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第39話 先輩のえっち 3
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次は股関節のストレッチだ。
実際問題として、女の子にするのは、これがヤバい。
股関節を曲げ伸ばすのはもとより、つながっているインナーマッスルまでほぐすのが現在の主流だ。そのためには施術者が身体全体で圧迫する必要があった。プロだと、それ専用のプロテクターまで付けることがあるらしい。
数万円もする専用具を買う余裕などなかった。そもそも、勉強をして備えてきたが、これを実際に施術することなど、少しも現実的ではなかったのだ。
人がほとんどいない裏側。
素直で可愛らしい女の子と二人きりで身体を密着させる。
懸命に煩悩を振り払ってはいるが、瞬も男の子なのである。うつ伏せになっている陽菜の目を盗んで「ポジション」を直しておく必要に迫られたのは仕方のないこと。
それから、努めて冷静に言った。
「仰向けだよ」
「はい」
本来なら恋人以外には触らせないような場所までマッサージされた陽菜は、既に真っ赤になっているのが自分でもわかる。けれども、それがバレると瞬先輩が気にしてしまうというのが、心配なこと。
できる限り無造作に見える動きで仰向けになると「さすがに、ちょっと恥ずいです」と顔にタオルを掛けてしまった。
真っ赤になった顔を見られたくなかったわけだが、言外に「好きなようにしてください」というメッセージでもある。なんだったら、このまま胸だって触ってもらっても構わない。
いや、どうせだった、もっと二人っきりになれるところなら、どこでも触ってもらって構わないのだ。
『あぁ、もうだめです、せんぱい、どうにでもしてください』
時々、ベッドの中で、こっそり妄想しながら秘密のことをしている時よりも、もっとエッチな感じだ。
視界の遮られた頭の中は妄想が暴走してしまう。
しかし、陽菜にとっての誤算は「そこまで覚悟しているなら、全力でやってあげよう」と思われてしまったこと。いや、誤算とはいえ嫌なことではない。
効果は、最大限になるのだから。ただし「羞恥」も最大限になるだけのことだった。
遠慮のない、フルのストレッチが始まった。
『わぁあぁ、密着ですよ~ あそこ、くっついちゃってますよ! あぁん、先輩の体温! ぁあ、もう、好きにしちゃってくださぁい!』
あちこちをのばされながら、陽菜の妄想は大暴走中である。
それもそのはず。
脚を持ち上げ、大胆な角度に広げ、時には赤ん坊のオムツを替える格好に近い形にして身体を密着させる。体重をかけたストレッチだ。
腰と腰が密着する。柔らかな部分に瞬の太股が当たってしまえば、年頃の女の子に意識するなと言っても無理なのだから。
一つひとつの体勢はヘタをすれば、と言うよりも信頼関係なしなら確実にセクハラそのものだった。
こういうストレッチにおいて、身体が硬い人ほど、密着度は下がる。ところが陽菜の身体は柔らかい。可動域を十分に伸ばそうとすると、身体が普通よりも密着せざるを得なかった。
薄いアップ着越しに体温を感じ合うのは、思っていた何倍も恥ずかしかった。
『あぁ、先輩にくっついちゃってる』
陽菜も瞬もお互いに意識しつつ、それを意識から追い払わねばならない。
特にやっている方は大変だ。陽菜特有のミルクのように甘い匂いが、瞬の「男」を刺激してしまう。必死になって頭から追い払い続ける必要があった。
それはある意味で苦行に近かった。
しかし終わってみれば苦行の甲斐があったというもの。
「すっごく軽いです、先輩!」
ピョンピョンと跳びはねて喜んでいる。仔犬のようだ。
「予選レースくらいなら、これで走りきれるよ」
「ありがとうございました」
ぺこんとお辞儀をされてしまうと何とも面映ゆかった。
実際問題として、女の子にするのは、これがヤバい。
股関節を曲げ伸ばすのはもとより、つながっているインナーマッスルまでほぐすのが現在の主流だ。そのためには施術者が身体全体で圧迫する必要があった。プロだと、それ専用のプロテクターまで付けることがあるらしい。
数万円もする専用具を買う余裕などなかった。そもそも、勉強をして備えてきたが、これを実際に施術することなど、少しも現実的ではなかったのだ。
人がほとんどいない裏側。
素直で可愛らしい女の子と二人きりで身体を密着させる。
懸命に煩悩を振り払ってはいるが、瞬も男の子なのである。うつ伏せになっている陽菜の目を盗んで「ポジション」を直しておく必要に迫られたのは仕方のないこと。
それから、努めて冷静に言った。
「仰向けだよ」
「はい」
本来なら恋人以外には触らせないような場所までマッサージされた陽菜は、既に真っ赤になっているのが自分でもわかる。けれども、それがバレると瞬先輩が気にしてしまうというのが、心配なこと。
できる限り無造作に見える動きで仰向けになると「さすがに、ちょっと恥ずいです」と顔にタオルを掛けてしまった。
真っ赤になった顔を見られたくなかったわけだが、言外に「好きなようにしてください」というメッセージでもある。なんだったら、このまま胸だって触ってもらっても構わない。
いや、どうせだった、もっと二人っきりになれるところなら、どこでも触ってもらって構わないのだ。
『あぁ、もうだめです、せんぱい、どうにでもしてください』
時々、ベッドの中で、こっそり妄想しながら秘密のことをしている時よりも、もっとエッチな感じだ。
視界の遮られた頭の中は妄想が暴走してしまう。
しかし、陽菜にとっての誤算は「そこまで覚悟しているなら、全力でやってあげよう」と思われてしまったこと。いや、誤算とはいえ嫌なことではない。
効果は、最大限になるのだから。ただし「羞恥」も最大限になるだけのことだった。
遠慮のない、フルのストレッチが始まった。
『わぁあぁ、密着ですよ~ あそこ、くっついちゃってますよ! あぁん、先輩の体温! ぁあ、もう、好きにしちゃってくださぁい!』
あちこちをのばされながら、陽菜の妄想は大暴走中である。
それもそのはず。
脚を持ち上げ、大胆な角度に広げ、時には赤ん坊のオムツを替える格好に近い形にして身体を密着させる。体重をかけたストレッチだ。
腰と腰が密着する。柔らかな部分に瞬の太股が当たってしまえば、年頃の女の子に意識するなと言っても無理なのだから。
一つひとつの体勢はヘタをすれば、と言うよりも信頼関係なしなら確実にセクハラそのものだった。
こういうストレッチにおいて、身体が硬い人ほど、密着度は下がる。ところが陽菜の身体は柔らかい。可動域を十分に伸ばそうとすると、身体が普通よりも密着せざるを得なかった。
薄いアップ着越しに体温を感じ合うのは、思っていた何倍も恥ずかしかった。
『あぁ、先輩にくっついちゃってる』
陽菜も瞬もお互いに意識しつつ、それを意識から追い払わねばならない。
特にやっている方は大変だ。陽菜特有のミルクのように甘い匂いが、瞬の「男」を刺激してしまう。必死になって頭から追い払い続ける必要があった。
それはある意味で苦行に近かった。
しかし終わってみれば苦行の甲斐があったというもの。
「すっごく軽いです、先輩!」
ピョンピョンと跳びはねて喜んでいる。仔犬のようだ。
「予選レースくらいなら、これで走りきれるよ」
「ありがとうございました」
ぺこんとお辞儀をされてしまうと何とも面映ゆかった。
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