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第35話 綻び 11【R-18】
しおりを挟む努めて、さりげない口調を保とうとした。
「誰とだ?」
「たける~ おさえつけられて~ ゃられたぁ」
「なんだと? 健君? マジか~」
男は頭の後ろを押さえる。これは頭の痛い話だ。
「いっつもしてるのか?」
「ときどき~」
焦りを顔に出さないようにしながら、男はさらに視点を変えて尋ねる。
「天音は健君が好きなのか?」
「う~ん」
頬を右手が押さえながら、しばらく考えた後で「きらぃ」と短く答える。
「嫌いなのにセックスするのか?」
「あまねはしたくなぃよー でもぉ おさぇられちゃってぇ、ぃやがるとー ぶっし こわいことゆーんだもぉん」
ふ~む
レイプか?
「避妊は?」
「っけてる~ パパみたぃ」
「パパは無理矢理したりしないぞ? 食事に連れて行ったりしてるだろ?」
連れ出す度にホテルにすると、さすがに来なくなってしまうだろう。建前上は「親子で食事をしよう」ということにしていた。そのため、高校生では行けないような店に連れて行く分、金はかかるのは痛い。
「あまね、ぃやってゆってるのに」
「いいんだ。それは、ね、パパだから」
理屈になってないが、さすがに「理」などないことは自覚している。
「そ、かなぁ?」
風向きが悪くなりそうだ。だが、少なくとも健と恋人同士というわけではないらしいことはわかった。
慌てて話をずらす。
「他の男とはセックスしないのか?」
「パパだけぇ」
少しだけ安心する。勝手なものである。
『これをどうするかだな』
せっかく娘を取り戻した。まだ素直にヤラせるまでにはならないが、包丁を見せて「これでパパは死ぬから」と脅せば、ちゃんとホテルまで着いてくるようになったのは上出来だろう。前回は実際に腕を切ってお願いしたが、今回は、包丁を見せただけですんだ。
『せっかく、オレの手に戻ってきそうなんだ』
必死になって二人の時間を作って、身体にいろいろと教え込んでいる最中だ。それなのに他の男にヤらせるのは業腹だった。
『どうあっても、何よりも健だけは不味い』
この男にだって、自分だけを例外に置いたクズなりの倫理観がある。
『しかし、ヤメさせるにしても警察は問題外だぞ? 天音がオレのことを話してしまう可能性が強い。それにこの間の感じだと母親に言うのもダメだろうな。となれば、天音自身に気をつけさせるしかないか』
天音を連れ出すことが母親にバレないように、アリバイ係にもなってもらえるよう交渉したのが健だ。快く引き受けてくれているし、実際、使い勝手も良い。役に立つ道具に対して、あまり強硬なことも出来ない。
欲望と自己保身の塊となりながら、男は困った。
「あのなぁ、天音。隣の健君だけはダメだぞ?」
「なんで-」
男はそこからじっくりと言い聞かせていった。あどけない顔になっている分だけ、どこまで理解しているのか男にはわからない。
結局、すべての事情を説明するしかなかった。
話してしまえば天音も理解を示す。「二度とセックスしない」と約束させた。
ここで男は計算違いをしたのである。まさか、娘の生活に「隣の長男」がこれほど深く関わっていたとは思わなかったのである。
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