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第3話 出会い(2年生の4月) 後
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ヨタヨタと、まるでドラマに出てくる「やられたチンピラ」そのものの姿でビルから出て行く「センパイ」の背中を見届けて、振り返ったら、さっきの凸凹コンピがいた。
「政経学部の先輩ですよね? ありがとうございました」
「ありがとうございました!」
美女と平凡ちゃんが二人してお礼を言ってくれる。
「ごめん。嫌な思いをさせちゃったね。あーいうヤツもいるけどさ、だいたいは良いヤツなんで。まだ時間あるし楽しんでいってね」
「え? あ! せんぱい、お名前を!」
カードの名前を見られる前に撤収だよ!
「ははは。名乗るほどじゃありません。そのうち、キャンパスで会いましょう」
カッコつけようとしたんじゃないんだよ。平凡ちゃんだけだったら、そこで会話の一つもしていたかもしれない。ただ、片方があまりに美人過ぎたんで一刻も早く逃げたかったのが本音だった。
警備担当の控え室へ逃げるように戻ってからスマホを何気なく覗いた。ネットニュースのスキャンダル記事がでていた。
『KON二股愛発覚!』
な~にが二股だよ、と一人呟く。
KONという名で知られているグラビアアイドル。その美貌とスタイル。そしてウチの大学の総合型選抜を使って文学部に入ったことでも知られる「才女」として知られた女だ。
信じられないけど、これはオレの元カノだった。
もっと信じられないのは、ちょうど、この新歓の時に、あっちから声をかけてきたこと。その頃、既に美形JKモデルとして有名だったのは付き合ってから知った。
ごめん、マジで芸能関係って興味が無かったからさ。
でも、確かに美人だと思ったよ? グラビアもできるほどスタイル良いわけだし。オレ達はファンに見つからないように、地味にデートを繰り返した。
性格はともかくとして、これだけの外見だし、大学生になって初めて出来た彼女だ。オレは夢中になって尽くしまくった。でもさ、バイトで稼ぐ鐘でできるデートなんて、しょせん「大学生レベル」ってことだろ?
彼女の周りには、カネも顔も高レベルなヤツがウヨウヨいるわけで、そんな連中が彫っておく分けないじゃん。
結果として、半年も経たないうちにイケメン俳優とで二股された。
二股って言うか、この女にとって、オレの存在なんて初めから「キャンパス内での飾り」扱いだった気がした。
別れ際に「芸能人とパンピーじゃ釣り合わない」とか言ってたもんね。でも、今回は歌舞伎役者とプロテニス選手? あれ? あのイケメン君はどうしたんだ?
ってことで、去年の秋から彼女いない歴半年。二度と彼女なんて作るもんかと思っていたんだよ。
ところが、世の中というのは分からない。
「先輩! コンパの時は本当にありがとうございました」
翌日、早速キャンパスで出会ってしまった、昨日の凸凹コンビ。
「改めて、自己紹介させてください。文学部の小仏紗絵です。先輩! あの! お昼一緒にいかがでしょうか?」
平凡ちゃんがグイグイ来る後ろで、美人ちゃんが恥ずかしそうに会釈してきた。
「紗絵ちゃんと一緒の文の町田美羽です」
「ど、どうも。あ、えっと、昨日の人はキャンパスが違うんでたぶん普段は会わないから心配しないでね?」
「はい! 先輩がいれば大丈夫です! それで、お弁当を作ってきたんですけど。お昼一緒に食べませんか?」
「え? いや、それはちょっと」
君だけならまだしも、横に、こんな美人ちゃんがいたんじゃ喉を通らないかも、とは言えないよね。
「あの、大したものは作れませんけど、料理は好きなんです。ぜひ、一口だけでも!」
「いや、だけど、その」
「先輩、私を助けると思って、お願いします」
押し切られて紗絵のお弁当をご馳走になったら、ムチャクチャ美味しくでびっくりだった。
それが紗絵と、そして美羽との出会いだった。
「政経学部の先輩ですよね? ありがとうございました」
「ありがとうございました!」
美女と平凡ちゃんが二人してお礼を言ってくれる。
「ごめん。嫌な思いをさせちゃったね。あーいうヤツもいるけどさ、だいたいは良いヤツなんで。まだ時間あるし楽しんでいってね」
「え? あ! せんぱい、お名前を!」
カードの名前を見られる前に撤収だよ!
「ははは。名乗るほどじゃありません。そのうち、キャンパスで会いましょう」
カッコつけようとしたんじゃないんだよ。平凡ちゃんだけだったら、そこで会話の一つもしていたかもしれない。ただ、片方があまりに美人過ぎたんで一刻も早く逃げたかったのが本音だった。
警備担当の控え室へ逃げるように戻ってからスマホを何気なく覗いた。ネットニュースのスキャンダル記事がでていた。
『KON二股愛発覚!』
な~にが二股だよ、と一人呟く。
KONという名で知られているグラビアアイドル。その美貌とスタイル。そしてウチの大学の総合型選抜を使って文学部に入ったことでも知られる「才女」として知られた女だ。
信じられないけど、これはオレの元カノだった。
もっと信じられないのは、ちょうど、この新歓の時に、あっちから声をかけてきたこと。その頃、既に美形JKモデルとして有名だったのは付き合ってから知った。
ごめん、マジで芸能関係って興味が無かったからさ。
でも、確かに美人だと思ったよ? グラビアもできるほどスタイル良いわけだし。オレ達はファンに見つからないように、地味にデートを繰り返した。
性格はともかくとして、これだけの外見だし、大学生になって初めて出来た彼女だ。オレは夢中になって尽くしまくった。でもさ、バイトで稼ぐ鐘でできるデートなんて、しょせん「大学生レベル」ってことだろ?
彼女の周りには、カネも顔も高レベルなヤツがウヨウヨいるわけで、そんな連中が彫っておく分けないじゃん。
結果として、半年も経たないうちにイケメン俳優とで二股された。
二股って言うか、この女にとって、オレの存在なんて初めから「キャンパス内での飾り」扱いだった気がした。
別れ際に「芸能人とパンピーじゃ釣り合わない」とか言ってたもんね。でも、今回は歌舞伎役者とプロテニス選手? あれ? あのイケメン君はどうしたんだ?
ってことで、去年の秋から彼女いない歴半年。二度と彼女なんて作るもんかと思っていたんだよ。
ところが、世の中というのは分からない。
「先輩! コンパの時は本当にありがとうございました」
翌日、早速キャンパスで出会ってしまった、昨日の凸凹コンビ。
「改めて、自己紹介させてください。文学部の小仏紗絵です。先輩! あの! お昼一緒にいかがでしょうか?」
平凡ちゃんがグイグイ来る後ろで、美人ちゃんが恥ずかしそうに会釈してきた。
「紗絵ちゃんと一緒の文の町田美羽です」
「ど、どうも。あ、えっと、昨日の人はキャンパスが違うんでたぶん普段は会わないから心配しないでね?」
「はい! 先輩がいれば大丈夫です! それで、お弁当を作ってきたんですけど。お昼一緒に食べませんか?」
「え? いや、それはちょっと」
君だけならまだしも、横に、こんな美人ちゃんがいたんじゃ喉を通らないかも、とは言えないよね。
「あの、大したものは作れませんけど、料理は好きなんです。ぜひ、一口だけでも!」
「いや、だけど、その」
「先輩、私を助けると思って、お願いします」
押し切られて紗絵のお弁当をご馳走になったら、ムチャクチャ美味しくでびっくりだった。
それが紗絵と、そして美羽との出会いだった。
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