138 / 141
第43話 笑顔 1
しおりを挟む
インターハイの予選が終わり体育祭も終わった。
3年は引退だ。若干の後片付けは残っていても、それは後回しで良いだろう。
献血の日から健は学校を休んでいた。天音と揉めていたシーンが目に入っていた。気にならないと言えばウソになる。
気にはなるが、誰かに聞くと言っても「キモ竹」が何かを聞けるのは、陽菜ちゃんくらい。でも2年生が知っているとは思えないし元キャプテンを話題にするのも嫌がるはず。だから陽菜ちゃんには聞けない。
天音に聞くことなんて考えもしなかった。
ヤツらが揉めたとしても、もはや他人事だ。関わるべきことでもないと放置した。やるべき大事なことは他にある。
幸いにして健がいないというのであれば、今日が良い。うん、今日をその日にしてしまうおう。
部活を引退した人間が帰る時間はほぼ同じ。昇降口から天音が一人で出てきた。
もちろん、そのタイミングを選んだのだから当然と言えば当然のこと。
さりげなく出口で並ぶと、天音はすぐに気付いて歩調を合わせてきた。
珍しい。昔みたいに完璧なリズムで自分の脚に気遣いながら並んで歩いてくれる。
大切な話なんだ、とちょっと早口になる。緊張してた。
「だから、ちょっと学校の外で会えないかな?」
さすがに学校で別れ話をしたくない。その後の顔を誰かに見られるのはイヤだと思ってしまう。
天音の方も瞬と自分と一緒にいるのを見られたくないはずだ。だから「いつも使っていた、あのカフェで待ち合わせをしよう」と言った。
一瞬、そっぽを向かれた。無視するつもりかと、ちょっと焦る。
「お外で会うの?」
何かを考えていただけなのか? こっちを向くと意外と普通の表情だ。いや、あれだけ「やめろ」と言ったダイエットの成果なのか、顔のラインが妙にシャープだ。瞬の趣味から言ったら既に「痩せてキレイ」の域を超えているとは思う。
『まあ、オレが何か言うのも今さらだ。それにしても、この反応。外で会うのは拒否ってことか?』
いつものように断ってくるかと思いきや、天音はヘラッと笑って見せて「いーよー」と軽く答えてから首を少しだけ捻ったのだ。
3年は引退だ。若干の後片付けは残っていても、それは後回しで良いだろう。
献血の日から健は学校を休んでいた。天音と揉めていたシーンが目に入っていた。気にならないと言えばウソになる。
気にはなるが、誰かに聞くと言っても「キモ竹」が何かを聞けるのは、陽菜ちゃんくらい。でも2年生が知っているとは思えないし元キャプテンを話題にするのも嫌がるはず。だから陽菜ちゃんには聞けない。
天音に聞くことなんて考えもしなかった。
ヤツらが揉めたとしても、もはや他人事だ。関わるべきことでもないと放置した。やるべき大事なことは他にある。
幸いにして健がいないというのであれば、今日が良い。うん、今日をその日にしてしまうおう。
部活を引退した人間が帰る時間はほぼ同じ。昇降口から天音が一人で出てきた。
もちろん、そのタイミングを選んだのだから当然と言えば当然のこと。
さりげなく出口で並ぶと、天音はすぐに気付いて歩調を合わせてきた。
珍しい。昔みたいに完璧なリズムで自分の脚に気遣いながら並んで歩いてくれる。
大切な話なんだ、とちょっと早口になる。緊張してた。
「だから、ちょっと学校の外で会えないかな?」
さすがに学校で別れ話をしたくない。その後の顔を誰かに見られるのはイヤだと思ってしまう。
天音の方も瞬と自分と一緒にいるのを見られたくないはずだ。だから「いつも使っていた、あのカフェで待ち合わせをしよう」と言った。
一瞬、そっぽを向かれた。無視するつもりかと、ちょっと焦る。
「お外で会うの?」
何かを考えていただけなのか? こっちを向くと意外と普通の表情だ。いや、あれだけ「やめろ」と言ったダイエットの成果なのか、顔のラインが妙にシャープだ。瞬の趣味から言ったら既に「痩せてキレイ」の域を超えているとは思う。
『まあ、オレが何か言うのも今さらだ。それにしても、この反応。外で会うのは拒否ってことか?』
いつものように断ってくるかと思いきや、天音はヘラッと笑って見せて「いーよー」と軽く答えてから首を少しだけ捻ったのだ。
1
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説


今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。



マッサージ
えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。
背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。
僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる