、オレが言い訳する前に、弁護士は手帳を何やら確認しつつ、トゲのある口調で言い放った。
「小仏氏は所轄の警察に告訴するとの意向だそうです」
「え? そ、そんな!」
ドンッ!
人事部長が不機嫌な顔で机を叩いた。
「インターンシップに伴う社員のレイプ事件だ。ウチの大スキャンダルになるのはわかるね? なんとかして、世間の非難を最小限にしなければ。まあ、すでに、私を含めて上まで責任連座は避けられん。それを理解しろよ?」
言葉は丁寧だが、既に「切り捨て決定」の冷たい響きだ。
観念して、出された証拠の範囲で正直に話すことにした。
2時間以上もかけて同じことを何度も聞かれ「さっきとここが違う」とやり直しを何度もさせられた。結局、洗いざらい喋らされた。
「では、最後に今後のことだ」
人事部長がダメを押すように冷たい表情で切り出してきた。
「はい」
「君は逮捕されるかもしれない」
「マジっすか! あ、いや、えっと、ホントでしょうか?」
「警察に訴えられるということ聞いたね? そうなれば逮捕はあり得るそうだよ。おそらく実刑だろう」
弁護士達が頷いてる。
「もちろん我が社も無傷ではすまない。そこで告発を取り下げてもらえるように全力を尽くすんだ」
「でも、どうしたら?」
「誠意を持って対応するしかない。今回、こちらが会社にいらっしゃったのはインターンシップといういきさつがあるからだ。お待たせしました。どうぞ」
痩せてる方の弁護士が立ち上がった。
「改めまして。大野拓弥様の代理人として依頼された山田悟と申します。御社の鈴木顧問弁護士とも話をさせていただき、解決を急ぐという事でしたので、この場で当方の要求をさせていただきます」
立ち上がるとA4の封筒が差し出された。
「中には大野様への和解についてご提案内容が書いてあります」
「え? 一千万?」
中の書類にいろいろと書いてあるが合計が一千万円だと? 馬鹿か! あのぼやけた顔の女に手を出したくらいで、そんな大金が払えるかよ!
「こういう案件としては、少々高額ですが、そちらが解決をお急ぎになると言うことなので、その分を条件として組み入れています」
「でも、これ、高すぎ「塩崎君!」は、はい!」
人事部長が睨んでいた。
「この場で和解できないなら即座に懲戒解雇にするしかない。私は恩情をかけたいと思っているんだがね」
「おん、じょー、ですか?」
「インターンシップのメンターをした社員が学生に手を出したんだ。しかもレイプの証拠付き。即刻懲戒解雇が妥当だ。マスコミに流れれば君だってタダじゃ済まないだろう」
「でも!」
「今なら自主退職扱いにしてやるんだぞ? それが温情だ。多少とも退職金が出た方が君にとってはいいんじゃないか? 逮捕されれば、まともな再就職もなくなるどころか街を歩けなくなるぞ? ネットの炎上は容易に予想できるからな。となれば、和解を誰よりも急ぐのは君自身じゃないかね?」
マジで逮捕? 馬鹿な。だって、あの女は悦んでたじゃん! 腰振ってたじゃん!
その時、太った方の弁護士が口を開いたんだ。
「当社の顧問弁護士をしております。鈴木草太と申します。山田弁護士からの和解提案は、そこにありますとおり婚約の破綻に関わる諸費用、調査経費などが概算で500万、不貞行為の当事者への慰謝料として500万となっています。相場の倍以上ではありますが不法とまでは言えない内容です」
マジで払えって言うのかよ。ふつーに無理だろ。
聞きたくねぇ、マジで、こんな話し聞きたくねぇ……
しかし、悪い話はまだ続いたのだ。
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