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第42話 自縛 ~天音~ 4
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悪い子だ。また汚れちゃったんだ。
怖い。
私はどんどん汚れていく。
瞬とだったら、どんなことをされても、きっとステキな思い出になる。宝物だ。
たとえ、瞬にとっては、トイレに出すようなつもりでいたとしても、私は瞬を気持ち良くしてあげられたんだって、嬉しくなれた。
でも、もう無理なんだね。やっぱり汚れた女は瞬にふさわしくない。
せめて瞬が欲望を吐き出す場所にしてくれたままなら、それでも良かった。何をされてもホントに嬉しいんだもん。ほんの少しでも喜んでもらえるなら、やり捨ての女でいいんだもん。
こんなにバッチイ私にだって、ホンの少しだけでも幸せが欲しくなるときがある。瞬に気持ち良くなってもらえるなら、それでけでも幸せで居られたんだよ?
最初はそれで上手くいくと思った。でも、だんだんと、それすらしてもらえなくなった。
バッチイもんね。私なんかじゃ、嫌だよね?
もう、世界は無意味。色も味もニオイもなくなった。ただ、何かが動いて、誰かが勝手に欲望を満たそうとするだけのこと。
どうにもならない世界に生きてる、どうにもならないほどひどい女があたしだ。
考えてみれば献血しようとする健を止めたのだって、本気じゃなかったかもしれない。
パパから「健は、お前のお兄ちゃんなんだぞ。だからヤルなよ」と教えられていた。献血をすれば血液型がわかってしまう。
私達の母親はO型だ。それは知ってた。健のパパはA型なのも。
子どもの頃「オレが親父と似てないのは母さんの血を引いたんだ」と言ってたのを覚えてる。
健は血液型を調べてはいけないんだって、それは直感したこと。いろいろあっても、やっぱりその部分では考えてしまう。それなのに、心の中で「血液型で出る確率は半分だから」って言い訳もしてる私がいた。
極めつけは真実を知ってしまった健が飛び出したのを本気で追わなかったこと。脚を故障している健だ。その気になれば簡単に追いつけた。それなのに私は途中で追いかけなかった。
健のことより「これだけショックを受けたら、今日は監視されないかも」って、瞬の帰りをこっそり見に行くことしか考えられなかった。
ひどい女だ、私。
でも、悪い子には、ちゃんと罰がある。
それは子どもの頃からパパに言われてきたことだ。
ホントだった。
だって、駅に向かう道を歩いてきた瞬の横には、ちゃんと歩調を合わせて歩いてくれる、可愛いらしい子がいたんだもん。
まぶしいほどの光の中を歩いていた陽菜ちゃんは「好きな人の横を歩く幸せで、可愛い彼女」の顔をしてた。純粋な好意だけが見えてたよ。
陽菜ちゃんは瞬を照らしてくれる光、そのものだ。楽しそうな二人の笑顔。
泣いちゃダメだよね。喜ばなきゃだよね。
だって、好きな人が、あんなに素敵な笑顔を見せているんだもん。
良かったね。
しゅん
怖い。
私はどんどん汚れていく。
瞬とだったら、どんなことをされても、きっとステキな思い出になる。宝物だ。
たとえ、瞬にとっては、トイレに出すようなつもりでいたとしても、私は瞬を気持ち良くしてあげられたんだって、嬉しくなれた。
でも、もう無理なんだね。やっぱり汚れた女は瞬にふさわしくない。
せめて瞬が欲望を吐き出す場所にしてくれたままなら、それでも良かった。何をされてもホントに嬉しいんだもん。ほんの少しでも喜んでもらえるなら、やり捨ての女でいいんだもん。
こんなにバッチイ私にだって、ホンの少しだけでも幸せが欲しくなるときがある。瞬に気持ち良くなってもらえるなら、それでけでも幸せで居られたんだよ?
最初はそれで上手くいくと思った。でも、だんだんと、それすらしてもらえなくなった。
バッチイもんね。私なんかじゃ、嫌だよね?
もう、世界は無意味。色も味もニオイもなくなった。ただ、何かが動いて、誰かが勝手に欲望を満たそうとするだけのこと。
どうにもならない世界に生きてる、どうにもならないほどひどい女があたしだ。
考えてみれば献血しようとする健を止めたのだって、本気じゃなかったかもしれない。
パパから「健は、お前のお兄ちゃんなんだぞ。だからヤルなよ」と教えられていた。献血をすれば血液型がわかってしまう。
私達の母親はO型だ。それは知ってた。健のパパはA型なのも。
子どもの頃「オレが親父と似てないのは母さんの血を引いたんだ」と言ってたのを覚えてる。
健は血液型を調べてはいけないんだって、それは直感したこと。いろいろあっても、やっぱりその部分では考えてしまう。それなのに、心の中で「血液型で出る確率は半分だから」って言い訳もしてる私がいた。
極めつけは真実を知ってしまった健が飛び出したのを本気で追わなかったこと。脚を故障している健だ。その気になれば簡単に追いつけた。それなのに私は途中で追いかけなかった。
健のことより「これだけショックを受けたら、今日は監視されないかも」って、瞬の帰りをこっそり見に行くことしか考えられなかった。
ひどい女だ、私。
でも、悪い子には、ちゃんと罰がある。
それは子どもの頃からパパに言われてきたことだ。
ホントだった。
だって、駅に向かう道を歩いてきた瞬の横には、ちゃんと歩調を合わせて歩いてくれる、可愛いらしい子がいたんだもん。
まぶしいほどの光の中を歩いていた陽菜ちゃんは「好きな人の横を歩く幸せで、可愛い彼女」の顔をしてた。純粋な好意だけが見えてたよ。
陽菜ちゃんは瞬を照らしてくれる光、そのものだ。楽しそうな二人の笑顔。
泣いちゃダメだよね。喜ばなきゃだよね。
だって、好きな人が、あんなに素敵な笑顔を見せているんだもん。
良かったね。
しゅん
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